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第3話


この世に神なんているもんか。


たとえ居たとしても絶対慈悲深い神様じゃない。


人の不幸を楽しむ神に決まっている。


死にかけてくれた俺の願いをかなえてくれたから本気で毎日神様に祈るのもいいと思っていたのに、最高に盛り上げてから落とすなんて最悪だ。


もう、鬼の所業としか思えない。


いや、絶対俺の最後の願いを聞いた神は鬼かもしくはドSだ。


なぜなら、この世界はやさしくない世界だからだ。






俺の毎日はたまにやってくる母に相手をしてもらったり、乳母らしい人にあやしてもらうのが日課になっていた。


とてつもなく暇で何かほかのことがやりたくなった。


そうそう、乳母も母親と同じ言葉をしゃべっているようで大体言葉を理解できるようになった。


前世で英語を理解するのに費やした苦労を考えると、赤ん坊の柔らかい頭と言うのはすごいものだ。


ますます勉強や運動が楽しみになってくる。


モテモテとは言わないまでも恋人の一人ぐらいはほしいところだ。


前世はデートすらしたことがなかったからな。


ゲームの中だったら何度も世界を救ってヒロインにモテたけどな。


うつだ。


いやいや、せっかく新しい人生なんだから昔のことは忘れて幸せになるぞ。


そのためにできることからこつこつと、ということで手を胸の前で合わせて全力で押し合うことにより胸の筋肉を鍛える。


たしか、バストアップ法だったが筋肉がつくのは間違いないはず、それに握力を鍛えるために手を毎日にぎにぎするのだ。


そして、将来りんごを握りつぶすぐらいの握力を手に入れるのだ。




毎日のように手を合わせたり独自の鍛錬を続けていたら、いつのまにかハイハイできるようになったし、目も普通に見えるようになってきたので、赤ん坊を装いながら家の中をハイハイで徘徊して情報を集めることにした。


まあ、訓練の賜物というよりは単純に成長しただけのようだが、せっかく動けるようになったんだから有効に活用しなければ。


それにこのごろ母親がまったく来ずに乳母ばかり来るので少し心配なのだ。


俺にとっては今世の母なので心配なのだ。


よって俺は生まれてから過ごしたこの部屋から旅たつのだ。




俺が寝ている部屋でうすうすと思っていたが、俺の親は資産家らしい。


俺が寝ている部屋でさえ前世の実家の居間より大きかったが、ハイハイで部屋のドアから出るとびっくりした。


テレビで見たことしかない廊下に何部屋も扉がついている家だ。


部屋から出た瞬間に自分の体のどこから出たんだという悲鳴というか、奇声、いや、奇音と言うべき声が出たせいで扉からいっせいにメイドがあふれてきた。


必死な顔でいっせいに迫ってくるのは一種のホラーだった。


少しもらしてしまったのは内緒にしてもらいたいことだ。


母親だけではなく美人のメイドさんにオムツを替えてもらった。


本当に変な趣味に目覚めてしまいそうでいやだ。


乳母がおばさんであることが唯一の救いでもあるが、残念なところでもある。


もうかなり手遅れに近いかもしれないが、父よあなたにあったら出来れば母とは違う言葉を教えてほしいとか思っていたが一番聞きたいことができました。


こんな若いメイドさんをたくさんはべらして、いったいあんたは何者なんだ?


それと、ありがとう。


女性に大事にしてもらえるっていいことですね。




それから俺は体が鍛えられるのではと思うことは全部やることにした。


手が疲れて動かせなくなるまでハイハイするのは当たり前、手が疲れたら芋虫のごとく這ってでも体を酷使することを続けた。


運動なんて前世から嫌いであったが、どんな理由であれ女性に大事に扱ってもらえるのがどれほどすばらしいことか知った俺には苦労なんて何も感じない。


暖かい手で頭をなでてもらえる心地よさ、胸に抱いてもらったときの体の柔らかさ、ふと香る今までにかいだことのないにおい、すべてがすばらしい。


今は赤ん坊だからこれらを何の苦労もなく感じられるが、成長すれば絶対に無理だから今のうちに体を鍛えておくのだ。


本当は転生主人公らしく勉強もしたかったのだが、俺がやっていた言語は英語と中国語ともちろん日本語なので、母や乳母やメイドは同じ言葉を話しているので何を話しているかは早くに理解できるようになったが、字を教えてもらったわけではないのでハイハイで徘徊して見つけた書物や新聞はまったく読めなかった。


