第6話
当主を決める日まで半年を切ってしまった。
俺としてはまだ十分に時間があると思うのだが、父も母もそう思うことはなく二人の時間としてあげていた通信の時間をほとんど俺の勉強の進捗状況を確認しあうことに費やしている。
そのときに向こうの候補が何々ができるから俺にもやっておけとか、今まで俺の自主性とかに任せていたことに口を出してくるようになった。
俺としては自分の好きなようにやっていきたかったが、失敗しては命がないのでメイドさんたちとの生活のためにいわれたとおりの勉強をしている。
両親もあせっているようだ。
この前までは俺がきっと勝てるだろうと思っていたのに、やはり心配なのだろう。
俺も最近は夢で兄に負けてそのまま殺されるとか、拷問されるとか夜中にまた飛び起きてしまうようになってしまったので、メイドさんの添い寝が一人から二人になった。
精神的に不安定になっているせいなのか、纏が朝起きたら解けているのは今までどおりだが、心を落ち着ける座禅やらなどで集中していても1時間以上、集中せずに朝飯やら勉強やらをやりながらだと2時間近く、時には2時間以上の間できなくなってしまった。
そのせいで念修行のほうは進められなくなってしまった。
実際俺は何もしないで座禅を組むとか時間がないのでできないので、何かをしながら纏をやるしかないので、勉強中は勉強に集中しないといけないので基本の纏ができないとどうしようもない。
方便のほうの点をやればいいのだろうがそれこそ何もせずに集中することができないからこそだめなのでどうしようもない。
それとこの間思い出したのだが、練が完璧にできてから凝だと思い出した。
俺の場合は練もどきで凝もどきをやっていることに気がついた。
それでも視力強化にはなっているようなので気づかなかった。
それで改めてやってみるとこれは俺がいままでやっていたのとは違うことに気づいた。
凝は本来見えにくくしたオーラを見るものだということがあらためてわかった。
なぜわかったのかと言うとそれをした瞬間に部屋の隅にオーラが見えたので近づくとあの黒いやつだった。
不覚にも大声と言うか悲鳴を上げてしまって、屋敷は大騒ぎになってしまった。
俺の悲鳴にも大騒ぎになったが、やはりそれ以上にやつの存在が原因だろう。
屋敷中から白い煙が出る羽目になった。
そのせいで屋敷の庭でテント生活になったが、ずっと外に遊びに行く機会がなかったので案外楽しかった。
ただ、メイドさんの中には常に殺虫剤を持ち歩くメイドさんが出てきてしまった。
その上に俺がたまに目を凝らすとその方向に向けて殺虫剤を噴射するようになってしまった。
この間凝でメイドさんのスカートの中は見えないものかと凝らしているときにそれをやられて怒られてしまったが、メイドさんにやさしくされるのも怒られるのもどちらもいける俺にとってはどうでもよいことだが、殺虫剤を吹きかけられたメイドさんには悪いことをしたと思っている。
ちなみに、そういう能力にしようと思ったのは最近だが、一度も成功したことはない。
今回話題に出した凝だが、変な癖がついてしまって凝もどき(視力強化)は簡単にできるが、本物の凝は集中しないとできないようだ。
まあ、訓練していけば取り戻せるとは思うが、その訓練時間を取れないのであせって、それが勉強やらほかの事やらに影響して、またあせるという悪循環に陥っている。
悪循環に陥っているときになに考えてんだと思うが、そういう変なことを思いついてしまうほど行き詰っている。
纏は寝起き以外では完璧にできるようになったが、どうしても寝起きのときにまともにできないのがネックだ。
絶はゴンが独楽のオーラを感じ取るときにやっていたことを思い出したので、それができれば合格と思って、メイドさんや庭に入ってくる鳥やら猫やら、そして、憎いあれに対してやっている。
近頃は憎いあれにたいしてもたまに感じ取れるようになったのでそれでいいとしているが、死なないようにするためにできれば完璧な絶を覚えたいところだ。
練は寝る前にオーラを全部消費しようとしていたおかげで、一般人であるメイドさんでさえおかしいと気づくぐらいのオーラ量に内心喜んだがそうそういいことばかりではなった。
オーラを体外に放出することを続けたせいで、とどめるのが苦手になってきていて堅が3分しか維持できなくなっていた。
