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Levelmaker ーレベル上げしながら異世界生活ー 作者:Ss侍

二十一章 行事

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第六百九十話 冬休み (翔)

「……知ってるかい、ショー。猫だけじゃなくて狼もコタツで丸くなるんだよ」
「いや、身体入れてるだけだろ。それに狼は極端に言えば犬だ。犬は外を駆け回る」
「ショーがそうしてこいって言うなら私は喜んでジョギングしてくるよ」
「しなくていい、一緒にいようぜ」
「わふんっ」


 有夢がくれた『コタツと新年大掃除用のお正月ワクワクマジックアイテムセット』の一つである、この飲食系の嗜好品が無限に出てくる最高のコタツに俺とリルはくるまっている。
 テストも部活も今年のぶんは終わり、完全にだらけちまってるが別に構わないだろう。


「ジャパニーズコタツは恐ろしい兵器だよ。人を精神的にダメにする」
「コタツ入るのってウチ来てからが初めてか?」
「そうだね、噂には聞いてたけど」


 堕落しきって眠そうな目で俺と喋りながらビーフジャーキーとミカンと緑茶を堪能しているリルも愛らしい。
 そうだ、美花も今頃ミカンを食べてるのだろうか…なんてな。

 それにしても美人は慣れるものだと聞いていたが、逆に俺はリルといればいるほどリルのことが可愛く見えるみたいだ。
 こいつの内面がわかってきたっつーことだろうか。
 まあ地球とアナズムで合わせて1年近く一緒にいるしな。

 そうそう、アナズムではリルの誕生日が近いんだったな。
 だが彼女の誕生日どうすればいいかわからんぞ。美花を祝うのと同じ感じでいいのか? いやいやいや、それはダメだろ。もっとこう特別にしてやらないと。


「ショー、何か難しいこと考えてるのかい?」
「え?」
「いや、なんだか最近わかるんだ」


 これはあれか、日本でもアナズムでもずっと一つ屋根の下にいるから美花が有夢に対して考えを察せられるように、リルも俺のことを……。
 べ、別に変なこと考えてないから問題ないな。
 でもとりあえず話題は逸らさないことにしよう。


「リル、もう少しでアナズムでは誕生日だろ」
「うん。みんなと同じ17歳になるよ。11年間…誕生日は忘れなかったんだ、私の両親が私を産んでくれた日だからね。産んでくれなきゃショーには会えなかったよ」
「ああ、そうだな」


 今こうして一緒にのんべんだらりとしているリルだが……ああ、アナズムの去年まではそうか、虐待される日々だったんだな。今が幸せすぎてついトンじまう。

 自分のことじゃないからってのもあるかもしれない。俺はまだリルのことをきちんとわかってやれてないんじゃないか…? 


「そして年末を祝うお祭りも近い! アナズムの全部の国共通だから、メフィラド王国も盛大にお祭りになるはずだよ。楽しみだなぁ……どんな感じなんだろ」
「きっと楽しいぜ。間違いなく」
「うんっ」


  アナズムでは当たり前に祝っていることもリルにとっては当たり前じゃない。しかしこれからは俺がそれを当たり前にしていかなきゃならねーな。


「でもまだまだやることはたくさんあるよ! まずジャパンのお正月行事でしょ? ショーは株のお勉強もするって言ってたね。冬休み明ける前に部のみんなで焼肉パーティもあるし。あと……そう、テストでしてた賭け!」
「ああ……そんなのもあったなぁ…」
「同じ順位だったから双方お願いを聞くんだよね」


 半ば忘れていた。
 俺、なんにもお願い事決めてないぞ。まあ多分、同じ賭けをしていた有夢と美花もなんも考えてないだろうが。
 リルはどうなんだろう。


「リルは何かお願いがあるのか? なんでもいいぞ」


 リルが頼んでくることはわかる。
 筋肉を触らせてくれ、か、エッチなことをしてほしい、だ。あいつの欲望の大半は俺とベタベタしたいってことみたいだからな。
 俺にとってもリルといちゃつけるし…嬉しいことしかないからな、なんの問題もないぜ。バッチコイだ。


「私のお願いはね、2つあるんだけど…どっちにしようか迷ってて」
「どっちもいいぜ。リルは普段からワガママ言わないしな」
「言ってると思うよ?」
「んなことねーよ」
「じゃあ…今回はお言葉に甘えさせてもらうよ、ありがとう、大好きだよショー」
「お、おう。俺もだ」


 不意打ちの言葉と心から嬉しそうな天使の微笑みはヤバイ。俺を殺しうる破壊力だぜ。


「じゃあ一つ目。……付いてきて欲しいんだ、私の故郷に」
「リルの故郷に…か」
「うん、両親の命日も近いからね。一回里帰りしようと思う。その時についてきて欲しい」


 前々から行くとは決めてたのか、行かないと言うなら選択肢はないようだ。
 行ったら確実に辛い思いをするってのに。


「確実に辛い思いをするぞ?」
「構わない。秘密裏でいいから報告したいんだよ。これ以上ない素晴らしい彼氏ができました…って両親に」
「へへ…そうか」


 そうだ、俺も道端の馬車の中で初めてリルと出会ったのだから故郷を知らない。
 ノルウェーの…地球での存在としてはすでに施設の長に会ってるわけだが、アナズムの方では何も接触していねーんだな。


「わかった、一緒に行こう。近いうちなんだろ」
「うん、ありがとう」
「どっちみち賭け事のお願いだしな。で、もう一つは?」
「……ずっと一緒にいて欲しい。もちろんできる範囲でね」


 ん……?
 それって。


「俺、前にリルに宣言したよな? ずっと一緒にいてやるってよ」
「えへへ、だから確認だと思ってよ。時々不安になるんだ、ショーや皆まで私の目の前から居なくなるんじゃないかって。こうやって確認しないとね」


 そう言うリルの隣に俺は移動した。
 コタツを数秒抜け出して、やらなきゃいけないことはある。リルはこうしてたまに不安になることがあるからな、その都度こうしてやらないと。


「俺が死ぬことなんてねーよ」
「わふん……っ。それ以外でも、もしショーに私より好きな人が……あ、あぅぅ…できたらぁ…」


 それもないんだがな。
 目を潤ませてきてやがる。俺はリルを横から抱きしめた。今日は普段着でゆるい服を着てるがこうすればスタイルの良さはわかる。


「ないない、ありえない。それに浮気なんてしてみろ、俺自身許さないし親父に殺される」
「わふふ、うん。想像したら悲しくなっちゃったけどショーは私を見捨てるような性格じゃないものね。大丈夫、心配すらしてないし信じてるから」
「ありがとな」


 さて、抱きついていい雰囲気になったは良いがどうしよう。この先、いつもどおり。
 柔らかさを堪能しても…怒られたりは……。

 かと言ってやりすぎてリルが上半身以外の衣類を脱ぎ出して求められても、今日は母さんいるし困るからな……。
 つーかダメだ、俺もいつの間にこんなエロい思考になってたんだ。もっと大切に……。


「ショー? 服脱ごうか?」
「寒いしお構いなく」
「そうかい。そんな顔してたんだけど」


 うん、大切にしなきゃな。冬だし。
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