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今回内容が長くなってしまったので分割することにしました。
読んで不快に思った人も多いようなのですが、なにぶんssが今作が初めてな自分に誰もが面白いと感じる傑作を書くのは不可能ですので、ただつまらないテンプレssでご都合主義の駄作と思うようでしたら、これ以上の貴重な時間を本作に割かずにもっと面白いssを探すことをお勧めします。
第二話:盗賊退治(前篇)
深々と雪の降るきれいな夜

『シロウ・・・約束してほしいな』

懐かしい声

『正義の味方になるなとは言わないよ・・・、けどね』

愛おしい声

『わたしの願い、わたしの想いは・・・他の見ず知らずの人々のものより軽い?』

妹であり、姉であった大切な・・・

『約束したんだから。破ったら酷いんだからね』

イリヤスフィール・フォン・アインツベルンとの最後の会話

『卑怯だけど・・・、最後だからいいよね。ああ・・・、安心した・・・』

それは心【内面世界】に刻まれた生涯忘れることはない、かけがいのない・・・想いと景色



「ん、んん・・・」

朝の陽ざしに目を覚まし一人感慨にふける。

「久し振りだな・・・。この世界では初めて夢に見たな」

目元に涙が付いている。
夢をみながら泣いていたようだ。

着替えを終え部屋を出る直前俺は
「イリヤ・・・。俺は約束守れているかな?」
返事が決して返ってこない問いをもらしていた。





現在俺達は賊討伐のための軍を編成している。
今回がこの世界での初戦だが、軍の準備は何度か見ている。

「見ているが・・・、まだ違和感が残るな」

城壁の下を走り回るのは、完全武装の兵士達。
束ねられた槍は薪のように積み上げられ、
その隣には槍束をふたまわり小さくした束がさらに大きな山を築いている。
弓兵隊の使う、矢だ。
武器に糧食、補充の矢玉。薬に防具に調理の鍋まで、
戦に使う備品はその幅広さに事欠かない。

俺が協力、あるいは敵対などして関わった軍隊も基本は同じだ。
槍と弓矢のかわりに銃火器と弾丸が入るぐらいだ。
ただ・・・

「どうした、そんな難しい顔をして」
と春蘭が話しかけてきた。

「いや、この国に来るまでにあったことのある軍との差異を比較していただけだ」
「そんなに違うものか?」
「基本は同じだ。ただ・・・、いや風習が違うだけだ気にするほどのことではない」
「そうか?」

流石に輸送手段の差を考察していたとは言えない。
そう、現代は輸送手段が発達したため、備品は全てコンテナに収められる。
むき出しのまま運ばれる備品に違和感を感じていたのだ。


「・・・・何を無駄話をしているの、二人とも」
やってきた華琳の問いに
「か・・・・っ、華琳さま・・・・!これは、士郎が!」
と春蘭は俺に責任を押し付けようとしてきた。

「一人考え事をする時に表情を変えることはいけなっかたか。以後気をつける」
「ぐ・・」

俺のカウンター気味のセリフに春蘭は声を詰まらせた。

あきれ顔で華琳が問いただしてきた。
「はぁ・・・・春蘭。装備品と兵の確認の最終報告、受けてないわよ。
数はちゃんと揃っているの?」
「は・・・はいっ。全て滞りなく済んでおります!士郎に声をかけられたため、
報告が遅れました」

春蘭はまだ、俺に押し付けたいようなので
「なるほど、表情を変えることは声をかけること同じか。
だとすると、私はずいぶん春蘭に声をかけられていたのだな。すまん、気付かなかった」
厭味の追加をすることにした。

「くっ、ああそうだ。今後気をつけろ」
「だがそれだと会うたびに会話しなければいけないな。そんな頻繁に会話したかったのか」
追い打ちをしたところで仲裁が入った。

「姉者。口で士郎に勝つのは私でも難しい。ここで引いといたほうがいい。
士郎もあまり姉者をいじめないであげてくれ」
「・・・その士郎には、糧食の最終点検の帳簿を受け取ってくるよう、
言っておいたはずよね?」

華琳の問いに
「ああそれならここにあるのだが・・・」
「どうしたの?」
「まあ、華琳なら見たほうが速いか」
俺は帳簿を華琳に手渡した。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・秋蘭」
「はっ」
「この監督官というのは、一体何者なのかしら?」
「はい。先日、志願してきた新人です。仕事の手際が良かったので、
今回の食料調達を任せてみたのですが・・・何か問題でも?」
「ここに呼びなさい。大至急よ」