凝もどきは纏の状態でもできるといううれしいことになったが、凝は維持時間が10秒ほどしかない。
視力強化が長時間できるのはいいことだが、隠を見破れない凝は困るのでどうにかしたいところだ。
隠は絶と同様に確認のとりようがないのでやること自体をあきらめている。
流は凝で目に集めるのに慣れたのか視力検査の結果を自由自在に変えられるようになって、それを参考に攻防力移動の比率を調整している。
纏状態ならばほとんど自由自在に比率を調整できるようになったが、練(堅)の状態では動かそうとした途端にその方向に向かってオーラが全部放出してしまう。
やったときに近くに誰もいなかったのはよかったがあの時は本当に驚いた。
周は纏の応用だけあって自信がついている。
勉強中に気分転換に下敷きを仰ぐふりをしてメイドさんのスカートをたなびかせていたことが上達に起因しているのではと思っている。
好きこそものの上手なれとは納得できるものだ。
凝はメイドさんのスカートの中や風呂場の壁を覗けないものかと考えてたし、一度も成功することはなかったけど、まあ、実際は一緒にお風呂とかはやったので覗かなくてもいいじゃないかと考えていたからその能力は身につかなかったのかも。
硬については、纏の状態ならどうにかなっているのでそれを硬もどきと呼んでいる。
ただ、その硬もどきのときに練をするとやはりオーラは維持できずに放出されてしまう。
練と纏の応用である円は得意なのと不得意なのと両方なのでどうなるかわからなかったが、結果は良いのか悪いのかわからない。
オーラを円状に広げていったら流のように意識が向いたほうに放出されてしまった。
これだけでは失敗なようなきがするが一概にだめとも言えない状態になった。
どうなったかと言うとキメラアントのピトーみたいに円が円状態ではなく指向性がある状態のようだ。
つまり、自分の体から均等にわかるのではなく、自分の意識がある方向に向けて感じることができるようだ。
ただ、3メートル先まで伸びるので良いのか悪いのかわからなくなった。
これだけできるので放出系かと思ってどうにかして誰もいないようなときに水見式をやったところ、最初はわからなかった。
結果は、水に光るもや(虹色かな)が浮いていて葉っぱが中央からずれていた。
最初は放出系だ! これでかめはめ波が打てるとか思ったが、よくよく見ると葉っぱが動いていたので操作系かよ、とテンションが下がったが光るもやが出てるのに操作系ではないと気づいてどんな系統だと疑問に思いつつ、光るもやが何だろうと指を突っ込んでなめてみると死にそうなほどまずかった。
結果、水の色が光るもやに変わるのが放出系で、葉っぱが右左にすべるように動くのが操作系で、水が死ぬほどまずくなったのが変化系でこれは特質系だ!! と喜んだが結果は具現化系だと結論付けた。
水に交わらない虹色のもやみたいな不純物が生成されてその上を葉っぱが動いて、そのもやが死ぬほどまずかっただけだと冷静になって気づいた。
オーラがすぐに体から離れていくので放出系に決まっていると考えていたので気づかなかったが、何も知らない状態でやればすぐに具現化系だと気づいたことを考えると、俺は放出系が良いと考えていたようだ。
男ならあこがれるよね、はあっ! とかいって敵を倒すことが。
まあ、気づきたくなかったんだと思う、自分の才能がないせいでオーラが勝手に体から飛んでいくのを。
系統がわかったからその修行をしたいところだけど強化系・変化系・放出系しか修行方法を知らないので、こうなれば究極の纏使いとして名をはせてやるとやけ気味に考えている。
その状態でも具現化するのは触手がいいとか考えているので案外余裕があるのかもしれない。
念についてはだめだめだが、勉強と運動については十分だと思っているから。
こうなれば会社経営者になって、メイドさんとハーレム触手ライフを送ってやる。
人としてだめな目標を掲げるようになってしまったが、引きこもりデート経験すらない男にとっては十分な原動力にはなったので周りにいるものが驚くほどの頑張りを見せている。
ちなみに夢はほとんどが殺される夢だが、たまにメイドさんとずっと一緒にいる夢を見るようになっていた。
