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孤高の青年は飽くなき強さを追い求める ~unconventional【スキル・メイク・オンライン】~ 作者:紺藤シグル
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97話 指示

 ショッピングモールに辿り着いた零たちは、女性陣が服を見に行くのに付き合ったり、ボウリングなどの娯楽施設で遊んだりと、和気藹々(あいあい)と6人でのオフ会を満喫していた。
 するとあっという間に時間が経ち、空腹を感じて来た零たちは、建物内にあるファミリーレストランで夕食を摂っていた。
 そんな中、既に時刻も20時を過ぎているので、これでお開きになるだろうという事も考慮し、零が口を開く。

 「楽しんでいたのに申し訳ないんだが、これからの事で皆に頼みたいことがある」

 「どんな頼みだい?」

 ダインが話を聞く姿勢を見せ、それに続くように他のメンバーも、零の話を聞く為に耳を傾ける。

 「桐嶋の言っていたスキル・メイク・オンラインを消去できるNPCを探す件なんだが、皆に手伝ってほしい」

 「そのことなら勿論引き受けるよ。私たちも無関係なことでは無いからね」

 そんなことかという表情で零の提案を了承したダインと同じように、「私も引き受けるわ。私は寧ろ関係者のような物だし……」とリアが言い難そうに語尾を細める。

 「私も大丈夫です」

 「私も引き受けよう」

 「まあ出来る範囲でなら手伝う……」

 沙織と一華が短く肯定の返事をし、最後に真希が消極的だが了承の意を示す。
 真希が返事に困ったのは、自分に手伝えることなんて有るんだろうかという疑問が多分にあったからだった。

 「じゃあ具体的に何をして欲しいかなんだが、ダインと真希には町に居るNPCやプレイヤーから情報を集めて欲しい。モンスターが多く居て近寄れない場所だとか、誰も近寄らない場所が存在するとか、そういった(たぐい)の情報についてだ」

 「それだけで良いの?」

 「ああ。それ以外は俺から何か頼まない限りやらなくて良い。普段は普通にゲームを楽しんでくれ」

 もっと多くの、危険なことも含めてやらされると思っていた真希は、キョトンとした表情を見せてコクリと頷く。
 そして真希とは違いダインが普通に頷いたのを確認し、零がリア達へと顔を向ける。

 「3人も普通にゲームを攻略して貰って構わない。桐嶋は該当するNPCがゲームのラスボスではないと言っていたが、正規ルートでの攻略中にヒントが何も無いとは言っていないからな。
 それと同時に、3人には他の戦闘プレイヤーから情報を入手して欲しい。俺よりも容姿も含めて3人の方が適任だ」

 「じゃあ貴方が正規ルートとは思われない場所の探索をするって事?」

 「ああ。そうなるな」

 零の言いたいことは理解できる。
 しかし明らかな問題点が1つ存在していた。
 そのことに気づいた沙織が零に問い掛ける。

 「零さんの言い分は理解できますが、流石にもっと人手が必要ではありませんか?零さん1人だと物理的にも行ける場所には限度があると思いますし……」

 沙織のもっともな質問に対して、零は一華へと顔を向けて、答えを返す。

 「だから一華の祖父に、俺と同じように正規ルートから外れた箇所の探索を頼みたいと思ってる。正規ルートと思われる場所から外れれば、必然的に協力し合えるプレイヤーの数も減って来るが、一華のお爺さんなら実力的に問題ないだろう?」

 「当たり前だ」

 自分の尊敬する祖父が褒められたと感じたのだろう。
 一華の返答は短い物だったが、何処か誇らしげに胸を張っている。

 「でもその言い方だと、私たちには実力が無いって言っているように聞こえるんだけど……」

 零の発言が気に入らなかったのか、リアがジトッとした目を向けて来る。
 そんなリアに対して、零はやれやれと肩を竦めて口を開いた。

 「実際俺や一華のお爺さんより、お前たちは実力的に劣るだろう。それに先ほども言ったが、リア達3人の方が他プレイヤーから情報を集めやすい。男性、女性プレイヤー問わずな。要は効率の問題だ」

 零はゲーム内での捜索に比重を重く置くが、それでも現実世界での捜索にも多少は関与することになる。
 その間、誰もゲーム内を捜索していないと言うのは明らかに時間の無駄だ。

 だからこそ信頼できるゲーム内での仲間を(つど)おうとしている。

 勿論自分の方が手伝って貰っている側だと理解している。
 だからこそ出来るだけゲームを楽しむ上で負担になり過ぎないように、必要最低限の仕事量に抑えている。

 そして1人1人の負担を減らすという意味でも、更に人員を増やしたいとも考えていた。

 「それとリア達にもう1つ頼みたいのは、5人から見て信頼できそうなプレイヤーが居たら俺に教えて欲しいんだ」

 「その人にも捜索を手伝って貰うつもりなのかい?」

 「可能であればな。手伝って貰う事を強制はしたりはしないから安心してくれ」

 元々普通の感性を持った人間なら信じ難い内容の話でもある。
 たかがゲームなのに日本経済が崩壊するような大事件に発展する可能性があると言われても、頭がおかしいんじゃないかと一蹴するか、漫画や小説の読み過ぎだと呆れられるか、そんな反応をするのが当たり前だろう。

 そういう意味では、今ここに居る5人が自分の話を半信半疑でも信じ、手伝おうとしてくれていることは、とても有り難い事だった。

 「一華。今の内にお爺さんの連絡先を教えて欲しいんだが、大丈夫か?」

 「分かった。お爺様はLINK(リンク)は利用して無いから、普通の電話とメールアドレスになるが大丈夫か?」

 一華の言っているLINK(リンク)とは、スマートフォンに入れることができるアプリケーションの一種で、一言で表すと無料コミュニケーションツールと呼ばれるものだ。
 チャットや電話、テレビ電話などを無料で使用することが出来るので、日本では多くの人々が利用している。

 「構わない」

 零が一華から鉄次の連絡先を入手し終えると、今度は真希が自分のスマートフォンを取り出して言葉を紡ぐ。

 「あたしたちも連絡先を交換しておこうよ」

 「そうですね」

 リアと沙織、真希は既にお互いの連絡先を知っていたので、これは他の3人に対しての提案だったが、真希の言葉に便乗するように、沙織も同意しながらスマートフォンを取り出す。

 零としても今この場に居る全員と連絡先は交換する予定だったので、特に問題なく了承し、そのまま全員と連絡先を交換し終えた。
 すると一華が、零に対して尋ねたかった事を言おうと口を開いた。

 「お爺様に零が何時連絡して来るのか()いて来て欲しいと頼まれていたんだ。何時連絡する予定か教えて欲しい」

 「そうだな……。明日は用事があるから難しい。明後日の午前11時頃に連絡すると伝えていてくれ」

 「分かった。伝えておく」

 これからについての具体的な指示も出し終え、気掛かりだった部分も無くなった。
 後は食事を終えて帰るだけかと思っていたが、結局デザートを食べたいという女性陣の要求に(こた)える事になり、零が帰るのは予定よりも更に遅くなるのだった。
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