伝わらない思い
「おい魅音、この縄をほどけ。」
そう言って魅音に睨みつけながら勇人は言った。
しかし、勇人の視界からひょっこり現れた梨花が魅音の代わりに答えた。
「ダメなのです。ほどいてしまうとせっかく捕まえた猫さんが逃げてしまうのです。にゃー。」
梨花は猫の手のまねをした。
自分を猫扱いされて少し怒ったが、逃げられないことは変わらないので無駄だと諦めた。
「く・・・・わかったよ。もう逃げないからほどいてくれ。」
「名前の通り約束できるかい、勇ちゃん。」
「人の名前を何だと思ってるのだか。・・・約束してやる。」
「よろしい。」
魅音は勇人の縄をほどいてやった。
「ふー、なんか伸ばさねえと落ち着かんな。」
そう言って、勇人は伸びをした。
すると圭一が
「んで魅音、部活って何をするんだよ。」
「よくぞ聞いてくれた圭ちゃん。この人数で夜やることと言えば一つしかない。」
すると魅音は近くの枕を圭一に投げた。
それを圭一は軽くかわした。
「おっと、そういうことか。」
それによって圭一は理解した。
「ルールを言うよ。チームは男子VS女子。当たったものは即退場。リーダーを決めて先にリーダーを倒したチームの勝ち。」
『ちょっと待て!!。』
勇人と圭一は声をそろえて言った。
「男子VS女子って、あきらかに人数おかしいだろ。」
「圭一の言うとおりだぞ。不釣り合いすぎるだろ。」
「安心しなさいって。ちゃんとハンデは考えてあるから。」
すると魅音は近くに落ちてあった枕を全て勇人たちの方へ投げた。
「最初、枕を全て男子側にしてからのスタートだから。」
渡された枕は十個。それに場所は十五畳の広さと八人にしては少しせまめ。まとめて投げれば高確率でリーダーに当たるだろう。
「これなら文句ないでしょ、圭ちゃん。」
「まあ、これならいいだろう。」
「それじゃ、そっちのリーダーを決めて。」
「んじゃ、リーダーは俺がなる。」
「オーケー。こっちは、部長であるわたしがリーダーだよ。」
男子側のリーダー・勇人 女子側のリーダー・魅音
勝負開始。
「よーし、すぐに終わらせてやる。」
圭一は枕を取り、構えた。
しかし、勇人が肩を掴みながら圭一を止めた。
「まて圭一、明らかに罠だろ。」
「え!?。」
「よく思い出せ。魅音は何て言った。」
「それは、俺らが枕を全て持ってr「違う、こっち側にあると言ったんだ。」ということは。」
「こういうことだ。」
勇人は枕を一つ取り天井へ投げた。すると
ガラッ
天井が開き、中から枕が雪崩のように落ちてきた。圭一と勇人は安全地帯でそれを見ていた。
「残念だったな沙都子。魅音が教えてくれたおかげでな。」
「きー、悔しいですわ。」
「沙都子、かわいそかわいそなのです。」
梨花は沙都子の頭を撫でてやった。
「やるね、勇ちゃん。でもこっちにはまだ秘策があるんだよね。」
「上等、打ち破ってやるぜ。」
ちなみに秘策とは・・・
時は戻って、勇人たちの修行中、魅音たちはお風呂に入っていた。
「はぅ~、魅ちゃんの家のお風呂は広いね。」
それは六人ではもったいないくらいの大浴場だった。
すると魅音はレナのことなど無視して沙都子と羽入に釘付けだった。
もちろん、理由は一つ。
「沙都子と羽入ちゃんはいい成長してるね。」
「み・・・魅音さん、どこを一点集中しながら言っていますの?。」
「気にしない気にしない。それより、おじさんが成長を手伝ってもいいよ~。」
魅音は手をわきわきしながら近づいた。
「あぅあぅ、魅音が完全におじさんの目になっているのです。」
「え~ん、レナさん、魅音さんがいじめますわ―。」
「はぅ~、沙都子ちゃんはレナが守ってあげるからね。」
「あっ・・ちょ、沙都子、それはいくらなんでも・・・・」
スパパパーン!!