とうとう当主候補を決める日が明日に迫った。
1ヶ月前から屋敷ではいつもは冷静なメイドさんもどじなメイドさんも仕事が手につかなくなってきていたが、1週間前から屋敷では常にお祝いムードになっている。
なぜなら1週間前から父親がこの屋敷にとどまり続けているからだ。
つまり、俺が試験で勝つことは決定しているようだ。
うれしいが美人の母親とのいちゃいちゃぶりは見ていてむかついてくる。
彼女いない歴一生だった前世を思い出すと拳を握ってしまう自分がいる、今まで一度だってできなかった硬が一瞬だができたのには驚きだ。
この1週間は屋敷にいる誰もが穏やかな表情をしている。
俺も前世の試験前はあわてにあわてて実力を出し切れなかったこともあったが、今はそんな状態になることもなく明日に控えた試験をまったく気にしないでいられた。
これには俺も硬ができたとき以上に驚いている、と言えば俺の驚きを理解してもらえると思う。
前世でこんな気持ちで試験に臨んだことなど一度もなかった。
ただ、勉強にしろ運動にしろやれることはすべてやったと心のそこから思えるので、後はやれることをやるのみとか考えて落ち着いている。
よく漫画とかで頭がいいやつが前日に何で勉強するんだとか言っていたことが実感できて、さすが漫画の中に入っただけのことがあると思ったが、もしかして現実世界でもできるやつもそうだったのではと思うと前世の自分に絶望してしまった。
だが、俺は文字通り生まれ変わったんだと前世のことを考えるのをやめた。
前世のことを考えるとどうしても最後の瞬間が思い浮かぶので、顔が青白くなってメイドさんに心配されて抱きしめられて頭をなでられてしまう。
いやいや、ものすごくいいことじゃないか。
死の瞬間はとんでもなくいやなことで夜中にいまだにうなされるが、そのおかげでメイドさんに添い寝してもらっている現状では最高のことだよ。
試験に不都合があったら困るから今はやめているが、試験が終わったら思いっきり体調を悪くしてメイドさんに看病をしてもらおう。
おっしゃー! 絶対合格してやるわー!!
動機は不純すぎるが、何であれ原動力があれば継続することが出来るので、前世からは考えられないほど勉強と運動をして頭も体も十二分に当主になれるほど鍛えられている。
このままいけばシトンマーサが望んでいるように、当主になってメイドさんたちとウハウハハーレムも夢ではなくなっていた。
だが、このときに思い出しておくべきだった。
最初に感じたこの世界はやさしくないということを。
「お迎えに上がりました。シトンマーサ様」
屋敷にいる人間の運命を決める朝は早かった。
朝食を食べているときには迎えが来た。
その迎えはわざわざ飛行船で来た。
父でさえ車で来ていたのに驚いたが、それだけこの日が重要なのだろうと朝食を早めに終えて、すべての準備を終えて玄関にやってきた。
この家で意識を持ってからこの先にある門からは一度だって外に出ることはなかったから緊張してきた。
すべての準備を終えて後はこの屋敷の門から出て飛行船に乗るだけだが、その一歩がまったく踏み出せないでいた。
この1週間は誰に心配されても漫画の主人公のように心の底から大丈夫だと両親やメイドさんたちに言ってきたが、いよいよとなって俺本来の心の弱さが出てきたようだ。
この世界に来て俺は身の危険を感じると言っていたが、この屋敷は本当に俺の心を守ってくれるところだったんだろう。
ここの住人は常に俺を見守って暖かく包み込んでくれていた。
だから、俺は強くなったと勘違いできたんだろう。
前世のころから勉強がそれほど好きでなかったのに勉強に打ち込める心の強さを。
引きこもっていて運動不足だったのに運動をしていてもそれを楽しめる心の強さを。
引きこもったせいで止まった自分の時間を動かそうとする気力もなかったが自分から新しいことをはじめる心の強さを。
周りの誰もが俺を守っていてくれたおかげで俺は何かをできていたんだと気づいた。
この門の先はその守りがまったく与えられないということに気づいた。
両親もメイドさんたちもそれが分かっていたから、この1週間誰もが穏やかな顔でいてくれたんだろう。
自分たちの人生がこんな子供に預けられて平静でいられるはずがないことなど、よく考えずともわかるはずだったのに、俺が未熟でそれを誰もが知っていたからそれを隠す努力をしてくれていたんだろう。
