第百一話 ミカのレベルの上げ-2
おはよう。
ミカはすでにもう起きていて、朝食を作ってくれてる。
「おはよ、ミカ」
「おはよー、アリム」
頬にまだ、昨日されたキスの感触が残っている気がする。
そんな、ボーッとした考えを浮かべながら、ミカの朝食を食べた。
食べおわったら、今日、することを話する。
「今日はね、ミカ。ダンジョンに行ってみようと思うんだ」
「わかったわ。ぁ…いざとなったら緊張する…」
「そんなに緊張する必要ないって。多分、今のミカだったらBランク程度だったら一人で倒せるとおもうよ」
「そうかな? 何回も出たり入ったりするんでしょ?」
「うん。それがレベル上げの要だからね」
「何周ぐらいするの?」
「ボクの時は83週だったかな」
「よくそんなにできるね、レベル上げの鬼さん」
レベル上げの鬼……いくら聞いてもいいネーミングセンスだ。
誰が考えたんだろう? 一体。
あ、そうだ。せっかくダンジョンに行くんだし、なにかスキルを持たせてみてもいいかな?
まだ武闘大会でもらったスキルカード、中身を確認すらしてないんだ。
「そうだ、行く前に、ミカに渡すものがあるよ」
「ん? なぁに?」
「はいこれ、スキルカード」
ミカはそのスキルカードを手に取り、まじまじと見つめた
「スキルカードって、スキルを手に入れられる奴よね?」
「そうだよ? ランクB程度のスキルが入ってるはず」
「え、受け取れないよ」
「いいの、受け取って。ミカはまだスキルが少ないんだから」
「う……うん。わかった。中身はどんなの?」
「まだボクも知らない」
「そう、じゃあ使ってみるね」
ミカは俺が使い方を説明し、自分の額にスキルカードを当て、読み込んだ。
「どんなスキルだったの?」
「なんかね、こんなスキルだった」
ミカは[トズマホ]で俺に見せてくれた。
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氷炎の槍斧召喚術
Rank: B - 11 SKP:0/240
Lv1: SKP-80
Lv2: SKP-160
LvMAX: SKP-240
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「え、なにこれ。ミカにあまり合わないじゃん」
「うーん、でも合成すればいいんじゃないかな?」
「じゃあ、SKP80振っておいてね」
「うん、でもかなりこれでSKPカツカツだなぁ~」
「どうして?」
「料理、真料理で200使ったでしょ? [弓の技]を[弓の豪★★★]にしたし、MAXにもしたから597でしょ? で、このスキルに80使ったら…877、残り94しかSKP残ってないの」
なかなか、いい振り方をする。さすがは俺の幼馴染だ。
「これからレベル上がるし、沢山手に入るから、別に気にすることないよ?」
「それもそうね」
「あ、そうだ、ボクね、ダンジョン潜るときはなるべく有夢に戻ろうとおもうんだ」
「なんで?」
「その方が、ボクのありのままの状態で、ゲームしてる感じがして楽しいから」
「うん、わかった。ゲーム大好きだもんね」
俺は有夢に戻った。
「じゃあ、もうそろそろ行くよ。 1週間近く森に滞在するし、下手したら#徹夜__オール__#もするかもしれないから、準備してね」
「え、ほんと?」
ミカは信じられないみたいな顔をしている。
仕方がないよね。
「うん。実際俺、10日間近く森の中で野宿したし。今回はマジックルームがあるけどさ」
「そう…じゃああと1時間くらい待ってくれる?」
「うん」
「ありがと。じゃあ1時間後にいこ」
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「終わったよ、準備」
「よし、じゃあ行こうか。またマジックルームに入ってね」
「うん」
ミカはマジックルームに入った。
俺はマッピングしておいたヘルの森のダンジョンまで、向う。大体2分で着いたかな。
マジックルーム・バックから、ミカを出してあげた。
「ここだよ」
「うわ…すごい大きな穴」
「でしょ。この穴の階段みたいな岩場を降りた先にダンジョンがあるからね」
「すごい、あからさまに階段ね」
「この下はもっと人工的だけどね。じゃ。入ろうか、足元に注意して」
俺らは階段を降りていく。だんだんと、赤いレンガでできた床が見えてきた。
これにはミカと驚いた。
「え? レンガ? こんな森の中で?」
「ふふ、そうなんだよね。俺の時は石畳だったよ」
「はぁ…ダンジョンって一体なんなのかしら」
俺らはすぐにダンジョンの底に着いた。
頭の中に、メッセージが流れてくる。
【ヘルの森「怒り」のダンジョン に 入りました】
ミカにもこのメッセージが送られてきたようで、顔を引き締めてこう言った。
「なんか、こう言われると、いかにも ってかんじよね」
「まぁ、実際は何周もするけどね。あ、ほら早速敵が見えた」
少し先に居たのは、木の傀儡、ウッドゴーレム。
ただ、普通のウッドゴーレムと色が違うし、見た目も少し厳つい。
あれはウッドゴーレムの亜種。
[トズマホ]の情報によると、過去5回のみ確認されているウッドゴーレムの亜種の中でも超強力な個体だ。
本来、ウッドゴーレムはDランクであるが、奴はその強さやドロップする素材は桁違い。
なんせ、Dランクの魔核を4個も落とすらしい。
それがいきなり2体。
さらにはすでに、ここより先の道が閉ざされているようだ。
つまりは、これ、勝ち抜き式か?
俺はミカにこう言った。
「ミカ、勝ったら進めるタイプだよ。俺の時はこんなんじゃなかったんだけど。[怒り]だから違うのかな?」
「うーん、そうかも。とりあえずあの二匹、私が倒してみてもいい?」
「うん」
「じゃあ、倒しちゃうね。[弓の豪・一の操]」
これは確か、自分が撃った矢を撃った後も自由に操れる技だ。
ミカが撃った本数は8本。
4本ずつ、ウッドゴーレム強亜種にヒットし、奴らはあっけなく倒れた。
「うーん、あっけない」
「その分、ミカが強いんだよ?」
「エヘヘ、そう?」
「うん、もう魔核も素材も回収したから、次進もうか」
「え、早っ」
いつの間にか通路を塞いでいた壁は消えていた。
俺らは先に進む。
明日からは2話投稿です。
3話投稿は本日まででございます。