色々と
長く書くとグダるので、簡潔に短めに、
エスの村小規模防衛戦から10日が経過した。
今はノトス公爵家屋敷の離れ、雇われ冒険者用の部屋で日課をこなしている。
その日課とはラティの頭と頬を撫でることだ。
だが、さすがにガッツリと頬を撫でる度胸は未だに無い。
手の平を使うほどの強気には出れず、指の腹側で撫でるのも腰が引けてしまう。だが、やはり撫でたい。なので小指の背側を使い、触れるか触れない程度で撫でている。
ラティの目蓋の下、瞳のすぐ下辺りを出来る限り優しく撫で上げる。
心地よさげに細める目、小さくあがるへの字口。
そしてその口元からは『ぷしゅ~』と機嫌良さげな音漏れ。
この頬を撫でる行為は嫌ではない様子。
指で涙を拭ってやるような仕草で、ラティの頬を優しく撫でながら、俺はこの10日間の出来事を思い返す。
まずナツイシ家の処遇。
嫡男のマ-クツーを、ノトスの街まで連行し。
此方から呼びつける形で、当主のザックツーを呼び出し、アムさん自らナツイシ家の処遇を言い渡していた。
大雑把に言うと、お前下りてジムツーを当主にしろと。
最後までそれを認めずに騒いでいたマークツーは、ノトスからナツイシ家に帰る途中の森で、魔物に襲われ悲劇の事故死。
そして当主のザックツーは、謎の病死を遂げた。
あまり深く知りたくない案件ではあったが‥‥‥
三日前。
『あ?ららんさん久々ですね』
『そうやのう、あ!実は伝えたい事があってやの、』
『はい?』
『森の事故死は判ってるやと思うけど、アレやからな、』
『アレですか‥‥、聞きたくなかったな~~、何故それを言いにくる‥‥」
『にしし、それとの、病死はケジメ的な感じやの』
『それも知りたくなかった――!』
『まぁ、貴族内では仕方無いことやの』
それから、出来れば知りたく無かった裏側を聞かされた。
嫡男のマークツーは、騒ぎ過ぎなのと暴走する危険性から、排除されたと言う。
それに生かして置くと、簡単に北側に寝返る可能性もあるので、生かして置くメリットはほぼ無し、ディメリットしか浮かばないと。
この辺りは、俺でも容易に想像出来ることであった。
だが、当主の病死は少し予想外。
当主は隠居すれば?っと思っていたのだが、当主は今回の件の責任を取る形で病死したのだ。
世の中で、責任を取って”職を下ります””辞任します”などあるが、責任を取るのであれば、やらかした事を収拾つけてから辞めるべきでは?と思ったのだが。
ららんさん曰く、『問題などは、他の人でも収拾をつけられる』だ、そうだ。
しかも――
例えるならば。皿を割って、その皿を割った本人が責任を取る形で割れた皿を片付けようとすると、焦って指などを切ってしまい、逆に大事になる。だが他の人が片付けると、自分がやらかした事ではないので、冷静に片付けられると言う。
今回の件でも、当主が収拾をつけようとすると。取り繕うことばかりに尽力し、結果的にはあまり良くない方向に進むと言うのだ。
それと当主が病死と言う脅しは、反発を抑える効果もあると。
ただ、”下手を打つと逆の場合もある”とも付け足していたが、今回は上手く行くだろうと豪語していた。
俺はそのすべてを聞いてから、『傀儡政治とか言うのになるんじゃ?』と訊ねると。
『何か問題あるん?』と、ららんさんに返された。
ららんさん曰く。傀儡政治で困るのは、権力を牛耳れない貴族側。
搾取するような、偏った支配をしなければ、その下にいる民達には何も問題は無く、場合によっては歓迎されると言う。
特に今は魔石の流通。
俺、陣内組の魔石魔物狩りによる、魔石の大量かつ安定供給の恩恵がナツイシ家領地にも行き渡るので、領民からの反発も低いだろうと。
その後も、小難しい政治の話を続けられた。