秋蘭に命じる華琳に、
「今呼んでもらってるところだ。それで、私はここで待っていたんだ。
納得してもらえたか?」
と言った。

「ええ、納得したわ。気が利くわね」

しばらくして、そこへ一人の文官と一人の女の子が来た。

「曹操様。連れて参りました」
「・・士郎、あなた私の名を使ったわね?」
「ああ。この件は華琳に判断してもらうべきだと思ったからな。
最初から華琳には来てもらうつもりだった。
独断専行は時間短縮につながったことで、帳消しにしてくれるとありがたいのだが」
「本当に気が回るわね、ほめてあげるわ。けど、・・・次は許さないから、
そのつもりでいなさい」

・・・間違いなく次はないだろう。
あの笑顔は・・あかいあくまのと同種のものだ。

トラウマに震えそうになる声と体を無理やりおさえこんで
「ああ、了解した」
とそれだけ答えた。

華琳は気を取り直して文官を下がらせた後、女の子に問いかけた。

「おまえが食料の調達を?」
「はい。必要十分な量は、用意したつもりですが・・・
何か問題でもありましたでしょうか?」

その言葉に華琳は声を荒立たせる。

「必要十分って・・・どういうつもりかしら?
指定した量の半分しか準備できていないじゃない!」

そうこれが、俺と華琳の二人が呼び出す判断をした理由だ。
『腹が減っては戦は出来ぬ。』という言葉どおり飢えては満足に戦えない。

「このまま出撃したら、糧食不足で行き倒れになる所だったわ。
そうなったら、あなたはどう責任をとるつもりかしら?」
「いえ。そうはならないはずです」
「何? ・・・どういう事?」
「理由は三つあります。お聞きいただけますか?」
「・・・・説明なさい。納得のいく理由なら、許してあげてもいいでしょう。」

まあ、華琳なら行き過ぎた刑罰はしないだろうと考えていると
「・・・・ご納得いただけなければ、それは私の不能がいたす所。
この場で我が首、刎ねていただいても結構にございます」
そう女の子は言い切ってきた。


「・・・・二言はないぞ?」
「はっ。では、説明させていただきますが・・・」

事態が不穏な方向に進むのを防ごうとしたが、
女の子の目に死をもかけた覚悟の光が見えたため止めた。
命は大事だが、それよりも大切なものがあることを理解できるぐらいには俺も成長している。
俺にとって「正義の味方」という想いがあるように。
それを無視して「命」を救っても「人」は救えないのだから。

「・・・・まず一つ目。
曹操さまは慎重なお方ゆえ、必ずご自分の糧食の最終確認をおこないます。
そこで問題があれば、こうして責任者を呼ぶはず。生き倒れにはなりません。
少し想定外もありましたが、結果に違いはなかったはずです」

女の子は俺を横目ににらんできた。
・・まあ、彼女の段取りを壊したのだから仕方がない。

「ば・・・・・っ! 馬鹿にしているの!?春蘭!」
「はっ!」

まずい!華琳は本気だ

「とりあえず、首を刎ねるのは後でもできる。
判断は残り二つの理由を聞いてからでも、遅くはないんだろう?」

出来るだけ感情の色を抑え、冷静に聞こえるよう注意していった。

「士郎の言う通りかと。それに華琳さま、先ほどのお約束は・・・」

秋蘭の援護もあったおかげで華琳は落ち着いたようだ。

「・・・・・そうだったわね。で、次は何?」
「次に二つ目。糧食が少なければ身軽になり、輸送部隊の行軍速度も上がります。
よって、討伐行全体にかかる時間は、大幅に短縮できるでしょう」

確かにそのとおりだが・・・。

「ん・・・?なあ、秋蘭」
「どうした姉者。そんな難しい顔をして」
「行軍速度が早くなっても、移動する時間が短くなるだけではないのか?
討伐にかかる時間までは半分にはならない・・・よな?」
「ならないぞ」
「良かった。私の頭が悪くなったのかと思ったぞ」
「そうか。良かったな、姉者」
「うむ」

そう。春蘭の言うとおりだ。
移動だけじゃなく戦闘も、休憩の時間も必要だ。
そもそも食料がちょっと軽くなった程度で、移動速度だって倍になるわけじゃない。

「まあいいわ。最後の理由、言ってみなさい」
「はっ。三つ目ですが・・・私の提案する作戦を採れば、
戦闘時間はさらに短くなるでしょう。よって、この糧食の量で十分だと判断いたしました」

・・・そういうことか。
彼女が死すら覚悟でおこなった危険な賭け、それは
「曹操さま!
どうかこの荀幾めを、曹操さまを勝利に導く軍師として、麾下にお加え下さいませ!」
華琳の軍師となるための賭け。

