僕たちの世界では、誰もが神様からひとつの魔法を貰って生まれてくる。
水を出すみたいな些細な魔法から、大魔法使いになれるような凄い魔法まで。使える魔法はみんな違うけど、みんなそれぞれ自分の魔法と共に生きている。
でも、僕は魔法が使えなかった。
昔はその事を悩んだこともあったけど、今は違う。
魔法が使えなくても、他の兄弟と変わらず愛してくれる両親や、こんな僕でも仲良くしてくれる大好きな友達や村のみんなが居るから。
だから、僕は幸せだった。
この幸せがいつまでも続きますようにってずっと願っていた。
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僕の目の前には変わり果てた村が広がっている。
炎は僕からすべてを奪い取った。
家も家族も友達も、僕が愛していたすべてのものを。
どうして僕だけが生き残ったの。
どうして僕だけを残してみんないなくなってしまったの。
一人はイヤだ。一人は怖いよ。一人になるくらいなら…
神様、神様、どうか僕の願いを叶えてください。
僕の愛する人たちをどうか生き返らせてください。
そのためなら、何だってします。
僕はどうなっても構いません。
だから、どうか僕の大切な人たちを、この世から消さないでください。
僕は祈った。
僕のすべてをかけて、ひたすら祈り続けた。
そして僕は、初めて自分の魔法を知った。
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神様は人間を愛していた。
だから、神様は人間に自分の力の一部を分け与えてくれた。
でも、いつからか人間の中に、稀に神様も望まなかった力を持つ者が生まれるようになった。
神様は悔やんだ。
だけど、神様の力を持ってしても、そんな人間たちが生まれてくるのを止めることは出来なかった。
神様に唯一出来たのは、ほんの少しの細工を加えることだけだった。
もう二度と、あんな悲しみが生み出さないようにと願いを込めて…
ひとつの村があった。
一度は終わりをつげられながら、今でも確かにその村の時は刻まみ続けられていた。
それは一人の少年の優しさが生み出した奇跡。
だが、その少年はもういない。
少年は自分の全てと引き換えに村を甦らせた。
自分の命と。自分の未来と。そして、自分がこの世に存在していた証すべてと。
教会の鐘が悲しげに鳴り響く。
あの優しい少年を覚えている者は、もう何処にもいない
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