第9話
念の修行を始めるうえで気をつけたいことがある。
それは体を鍛えるのをやめないことだ。
これを間違えると体が弱ってしまうから気をつけないといけないことだ。
グリードアイランドで修行していたときに腕立てをしていたのはこういうときのためのものなんだろうなと気づいた。
まずは一番基礎的な纏をじっくりとやることにした。
体の中を流れる血が体中を循環し栄養を運ぶように、オーラが全身の隅々までいきわたり体の細胞一つ一つにエネルギーを与えているさまを想像してじっくりとオーラをまとった。
さすがにここで詰まることはなかったが、じっくりゆっくりとオーラをまとったおかげで発見があった。
全体に澱みなく流れているが、利き腕のほうがもう片方の腕よりもオーラをまとっているのが分かった。
目や足でも同様の感覚があった。
こうやって見ると自分の体の鍛え方が左右非対称になっているのが分かった。
良くは分からないが腕や足や目以外でも同じように左右非対称になっているのだと思う。
利き腕などのほうがもう片方よりも優れているのは当然のことだが、このずれをどうにかして均等にオーラを流せるようになれば体が安定した強さを得られるのではないかと思った。
本当はほかの念能力を試してみたかったのだが、俺はこれをどうにかしたいと思ったのでこれを念頭において修行を考えることにした。
肉体が強いほうがオーラの許容量も多いようなので、今は分かっている腕や足の筋肉のつき方を均等にしようと思って、弱いほうで片腕たて伏せや片足スクワットをすることにした。
このときまずは纏をしない状態でやり、その後纏状態で左右で違うオーラの量や流れを気にしながらやった。
やりすぎると強さの逆転が起こったり、気にしすぎて気にしているところに勝手にオーラが流れてきたりして今までで一番時間と集中力を使った。
目のほうについてもどうにか出来ればよかったのだが、目の鍛え方なんて分からないのでここはいつもの後回しをすることにした。
そのおかげで左右でのずれはほとんどなくなって、腕や足などの分かりやすいところではなく腹筋とか左右の差が分かりにくいようなところも把握できるようになった。
それでも左右で筋力の差があるが、その差を今では何も考えずにやってもオーラの量を調整してバランスが取れた纏をすることができるようになった。
右の筋力が6で左の筋力が4なら最初はオーラの量が右が6で左が4で結果右が12左が8だったのが、今では筋力が右が6左が4ならオーラの量は右が4左が6で均等の取れた左右10に出来るようになった。
このときバランスが取れたらどれぐらいになるだろうと試したところ、重ねた石やビンの上に立つのが驚くほど容易になっていた。
纏をしていない状態だともたつくこともあるが、纏をしていると体の左右のバランスが手に取るように分かるので、わざとへんな位置や立ち方をしない限りはびっくりするほど出来た。
纏はこれくらいにして次のステップに進むことにした。
次は絶だが、これは休憩中などの疲労回復のためにやっているのでこれ以上どうするか分からなかったので、練をすることにした。
練は屋敷にいたときにほとんど出来なかったので心配だったが、簡単に出来たわけではなかったがオーラを体にとどめることが出来た。
ただ、最初の纏のときのように体のバランスに引っ張られて少し歪みがあって、その部分にかなり集中せねばならず負担がすごかった。
ここで少し気になって纏で均等になるようにしていたオーラのバランスをずらしてみると、思ったとおり通常より強くなったオーラをとどめることが出来ずに放出されてしまった。
屋敷にいたころはバランスなんてまったく考えずに、ただ鍛えていただけだったのが悪かったようだ。
このまま凝をやりたかったのだが、纏をもう少し出来るようになってからやることにした。
かなりバランスが取れた纏が出来るようになったが、腕立て伏せとかどうしても力んでいるところにオーラが集まってしまうので、そういうときでも均等にできるようにすれば練がもっときれいに出来るのではないかと考えた。
腕立てのときとか力が入ってるところにどうしても集まってしまうのを意識して調整できるように、常に纏状態で過ごし、体ではなくオーラのみを気にしながら体を動かすことにした。
目を閉じたほうがオーラのバランスを感じることが出来たので、走り込みとかの時もついつい目を閉じてしまって生傷が絶えなかった。
しかし、絶休憩やふと思いついて痛いところに治れ治れと念じながらオーラを集めると治りが早くなった。
本当に念能力が使えるのは便利だと思った。
ドリンクが少なくなってからは覚悟を決めて魚をとることにした。
前世では魚介類が嫌いで肉や米ばっかり食ってたぽっちゃりだったが、屋敷で出された食事のおかげでもとの食材さえ見なかったら魚介類も食べられるようになっていたので、見た目があれでも仕方ないとあきらめて変な色や変な形をしている魚を食べた。
さすがに生で食べるほどの勇気はなかったが、ここは流星街で探せば火をつける道具の一つや二つあった。
火炎放射器さえも落ちていてびっくりしたが無難にライターを探した。
魚の取り方は絶をしながら近づいてくるのを待って石を振り下ろしている。
