宇宙の中心で僕は輝く縦書き表示RDF


宇宙の中心で僕は輝く
作:N澤巧T郎


暑い夏の夜。
私は山奥の山村に一人旅をしに来ている。
空にはラムネのビー玉をばら撒いたみたいに光る星達が。
耳を澄ませば川のせせらぎ。
森の賑わい。
虫達のハーモニー。
ガサガサッ!!
そうそう、この近くは熊がよく出没するって言ってたっけ。
ガサガサッ!!

・・・ヤバイ・・・食われる・・・・。

ガサガサッ
バッ!!
「ワッ!?びびったッ!?おばさんか。熊か思ったけ。」
出てきたのはこの村に住む子供だった。
「あぁ、良かった。・・・って、おばさんじゃないよ。お姉さんだから。」
「・・・こんな夜に何しとん?熊おばさん。」
「人の話なんにも聞いてないでしょあんた。それはこっちのセリフ。何してんのこんな夜に山から現れるなんて。」
「そういえば明日帰るんしょ?」
「ちゃんと質問に答えてよ・・・。そうよ、明日帰るけど。それが?」
「いいもん見しちゃるけ。ついてき。」
「はあ?まったく自分勝手なんだから。ちょっとボク?待ちなさい。」

ガサガサ
「ほら、熊おばさん。はようせんと終わっちゃうき。はようはよう。」
「ぜえ・・・ぜえ・・・。お・・・お・・・おばさん言うなぁ〜!!!」
ガサガサ
「ほら、着いたぜよ。」
「ぜえ・・・ぜえ・・・・・。着いた・・・?ああ・・・・。・・・おお!?ホタル!!」

そこには数えることが嫌になるくらいのホタルが一斉に光っていた。
私はその風景に言葉が出なかった。

「おばさん。」
「ん!?まだ言うか!?」
「あれはホタルちゃう。星や。」
「え?」

そういうと子供はそのホタルの一群の中心に駆け出した。
そして、両手を高々と天に突き上げ叫んだ。

「宇宙だ!!!!!!」

ホタルと夜空に輝く星達の境目がわからない。
確かに彼は宇宙の中にいる。
そして、宇宙の中心で、どの星よりも強く輝いている。




「昨日はありがとね。」
「帰っても熊と間違われんようにしいや。」
「誰がされるかっ。」
バスに乗り込む。
「今度きたときも宇宙を見せてね。」
「まかせとき。宇宙は俺が守るっちゃ。」
「安心した。」
バスが発車する。
「じゃあねえ!!」

私は彼が見えなくなるまで手を振り続けた。

彼も私が見えなくなるまで手を振り続けた。

彼が見えなくなっても、私の中の宇宙の中心で、彼は輝き続ける。

どの星よりも強く。

どの星よりも優しく。



EnD


空に輝く星よりも、
周りで輝く蛍よりも輝いたことでしょう。













ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




◆BACK
小説家になろう