第8話
修行を始めようと思ったときに俺はどうすればいいか分からなかったが、再びあの病院に戻るのは情けない気がしたので自分で考えてやることにした。
そうは言っても何かの漫画でやっていたようなことしか思いつかないのが現状だが、何もやらないよりはましとして始めることにした。
心の念能力者のところにいたときに俺の系統について教えられたのだが、なんと特質系だった。
これには具現化系だと思っていた俺は驚いたのだが、実際やらされたところ俺は葉っぱを何かに替えているようだ。
俺がやったときは具現化系との区別のつけ方が分からなかったが、今回やってみたところ葉っぱの一部が薄くなっていることに気がついた。
死に掛けたせいで俺のオーラ量が増えて変化が顕著に分かるようになったのだそうだ。
俺のレベルではまだ物質としてきちんと安定していないので何に変わっているか分からないが、この変化から特質系だったようだ。
この世界に転生したばっかりの俺ならこの事実に狂喜乱舞したが、今の俺は落ち込むばかりだ。
なぜならこれで俺自身のせいでここから離れられないという憶測に近づくからだ。
具現化系なら自分の能力のせいではないと胸を張っていうことができたが、特質系ならば何が起きても不思議ではないから俺のせいの可能性が高くなる。
それでも俺はそのことに眼を背けて修行する以外に方法はないのだ。
手始めに重りでも身に着けて修行を始めようと思ったがちょうどいいものもなく、いきなりこの体がどれほどできるのか分からないうちに無茶をして壊しては元も子もないので普通なことから始めることにした。
自分の体なのに把握していないのは意識を失っているときが長すぎたせいで体が少し変わっているせいだ。
俺はこの流星街に落下してから数ヶ月で2年になるようでその間に体に変化があった。
成長期なので身長が伸びていて目線の高さが違うし、点滴生活をしていたせいか引き締まっているというよりもがりがりだ。
それに両親譲りだった髪の毛や瞳にも変化があった。
前世のように黒になっていたのだ。
病院で落ち着いてから鏡を見たときににパニックになった。
また別人に転生したのかと思うほど見た目が変わっていたからだ。
金色や朱色だった髪の毛は黒、いや、漆黒といっていいほど真っ黒になっていて、それと同じように空色のきれいな色だった瞳も髪の毛と同じ色に染まっていた。
体はがりがりに痩せ細り背が伸びていたので、どこの墓場にいるモンスターだという見た目だった。
髪の毛は最初汚れて黒くなっていると思ったが、何度洗っても元の色には戻らなかった。
髪が元に戻らないのを見て、あの屋敷とのつながりが完全にたたれたことを理解してただただ泣いた。
せめて、髪の毛や瞳の色があればそれが俺だったという証明もできるが、俺のデータがまったくなくなっている現状では証明ができるものがなくなったというのはとてもさびしかった。
都合のいい話だが俺はまだ、あの屋敷に帰りさえすれば俺の日常が戻ってくると勝手に考えていた。
あの屋敷にいるみんながどんな目に合わされたかなど容易に想像ができるのに、俺はまだみんなにすがりつくことを考えている。
俺の原動力はメイドさんとすごすとか言う身勝手でどうしようもないものだったが、ここまでなってもみんなにすがりつくためというどうしようもないものだったが、これ以外に俺は何も考えられなかった。
みんなが無事に生きていて俺が帰ればあの屋敷に暖かく迎え入れてくれるという幻想を見ていなければ現実に押しつぶされそうだった。
俺は最初は体の把握のためにジョギングから始めた。
程度が低いのは分かっているが今の体では無理をすればだめなのは明らかだからだ。
そのせいで病院を出るときに大量に栄養ドリンクを渡された。
一日1本で、成長期の俺なら2本で一日に必要な栄養素がすべて補えるらしい。
どんな成分か聞きたかったが、屋敷での食事についてもありえない見た目のものもあったのでやめたが、味は気になったのでためしに飲んだらとんでもなかった。
少なくとも病院では出してはだめなたぐいの味だ。
こんなの病院食として出されたら退院まじかの人も長期入院に変更されそうだ。
