おっさんと小娘
会話回 本日2個目です(注意
時間軸は、陣内が登っている辺りです。
「言葉さんを救出するのは分るけど、アイツはほっとけばいいのに」
「うん?当たり前だろ?コトノハ様を助ける為に飛び込んだんだから」
「ホントにあの子を助ける為に飛び込んだの?ただ単に巻き込まれただけなんじゃない?アイツにそんな勇気とか誰かを助ける根性なんてないでしょ」
「あんな役立たずで、口だけの奴なんだから」
「口だけって、英雄のダンナはさっきの戦闘でも、すげぇ活躍してたと思うが」
「はぁ?何言ってるのよ!いつも陰でこそこそして、相手が隙を見せた時だけ行くようなハイエナ野郎じゃない!さっきだって奴隷の子が頑張っていただけだし。ほとんどあの子を、囮にしているようなモノじゃないのよ」
「あ~~、仮にそうだとしても、あの巨竜に肉薄して、しかも目を殴りに行くとか普通は出来ないですぜ?あの巨竜を相手に」
「アタシだってあの時、この巨竜の背に乗ったわよ。別に大した事じゃ――」
「その機会を作ったのもダンナですぜ?しかも文字通り体を張って」
「あんなの‥、ただ吹き飛ばされただけじゃない!あの竜を倒したのだって、伊吹さんと奴隷の子だし」
「あ~~、そりゃ見解の違いって奴かな?ダンナは凄いと思うが、」
「ふんっ!アンタ達ってみんなアイツの味方よね。なんだってアイツなんかに‥。あの子も‥‥」
「で、この竜咳石ってのは、アタシが貰って良いのよね?」
「ああ、ダンナには俺から話しておくよ。あの豪邸代としてって」
「こんな真っ黒で、サッカーボール程度の大きさだけど、ホントに価値があるんでしょうね?ワタシを騙してない?」
「勘弁してくださいよぉ、勇者様を騙す訳ないでしょう~。それにそのサイズなら本当に豪邸が2~3個は買える値段で捌けますよ。値段が値段だから、買い手は見つかり難いですが」
「売らないわよ!これで矢を作れば凄いんでしょ?」
「ええ、それは保障しますぜ。魔法やWSといった力を倍にする効果がありますから。それに【大地の欠片】に混ぜれば、神水が出来るとも言われてますぜ」
「他の武器には使えないの?例えば剣とか?」
「使えないこともないですが、WSを使うと刀身が無くなりやすね」
「そう、ならいいわ、アタシの弓矢に使うから」
「あ、他の素材はコチラが貰いますよ?皮とか鱗とか骨に牙」
「わかってるわよ、このおっきい竜を運ぶんでしょ?豪邸は半壊でもう使えないから、【宝箱】のその分の空きに入れるわよ」
「ありがとうございやす。この竜の躯には、ちょっとひと働きして貰う予定でして。地上までの運搬お願いします勇者タチバナ様」
「はいはい、それにしても‥、そんなにあの鱗の部分をアイツに渡したいの?」
「そりゃもう、あの場所の鱗で鎧を補強出来りゃあ最高ですからね」
「全く解らないわ、何でアイツにそこまで肩入れするのよ」
「え?そりゃあ惚れてるからですよ、英雄のダンナに」
「え?それって」
「おいおい、勘違いしないでくれよ?漢としてって意味だ、全く‥」
「そっちでも納得いかないわ、何だってアイツを‥。三雲に言葉さんも伊吹さん‥‥、それにあの子も‥‥」
「?まあ、よく分らないですが、そろそろダンナの事を認めてやったらどうですかい?本気でダンナは凄いと思うのですが」
「ふんっ!アンタ達の物差しで決め付けないで!アイツはクズよ!女の子を襲ったり、奴隷にして無理矢理戦わせたり、碌でもない奴じゃない!」
「さっきも言いましたが、見解の違いって奴ですね」
「そればっかり」
「あと、それとですね‥」
「何よ?まだ何かあるの?」
「勇者タチバナ様の、歪んだ物差しでダンナを測れるんですかい?」
「――っな!?」
「お?ダンナが上がって来たようですぜ。ちょっくら行って来ます」
「ちょ!?待ちなさいよ!」
「何なのよ!みんなアイツにばっかり。勇者でもないハズレ野郎で、女の子を襲う‥ような‥‥最低の奴じゃないのよ。襲うような‥‥」
「ハーティさッ、ハーティだって!結局アイツばかり肩持って。何よ、ちょっと綺麗だったから、いいな?って思ってやっていたのに、」
「あの子だってアイツの事ばかり庇うし‥何なのよ、もうっ!」
「由香、なんでアイツがイイみたいに言うのよ‥」
「由香、アタシじゃ‥アタシじゃ駄目なの‥‥っえ?熱い!手の甲が、え?」
「これって紋章?あの2人にあった、真の勇者の紋章、?」
「ワタシも真の勇者?、ふふ、そうよね、ワタシは真の勇者よね!」
「見てなさい、帰り道はワタシの真の力を見せてやるわ」
「そして何時か由香にも‥‥アイツよりもワタシの方がいいって」
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