この門の前に立ったせいで何もかも俺の心が丸裸になって、余計なことが何一つ分からなくなったから気づけた。
屋敷にいる俺の後ろから見守ってくれている全員が俺に話しかけようとしている。
いつもは念を使ったってこんなこと分かるわけがなかったのに、今の俺には理解ができた。
未熟でも念を習得していれば人の気配に敏感になろうものなのに、俺を見ている視線の表面的なものしか感じ取れていなかった。
屋敷にいる誰もが心の底から安心なんてことを感じたことがないのは当然だったのに、追い出されたり暗殺されたり嫌がらせもたくさんされて安心するわけがなかったのに、俺は屋敷の誰からであっても暖かいまなざししか感じていなかった。
俺の心が丸裸になってやっと少しは理解できた。
前世で俺もきっと家族から自分よりも俺をいたわってくれる視線もあったはずなのに、俺はすべてが自分を責めているようにしか感じなかった。
今の俺は逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
だが、できるはずもなかった。
いや、するわけにはいかなかった。
俺が生まれてからは自分よりも俺のためにすべてをしてくれたみんなを見捨てるなんてことができるはずがなかった。
前世では自分に向かってくる重圧が重荷で自分の世界に逃げ込んでしまったが、前世と今世の経験のおかげでやっと俺は逃げてはいけないときがあることに気づけた。
たとえ俺の準備が十分でなかったとしてもここで逃げるわけにはいかなかった。
この世界で生きていくと決めたときに俺は決意したことを思い出した。
今度は逃げないと今度こそ逃げないと。
だから俺は俺にできうる限りのことをしようと思った。
「俺は絶対にここに帰ってきます!!」
一度だってやったことはないけど声に俺の決意の念をこめて振り返らずに叫んだ。
振り返ったらくじけてしまいそうだから、俺の心はまだ弱いままだがそれだけはしたくなかった。
涙交じりのみんなの声に見送られて俺は門を越えて飛行船に乗った。
このときの俺は本当に心の底からこの世界の人間になっていた。
みんなと再び会うことだけが俺のすべてだった。
飛行船に乗ると個室に案内されてそのまま昼近くまで一人でいた。
その間あらためて勉強しなおすとか落ち着かずに部屋の中をうろうろするとかをまったくせずに、俺は自然体で驚くほど落ち着いていた。
「シトンマーサ様ご気分はどうですか?」
俺を迎えに来た執事が見に来たみたいだ。
「何も問題はありません。始めて飛行船に乗りましたが快適です」
実のところ俺は瞑想状態になっていて部屋がどうこうなんてまったく気にしていなかったが、事実瞑想に邪魔になるような衝撃はこないのでこの飛行船の船長の運転は確かなのだろう。
部屋の大きさも前世の部屋が数個分で、値段で考えれば数十倍とかしそうなのでまったく文句などなかった。
執事さんと世間話をしながら待っていると飛行船内に目的地についたと言うアナウンスが流れた。
俺はどんなところだろうと窓から覗き込もうとするといきなり床に転がった。
俺には何がなんだか分からずに立ち上がろうとするが体はまったく動かず、唯一動く首だけを動かして辺りを見回すと二人しかいなかった部屋にもう一人人間が増えていた。
「今の一撃を受けても意識を保っていられるとはたいしたもんだな、このガキ」
俺の目に映った男からは生まれてから感じたことがないほどのオーラを感じた。
「それでは困りますよ。依頼では意識を保ったままであることも条件ですよ」
その男は執事の文句に不服そうな顔をしていた。
「そうは言ってもよ。こちとら何のとりえもないガキ一人を殺すだけだって言うから受けたのにこいつは念能力者だぜ。それも油断してっと俺でも危うそうなな」
「念能力者ですか? それはいったい」
「へっ、簡単にいやあよ。あんたんところのぼっちゃんよりはるかに優秀だってことさ」
そんなことすら分からない執事に対して馬鹿にしたように言った。
「それは「俺にとっちゃどうでもいいからさっさとしろよ」っく、奥様準備が整いました」
その言葉とともに部屋の壁が割れてテレビが出てきた。