春蘭・秋蘭姉妹が驚く中、華琳は沈黙したままだ。

「どうか!どうか!曹操さま!」
「・・・・荀幾。あなたの真名は?」
「桂花にございます」
「桂花。あなた・・・この曹操を試したわね?」
「はい」

この言葉に
「な・・・っ!貴様、何をいけしゃあしゃあと・・・・。
華琳さま!このような無礼な輩、即刻首を刎ねてしまいましょう!」
春蘭は怒るが、
「あんたは黙っていなさい!私の運命を決めていいのは、曹操さまだけよ!」
覚悟を目に秘めた荀幾の気迫に口を噤む。

「ぐ・・・っ!貴様ぁ・・・・!」

抜刀する春蘭を俺はあわてて止め、
「落ち着け・・・!
春蘭・・・・!」
「ぐぅぅ・・・・」
何とか抑えることができた。

「桂花。軍師としての経験は?」
「はっ。ここに来るまでは、南皮で軍師をしておりました」
「・・・・そう」

・・・今の間、気になるな。

「秋蘭、南皮というと袁紹の統治している土地だろうけど、何かあったのか?」
「華琳さまは袁紹と昔からの腐れ縁でな・・・」
「・・・そういう事か」

まあ、とてもじゃないが友好的な関係ではないだろうな。

「どうせあれのことだから、軍師の言葉など聞きはしなかったのでしょう。
それに嫌気が差して、この辺りまで流れてきたのかしら?」
「・・・まさか。聞かぬ相手に説くことは、軍師の腕の見せ所。
まして仕える主が天を取る器であるならば、その為に己が力を振るうこと、
何を惜しみ、ためらいましょうや」
「・・・・ならばその力、私のために振るうことは惜しまないと?」
「ひと目見た瞬間、私の全てを捧げるお方と確信いたしました。もしご不用とあらば、
この荀幾、生きてこの場を去る気はありませぬ。
遠慮なく、この場でお切り捨てくださいませ!」

やはりその覚悟をしていたか・・・。

「・・・・・・」
「華琳さま・・・・」
「春蘭」
「はっ」

どう動くつもりなんだ?

華琳は春蘭から受け取った大鎌を、ゆっくりと荀幾に突きつけた。

「桂花。私がこの世で尤も腹立たしく思うこと。それは他人に試されるということ。
・・・・分かっているかしら?」
「はっ。そこをあえて試させていただきました」
「そう・・・・。ならば、こうする事もあなたの手のひらの上という事よね・・・」

そう言うなり、華琳は振り上げた刃を一気に振り下ろし・・・!

「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」

荀幾はその場に立ったまま。
そして血は、一滴も飛び散りはしなかった。

「・・・寸止めか」

小声で呟いた。

退いた刃の先に絡んだ淡い色の髪の毛は、荀幾の髪だろう。
ほんの少しでも荀幾が動いていたら、そのまま真っ二つになってもおかしくはなかった。

「当然でしょう。・・・けれど桂花。もし私が本当に振り下ろしていたら、
どうするつもりだった?」
「それが天命と、受け入れておりました。天を取る器に看取られるなら、
それを誇りこそすれ、恨むことなどございませぬ」

間髪入れず華琳は指摘する。

「・・・嘘は嫌いよ。本当の事を言いなさい」
「曹操さまのご気性からして、試されたなら、必ず試し返すに違いないと思いましたので。
避ける気など毛頭ありませんでした。・・・それに私は軍師だあって武官ではありませぬ。
あの状態から曹操さまの一撃を防ぐ術は、そもそもありませんでした」
「そう・・・」

小さく呟いた華琳が、荀幾に突き付けていた大鎌をゆっくり下ろす。

「・・・・ふふっ。あはははははははは!」
「か、華琳さま・・・っ!?」

華琳の顔にうかんだそれは、紛れもない歓喜の笑み。

「最高よ、桂花。私を二度も試す度胸とその智謀、気に入ったわ。
あなたの才、私が天下を取るために存分に使わせてもらう事にする。いいわね?」
「はっ!」
「ならまずは、この討伐行を成功させてみせなさい。
糧食は半分で良いと言ったのだから・・・もし不足したならその失態、
身をもって償ってもらうわよ?」
「御意!」

覇王はこうして一人の軍師を加え戦場へと進む
現在残りの盗賊退治の修正・補完を行っています。
次回に本作の士郎の「正義の味方」としてのありようをのせるつもりですが、華琳との摩擦をなくすためとはいえ正直かなりオリキャラ化してしまっているように思うので、それが嫌だという人は本作に見切りをつけて読まないことをお勧めします。


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