表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ファンタジーショートショート:「ご職業は?」「・・・勇者です」

作者: ウーフー

 ある料亭で行われたお見合いでの一幕1組の男女がテーブルを挟んで緊張の面持ちで向き合っていた。

 お互いを知るために様々な質問が飛び交ってた。

「ご職業は?」

 女性の方が男性に質問をする。

「職業ですか・・・今は勇者をやっています」

 少し間を空けて男性が答えた。

「まぁ!勇者ですか!それで世界はどのくらい救われたのですか?」

 目を輝かせながら女性は問いかけた。

「どのくらいですか・・・?ええと・・・」


 数時間後。居酒屋で先ほどの男性を囲むように友人達が集っていた。

「それで何て答えたんだよ?」

 友人1人が男性に聞く。

「やっと先日1つ救うことができましたって」

「それじゃだめだろー!」

 友人たちが声を揃えて言う。

「せめて2つ3つ位多めに言っておけばよかったんだ」

「馬鹿正直に言ったら駄目だろう!」

「1つなんて見向きもされないぞ!」

 それを聞いた男性は落ち込む。

「やっぱり今のご時勢それ位でないと駄目かぁ。1つ救うのだけでもかなり大変なんだけどな・・・」

 その言葉を耳にした友人がある1冊の雑誌を手渡す。

「ほれ、今どんなやつがもてるのか書いてあるぜ」

 彼は友人達とそれを読み始めた。

「やっぱり2つ3つ救ってる勇者がもてるみたいだな」

「逆に10も20も救ってると引かれるみたいだよ?」

「魔王経験してから勇者になるってもの良いんだと」

「何それ?昔悪かったけど今では落ち着いてますみたいなのがもてるの?」


 読み終わって男性は溜息をつく

「もうこれなら勇者なんて公務員とか目指したほうが良さそう」

「今更だよ!」

「まぁそっち目指すなら応援してやるけどさ」

等と言いつつビールを飲み干す彼らであった。

 後日、就職にも世界2つ3つ救っておいたほうが有利と言う事実に心が揺らぐ男性の姿があった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