そのテレビの中には美人で豪華で誰もが見惚れるような容姿だがその端正な顔が憎しみにゆがんでいて俺は怖かった。
俺は床に倒れたままでその映像を見ていたが意識を保つのがやっとで何を言っているか理解できなかった。
ただ、分かっていることは二度とあの屋敷にもあの屋敷にいたみんなに会えないことが理解できて涙が出てきた。
そのときに限って俺の耳は映像の中から楽しそうに本当にうれしそうな笑い声が聞こえた。
俺が涙を流しているのが心底うれしいのだろうが、俺はこの涙を止めることができなかった。
注意していれば気づけたかもしれないのに、こんなときのために念能力を習得していたはずなのにと、俺は悔し涙と悲しみの涙を流す以外に何もできなかった。
俺の体はどう動かそうとも動くことはなかった。
テレビの中の女はどんどんヒートアップしているようで何かいいことでも言ったのかひどく満足げな様子だった。
俺に何も聞こえていないとは気づいていないのを知らないのがとても滑稽だが、ここで這い蹲っている俺が言えた義理ではないが、俺には本当にどうしようもなかった。
何とかして体に力を入れようとしてもまったく動かない。
どれほど長く話していたのか分からないがとうとう話も終わったらしい。
部屋からひこづり出されながら俺はあきらめてしまっていた。
このまま殺されるのかそれとも拷問でもされて殺されるのか分からないが、みんなに会えないことを考えればどうでもよかった。
そして俺は別の場所に転がされ、再び出てきたテレビの笑い声が最高潮になったときに捨てられた。
体の感覚がほとんどない俺にもはっきり聞こえるほどの声が聞こえたときには、俺が転がされていた床が消えた。
最後に聞こえた声は苦しんで死ねと言われたが、飛行船から落とされたら苦しむも何もないと思った。
しかし、それは甘い考えだった。
すべてが終わったとあきらめていた俺でさえ一発で恐怖に突き落とすほどのものだった。
放り出された俺は葉っぱが川の流れに翻弄されるように、360度前後左右上下何も分からずに自分がまっすぐに落ちているのかくるくる回りながら落ちているのかも分からず、ただ鈍った体にでさえも突き刺さるほどの風が俺の体をばらばら砕こうとしていると感じた。
その瞬間に俺の体の自由と意識が戻ってきた。
そのとき俺の頭の中を閉めていたのはこの世界の大切な人や今まで努力し続けることができた欲望まみれの決意などではなく、前世の崖から落ちた後に感じた徐々に死んでいく恐怖だった。
この高さから落ちれば痛みを感じる暇もなく死んでしまうなどという常識的なことなどまったく頭によぎらなかった。
ただただあのときの恐怖だけが頭の中を占めていた。
死にたくない
死にたくない死にたくない
死にたくないしにたくない死にたくない
死にたくないしにたくないしにたくない死にたくない
死にたくないしにたくない死にたくないしにたくない死にたくない
死にたくないしにたくないしにたくない死にたくない
死にたくないしにたくない死にたくない
死にたくない死にたくない
しにたくない
しにたくないしにたくない
しにたくない死にたくないしにたくない
しにたくない死にたくない死にたくないしにたくない
しにたくない死にたくないしにたくない死にたくないしにたくない
しにたくない死にたくない死にたくないしにたくない
しにたくない死にたくないしにたくない
しにたくないしにたくない
死にたくない
あんなしにかたはいやだ
だんだんとしんでいくのはいやだ
あんなしにかたはいやだ
ひとりさびしくしんでいくのはいやだ
あんな死に方は嫌だ!
自分の命の灯火が消えていくのを実感しながら誰にも知られずに寂しく死ぬのは嫌だ!!
い・や・だ・あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
発動
死の拒絶永遠の渇望
読者の皆さん作者のディズです。
私の作品を呼んでいただきありがとうございます。
この話でプロローグは終わりました。
二次創作でありながらぜんぜん原作と絡んでません。
原作キャラと絡むのはもう少しお待ちください。
これからもがんばっていきますので私の作品をよろしくお願いします。
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