それでもただでくれたのだからありがたく飲むことにするが、それでも文句を言わなければやってられないものだった。
訓練は少なくとも見た目がまともな人間に見えるまでは、腕立て腹筋スクワットを10回ずつ1kmジョギングを1セットにしながら体から疲れが取れるまで絶で休んでを睡眠以外に当てている。
そうそう念能力は原則使用しないことにしている。
初日に纏をしながらジョギングするとほとんど疲れなかったことから、念能力を鍛えるにはその土台である体が資本になるので、それを完璧にごまかせる念能力は使わないことにしている。
よってこれから体がまともになるまでは、オーラ垂れ流しの状態として休憩中の絶しか使用しないことにした。
最初のころはほとんどが休憩と睡眠に当てられていた。
やる気があったというよりもやけになっていたが、それでも体の限界を超えられるわけではないのですぐに力尽きていた。
野宿などしたことがなかったが、そんなものを気にできるほどの心の余裕がなかったのである意味では助かった。
日に数セットぐらいしかできなかったが、休憩中にする絶が効率よくでき始めると日に十数セットできるようになった。
これだけの恩恵があるとやめたほうがいいと思うが、回復力が上がっているだけなのでこのまま継続することにした。
開き直って絶のときは念の精神修養に当てようと思って点をやっている。
最初は効果などまったく分からなかったが段々と効果があらわれて、休憩時間が短くなって修行の時間が増え、睡眠も段々短くなって夜中は疲れて寝てるのが普通だったが、調子のいいときは夜中でも修行を続けることができるようになった。
ドリンクのおかげか絶をし続けたおかげか、俺が単調な修行に飽きる前に見た目が野生児になった。
見た目を分かりやすく言うと体が細いウボォーギンだ。
伝わりづらいような気もするが、体脂肪数パーセントの体に伸びに伸びた髪の毛がついているということだ。
体が普通に戻れば目や髪の色が戻ると思ったが漆黒のままだった。
体がまともに戻ってくるとなにかしら感じるものがあった。
明確にどうと言えないが、俺がこの流星街から離れられない原因ではないのかと思えるようなものだ。
ここにいたっては自分の念能力のせいだと認めないわけにはいかなかった。
自分の念能力だがそれを完全に把握することはできなかったが、その勘から分かることはまだ時間が必要だということだけだった。
俺としてはできればすぐにでもどうにかしたかったが、どうにもならないとも感じた。
体が出来てきたので本格的な修行を始めることにした。
念能力に頼りっぱなしになって肉体が弱かったら、将来キメラアントに確実に殺されるし、このままここにいれば必ず幻影旅団にかかわってしまうような気がするので、肉体をまず鍛えることにした。
まずは腕を鍛えようと思って腕立て伏せを片手や指だけでできるようにすることにした。
だからまずは腕立てか連続でどれくらいできるようになったかの確認としてやってみたところ120回も出来てしまった。
腕が疲れた後に絶休憩で休んでやったところ同じような回数出来たので、これからはこの回数を増やすことと難しい腕立てを50回出来るようにすることにした。
両手をべたっとつけるのではなく、手のひらを持ち上げて10本の指だけで腕立てをできるようにしようと思ったが、これはすぐに数日もせずに出来るようになってしまった。
このとき普通の腕立ては200回はできるようになっていた。
本当に絶休憩は効率がよくて筋肉痛にならずにやっていられる。
次は片手腕立て伏せ、そして指だけでやっていった。
このときやっぱり小指と薬指がかなりネックになったが、ほかに何もすることがなかったのでそればかりをやっていると案外出来るもので、いつのまにか指だけでもかなりの回数出来るようになった。
このころになると普通の腕立てが1000回を越えるようになって腕には十分に力がついたと思ったので、今度は腹筋を鍛えることにした。
これは普通にやる以外に足をつるしてやるとかしか考え付かなかったので、俺の慎重よりも高い箱の端に足を引っ掛けてやる2通りを考えた。
腹筋はいきなり200回を軽く越えたので、すぐさま箱に足をかけて腹筋をすることにしたが、これが体を持ち上げるのより、足を支えるものがなくて途中何度も落ちて頭を打つことになった。
