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第九十三話 え?

 少女は気になるが、俺はとりあえず、ラハンドさんとガバイナさんに、無事かどうか聞いた。



「大丈夫でした? お薬効きましたか?」

「あぁ、バッチリ効いたぜ! ありがとよ」

「ふふ、いいですよ。どういたしまして」

「アリムよ、すまないな。何か御礼はしなくていいのか?」

「いいんですよ、別にね」



 だって、払えるわけないじゃないの。あれ、一本120万ベルだよ?

 

 ラハンドさんと話しているところに、青髪の少年少女が二人近づいてきて、挨拶をされる。

 少女の方が、俺に礼を言った。



「あの…アリム…さん」

「敬語じゃなくていいですよー」

「じ、じゃあアリムちゃん! ラハンドさんを助けてくれてありがとう!」

「ふふふーん! いいってことですよ!」

「それで…あの…その…」



 妙にヨソヨソしいこの感じ。これは大体、俺のファンの皆さんが、俺を目の前にした時に取る行動だ。最近、わかってきたんだよね。



「ほっぺた…触ってみてもいい?」

「うん、いいですよ。ラハンドさんか聞いてます! マーゴさんですよね?」

「うん! そうだよ! よろしくね、アリムちゃん!」


 

 と、マーゴさんは俺のほっぺを摩りながら言った。



「で、お兄さんはゴッグさんですよね?」

「うん、そうだよ。君に会えて光栄です」



 ちょっとしゃべり方がキザだな、この人。

 顔は確かにいいほうかもしれないけどさ。


 それと、今にも泣きそうなそっちの女の子がきになるんですけども。



「あの、ラハンドさん。あの娘は?」

「あぁ、その娘はな、ヘラの森で救出したんだ。アリム、お前と同い年なんだぜ? ………どうやら、記憶がないらしくてな」



 そうなんだ。まぁ、俺は記憶がちゃんとあるんだけどね。

 可哀想に。俺とほぼ同じ状況か。この世界、こんなことが良くあるのかな?

 それはヤバイな。



「君、よろしくね?」

「あ………う…………あ………よ……ろよろ…しく」



 なんかキョドッてない? それに今にも泣きそうなんだけど? 俺がなんかしたかな。

 ラハンドさんが、この娘がすぐにでも泣きそうなのを見て、慌てて会話に入ってくる。



「お、お、なんで泣きそうなんだ? 落ち着けよ。な? それと…だ。アリム、忙しいんじゃなかったのか?」

「ええまぁ、忙しかったんですがすぐに終わらせましたので」

「へぇ、早いな。あの時も一瞬でサンダーバード倒したしな」

「うぇ……うぐっ……ヒック……」

「おい、おい、なんで泣いてるんだよ。どこか痛いのか?」



 ラハンドさんの言う通りだから、この娘はなんで泣いてるの?

 ガバイナさんは何か知っているような顔振だけど…。

 そう思った矢先、彼女からか細く、俺に声をかけてきた。



「ね……ぇ……お願い……ちょっとついてきて……人の……いないところで……お話したいの……ね?」

「え……あ、ううん? いいけど? ちょっと、この娘と二人で話してきますね、皆さん」

「あ、おう、おうよ。ミカ、お前今日どうしたんだ?」



 え? ミカ………?

 この娘、ミカっていうのか………いや、そんなまさか。


 俺たちは、宿内の、あまり人が居ないところにやって来た。


 俺は駆け巡る考えを必死に抑え、この少女に聞く。



「ねぇ…ミカちゃん? どうしたの?」



 そして、彼女は下を向いてた顔をあげる。

 顔は涙が滝のように流れていた。

 そして、こう言った。

 






「ねぇ……アリム………貴女、貴方、アユム……あゆむなんだよね?」







 俺はこの瞬間のことを絶対に忘れない。










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