挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマークする場合はログインしてください。

ヒトリゴト

人の毒になりたい

作者:一利
 人の毒になりたい。いつからか僕はそんな風に生きたいと思っていた。
 人の毒は自虐的な言葉だ。薬も毒も似たようなものだから僕はこの言葉を使っているだけだ。誰かの何かになりたい。それは人間なら持っていることではないだろうか。
 少なくとも僕にはある。だから僕は毒になりたい。誰かに自分のことを感じてほしい。僕の囁きが誰かの気分を害し、十秒でもいいからその人間の貴重な時間を奪ってやりたい。そんなことを想うのだ。
 結局それも自虐の裏返しなんだ。本当は僕は、二十秒でもいいから僕の言葉に耳を傾けてほしいだけだということだ。薬も毒も、普通の生活には必要ないのだ。だけど、体が敏感なら、免疫能力が下がっていれば届くだろう。
 それはきっと心の弱いときなのだ。体が風邪をひくように、心も風邪をひくはずだ。そんな時に、誰かに届く毒になりたい。薬になりたい。
 苦しいことしか知らない僕だから、誰かの苦しみに手を伸ばしたくなるんだ。
 健全な人にはきっとそれは毒なのだ。だって、そんな不幸自慢みたいなもの聞きたくはないだろう。せっかく気分が台無しにしてしまうじゃないか。
 だから僕は毒になりたい。幸せな者をひきずり落として、現実を伝えたい。
 だから僕は薬になりたい。不幸な者を後ろから支えて、現実を伝えたい。
 そうすれば僕はきっと、自分の生を感じられるはずだから。
 だから僕は、人の毒になりたい。

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