なので今は体を鍛えることが第一になった。


俺が話せればまた違ったこともできるだろうが、不気味がられてもいやなので普通の子が話せるぐらいまでは体を鍛えることにした。


ふふふ、部屋から抜け出した俺を回収しにメイドさんが来た。


また、メイドさんの胸に抱いてもらえる。


世の中手段と目的が入れ替わることは多々あるらしい。


おおっ今日は一番巨乳のメイドさんだ。




立って歩けるようになれば片言にしゃべることもできるようになったので、絵本で文字の勉強中である。


本当はきちんとした勉強をしたいのだが、引きこもりである俺にはこの誘惑を跳ね除けることができないのだ。


そう、メイドさんのひざに乗って胸にもたれながら絵本を読み聞かせてもらうという男の夢を体現したようなこの誘惑は。


いや最初は俺も抵抗しようと思ったんだよ。


思っただけだけどな。


でも、腹筋やら腕立てやらはやってるんだぞ。


ほかにも重い本をダンベル代わりにしたり、でも一番多いのが絵本だけど、ついでにメイドさんに添い寝もしてもらってるけど。


いやでも仕方ないんだよ。


だって、絵本を読んでもらってるときはメイドさんからいい香りがするし、腕立てやら何やら運動をがんばってると頭なでてほめてくれるし添い寝もしてくれる。


うう、しょうがないんだよ。


彼女居ない暦一生だった男が転生して、金持ちになってメイドさんに囲まれた状態になったら絶対こうなるって、きっと誰もがわかってくれるはず。


転生主人公が調子に乗る理由がわかった気がするよ。


メイドさんは最高だ。


それにこの状態になっても神様に祈るのはかかしていなんだぞ。


ま、まあ、それだけではどうしようもないほど転生したときからは志が地に堕ちたけど。


いいんだ、俺はこれからメイドさんに囲まれた退廃的な人生を送るんだから、前世よりさらに引きこもり具合が悪くなったような気がするけどもうどうしようもないんだ。


女を知らなかったやつが夜の繁華街で金をつぎ込んで身を破滅させるというのを馬鹿にしてたけど、本当にそのとおりだ。


美人のそれもメイドさんにちやほやされて何も感じない男がいるもんか。


もう俺はこのままで十分だ。




と思っていたころが俺にもありました。


父どころか母もほとんど会いに来てくれないのを変に思っていたが、面倒見のいい乳母に美人のメイドさんに囲まれて俺は満足していたので、実際は変に思ってもメイドさんに呼ばれればまったく気にも留めていなかった。


しかし、ある晩に人の気配がして目が覚めた。


いや、もういまさら格好つけるのもしょうがないので正直に言うが、トイレに行きたくて目が覚めた。


まあ、自室の隅にあるおまるなんだが。


正直理由はどうでもいいが目を覚ましたらキスシーンだった。


本当にびっくりした。


声を出さなかったのをほめてもらいたいが、実際のところは驚きすぎて固まっていただけだけど。


硬直が解けてから恐る恐る目を凝らすとその片割れは母だった。


ほわ、不倫か!


と思ったが、どうやら相手は一度も見たことがない父だったようで一安心した。


初めての対面がキスシーンなんて気まずかったが俺は喜んでいいた。


父の顔も母に負けず劣らず良好だったので、これで遺伝子が失敗していない限り将来俺は母譲りの金髪碧眼か父譲りの紅毛碧眼の美形である。


これだけでも勝ち組みなのに、いくら寝ているとはいっても赤ん坊の前でキスをするのなら夫婦仲も良好で将来性はばっちりだ。


最初絶対父親がメイドさんで失敗して家に寄りつきづらいと考えていたのでうれしかった。


しかし、その喜びも今夜の父と母の話ですべてが覆った。




すべてを理解することはできなかったが俺に衝撃を与えるには十分だった。


父はとんでもない資産家で名家らしい。


父には一家の長であるおじい様が決めたいいなずけがいた。


おじい様とやらは実際は数代前から生きてる長生きな爺さんらしい。


父はおじい様の直系で将来この家を継ぐことが決まっていたらしい。


しかし、メイドであった母を好きになり結婚したいと言ったらしい。


当然家を支えるための手段としてのいいなずけだったのでそんなことは許されるはずもなく反対されたが、一度も引かなかった父のためにいいなずけとの間にまず第一子をもうけたあとなら母との結婚は認めないが子を作ることを許したらしい。


