第八話 ダアト出港
日が沈んだ夜、港には一つも光がともっておらず、その代わりに黒い影がうごめいている。
マルクトの軍人が警戒にあたっているからだ。
ハセヲが近付くと軍人たちが武器を構えたが茶髪の背の高い細めの男に止められる。
男はハセヲに胡散臭い笑みを浮かべ、聞いた。
「初めまして、私はマルクト帝国軍所属 ジェイド・カーティス……大佐です♪ファミリーネームに馴染みがないので《ジェイド》と呼んでください」
シャクに触るのはなんでだろうな?
「ハセヲだ」
「ええ、良く知っていますよ。『死の恐怖』ハセヲさん♪」
空気が凍った。マルクト軍人たちはハセヲを凝視する。『死の恐怖』は既にこの世界でも名を轟かせているのだから、しょうがない。
ハセヲは反応が気にくわなかったらしく、渋い顔をしジェイドを睨む。
「イオンたちは?」
「イオン様とアニスは既に入船済みです。間もなく出港するのではいってください。……まさかと思いますが裏切ろうなどと、いうことがないようにお願いしますね♪」
目が笑っていなかった。
が、ハセヲは睨み返し
「俺は裏切ったりしねぇ」
と、吐き捨てると船に消えていった。
ジェイドは満足そうに笑った。
「心強いですね〜。おっと、クーンに言うのを忘れていました………まあ、クーンですからいいでしょう」
ジェイドの呟きは誰にも聞こえなかった。
船内
「ハセヲ!遅かったですね」
「隠れて出てくるのに手間取った」
玄関先にいたアリエッタのライガを殴り、気絶させたことはあえて、言わなかった。
|