第十四話 アグゼリュス崩落とハセヲ
「ありがとう……ですハセヲお兄ちゃん」
泣き腫らした笑顔でアリエッタは答えた。
イオンがアッシュたちにザオ遺跡に連れていかれて数時間後、アッシュたちは戻ってきた。
「イオンはアイツらに返した」
と、アッシュに耳打ちされ、ハセヲはわかったと呟いた。
ハセヲは安心したのもつかの間。ダアトに連れていかれ、監獄に入れられた。
アリエッタがハセヲの牢の前にいるのをアッシュは見つけ声をかけた。
「アリエッタ、なぜここにいる?」
「あ、アッシュ……もうすぐ総長の計画始まる…ですからハセヲに伝えに」
アッシュは総長の計画と言うところに食い付いた。
「やっぱり、ヴァンは何か企んでやがるんだな!?」
「アッシュのレプリカを使って、アグゼリュスを崩落させる……です」
「なんだと!?」
アッシュはすぐさま牢の警護の兵士を倒すと鍵を開けハセヲにヴァンの計画を話した。
「なんだと!じゃあ早く行くぞ!時間がない!」
慌てるハセヲにアリエッタが鳥たちに声をかける。
「ハセヲお兄ちゃん!鳥たちじゃ無理……です」
「大丈夫だ!」
そう返答したハセヲにアッシュとアリエッタは首を傾げ、外に走っていくハセヲの後を追っていった。
息を切らした二人はやっとハセヲに追い付く。
「おい!ハセヲ、どうやって行くつもりだ!こんな森の中で!」
「来い、来いよ!俺はここにいる!」
紋様が浮かび上がる。アッシュは驚き、アリエッタは前のことを思い出した。
「《スケェエェィイス》」
アバター『スケイス』を発現させると二人は手を差し出す。アッシュは困惑した顔をしたが考えがわかったらしく乗った。アリエッタはすぐに乗る。
スケイスは背中の飛行物体を展開すると宙に浮く。
【行くぜ!】
ハセヲの声が響くと、有り得ない速さで飛び立った。
「ルーク、早まんなよ!」
「さあ、ルーク。ここへ」
白い煌めきに光るパッセージリンクの前にヴァンはルークを誘い。そこに立ったルークに暗示を解放した。
それと同時に近くでみていたイオンの体が吹き飛ばされた。
ルークの手から超振動が発動したのだった。
ハセヲたちが着くとティアが捕まえられている所だった。すぐに兵士を叩きのめすと事情を話すと泣きそうな顔で一緒に走り、アグゼリュス第十七番坑道に入り、すぐにジェイドとクーンと再会したが共に進んでいく。
「ハセヲさん!」
「アトリ!」
飛び付いてきたがハセヲは軽やかに避け、クーンは
「ヒド」と言い、アトリは涙目でハセヲを見たがハセヲは奥へ更にスピードを速めて進んでいく。
走り込むとルークが倒れた姿が目の端に写った。双剣を出し、とんでもない高さから飛び下りた。
その位置エネルギーをヴァンに叩き付けるが軽くいなされ、距離をとる。
「無茶をする」
「アグゼリュスをなぜ!?」
「予言を実現させたまでだ」
「予言ってなんなんだ!?」
「人が楽に生きる拒否のできぬ道しるべとでも言うべきか」
ヴァンは剣を鞘に納め、手を差し出した。
「我々と来ないか?」
「行ってどうなる。そんなもん、自分達でやれよ!」
「邪魔はしてくれるなよ」
「俺の仲間を苦しめない限りはな」
崩落を始めたのか、地面が震えだす。ルークもそれで気付いたのかぼんやりと立ち上がる。
「師匠……にハセヲ!」
ハセヲを見たルークは驚愕し、剣を取りだした。
ハセヲは剣を取り出したのに気付かず近寄る。すると…………
―――ドスッ
ハセヲは自分の胸を見ると剣が刺さっていた。刺しているのは……
「……ルー…ク」
「アグゼリュスを滅ぼさせてたまるか!」
勘違いしてるのか
くそ…いてえ
「ハセヲ!」
「ルーク!」
飛込んできた皆が目にしたのはハセヲの体を貫通したルークの剣だった。
ヴァンも予想外だったらしく呆然としたがアッシュとアリエッタ、ティアが入ってくると驚愕鳥を呼び、アッシュを捕まえ、去っていった。
「ハセヲ!」
「ハセヲさん!」
皆が近付いてくる。
見るまでもなくハセヲは重傷だった。
血は止まることなく流れ続けている。
ティアとナタリアとアトリが回復呪文を唱えるがあまり効果がない。
アトリとアリエッタが泣き付いたが崩落は進行していく。
「いや!お兄ちゃん!もう大切な人、死ぬ…いや!」
「アリエッタ、ルークを恨むなよ。虚しいだけなんだからな」
トライエッジのことを思い出しながら言う。
「わりいな」
「ヒック、ヒック、うわああぁあん!」
ついに泣き出したアリエッタの頭を撫で、アトリに向く。
「なに、おまえまで泣いてんだ」
「でも、ハシェヲさ〜ん」
「眠くなってきた。わりい寝る。クーン!たのむぞ」
「バッカヤロウ」
「ハセヲ」
「イオン、お前が全部しょいこむなよ」
「はい……ハセヲ!」
「なんだ?」
「また」
イオンの横からジェイドも出てくる。
「私からも、また」
「アニスちゃんからも!また帰ってきてよね」
ティアも
「また」
ハセヲが
「わかったよ」と言うと、ハセヲの体が輝き透けてくる。
最後に浮かんだ顔は白い泣き顔だった。
ほどけるようにハセヲの姿が消えてなくなった。
「我々も急ぎましょう。ティア、譜歌を!」
崩落の中、歌が響いた。
【響け、ローレライの声】
外郭大地編 完
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