ただ、こんなところにいる魚だからか最初のうちは何を食べても腹を下した。
そのたびに纏や絶などで治るまで苦しんでいた。
気づけば暴れまわったのか周りがかなり荒れていた。
最初腹が痛くなったときは死を覚悟したが、念能力を覚えると本当に丈夫になるようで死にはしていない。
一番体調が悪かったときは、本当に血液に毒が入ってるぜと血が熱いような気がして体の血管という血管の中で流れる血を感じることが出来たような気がする。
このときのおかげでオーラが体中を循環する感覚や、腹から吸収された毒が細胞の一つ一つに回っているような感覚から、細胞一つ一つを気にする感覚を身に着けられた。
また、キルアではないが肉体操作が出来るようになった。
といっても爪が伸ばせるようなものではなくて、気持ち体から毒素を抜くのが早くなっているような感じだ。
血管の中を流れる毒素を意識して体から出て行け出て行けと念じていると苦しい時間が短縮されている。
もしかしたら、段々と魚の毒素に耐性が出来ているだけかもしれないが、それでも普通なら死ぬのに死んでないのだから念能力は本当にすごいものだとあらためて実感できた。
それでもたまに意識をなくして暴れまわっているようで、川のほとりに作った魚を数匹入れていた生簀もどきが壊れていた。
そこそこ念が使えるようになったし凝に挑戦してもいいだろうとやってみると、オーラをとどめるのが難しかったが練は前に比べて時間もオーラの量も増えていたので、成長を実感できたが凝のようにバランスを崩すと失敗をしてしまうのは相変わらずだった。
目に集めた途端に目からビームが出たのには驚いた。
といっても攻撃力はなく近くの岩に当たったが何もならなかった。
相変わらずバランスを崩すとオーラをとどめておけないが、何度もやれば練も最初のころよりはオーラ量が増えているのでこれも練習あるのみだ。
まずは練をせずに纏の状態で目にオーラを集めることにした。
オーラを集めると纏の状態でもかなりのオーラ量になるが練のように噴出すのをとどめているわけではないのですんなりと出来た。
この状態でも隠が見破れるかは分からないが目がよくなっているのは実感できた。
練の状態でやってみると、纏の状態でほとんど全身から集めたときよりも少ない状態でもとどめておけなかった。
纏の状態のときのオーラを100、練の状態のオーラを200として考えると、纏のときに目に90ほど集めても問題ないが、練の状態では80も目に集めるととどめておけない。
纏は緩やかに流れる川で、練は洪水で激しく流れる川のようなオーラなので、同じ量でも暴れているのをとどめているようで難しい。
ゴンとキルアはよくこんなのを簡単に出来たものだ。
それでもこれができないと念能力を使用した戦闘なんてできるわけがないので、目からビームを出しながら修行あるのみだ。
開き直ってこのまま放出系の技として覚えようかと思っているときに、なにかでただの放出系魔法をその上から覆って収束させて攻撃力を上げていたことを思い出してやってみると、出て行きそうなオーラをその上にオーラを重ねてとどめておくことが出来た。
余分なオーラを使っているから出来ないかと思ったが、これが成功したとき世界が変わって見えた。
ほとんど一瞬だったがいたるところからオーラがもれているのが見えた。
それからは世界が変わるのが面白くて出来る限り凝をやりながら過ごした。
走り込みをやっているときもやっていたので足元がおろそかになって、また生傷が絶えなかったが凝は本当にすごかった。
魚を取るときでも凝をしていると、魚のオーラも見ることが出来てどこを気にしているとかどっちに逃げようとしているのかとかが分かって、大量に取れた。
ただ、魚が主食になっているとはいってもまだ好きにはなっていないので、ほとんどを川に戻すことになった。
目がよくなるだけの凝もどきでも楽しかったが、本物の凝はより楽しかった。
このまま凝のこつを覚えたまま流にいくことにした。
さて流をやるかと思ってやってみたら纏の状態ならまったく苦もなく出来るし、練の状態でもそこそこできた。
そういえば体を鍛えるときにオーラが均等になるように調整したりする行為が、そのまま流だったと気づいた。
流についてはオーラの量が増えてから試すことにして、周についてやることにした。
火種のためにごみをあさったときに鍬を見つけていたのでこれをスコップの代わりにすることにした。
前世の実家に畑があって手伝ったりしてたのでなじむ。
長い時間続けることは出来ないが、これも体を鍛えるときに物にオーラをまとわせたりしたのでさほど難しくはなかった。
地面が楽に掘れたかどうかで確認がしやすかったのもあって楽しくて、いつのまにかあたり一面耕してしまった。
種かなんか埋めるものでもあれば収穫を期待できるのだが、こんなところにそんなものがあるわけがない。
畑を思い出したせいで普通の食事が恋しくなったが、どうしようもないのでまた魚を食べる。
肉が食いたい、でも、自分でとるのは嫌だ。
もっと余裕がなくなったらとるかもしれないが、見たところ犬しかいないので犬は食いたくない。
次は円についてやることにしたが、これも簡単に出来るかと思ったがうまいこと円形に広がらない。