これだけなら跡取りがいいなずけとの間の子供で決定するはずだったのだが、このおじい様がとんでもない条件を出したらしい。


いいなずけとの子供が15歳になる前に母との子供が跡取りとしてふさわしいなら母を本妻として認めるらしい。


つまり俺が本妻との子供より優秀なら母が本妻になるらしい。


このとき俺は無駄に前世の知識をひけらかして余計な行動をとらなくてよかったと思った。


母には悪いが前世は引きこもりで今はメイドさんの誘惑に負けてるし、俺が事業とかをまともにできるとは思えない。


母も父との子供だけで十分だったらしいが、本妻のほうがいい気分になるわけがなく、かなりの妨害工作があったらしい。


俺の前に2人いたらしいが、1人目はおなかにいるうちに毒盛られて死んで、2人目は向こうに雇われた看護士に生まれてすぐに殺されたらしい。


母を直接狙ったのもあったから母は体を壊していてほとんどベットの上での生活らしい。


俺が母とほとんど会えなかったのもそういう理由で、父を一度も見たことがなったのは本妻のほうがいる邸宅で生活することで母や俺にこれ以上矛先を向けさせないためのようだ。


ちなみに本妻には6人も子供がいるらしい。


向こうには長男が15歳になるまでに生まれたどの子供でもいいらしい。


そのせいでそれぞれの誕生日が1年以上開いていないらしい。


父のほうはやるだけで簡単だろうが、本妻のほうは子供が生まれたらすぐに妊娠してまた生んでを6回も繰り返してるのだからすごすぎて、尊敬してしまいそうだ。


ちなみにこの家がメイドさんの館になっているのは元メイドさんの母に父を取られたので本宅で全員追い出されたようだ。


俺としては無事に生まれたしメイドさんに囲まれた生活ができるのでこのままでもいいかなと思ったが、また思い出したように本妻が刺客を送り込んできたらしい。


母はそれを聞いて取り乱したようだが、父のもう撃退したということを聞いて俺も母と同様に安心した。


しかし、そのときの撃退した人間の職業を聞いて俺は驚いた。


ハンター協会推薦の護衛ハンターと言った。


最初なにそれどんなマニアな人が作った警備会社だよと思ったが、こんな豪邸を立てられる金持ちが自分の妻を守るための警備をそんなのに任せるはずはないと思って、よくよく考えてみると絵本の題材も何ちゃらハンターとかが多かったと思い出し、冷や汗を流しだしたのを誰も文句をつけられないだろう。


てっきり普通に転生したものと思っていたが、転生自体普通ではないが、まさか漫画の中に転生しているとはまったく考えていなかった。


その後は呆然として父と母の話が終わり出て行ってもまったくわからなかった。


それから俺は原作を思い出してさらに冷や汗が出てきた。


ぽっと出のモブキャラはもちろんまともに名前のあるキャラまで死ぬことを思い出したからだ。


それに俺の家の話も父が生きている間はいいがもし死んだなら後は俺が殺される可能性にやっと思いついた。


俺の兄か姉か知らんが2人も死んでいるにもかかわらず、さらに刺客を送り込んでくる余裕があるのだから、俺の腹違いの兄が実験を握ったら殺される。


絶対この世界金か権力があれば殺しも合法化しそうだ。


ヒソカがいい例だ。


いくら死人が出ることが前提であるハンター試験といっても、受験者をあれだけ殺してるのに資格をもらえるのはいいとしてもそのまま放置とかありえない。


現代日本とは命の価値が違いすぎる。


本気で金より価値が低い世界だ。


事業についてできるかどうかわからんが、後継者にならないとその時点で死んでしまうし、将来的に念能力者になってないとキメラアントに殺される。


後継者になったときは蜘蛛に狙われる可能性もありそうだ。


骨董品とか価値のあるものを持ってると殺されそうだ。


やばい、どのルートもバッドエンド判定が厳しすぎる。


せっかく人生をやり直せると思ったのに。


当初の真人間になるという目標を捨ててメイドさんと遊ぶことばっかり考えてた天罰か、いや、生まれ変わった世界がこうなんだからどんな目標を持ってても一緒のはずだ。


つまり、かみさまのばかやろうー!


この日俺は神様を信じるのをやめた。








私たちメイドがお屋敷からいっせいに追い出されてから、それなりの月日が経ちました。


私たちの仲間であるマーリヤ、いえ、マーリヤ様が旦那様に見初められてしばらく経ったころでした。


私たちから見れば親が決めた許婚よりもお似合いの二人でしたが、身分違いのため不幸になるだろうと思いつつもばれないように見守っていましたからいつかこの日が繰るのではと思っていましたが、一斉解雇は思いのほかびっくりしてどうすればいいか迷ってしまいました。


それを哀れに思ったのか旦那様のおかげで、マーリヤ様の身の回りの世話というまた一緒の職場で働けることを喜んでいましたが、何人かは解雇されるのを見越して次の就職口を見つけていたようで互いにがんばっていきましょうと別れました。


