第百二話 ミカのレベル上げ-3
明日からは2話投稿となります!
3話投稿は本日までです!
少し進んだ先に、次の部屋があった。
次の敵は、蔓の触手が生えている食虫植物のようなCランクの魔物、フレッシュイーター。
本当は、奴に咲いている花の色は赤いのだが、それが青い。あいつも亜種なんだろう。
ミカにあいつを倒せるか聞いてみる。
「倒してみる? Cランクの亜種なんだけど、あいつ」
「うーん、やってみようかな。ちょっとさっきより本気だすね」
そう言って、彼女は弓を構えて放った。本数は10本。さらに技も使った。だが、相手は瀕死ではあるが倒れなかった。
「えー、今ので倒れないの? じゃもう一回」
ミカは一本矢を放ち、フレッシュイーターは倒れた。
奴からは3個、Cランクの魔核が出現する。
俺は一瞬のうちに、フレッシュイーターの全てを回収しておいた。
「早いって、回収するの。目で姿追えないんだけど」
俺の愛しのガールフレンドはそう言った。
俺らは先に進む。このダンジョンはどうやら、先に進んでも、来た道は閉ざされないっぽい。
なんという親切設計。
次の部屋の敵はローズドスネーク、Bランクモンスター。
その名の通り、頭にラフレシアぐらいの大きさのバラが咲いていて、胴とは別に茨を纏っている蛇だ。
あれ? ラフレシアで例えない方が良かったかな?
ともかく、そんな巨大な薔薇と同じくらいの大きさの頭部。
その頭部に見合った胴。かなり大きい。
さらに、本来だったら薔薇の色がアリムの髪のように真紅なんだけど、これは濃い赤。
なんて言うんだっけあれ、ベルサイユの薔薇だったか?
「今回は俺に任せて、ミカ」
「うん、そうする」
俺は自分を、"周りが遅いように見える"状態となった。
ちょっと厨二病っぽいけど、今後これを"ゾーン"と呼ぼう。
ゾーンを発動したら、蛇の動きも、ミカの動きもかなり遅く…いや、俺には止まって見える。
今だったらミカに好き勝手できるけど、そんなことしないぞ! …..本当だぞ。
俺は気痛剣を取り出し、4回ほど斬った。そこそこオーバーキルだけど、念のため。
そしてゾーンを解く。
ズシンと、ローズドスネークは倒れた。
「……いま、何があったの?」
と、ミカが言うから、
「4回ほど切り刻んだ」
と、答えた。ミカは肩を竦めた。
俺は蛇の魔核、2個と素材を回収。
ここでひとつ、気がついたことがある。
この部屋の次が、どうやらボスステージ。あの 巨大な門なのだ。
目の前にあることを、ローズドスネークに気をとられて門があることに気づかなかった。
えー、もう終わり? つまんないの。
ミカも『もう終わりなの?』と言っている。
つまんね。なんかないの?
そう思って、俺は周りを見渡してみる。
………………。
………………見つけた。ひとつ異常な場所を。
ここのダンジョン、実は人工的なのは床だけで、壁や天井は、普通の洞穴の壁みたいになっているんだけど、この部屋の右側の壁の一箇所のスキマが若干、紫色に光っている。
さらによく見ると、その光っている箇所の下のレンガが数枚、濃い紫色だ。
あれ、どう見たって隠しルートだろ。
そのことを、帰ろうとしていたミカに伝える。
「え、すごい! 本当だ! 行こ、いってみよ!」
俺らはその箇所の前に立ち、スキマを覗いてみた。
道が続いている。
この壁を殴って崩した。目の前に広がるのは、紫色のレンガの床の道。
俺は警戒し、念のために吸魔剣を出しておき、1000のMPを吸わせた。
「ミカ、少し警戒して」
「うん」
俺らは進み、またひとつの部屋に辿り着いた。
その瞬間に、頭の中にメッセージが流れる。
【ヘルの森「怒り」のダンジョン の、シークレットステージに入りました。ここでは、ミッションが出されまさす。
そのミッションをクリアすると、宝箱が現れます。クリアした際の達成度によって、手に入る宝箱の中身が変化します】
な…なんというゲーム的な場所なんだろう。
因みに、今、俺らの目の前に亀がいる。しかも背中の甲羅にミニチュアサイズの森ができている。
こいつはSランクモンスターのフォレストタートル。
だがこの個体、俗に言う劣化種だろう。
劣化種とはその魔物の個体の劣化個体で、強さや大きさ、でる魔核は通常種より劣る。
それでも、前のランクか前のランクの亜種程度の強さはある。
素材は劣る場合と劣らない場合があるらしいけど、見たところ、こいつは素材は劣らないらしい。
まぁ、本当のファレストタートルよりも採れる部位は少なくなるけど。
頭の中のメッセージはこう続けた。
【フォレストタートル劣化種を3分以内に倒せ。早ければ早いほど手に入る宝箱の中身が良くなる。それでは、ミッション開始】