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孤高の青年は飽くなき強さを追い求める ~unconventional【スキル・メイク・オンライン】~ 作者:紺藤シグル
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8話 ギルド

 ギルドの中は、零が想像した通り、大勢のプレイヤーで(あふ)れ返っていた。

 建物の構造と同じくギルドの中も横長で、奥には幾つものカウンターが並んでおり、何人もの受付嬢が座っている。
 カウンターの手前にあるクエストを受けるための掲示板では、多くのプレイヤーが真剣に話し合っている。
 そして2階へと続く階段が所どころに設置されていて、2階からは楽しそうな笑い声が響いて来ていた。

 「受付に行きましょう」

 興味深そうに(あた)りを見渡していた零をリアが促す。
 促されるままリアの後ろについて行くと、彼女が受付嬢に話しかける。

 「クエスト完了の報告と、素材を売りたいのだけれど」

 「かしこまりました。クエスト用紙を渡してください」

 リアがメニュー画面を開いてクエスト用紙を取り出す。

 「はい。どうぞ」

 「拝見します。――ホーンラビットの角5本の納品ですね。ではカウンター横の木箱にお納めください」

 リアはホーンラビットの角5本を具現化して箱に入れる。

 (さっき倒したウサギの角か)

 零は先ほど襲われてリアが一撃で倒した、体長50センチほどの大きさのウサギを思いだしながらその角を見ていた。

 「ホーンラビットの角5本、確かに納品されました。報酬として350ディールが支払われます。メニューから確認してください」

 「確認したわ」

 「ありがとうございます。ではこのまま素材の買い取りに移ります。素材アイテムをまた木箱にお納めください」

 ホーンラビットの角が入った木箱が、下に設置されているローラーを回転させながらギルドの職員らしき男性に運ばれていく。
 代わりに新しい木箱が設置された。

 リアは新しい木箱に具現化したホーンラビットの皮を10枚入れてメニューを閉じる。

 「これで全部よ」

 「かしこまりました。では合計で500ディールになります。よろしいですか?」

 「ええ」

 「ありがとうございます。では入金の確認をお願いします」

 「確認したわ」

 「ではまたお越しくださいませ」

 受付嬢が頭を下げたのを合図にリアが後ろで見ていた零に振り向く。

 「こうやってクエスト完了報告と素材アイテムの売却をするのよ」

 「クエストでホーンラビットの角を渡して報酬を貰ってたけど、そのまま売った方が楽で良くないか?」

 「そのまま売ったら1本50ディールだけどクエスト報酬なら1本70ディールになるの。だからクエストで納品依頼があるならそっちで売った方が得ね」

 「なるほど。じゃあちょっと俺の素材アイテムの納品依頼があるか見て来ていいか?」

 「ええ。いいわよ。探すのを手伝うから素材の名前を教えてもらえるかしら?」

 「了解。ニードル・ホーネットの針って名前だ」

 「ニードル・ホーネットの針ね……」

 2人で掲示板の前に行き、左右からそれぞれ探していく。

 「あったわ」

 リアが掲示板に貼ってあった紙を手に取って零の元に歩いて来る。

 「ニードル・ホーネットの針10本の納品。報酬は1000ディールね」

 「11本あるから大丈夫だな」

 「じゃあ早速行きましょう」

 リアからクエスト用紙を受け取り再び受付嬢の前に行き、今度は零が話し掛ける。

 「クエストを受けたいんだが……」

 「かしこまりました。ではクエスト用紙をお渡しください」

 零が受付嬢にクエスト用紙を手渡す。

 「ニードル・ホーネットの針10本の納品依頼ですね。契約金として50ディールが必要になります」

 「契約金?」

 「はい」

 零は横にいるリアに目線を向けると、彼女も分からないようで首を傾げていた。

 「契約金について教えてもらっても?」

 「初めて契約金の掛かるクエストを受けられるのですね」

 「はい」

 「かしこまりました。では説明いたします。クエストは基本的に契約金が掛かります。これは同じクエストが何個もあるわけではないからです」

 「何個もあるわけではない?」

 「はい。初心者のために始まりの草原のモンスターの素材アイテム納品依頼だけは、契約金無しでギルドが常にクエストを発注していますが、それ以降のクエストは全て契約金が発生します」