念を広げようとしても練の形状のまま広がってしまう。
ためしに上に石を投げてやってみると石の形状というか石が落ちてくるのを感じたが、それを意識しすぎたせいで足の上に落ちて痛かった。
頭の上に落ちてこないことだけを意識していたせいか足までは気が回らなかった。
形状をどうにかできないかと何度もやってみたがどうしても円状にはならなかった。
よほどキメラアントの円が記憶に残っているのか意識したほうに伸びる炎の形状の円だ。
訓練しだいではもしかしたらアメーバみたいな円を目指せるかもしれない。
岩を殴っていたりして拳や足にオーラを集中するのに慣れているので硬はもういいことにした。
あの強さは魅力的だができれば俺は死なないように強くなりたいので、攻撃力よりも防御力がほしいので堅の維持時間を伸ばすことを優先する。
堅と言っても練と同じなので新しいことをするのではなく、肉体訓練にやっていることを練をしながらやるようにした。
纏の状態でやっていたときよりももちろん疲労度もなにもかもがつらかったが生きるためだとやり続けた。
ほとんどを寝てすごすようになって時間が経過するのが本当に早くなった。
堅の修行を始めたとき、念能力の修行を始めたとき、この流星街に来たときからどれぐらいの時間が経ったのか本当に分からなくなってきた。
ドリンクがあったときはそこらへんにあるビンの数や残っているドリンクの数で分かっていたが、いつの間にかなくなり魚や動物をとって食べるようになった。
最初のころは、捌くのにも嫌悪感がすごくて飯が出来てからすぐに食べられなかったり、食べられても腹を壊したりして体調が悪くなっていたが、獲物を取ることが普通に感じ体調が悪くなれば体にオーラを充満させて体のコンディションを整えたりして、はじめからここで生活していたかのようになじんでいた。
最初のころは修行に集中していなかったから遠巻きに俺を見ているのをたまに見かけ、修行に集中してくるとそんな視線が気にならなくなり、さらに修行を進めて成長してくるとそんな姿を見せて見ているものたちではなく息を潜めてこちらを監視しているものの視線を感じられるようになって、近頃は隠れて監視しているものたちの視線すら気にも留めなくなってきた。
すると、その監視しているような視線もなくなり、周囲から誰もいなくなっていた。
人との付き合いが苦手な俺としては願ったりかなったりだが、外に出て運動も十分にしているが引きこもりと変わらないことをこのごろ気づき始めた。
生まれ変わってもやっぱり俺は俺だということなのかとあきれたが、こんなことになっても自分だと実感できるのは喜びを感じた。
時計がないので堅に維持時間がどれぐらい伸びたかは分からないが、最初は壊すのに苦労した水の中の石や岩がオーラをこめて攻撃すればどうにでもなるようになったので、自身の能力について研究することにした。
オーラの量が増えてくるごとに自分の中の何かが訴えてきている。
この能力を使えと夢の中でも真っ暗で何もない底の方から声が聞こえてくる。
このそこの方に自分の能力があるのはわかるのだが、まだまだそれが上にまで上ってこない。
屋敷で生活していたころは死ぬ夢ばかり見ていたがこのごろはこの夢ばかり見ている。
意識しだすと流星街に来てすぐのころからこの夢を見ていたことに気づいた。
今までは夢を見ていても念能力に関係した事柄だからなのか覚えていなかったのだ。
自分の念能力を使うのを俺の何かが求めている。
だから俺は自分の念能力の把握のために水見式をすることにした。
コップなんていう気の利いたものはなかったが直系1mぐらいのたらいを見つけたので、川から水を汲んでそこらへんに落ちてる葉っぱを使うことにした。
オーラが安定したのか量が増えたのかその変化は劇的だった。
葉っぱがどんどん崩れていって水の表面に光るもやのようなものが出た。
これがとんでもなくまずかったのは覚えているがそれ以外まったくの不明だが、今はそれを気にしてもしょうがないので葉っぱを大量にたらいの中に浮かべて念の修行を始めた。
大量の葉っぱがなくなって光のもやが出てくると変なにおいがにおってきた。
この光のもやみたいなのにはにおいがあるようで、どこかでかいだようなかいだことがないような変なにおいがして気分が悪くなった。
においはきつすぎたが、それでも思ったよりは変化が顕著に現れて強くなっているのを実感できて気分はよかった。
今日は豪勢に肉と魚両方食ってやろうと思って、気分がよかったおかげか調子がよくて楽に捕まえることが出来て、意気揚々と戻ってきて調理しようと火をつけた。
その瞬間火花とともに爆発が起きて俺は吹き飛ばされた。
がんばって連続更新をしてみました。
原作キャラを早く出したいと思うのですが、もう少し待っててください。
主人公はこれから強くなっていきます。
ただ、基本戦うのが苦手な現代っ子です。
メイドさんというか女性がまったく出せない。
作者としては出したいと思っていますので待ってくれている方、待ってくれてない人のほうが多いかもしれませんが、がんばりますのでこれからも異世界の生き方をよろしくお願いします。
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