これは足に力とバランス感覚が優れていないと出来ないと気づいたので、普通の腹筋が腕立て動揺に1000回を越えられるようになったら足を鍛えることにした。
まずは走りこみで足を鍛えようと思ったが、それだけではバランス感覚が養えないのでどっかで見た修行法である川の中を走りこむのを試してみた。
本当に普通に走るよりも難しくて、水に足をとられるは川の中の石を踏んでこけたりした。
特にコケがはえているところでは歩くのでさえ苦労した。
この修行法をやっているときに、川の中の石を踏み砕くとかいう修行法もあったと思い出したので、やってみたがこっちはまったくといっていいほど出来なかった。
確か流れる水の中でも軸足のバランスをうまくとって、川の水で衝撃が逃げたとしてもそれでも打ち抜ける筋力が必要だったはずなので、これが出来ればかなり足腰に自信がつくので何度も挑戦した。
何度やっても出来ないことにいらいらして、ついつい纏状態ならどうだとやってみたところそれでも出来ずに意地になって凝でやってしまった。
念能力はやらないはずだったが出来るまでやってやるとして出来るようになるまでやった。
これを成功させるために、まずは水流に負けないように軸足をオーラで強化して、踏み砕く足を振り下ろしたときに足をただオーラで覆うのではなくオーラを気持ち流線型になるように調整して振り下ろすと出来るようになった。
石砕きが完璧にできるようになると、今度は生身でもできるようにならないと意味がないので、オーラ量を減らしたり片足しかオーラでの強化をしなかったりといろいろ試して、川の中のめぼしい石がなくなってくるころにはそこそこ出来るようになった。
このころになると修行の副産物か自分の力で石が踏み砕けるかが分かってきた。
川の水の量とかコケのはえ方や石の形とかそんなのから自分で砕けるの石が分かってきた。
それでも、100%砕けるわけではなかったが水の中も苦もなく走れるようになってきたので、次の修行を始めることにした。
石の踏み砕きで理解したのは体のバランスがきちんと取れないと力がうまく使えないということなので、今度はバランス感覚を養える修行法にした。
水の中で片足立ちするのはいつの間にかできるようになっていたので、今度はよくある棒の上で立てるというものを考えた。
近くに棒がなかったのでドリンクのビンを利用することにした。
まずは足の下において立つのだが思いのほかすぐに出来た。
水の中でバランスを養うのはうまくいっていたようなので、調子に乗って指先立ちをしようと考えてビンに親指がはまって骨が折れるかと思った。
ビンでやるのはやめて石を重ねてその上に立つようにした。
平らな石でやると簡単に出来るが、それでも何段も重ねるとすぐに崩れてしまった。
ここでも水の中の石砕きみたいにどうにかできないかと念能力を試してしまった。
念能力を身に着けると肉体を鍛えるのがおろそかになる一番の理由は、このときの俺みたいに楽をしようと考えてしまうからかもと思ったが、何もかも自分でやらなければいけない現状では念能力できっかけでも作らないとどうにもならないので、この方法でいくことにした。
相変わらず心の弱いことだが俺の性分だとあきらめて続けることにした。
念能力を使ってもうまくできるようになるにはかなり時間がかかった。
周の応用で、石をオーラで覆って石も自分の足の延長だと考えてやるのがいいと分かった。
石をオーラで覆うと石の事がなんとなく分かって、バランスが悪かったら石の置き方を変えたり体のバランスをとったりして、置く石を一度オーラで覆うとバランスが取れるようになった。
出来ればオーラで覆わなくてもバランスが取れるようになりたいので、挑戦しているが出来ているというには程遠いが、ビンには周をしなくても立てられるようにはなったのでまた後にまわすことにした。
前世でテストを受けるときは、必ず前からやって出来ないところはできるまでやって、最後のほうの問題が時間が足りなくなるという失敗を何度も犯したので、バランス感覚はもうこの辺で次に進むことにした。