「はぁ~~貴族の社会と政治の世界は怖いなぁ、」
「ぷしゅ~‥‥ あの、わたしも政治での駆け引きなどは詳しくは無いのですが、ご主人様の今の立場どのような状態なのでしょうか?少し心配でして‥‥ぷしゅ~‥」
『差し出がましいとは思いますが』と、ラティが俺に諫言してくる。
「あ~~、それがね。ららんさんに、『じんないさんは、自分の価値を一番分かってないかもやね』って言われたよ」
「っん‥ なるほどですねぇ、」
意外にもラティは納得いったと言う顔する。
そして俺は、ららんさんとの会話を再び思い起こす。
ららんさんからは――
『じんないさんは、完全にハズレ。ハズレと言っても規格外と言う意味での外れやの』
『規格外?って、やっぱ悪い印象が‥』
『えっとな、勇者ってのは、意外と扱いづらいんよ。ほら、保護法とかあるから、なんでも頼める訳でも無いしのぅ。だけど、じんないさんはその勇者の枠に入らないんよ。それなのに、勇者以上の働きを発揮しているんよ』
ららんさんの説明では、勇者は待遇などでお金がかかり、安く済ませようとすると、余所に引き抜かれる。
戦う為の装備の援助や他に色々とかかる。
だが、俺は違うと言うのだ。
北や中央に睨まれている存在。他の貴族などが獲得に乗り出す心配も低く。そしてなにより、他の勇者達に匹敵する武力。
俺が勇者保護法にひっかからない限りは、見捨てたりはしないと言った。
俺はこの話をラティにしながら、頬を撫でると同時に頭も撫でる、究極撫でに移行していた。
そしてそのまま会話を続ける。
「そういや、陣内組参加者がまた増えてきたな、」
「そうですねぇ‥ッ、‥やはりこの前の防衛戦での噂が広まったからかと、」
「噂?」
「あの、ご存知無かったのですか?『100人脚刈り』の噂話を?」
「100人って、アレは全員相手にした訳じゃないだろ?」
「あの、噂に尾ひれなどが付きやすいモノですからねぇ、」
「なるほどね、」
「はい、そういう事です、っん‥」
――あの時は、兵士以外にも冒険者いたからか、
あの冒険者達が、合流した兵士達100人を相手にしたと誤解したのか、
だけど、脚刈りってなんだよ‥
真相は謎だが、陣内組の魔石魔物狩り参加者が前よりも増えたのだ。
以前は金策目的の者が多かったが、今は少し違い。強さを求めて参加してくる冒険者達が増えてきた。
そういった冒険者達は、俺を信頼しているのか。勇者の恩恵、経験値増加とステータスアップの効果が発揮される者が以前より増えて来ていた。
これにより、陣内組の戦力は30名近くまで増え。
今では、人員管理の負担が大きくなり、人事担当で猫人の女性ファミと言う名前の秘書的な人を雇うこととなった。
アムさんからの紹介で雇うことになった猫人のファミさんは、愛嬌の良い猫人にしては珍しくクールな印象な人で、バリバリに仕事をこなす猫人であった。
これにより、人事がスムーズに進むことで狩りの効率なども上がり。今では前よりも2倍近い魔石を集めれるようになっていた。
「あの、ご主人様、そろそろお時間が‥んぅ~‥」
「あ、もうそんな時間か、」
「はい、明日は休日ですので、その‥」
「約束だからな、仕方ないか、」
「あの、楽しみにしておりますので‥」
「‥‥サリオがな、」
名残惜しい思いもあるが。
俺は究極撫でからラティを解放し自室へと戻る。
そして翌日、俺達はサリオの提案により、また芝居廻りに向かうのだった。
読んで頂きありがとう御座います。
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記念して温泉回か水着回とかやるべきだろうか‥
あ、でもサリオの温泉回とか水着回なんて求めてないか、