自分と同じ立場だったマーリヤ様を主とするのは多少変でしたが、もともと旦那様に見初められるほど好感の持てる性格だったので、結局仕えるというよりは友人のお手伝いに来ているという感覚で働けて、追い出されても気持ちがよく働けたのでまったく不満がなかった数ヵ月後に思いもよらない便りがきました。


新しい就職先を見つけたメイドがすべて死んでいたというのです。


最初は何かの冗談だと思いましたし、本当であっても不幸なことは立て続けに起こるものだと思っていました。


しかし、それはまったくの思い違いでした。


それに気づいたのは買出しに行ったメイドがすべて行方不明になったときでした。


最初はだんな様のお金を狙った身代金目的だったと思っていましたが違っていました。


交渉も何もなく行方不明になって1週間後に届けられたのです。


女の尊厳を踏みにじったような無残な姿で玄関先に捨てられていました。


それは人ではなくものなのだと言わんばかりに鮮やかな色彩に彩られていました。


それは無残さを隠すのではなくより引き立てるようにされていました。


これは何かおかしいと私たちが気づいたときに、ちょうど旦那様から伝えられました。


この場にいない屋敷に使えていたメイドはすべてあの女に殺されていたということを。


それからというもの旦那様が警備を厳しくしてくださったがその警備をかいくぐるように無残に殺されていった。


そのときはさすがにマーリヤや旦那様を何より恨んだが、せっかく旦那様との間にできた子供を毒を盛られることで失ったときの嘆きようを見れば誰もが命を狙われるのを忘れ同情した。


それから私たちはより団結しマーリヤの子供に希望を託そうとしました。


私たちは所詮メイドでありあの女に対しては何もできずおびえていることしかできないのはわかっていましたが、唯一私たちが抗えるのはマーリヤの子供が優秀だったとき、よって私たちは子供を優秀な後継者になるように育てることにしました。


それからは何とかして外部との接触をたち、このマーリヤ様のお屋敷の中だけで生活できるようにしました。


そのかいあってか待望の子供が生まれるときになって、信用できるとしてつれてきた医者の看護師が刺客だったのです。


私たちみんなが待望の子供だと喜んで注意がそがれていた一瞬のうちに終わっていました。


赤ん坊がばらばらにされたのです。


生まれた赤ん坊をみんなが見に来ていたあの瞬間に。


あのときの情景はあの場にいた全員の脳裏に焼きついています。


その後その看護師は警備のものが殺しましたが私たちはもうすべてをあきらめました。


あの女への復習の道具として子供を利用しようとした時点で同じだったのだと、他人の運命を勝手に決めて都合のいいようにしているのだとすべてをあきらめました。


そのことをあの女が知ったのか、それとも旦那様の説得を聞いたのか、それとも子供が複数できてこっちにかまっていられなくなったのかはわかりませんが私たちは狙われなくなり、マーリヤ様は新しい子供を普通に生むことができました。


屋敷にいるすべての人間が何事も起こりませんようにと願って生まれた子供でした。


その子供が生まれる前は中にはまだ後継者として育てようというものがいましたが、生まれてきた子供見るとその考えをやめざるおえなかったようでした。


それほどまでに何事もなく子供が生まれるという普通のことをうれしく感じ、抱いた赤ん坊は小さく、何より重いものでした。


あの女の子供が成長し時期当主として認められたなら私たちの居場所はなくなるでしょうが、おそらく私たちにかまうこともなくなるでしょう。


一度当主として認められたからには私たちには覆すこともできませんし、塵芥にかかわっているよりは自分の地位を磐石にしたいと考えるはずなので、旦那様がどれほど望んでもあの方の決定は決して覆らないでしょうから私たちにはもちろんのことこの子供にも何もしなくなるでしょう。


決まった後でも気にしていると、あの方の決定が覆るなどと言う恐れ多いことを考えているとして、逆に粛清されてしまうでしょう。


それほどまでにあの方の決定は重いものです。


だからこそこちらをどんな手を使ってもこちらを牽制しようとするのでしょう。


ですがこちらを牽制しすぎて自分の子の教育をおろそかにしないためにこちらへの牽制は沈静化しているのでしょう。


何より旦那様があの方に進言したそうですし、あからさまな行動はもう取れないでしょう。


いくら妾であるマーリヤの子供といっても、あの方の血筋を引いているのは確かなことなのですから。


ですから健やかにお育ちください。


私たちで大切にお育てしますから。


マーリヤ様とシクガ様の大切なシトンマーサ様。






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