ここで二度この修行をやらないと、最初に危惧した念能力に頼りっぱなしの役立たずになるので、出来ないことを後回しにするのもあれだが、このままテストの時間切れのようになるわけには行かないので、気持ちを切り替えることにした。
次は何をするかと考えて、もうそろそろパンチやキックをやってみるかと岩でも攻撃してみることにした。
結果は散々だった。
パンチはいきなりは痛いからキックでもとやってみたが岩は壊れなかった。
もちろん怪我しないように足の裏で蹴ったがだめだった。
馬鹿な水の中の石ですら踏み砕いたのに! と思って水の中の石を砕こうとすると砕ける石が減っているような気がした。
場所が悪いのかめぼしい石がなかったのかと場所を変えてみたが、砕ける石はやっぱり減っていた。
原因が分かるころには日が暮れていたが簡単なことだった。
一つ一つ出来るまで集中してやってたのが上達のコツでもあったが、その間にできたことを反復練習していなかったので、筋力が落ちていたのだ。
それに気づいてからバランスよくやらなければと思ったが、教えてくれる人もいないのにバランスよく修行なんて出来るはずもなく、それを解決する方法を考えて一晩無駄にすることになったが結論だけは出来た。
もう一回やればいいじゃん。
出来たときに比べて衰えているが、腕立ても腹筋も数百回出来るし、石砕きも出来る石や成功率は下がっているが、それでも自分が砕けるのではないかという石を判断することも水の中で片足立ちが出来るので、はじめたころよりは十分に強くなっているのだ。
だから今度はもう一度腕立てをすることにした。
このときそういえば逆立ちすれば腕もバランスも鍛えることが出来て一石二鳥なのではと気づいた。
それからは逆立ちで歩いたり、片手で逆立ちしたり、逆立ちしながら腕立てしたりと何度か頭から落ちたり背中を地面に打ちつけたがどれも出来るようになった。
ほかにも握力を鍛えるのを忘れていたと思いだした時には、ビンをあん馬のもち手と考えてなんとなく覚えている体を支える演技の真似事をして鍛えることにした。
このころになるとビンを指で挟んで逆立ちが出来るようになり、念能力を使わずとも石やビンの上に立てることが出来るようになった。
衰えていると絶望したが、進んだり下がったりしていてもきちんとスタートラインから進んでいる。
腹筋も足を引っ掛けながら出来るようになったし、足場の悪い水の中も走れるようになって、石も改めて砕けるものが増えて来るころには、キックを練習していた岩にもひびを入れられるようになってきた。
さすがに一発で砕くとかは出来ないが、ひびを段々と大きくしていって表面を砕いて壊していくことが出来るようになった。
パンチのほうもはじめたが岩を素手で全力で殴ることは出来ないので、最初は念能力に頼ることにした。
拳をオーラで覆って保護しないと痛すぎるて殴れないのだ。
最初は纏状態のオーラの9割以上を拳に集めていたが、それを徐々に減らすようにしている。
オーラで拳を覆っていても衝撃は拳に来るのでそれが気にならなくなってきたらオーラを減らしてと、同じオーラ量でも衝撃が気にならなくなるのは体が丈夫になったからだと考えて、キックでも同様にしている。
オーラで覆っていてもすねはとんでもなく痛かった。
ほかにもひじとか裏拳とかひざとか、あと頭突きとかかかと落としも挑戦している。
頭突きの上達が一番早くて面白かった。
何度も岩を砕いたおかげなのかなんとなく弱いところが分かり、オーラで覆うと岩の層になっているところとかが分かるようになった。
これを何度もしていてやっと気づいたのだが、これは周ではなくて円のような気がしてきた。
周が対象を強化して円が対象の情報を知るものだったと思い出した。
このままでは知っているはずの基礎的な念能力でさえ間違えてしまいそうなので念能力の修行を始めることにした。
主人公の系統は特質系でこれから強くなります。
ただ、その強さはどんどんわき道にそれていきます。
中身はメイドにおぼれる引きこもりですから。
これからもよろしくお願いします。
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