 「契約金が発生しないクエストは初心者のための救済処置だってことか」

 「はい。それと同時にある程度クエストの受け方を知ってもらう、ギルドのことを知ってもらうためのチュートリアルのようなものになっています」

 「そうだったのね。ベータテストだと始まりの草原までしか行けなかったから知らなかったわ」

 リアが知らなかった理由に納得しながら、受付嬢に話の続きするようにを促す。

 「契約金が発生する理由は先ほど言ったように個数に制限があるからです。その素材を欲しがって依頼を出す依頼人や、討伐以来の証として素材を求める依頼人が常にいるわけではないからです」

 「しかしそれだと契約金を払って依頼を受けたは良いが、そのまま放置するプレイヤーもいるんじゃないか?」

 「その通りです。なのでこれから説明するつもりでしたが、クエストには制限時間があります。今お渡しになられたクエストなら、こちらの世界で3日間の猶予があります。それを過ぎますとクエスト失敗とみなされます」

 「制限時間があることも知らなかったわ……」

 初めて知る情報にリアも真剣な表情で聞いている。

 「なので契約金は失敗した場合その時間のあいだ依頼が達成されなかったお詫びとしてギルドが依頼人に支払います。これはプレイヤーがクエストを発注するときにも支払われるのでご安心ください」

 「契約金が必要な理由はわかったわ。プレイヤーがクエストを発注するときの方法が、チュートリアルだと詳しく説明されなかったから教えてもらってもいいかしら?」

 零も知っておきたいことではあるので、リアの質問の答えを黙って待つことにする。

 「かしこまりました。クエストの依頼の発注の仕方ですが、報酬の最低金額はギルドの定めた最低金額を下回ることが出来ないようになっています。例えば今回のニードル・ホーネットの針の納品依頼ですが、1本100ディールが最低金額となっていますので、1本90ディールでのクエスト発注は出来ません。これは他のプレイヤーから格安で素材アイテムを入手することが出来ないようにするための措置になっているからです」

 「他のプレイヤーへの素材アイテムの受け渡し、売り買い、金銭の受け渡しは基本的に出来ないけれど、ギルドを通してなら出来るのね」

 「はい。デスペナルティーの意味が無くなってしまうので、こういった形になっています」

 「なるほど。上手くできてるな」

 「補足ですが、料理の材料としてしか使い道の無い素材アイテムは、他のプレイヤーに所有権を無料で、ギルドを介さずに(ゆず)ることが可能です。以上で簡単にでしたが説明を終わります。クエストの発注は実際にやってみて学んでください」

 「了解」

 「それでは先ほどの質問に戻りますが、契約金を払ってクエストを受けますか?」

 受付嬢の言葉に無一文だったことを思い出してメニューを開く。

 「金が無いから先に素材アイテムを売りたい」

 「かしこまりました」

 メニューからニードル・ホーネットの針を1個具現化して木箱に入れる。

 「ニードル・ホーネットの針ですね。1個80ディールになりますが、よろしいですか?」

 「ああ」

 「かしこまりました。入金を確認してください」

 開いていたメニューに入金されたことを確認する。

 「確認した」

 「ありがとうございます」

 「このまま先ほどのクエストを受けたい」

 「かしこまりました。ではニードル・ホーネットの針10本の納品依頼ですね。契約金50ディールを引かせていただきます」

 メニューから50ディール引かれて30ディールになる。

 「クエスト受注完了しました。お気をつけて、いってらっしゃいませ」

 受付嬢が頭を下げて見送ろうとするが、零は困った顔で言葉を紡ぐ。

 「見送ろうとしてくれたところを悪いんだけど、もうそのまま納品したいんだけど良いかな?」

 「もうすでに持っているのですね。かしこまりました。ではクエスト用紙を出してください」

 メニューを開きクエストボタンを押すと、クエストの詳細と1番下にクエスト用紙の具現化のボタンがあった。
 そのボタンを押して右手に持つようにイメージして具現化する。
 具現化して右手に持ったクエスト用紙をそのまま受付嬢に手渡した。

 「では素材アイテムを木箱にどうぞ」

 言われるままに木箱に素材を具現化した。

 「確かに納品されました。では契約金の50ディールも合わせて1050ディールの入金となります。ご確認ください」

 「確認した」

 「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしています」

 受付嬢が頭を下げるのを見て横にいるリアに目線を移す。

 「良い勉強になったわ。このまま2階で食事をしましょう」

 「そうだな。いい感じに腹も減ってるし」

 零は自分のお腹を擦りながら返事をする。

 「そうね。私もお腹が空いたわ。早く行きましょう」

 そのまま2人で近くの階段から2階へと足を運んだ。





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