レナの高速連続パンチが魅音に炸裂した。
「レナ・・・いつもに増して・・・・見えなかったよ。ガクッ。」
魅音は撃沈した。
そんな中、梨花は自分の胸に手を当てながら皆を見ていた。
「どうしました梨花ちゃま、なんか不満そうな顔をして?。」
「拷問狂は黙っていろなのです。」
「なんですって!!。」
こちらもなんか騒ぎが発展してきた。
「そうですか。そんなに気になりますか。」
「!!・・・別に胸なんか気にしてないのです。」
「あら、私はただ気になりますかって言っただけですけど。」
「・・・・調子に乗るな拷問狂。」
梨花はなぜか近くにあったモップを手に取った。
「遊んであげるわ。おいで、拷問狂。」
梨花は人差し指をクイクイッと威嚇した。
「上等じゃん。ぶちまけられてーか!!。」
詩音はなぜか持っていたスタンガンを構えた。
戦闘中略
落ち着きを取り戻した皆は仲良く(詩音と梨花はまだ喧嘩中)湯につかっていた。
すると、魅音は羽入に聞いてきた。
「ねえ羽入ちゃん。神ってことはさあ、なんか不思議なことができたりするの?。」
「できるのですよ。姿を消したり空を飛んだりできるのです。」
「他には何があるのかな、かな?。」
「ビームやバリアーなども出せるのです。」
「つまり歩く凶器なのです。」
「梨花!!、例えが悪いのです!!。」
「バリアーか・・・・そうだ。」
「どうしましたの、魅音さん?。」
「部活でまくら投げしようよ。勇ちゃんを倒す方法を思いついたから。」
「バリアーを使って勝つつもりですね、お姉。」
「なっ・・なんでわかるのよ!?。」
「誰でもわかりますわよ。」
「でもそれは卑怯すぎないかな、かな?。」
「勇ちゃんの初メイド姿見たくないの?。」
「・・・はぅ、勇人君のメイド姿、お持ち帰りぃ~。」
「決定だね。んじゃ、よろしく羽入ちゃん。」
「わかったのです。」
戻って、今
「勇ちゃん、どっからでも投げてきなよ。」
「大した自信だな。じゃあ、遠慮なくいかせてもらうぜ。」
勇人は枕を一つ取り、魅音に狙いさざめた。
「くらえ!!。」
一寸の狂いもなく魅音に飛んでゆく。
しかし、魅音は一歩も動かずにいた。
「今だよ、羽入ちゃん。」
「はいなのです。」
ボフッ!!
『あれ!?』
全員が同じセリフを言った。
魅音の顔面には枕がひっついていた。
「魅音がこんな簡単にやられるのか。いや、もしかしてこれが秘策か!?。」
「気をつけろ勇人、何か企んでるかもしれない。」
男子側はこの状況を飲み込めず、無駄な警戒をしていた。
一方、女子側は
「羽入ちゃん!。どうしてやってくれなかったのよ!?。」
「あぅあぅ、僕はちゃんとやったのです。」
「あんたのせいで、私たちの負けじゃない。」
梨花がキレていた。
いや、梨花だけではない。
「だから、僕はちゃんとやったのです。」
「羽入さん、いくらなんでもこんな重大なところでのミスは許されませんわ。」
「これは、けじめをしなくてはなりませんわね。」
「あぅあぅ・・・うう・・・・僕はちゃんとやったのです。」
圧倒されてしまい、羽入は泣きだした。
「み・・・皆、落ち着こうよ。羽入ちゃんが泣いてるよ。」
「おいおい、何があったんだよ。」
勇人と圭一が近づいてきた。
「羽入が泣いてるじゃねえか。何してんだよお前ら!!。」
勇人が羽入の涙に気づいた。
その瞬間、勇人は無性に腹が立ち、気を抑えられなくなっていた。
「勇ちゃん!!・・・その、これは・・・」
「納得いく説明じゃなかったら殴るぞ。」
勇人はほぼ化身状態になりかけていた。
「勇人・・・ひっく・・・・使えないのです。」
「何がだ?。」
「神の力が使えないのです・・・」
『ええ!?』
全員が驚いていた。
「おかしいのです・・・ひっく・・いくら飛ぼうとしても消えようとしてもできないのです。」
「・・あっ!!まさかあいつが。」
「何、圭ちゃん。何か知ってるの。」
「多分な。あの六一が目的があるって言ってたんだ。」
「まさか、その目的が羽入の力を消すことなのかよ。」
「ああ。多分な。」
「でも、羽入ちゃんは神だよ。羽入ちゃんが神なんて皆知らないと思うし、それに羽入ちゃんの力が何か分からないのに封じることなんてできるのかな、かな。」
「そう言われると、やっぱり違うのか。」
「多分あってると思うのです。・・・六一は僕が神だってことを知っていたのです。」
「!!っ・・・まじかよ!?。どうしてあいつは気づいたんだよ!?。」
「あぅ・・・わからないのです・・」
「こりゃ、部活どころじゃなくなってきたね。」
魅音はそういうと圭一が反応した。
「おい魅音、それは関係ないじゃねえか。」
「えー、いいじゃん別に。」
「よくない。とにかく罰ゲームは受けてもらうからな。」
そういうと圭一はどこからかメイドやらスク水やら取り出した。
「レナはメイド、魅音は体操服とブルマ、沙都子と梨花ちゃんはエンジェルモートの制服、羽入と詩音はスク水だ―。」
圭一は皆にそれぞれの服を渡した。
「俺ちょっとトイレ行く。」
「なんだよ、この最高の瞬間を見逃すつもりか。」
勇人は何も言わずに出ていった。
契view
俺は適当に庭を散歩しながら考えていた。
「羽入の力が使えなくなった。そもそも、あいつは羽入の力にどうやって気づいたんだ。」
皆、六一がやるには不可能だと言っているけど俺はそんな気がしない。
なぜだが、あいつを初めて見たとき、あのときの平十と同じ感じがした。
「・・・・六一には気をつけないと。化身状態でろくに覚えてないけど・・・」
そうえば、寝るとこどこだっけ。
まあ、いいや。夏だから外で寝てもそう簡単に風邪ひかないだろう。
「おーーーい、ゆーーーとーーーー。」
あれ、羽入がやってきた。
ちなみに、スク水の姿ではない。
「おいおい、罰ゲームはどうしたんだ?。」
「皆で圭一をフルボッコにして、やめさせたのです。」
「・・・・圭一、かわいそうだな。」
「そんでもって・・・・」
ガッ!!
