準備をしよう?
短めですが。
あと、総合PV? これが10万突破しましたー!
俺達の前で、仁王立ちをする勇者橘に、勇者三雲が何故か対峙する。
ショートポニテ対ポニーテイル。
メイン武器が弓対弓。
少しキツい印象を与えるツリ目がちな瞳。
橘が美人系で、三雲が可愛い系の顔立ち。
橘には葉月、三雲には言葉。
仲の良い友達(?)が二人共存在している。
背の高さは橘の方が、頭一つ分ほど高い。
そんな2人を後ろから俺が見ていると。
「ありゃ~、キャラがかぶってますねです」
「だな、俺も今そう思った、」
「あの、お二人共、聞こえてしまいますよ」
俺達の会話が聞こえたのか、2人の女の子が、一つにまとめて垂らした髪を同時に揺らしながら俺を睨む。
睨むその目には、抗議の色が見える。
どうやら一緒にされるのは嫌らしい。
そして橘が思い出したかのように、捲し立ててくる。
「アンタ達、仲間を助けたいんでしょ?それなのに、その態度はどうなのよ?」
「――ッ!?べ、別にアンタが、あっ!?」
「申し訳ありません勇者橘様。どうかわたし達にお力添えを」
三雲の反論を、スッと動いてハーティさんが体で遮り。
ハーティさんは、そのまま綺麗なお辞儀をして、橘に礼を尽くす。
「え?えぇ?まぁ、そうね、仕方ないわ。助けてあげるわよ貴族からもそう言われているし。それと、貴方とても発音が綺麗なのね、まるで日本人みたいだわ」
「ええ、いつも三雲様や言葉様と一緒にいるので」
( しれっと嘘つくなぁ、)
イケメンのハーティさんが、そのイケメンを完全に武器とした笑顔で返答する。
一瞬だが、『っう‥』っと橘が怯んだように見えた。
――ハーティさん相変わらずコミュ力たけぇな、
しかも普通の女子には、あの笑顔は反則だろ、
あの橘が黙ったぞ、
ゴタゴタしそうであった空気をハーティさんが簡単に纏め。
俺達はこのまま、竜の巣に向けての食料や必要な消耗品、その他の物資を買い込みに、都市の中心へと向かう事となった。
( あ!コレ、ハーティさんいないと詰むな、)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ハーティさんはその後。
何故か、ヘソを曲げた三雲をなだめ。
何故か、上機嫌になった橘を接待しつつ、買い物をする。
三雲と橘が、買い込んだ食料や飲み水を【宝箱】に収納していく。
「ハーティさん、ワタシの【宝箱】は他の勇者達とは比較にならない程大きいので、どんどん入れてくださいね」
「助かります橘様、これなら問題無く探索に向かえますね」
「‥‥ふん、」
楽しそうな橘に、つまらなそうな三雲。
「ジンナイ様、何かコレは楽しそうな予感してきたねです」
「ああ、確かにそうなんだけど、コレはコレで不安も感じるな、」
「あの、これはなんと申したら良いのか、」
「青春だね~って、確かにちっと危ういよな、」
最後のガレオスさんの意見には同意である。
後々、下手に揉めたりしなければ良いのだが、っと一抹の不安を感じた。
だが、ハーティさんなら、何とかしてくれそうな雰囲気もある。
――あ~~参ったな、
コミュ力が低い俺には、どうしよも無い案件だな、
取り敢えず竜の巣でトラブルにならなければいいか、
元大学生でリア充っぽかった転生者ハーティさん。俺は心の中で、彼にすべてを任せる事にした、探索の編成や取り仕切りなど、その他のゴタゴタも‥
今回は、傍観者。
俺は行方不明の勇者達の救出だけを考え、他は関係無いと思っていたが――
「あ!やっと見つけたッス、オイラ探したっすよ」
「あ‥、スマン。連絡遅れたか‥」
繁華街で買い物をしている俺達に、突然獣人族の男が話し掛けてくる。
ガレオスさんに話し掛けてくる辺り、きっとパーティメンバーなのだろう。
「やっとコヤマ様を助けに行けるッス!今度こそ、今度こそッス」
「ああ、やっと行けるな‥」
特徴のある語尾。
何故か、ある人物を思い出させる、濃い茶色の獣人族の男。
俺がその獣人族の男を観察していると、ガレオスさんが俺に彼を紹介する。
「英雄のダンナ、コイツは勇者コヤマ様のパーティ、コヤマ組の新人で狼人のオッドだ」
「勇者コヤマ様の一番弟子!迅盾使いのオッドッス!」
紹介されたのなら、俺も名乗ろうと思ったのだが。
「オイラは、体は小さいし力も弱い。ちょっと素早く動ける程度の、イマイチな冒険者だったんッス。だけどコヤマ様をオイラに新しい力を教えてくれたっス」
紹介された狼人オッドは、突然語りだす。
イマイチだった自分を、小山がその才能を見い出し強くしてくれたと。
そしてコヤマを尊敬もしていると、熱く語りだしたのだ。
その姿は。
――あ~~うん、小山っぽいなコイツ、
人の話とか聞かないでガンガン突っ走る感じが、
これは、勇者小山の影響か、、?
濃い茶色のボサボサ頭の髪。
年は俺と同じぐらい、背の高さも一緒で、クリッとした紅茶色の目。
素早さを売りにした感じの軽装、武器は片手剣が二つ。
まるで、小山を狼人にしたらこうなりました的な、そんな能天気な顔をした少年。
いまだに熱く勇者な小山を語っている。
それを見ているガレオスさんも、少々うんざり気味の表情。
――なるほど‥
だからさっき呼ばれたときに、反応が淡白だったのか、
確かにコイツはキャラ濃いもんなぁ~
この狼人も救出メンバーの一人なのかと、俺も少しウンザリしていると。
「コヤマ様に教えてもらった迅盾はオイラが一番巧く使えて、ぇ、」
「うん?どうした?」
熱く語っていたオッドが突然ピタリと止まる。
ピタリと止まり、そして凝視するようにある一点を見つめる。
その先は――
「好きです!惚れました!オイラと番になってくださいッス!」
「へ?」
オッドは素早く直立不動の姿勢を取り、真っ直ぐにラティを見つめて、いきなり告白をした。
しかも番になりたいと。
( よし殺そう )
俺の中で彼の第一印象は最悪のものとなった。
読んで頂きありがとう御座います。
宜しければ感想など頂けましたら嬉しいです。
あと、誤字などもありました感想コメ、宜しくお願いしますー;