華のように可憐に!
またも粗筋が誇大広告一歩手前…!
よくあるじゃない?
交通事故とかで、思いもよらず死んじゃったりとか
カミサマの手違いでー、とか
実はとあるファンタジーな世界の姫君だか女神さまだったんだけども諸事情で地球にー、とか
そんで、異世界に飛んだら、あらまぁビックリ、すっごい美女だか美少女だか
兎に角、今までの自分では考えられないくらいの美形にメタモルフォーゼしてました!みたいな
それで、聖なる力を発揮するー、とかね!!
……確かに、美しくはなったわよ
なんだか分かんないけど、不思議は不思議だけども、まぁ、うん、一応力はある
でもね……
でも、……
「植物ってないんじゃない?」
どないせぇっちゅうの
いや、確かに美しくはなったよ?
あんまり綺麗に咲くもんだから、野原に生えてるところを掘っくり返され
今では大きな鉢植えに植えられて、草花大好きな麗しのオージサマの私室に飾られてるし
でも、このオージサマ、はっきり言ってウザイ
「さぁベアトリクス、ご飯だよ」
霧吹きのようなもので、シュッシュと水を噴き掛けられるけど
あたしはもっと如雨露とは言わないけどせめて水差しのようなものでたっぷり水が欲しいわけ!
あと、顔近い!
そんな接近してあんた焦点合ってんの?!
ちょ、近っ
いくらいい匂いだからってくんくんするのやめてぇぇえええ!!!
ばふ!!
「うっ! げっほげっほげっほ!!」
あたしの不思議な力、花粉攻撃をモロに喰らったオージサマは
げほげほ涙目で苦しんでいる
ザマーミサラセ!!
……不思議な力って花粉かよ!、と思わないでもないけど
自分の意思で花粉を撒き散らせられるんだから、十分あたしの秘められた能力と言っても過言じゃないわよね?
「けほっ、もう、キミは恥ずかしがり屋さんなんだねぇベアトリクス
でもそこも可愛いよ」
ウッザ!
顔はいいのに、総てが台無しのような気が……!!
あぁぁ……早く種でもなんでも残して枯れたい……
種残さなくても、もうそろそろ枯れてもいいんじゃない?
そう思うあたしは知らなかった
あたしはとーっても珍しい品種で
種を残さない限り、絶対枯れないことを
しかも、オージサマは、植物のあたしにベタボレなんていう異種愛ビックリさんなもんで
種を残すイコール他所の男と子供を作る、な思考をしているらしく
あたしのところには、ぜーったいに他所からの花粉は飛んでこないし
花粉を背負った虫も総て叩き潰されていることを!
あたしの未来は……どっちだ?!
どうにもならんな。