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孤高の青年は飽くなき強さを追い求める ~unconventional【スキル・メイク・オンライン】~ 作者:紺藤シグル
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52話 最強プレイヤー決定戦 予選

 8月2日午前10時00分。

 朝の日課であるトレーニングを終えた零は、早速スキル・メイク・オンラインの世界にログインしていた。

 今日は午前11時から最強プレイヤー決定戦が始まる。
 最強プレイヤー決定戦は公式ホームページでも生放送されるため、リアルでもパソコンから観戦することは可能だったが、零はダインから投擲用の槍を受け取るついでにゲーム内で観戦することにしていた。

 ダインの店の前に着いた零が扉を開けると、入店を知らせる鈴の音が店内に響く。

 「いらっしゃい」

 並べられている商品の整理をしていたダインが、扉に振り向きながら声を上げる。
 そして零の姿を確認してニッコリと微笑んだ。

 「暇そうだな」

 「まあね。これから最強プレイヤー決定戦が始まるし、みんなそっちを見てるから今日は暇だと思うよ」

 店内に自分以外に客が居ないことを確認した零が呟くと、困り顔でダインが理由を説明した。

 「槍は完成してるよ。取りに来たんだろう?」

 「ああ」

 零の言おうとしていたことを先読みしたダインは、商品の整理をしていた手を止めて、カウンターの奥にある作業場に入っていく。
 少しの間商品を見ながら待っていると、ダインが木箱を台車に乗せて零の元まで歩いてきた。
 零の傍まで来たダインが木箱を開けると、そこには真っ白な槍が10本ほど並べられていた。

 「要望通り作れるだけ作ったよ」

 「助かる」

 短く感謝の言葉を発した零は、木箱から1本だけ取り出し、重心や手触りなどを確かめ始めた。

 「投擲用だけじゃなく、普通の槍としても使えるようになっているから、臨機応変に使えると思うよ」

 「重心も上手くバランスが取ってあるし、充分使えるな。ありがとう」

 「どういたしまして」

 一通り確認した零は、ダインにお礼を言って槍をアイテムボックスにしまい始める。
 アイテムボックスに入れ終え、カウンターで槍10本分の代金を払っていると、ダインが今日の予定について尋ねてきた。

 「最強プレイヤー決定戦は見ないの?」

 「今から見るところだ」

 「じゃあ折角だし一緒に見ないかい?」

 ダインからの提案に、零は眉を顰めて口を開く。

 「仕事はいいのか?」

 「店番をしながらでも観戦はできるよ。最悪NPCにカウンターを任せればいいしね」

 最強プレイヤー決定戦は、ゲーム内でもメニューから公式ホームページに飛んで、生放送で観戦することが出来るようになっている。
 その場合空中に画面を浮かび上がらせて見ることが出来るため、何か作業をしながらでも問題はないのだ。

 「なら大丈夫か」

 納得した零は早速メニューから公式サイトに飛んで、最強プレイヤー決定戦の映像を空中に出す。
 するとそこには戦いが行われる闘技場に、続々とプレイヤーが集まっている場面が映し出されていた。

 「あっ!リアと沙織が居るよ」

 「みたいだな」

 所々ピックアップされるプレイヤー達の中に、リアと沙織の姿を確認したダインのテンションの上がり方は、知り合いがテレビに出て興奮する姿を連想させた。
 そんなダインの姿を横目に、最強プレイヤー決定戦の実況者と解説者の話を聞いていると、零が興味をそそられる会話が耳に入ってくる。

 『今映し出されている4人組の内、ガッザさんとマーセルさんは元プロゲーマーだそうです。エリアボスの討伐でも上位に入り賞金を獲得しています。優勝候補の一角と言っていいのではないでしょうか?』

 ガッザと呼ばれた男は、190cmある長身に、短髪の茶髪、更に無精髭を生やしダンディーな見た目をしている。
 一方マーセルと呼ばれた青年は、金髪ベリーショートの髪型をしていた。
 坊主とまでは呼べないが、それに近いほど短い金髪は、少し癖っ毛になっていて、彼の爽やかな顔とマッチしている。
 零が注目プレイヤーとして2人の姿を覚えていると、解説者が生放送のシステムについて説明をし始めた。

 『何度か説明していますが、もう一度説明します。生放送を見られている観客の皆様は、気になったプレイヤーを画面上からタッチすることで、プレイヤーの頭上に名前を表示することが可能です。もし気になるプレイヤーが居ましたら是非この機能を使ってみてください』

 解説者の説明を聞いてガッザと呼ばれていた男にタッチしてみると、彼の頭上に名前が表示された。

 「出なくて正解だったな……」

 「活躍したら一躍有名人だね」

 零が眉間に皺を寄せながら思わず呟くと、ダインが面白そうに笑いながら他人事のようにおちょくってくる。
 そんな会話をしていると画面が切り替わり、またリアと沙織が映し出された。

 『今入った情報によりますと、リアさんと沙織さんの2人もエリアボスの討伐で上位に入っているようです。このスキル・メイク・オンラインでは男女で身体的なハンデが基本無いので、実績だけなら彼女たちも優勝候補と言えますね』

 解説者が2人のことを言及したことで、またしてもダインのテンションが上がる。

 「優勝候補だって!零は実際いけると思うかい?」

 「実際に戦ったことが無いから何とも言えないが、予選を突破できたら良いくらいじゃないか?特に沙織は弓だから、遮蔽物が何もない、しかも周りに敵だらけの状態だからきついだろう」

 「確かに隠れられる場所が無いね。誰かに接近されたら厳しいか……」

 闘技場は障害物も起伏も無い真っ平らな状態になっている。
 そのため遮蔽物で隠れることも身を守ることもできない。
 制限時間の間、常に敵に視認されながら生き残り、更にキル数を稼がなければならないのだ。

 「それにしても凄い人数だね。予選突破できるのは上位16人だろう?もし2人が残れたら凄いことだよ」

 「確かに数は凄いな」

 闘技場全体を上空から映された映像を見ると、正しく人がゴミのようだと言いたくなってしまう。
 それだけの人数がこのゲームをやっている証であり、それと同時に最強プレイヤー決定戦という名前に恥じない規模と言えるだろう。

 『試合開始まで1分前。最後のプレイヤーが入って来たようです』

 解説者の言葉と共に闘技場の入口の1つにカメラが切り替わる。
 最後の1人はツンツンと逆立てたオレンジ色の髪に、鋭い目つきをしている男性プレイヤーだった。
 その姿を見てダインの表情が険しくなる。

 「あれって……。船で暴れていたプレイヤーだよね?」

 「みたいだな」

 船上で多くのプレイヤーを殺し、リアと沙織が2人掛かりでも倒せなかったが、零によって瞬殺された男。
 ハーヴェストと名乗った零を殺すことに執念を捧げ始めた男が舞台に上がり、最強プレイヤー決定戦は開始された。
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