第6話:人を見る目はありますか?
「「お、覚えてろよ!」」
声をそろえてよたよたと逃げていく盗賊達。一応、ウィルスは手加減をしたようだ。
「す、すごい・・・。」
ウィルスの勝利で戦いが終わり、呆然としていたリーネは思わず感嘆の声を上げた。
「はぁ〜〜・・・。」
一方ウィルスは、深々と安堵のため息をついている。
「見かけによらず、すごいじゃない!ウィルス師匠!」
「・・・でも、逃げられちゃいましたよ?」
何故か見かけによらずという部分を強調して言ったリーネに、何かを諦めた様子でウィルスは言った。
「いいのよ、そんな事は!
それより、本当にそう見えないけど強いのね〜。」
「・・・・・・・・・・・・・・ええ。」
だいぶ長い沈黙のあとにウィルスはため息にも似た声でそう言った。
「・・それじゃあ、行きますか。」
「そうねっ!」
戦闘のダメージは無かったが精神のダメージを負ったウィルスは、とぼとぼとリーネと共に歩き出した。
盗賊と戦ってるあいだ、誰かに見られていたとは知らずに。
*
ウィルス達が居なくなったあと、空間が歪んだ。
「あ〜あ・・。」
空間の歪みから現れたのは、一人の赤い髪の少年だった。服は黒いシャツに白いズボン。
姿は普通の少年だが、唯一その背中に生えている黒い蝙蝠のような翼が、少年が人ではない事を示していた。
「せーっかく雇ったのにやられちゃった〜・・・。」
長い赤髪が所々はねている少年が、自分の髪を指に巻きつけながら文句を言った。
ある意味、そのせいで髪がはねているのかも知れない。
「バロウ、文句を言うな。」
すると、その行動を見かねたのか、少年の向かい側から声が上がった。
バロウと呼ばれた少年が、驚いた顔になる。
そこに、現れたのは一人の端正な顔立ちの青年。その髪には白髪が混じっているが、大部分は青い髪だった。服装は、少年とは逆の色の白いTシャツと、黒い長ズボン。
しかし、その背中には何も生えてはいない。
「エレク、何時からそこにいたのさ?」
「さっきからだ、それより―・・、」
「相変わらず、存在感薄いね〜。はははっ」
「―・・話を聞け。」
かなり苛立った様子で、エレクと呼ばれた白髪混じりの青い髪の青年は、腕を頭の後ろに組んで笑っているバロウに言った。
「分かってるよぉ〜。あいつかもしれないんだろ?」
若干、不服そうな顔で、バロウは言った。
「・・分かってるならいい。
だが・・、まだ決まった訳じゃない。」
「でもさ、エレクも見ただろ?
あいつの目の色が変わるのを。」
バロウがそう言った瞬間、しばらくその場には沈黙が流れた。
「ああ・・。
間違いなく、あのお方の目だった。」
やがて、そうエレクが言うと突如、空間が歪み――、
あとは、誰も居なくなっていた。
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