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孤高の青年は飽くなき強さを追い求める ~unconventional【スキル・メイク・オンライン】~ 作者:紺藤シグル
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6話 出会い

 来た道を戻り森の外に出て、また始まりの町へと草原を歩いて行く。

 (思ったよりもパーティープレイをしてる人間が少ないな)

 草原ではソロで戦ってるプレイヤーが大半で、パーティーを組んでいるプレイヤーは(まば)らにしかいなかった。

 (何か理由があるのか?)

 自分も一人でソロプレイをしていることを棚に上げながら、『MMORPG』――つまり、『大規模多人数同時参加型オンラインRPG』であるスキル・メイク・オンラインのパーティープレイの少なさに疑問を感じずにはいられなかった。

 「スキルを活用し、新たな街、新たな大陸、新たな世界を切り開け。だったかな?」

 今さらながらこのゲームの目的を再確認していると、誰かがこちらに近づいて来る。

 「こんにちは」

 手を後ろに組んで、わざとらしく前かがみになりながら挨拶してくる少女に目線を合わせる。

 ピンクの髪をポニーテールにして腰まで伸ばし、豊かな胸は黒のブレザーの下に着ているカッターシャツに巻かれた、赤色のネクタイを押し上げている。
 きゅっとくびれた腰と相まって、これでもかと言うほどにボディーラインを強調していた。
 そして、すらっと伸びた長い足は、短い黒のスカートと膝上まである黒のニーソックスの間から覗く太ももによって、絶対領域という名のエロティズムを醸し出している。

 凛々しい目元口元をしているが、どこか幼さを感じるのは何故なのか?
 しかしそれが彼女の魅力をさらに引き出していた。

 「こんにちは」

 当たり障りのない返答を返して、疑問を口にする。

 「何故いきなり俺に声を掛けたんだ?」

 わざわざ自分に声を掛けてくる理由が分からなくて、首を傾げた。

 「貴方があの森に入って出てきた初めてのプレイヤーだったから、興味が湧いたの」

 「俺以外は全員出て来ないのか?」

 「ええ。そうよ」

 (――あの森のモンスターがそれほど強かったとは思えないが、自分と違ってまだ森にいるだけなのか?それとも全員死んでしまったのか?)

 「話を聞かせて貰おうと思ったのだけれど、いいかしら?」

 「――構わないが、その代わりに俺の質問に答えてもらっても?」

 思案していた途中で問い掛けられたので、一瞬反応が遅れる。
 伏せていた目を開けると、目の前にいる彼女は驚いた表情をしていた。

 「何をそんなに驚いているんだ?何か変なことをしたか?」

 「――いえ、同い歳くらいの異性に何かを頼んだ時に、交換条件を出されたのが初めてだったから……。いつも喜んで一方的に頼み事を聞いてくれるのだけれど……。貴方本当は見た目と違って、結構歳をとってたりするのかしら?」

 (もし現実世界でもこの容姿なら、男は喜んで引き受けるだろうな……)

 苦笑いをしながら注意を促すように彼女の質問に答える。

 「ここはオンラインゲームなんだから、リアルのことを聞くのはマナー違反だよ。まあ、俺は隠すつもりもないから答えるが、今度から気をつけた方がいい」

 「ごめんなさい。ちょっと動揺してしまったから……。今度から気をつけるわ」

 申し訳なさそうに謝る彼女の答えに満足して、先ほどの彼女の質問に答える。

 「俺はまだ17歳だ。学生だよ」

 「同い年だとは思わなかったわ。正直大学生くらいに見えたから」

 「驚いたのはこっちだよ。偶然もあるんだな。初めてこのゲームで話したプレイヤーが同い年だなんて……。その服装は制服か?」

 「制服よ。リアルの学校で着ている物とは流石に違うけどね。でもこの身体はリアルとほとんど変わらないわ。髪の色と瞳の色が違うくらいね。どう?可愛いでしょ?」

 彼女は見せつけるようにクルリと身体を一回転させる。
 それによってスカートがひらりと舞って中が見えそうになるが、気にした素振りは見せない。

 「その恰好じゃあ戦い辛くないか?」

 「短いスパッツを履いてるから気にならないわ。ブレザーも元は軍服だし、それにこの格好で戦うのも今だけだしね」

 「今だけ?」

 「ええ。モンスターを倒して装備を作ったら、もうこの恰好じゃあ戦わなくなるもの。ただ装備をスカートにしたりすることもできるけどね」

 「鍛冶で好きなようにデザインできるのか?」

 「そうよ。本当に自由度が高いから、驚かされてばかりだわ」

 「確かにな……」

 素手で(そで)をさわると、確かにカッターシャツの感触が伝わってくる。
 まだ攻撃を受けてないから分からないが、服が破けたりするのだろうかと、彼女に聞こうと顔を上げた瞬間、角の生えた50センチほどの大きさのウサギが突進してきていた。

 武器を構えようと手を伸ばすが、先に槍を持って臨戦態勢になっていた彼女に任せることにする。
 すると彼女はウサギが槍の間合いに入る瞬間に、槍を薙ぎ払った。

 完璧なタイミングで槍の先端がウサギの頬を斬り裂きながら食い込み、ウサギが横に飛ばされながら絶命した。

 「今のはスラッシュか?」

 「その通り。近接系の武器は基本的にスラッシュが最初のスキルだもの。当然でしょう?それより私の戦いを見て感想は?」

 「まだ図りかねるな」

 「一撃で倒しちゃったから?」

 「ああ」

 「女の子は褒めるべきよ。じゃないとモテないわよ?」

 「構わないさ」

 フッと笑いながら答える零に、()まらなそうな表情をする彼女。

 「ここじゃあまた襲われるかもしれないから移動しましょう。そろそろお腹も空いてきたでしょう?」

 言われてみて初めて気づいたが、確かに空腹を感じてきている。

 「一旦ログアウトしないとな」

 「その必要は無いと思うけれど?」

 「何故だ?」

 「たぶんゲームの中での空腹だから。ゲームの中で何かを食べれば空腹は無くなるはずよ。」

 「それじゃあリアルが空腹状態か分からなくないか?」

 「こっちでいくら食べても空腹状態が直らなければ、リアルでお腹が空いてるってことなの」

 「なるほど。分かりやすいな」

 「納得したなら食べに町へ戻りましょう」

 「ああ」

 こうして彼女に促されるまま、零は共に始まりの町へと歩き出した。

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