「うぐ・・・・」
突然、誰かに後頭部を殴られた。
当たり所が良かったのか、一瞬で視界がくらみ始めた。
「ふふふ、勇人も僕たちと・・・・」
最後に聞いた羽入の声がそれだった。
「・・・・んん・・」
目覚めたら俺は暗闇の布団の中にいた。
「あれ・・どこからが夢だっけ・・・いって・・」
考えてみると急に後頭部に痛みを感じた。
「と、いうことはあれは夢じゃねえのか。」
「そうなのです。全部本当のことなのです。」
・・・・なぜか左から羽入の声が聞こえたような・・
「勇人、起きたのですか。」
今度は右から梨花の声が・・・・
「・・・・ええ!!なんで二人g「しーっなのです。皆寝てるのです。」え・・」
目が慣れてきて周りが見えてきた。
するとそこには・・・
「皆・・・・いる・・レナも魅音も・・・圭一まで。」
皆眠っていた。圭一の顔が少し腫れていた。
「じゃあ、俺の後ろを殴ったのは?。」
「僕がモップで殴ったのです。こうでもしないと勇人は僕たちと寝てくれないのです。」
「そんな理由で殴るな。大体、普通に考えて女子と寝るとかまずいだろ。」
「そんなの僕たちにはどうでもいいのです。みー。」
「うわっ。」
突然、梨花が面白半分で手を握ってきた。
「・・・僕もなのです。」
羽入はさみしくなったのか空いてる手を握ってきた。
「おい、羽入も何やってんだよ。」
「・・・勇人聞いてほしいのです。」
急に羽入がまじめになった。
「僕は・・・こわいのです。」
「羽入・・」
「急に力が使えなくなった今、僕はどうすればいいのですか?。」
「・・・・わかんねえよそんなこと。大体、お前はなんで六一の攻撃を受けたんだ?。」
「え!?。」
「だってよ、消えたりできるんなら簡単に回避できたじゃねえのか?。」
「それは・・・突然のことで忘れてたのです。」
「じゃあ、忘れるほどの力がなくなったぐらいでなんで泣くんだ。」
「あぅ・・・・」
「勇人、羽入を責めないで。」
俺は梨花の声を無視してでも言ってやった.
「お前、甘い考えしてるとこの先、生きていけねえぞ。少しは最善のことw「勇人のバカなのです!!。」なっ・・」
羽入は急に怒り出し、夜のことを忘れて大声を出した。
「んん~、なになに、敵でも来たの?。」
それによって魅音が起きた。
いや、魅音だけではなく皆起きたようだ。
「ん・・どうしたのかな、かな?。」
「何の騒ぎだ?。」
今起きた全員、状況を飲み込めなかった。
「勇人は僕の味方でいてくれると思っていましたのに・・・」
羽入は急に泣きだした。
しかし、そんなのどうだっていい。
「味方だから言ってんだろうが。このわからずや。」
「!!っ・・・・うう・・うあーーん!!。」
たまらず、羽入は出て行った。
「・・・・勇人。」
「なんだよ梨花。まさか俺が悪いなんて言うんじゃねえだろうな。」
「ちがうのです。勇人は悪くないですけど悪いのです。」
「意味がわかんねえよ。俺はもう寝る。」
俺はなんかぎくしゃくしたから布団をかぶりそのまま眠ろうとした。
皆の視線が妙に痛かった。
「俺は悪いことをしてない・・・ただ、羽入のためを思っただけだ・・・なのに・・・」
俺はそのまま眠りに落ちた。
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