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第19話


「……生きてるわさ」


「そこは知らない天井だとか言って欲しいな。おはようビスケ、気分はどうだ」


「状況がまったく分からないわさ」


「試験中とは逆だな。試験は終了して成績が良い順から上位4名が合格だ。つまり、俺、ビスケ、他2名が合格」


「そうじゃないわさ。なんであたしが生きてるか聞きたいわさ。あの時あたしは死を覚悟したわさ。あんたの拳は確実にあたしの頭を吹き飛ばすだけの力があったわさ。どんな奇跡が起こったって生きているのは無理に決まってるわさ」


「……俺が寸前で止めたとか思わないのか?」


「あんたの力量じゃ絶対に無理」


そのとおりではあるがさすがにそこまで断言されると凹む。


このまま話さないという選択肢はなさそうなので話そうとすると試験官が来た。


合格者にする説明をしたいそうなので外に出た。


俺はすでに2日前に聞いていたので廊下で待った。


ここに来るまでに大変だったがとうとうハンターライセンスを取った。


念を使えているので裏試験も合格だ。


これで俺もプロハンターの仲間入りだ。


『これからどうしますかご主人様?』


『どうするもなにも屋敷を探しに行くのさ』


『それは分かっています。どうやって情報を探すのですか?』


『えっ? それは……いろいろと』


まったく具体的な方法を考えていなかった。


「なにしてるわさ? さっさと説明するわさ」


「あっビスケ……説明って聞いてないのか?」


「あんたが教えてくれるって言ったわさ。さっさと教えなさいよさ」


説明も何も一言で済んだ。


「ビスケがいきなり小さくなって俺は空振りしたんだ」




ビスケに攻撃が当たらない。


俺のすべてを出し切っているのに当たらない。


悔しいがビスケは本当にすごい。


でも、ビスケの攻撃も何とかかわせている。


そのことが何よりもうれしくて楽しい。


他の受験者と戦ったときはいやいやだったが、今この瞬間は本当に楽しい。


自分では届かない高みにいる人とオーラという裏技を使っているが同じ土俵に立てるのがこんなに楽しいとは思わなかった。


俺が拳を振るえば相手はそれに答えるように交わし、その隙を付いて攻撃してくるのを今度は俺がかわし、俺がまた攻撃をする。


それを繰り返すことに俺は意味なんてないと思っていたが楽しい。


俺のすべてを体中から出し尽くしているのが楽しい。


今まで一度だってここまですべてを出し切ったことなんてなかった。


こんな余分なことを考えているのさえ無駄に思えてきて俺はもう戦うためだけの存在になった。


徐々に徐々に俺は追いついていきとうとう完全に捕らえた。


そして、追い越して拳を振るった。


そのとき、俺の意識はトワリエラによって夢の中に引きずり込まれた。


邪魔された。


そのまま俺はトワリエラを捕まえて怒りをあらわにしたがトワリエラが俺に言ったことで目が覚めた。


「ビスケを殺すの」


ビスケに殴られても俺が生きていたのは俺の体に流れるオーラがビスケに比べてはるかに多かったからだ。


ビスケの体が鍛え上げられていても俺のオーラを攻撃にまわしたら耐えられるわけがない。


俺は後悔した。


ビスケの高みにまで届こうと思ったが殺そうと思ったことなどかけらほどもない。


世界がぶれてきた。


ここは俺のオーラでできているようなものだから俺のオーラを消費すれば維持できないのは当然だ。


俺は絶望でいっぱいだった。


トワリエラが泣いている。


俺も泣いていた。


出来ることといえばもう俺の拳が何とか当たらないことを祈るだけだ。


俺の体はもう勢いに乗っていて止めることとも戻すこともそらすことも何も出来ない。


現実に戻って感じたのは拳を伸ばしきった感触だった。


止めた感触も戻した感触もそらした感触も何も感じなかった。


何も感じない?


なぜ拳が当たった感触すらないのか?


疑問に思い目を開くとそこにはビスケはいなかった。


変わりに少女が倒れていた。


「はあっ?」


俺はそこから先は何も分からずそのまま俺は勝利したことになり目の前の少女は医務室に連れられていった。


そこからは俺はなにをしていいかわからずに俺だけが別室につれてこられて後のことは何も分からなかった。


聞かされたのは俺とビスケと他2名が合格したことだった。


ここでビスケの名前が出て生きているのかと聞いたら、今は元の姿に戻ってオーラの使いすぎによる昏睡状態と言われた。


ますますわけが分からなくなったが、姿を変えたことと少女が目の前に倒れていたことから記憶との類似点を見つけた。


どうして姿が変わったかは分からないがビスケが原作で姿を変えていたことを思い出せば混乱した頭も冷えてきた。


俺の最後に放った拳はビスケの頭に当たるようにだ。


つまり、少女の姿になれば頭の位置が変わって俺の拳は空振りしたのだ。


俺は安堵しすべての力が体から抜けそうになるが体の疲れよりもビスケのほうが心配で見に行くといつもの姿に戻っていた。




「というわけでビスケが小さくなったから俺の拳が空振って無事だったわけだ」


俺の話しを呆然として聞いていたがすぐに正気に戻って俺の首を締め始めた。


「どうやったら小さくなれるわさ」


その力はすごく俺はそのまま疲労と合わさって意識を手放した。




目覚めるとそこは


「知らない天井だ」


「……あたしが起きるときもそういえばそんなことを言ってたけど、何か理由でもあるわさ」


目が覚めると横にビスケがいた。


「意味はないけど一度はやってみたかったことだからね。それで説明はしてもらったのか?」


「ハンターライセンスについては教わったけど念については何も聞いてないわさ。目が覚めたんならさっさと教えるわさ」


「俺がした念についての説明は全部覚えてるよね」


「当然覚えてるわさ。だから、纏と練をまじめにやってるわさ」


さすがビスケ基礎をおろそかにするようなことはないようだ。


「俺は人に教えられるほど出来るわけじゃないのは知ってるよな」


「そんなのあんたの戦いを見てたら分かるわさ。まだ、心源流拳法の子供の部のやつらのほうが戦いはうまいわさ」


自分でも気づいていることを言われるのはこんなに心をえぐるのだということを嫌というほど分かる言葉だった。


「……はあ、もう少し優しく言ってくれよな。ビスケの念の系統と発によって起きたことだと思うよ。えーーっと紙と鉛筆は…っととこれだな」


紙に念の六性図を書いた。


「これが念の系統をあらわしたものだよ」


ビスケにその紙を渡してしばらく待った。


「これだけじゃあ何も分からないわさ」


「それはそうだけどこの中のどれにビスケが入っているか分からないと確認の仕様がないんだ。だから、水見式っていう念の系統を確認することをやってもらわないと何も言えないよ」


「だったら、すぐにやるわさ」


当然そう来るとは分かっていたから俺は難しい顔をしてしまった。


「ここまでいっておいて秘密にする気だわさ」


ベットに寝てなければ走って逃げてしまいそうな殺気が向けられてしまった。


「そうじゃないんだけど……系統を人に知られるのはあまりいいことじゃなくて、ここまで勝手に教えた俺が言うことじゃないけど、ハンター試験を合格したら教えてくれると言われたなら師匠さんに教えてもらったほうがいいよ」


「そんなことはもうどうでもいいわさ。すでに師匠には連絡して念のことを知ってる受験者に聞くと言ったわさ」


もうすでに行動を起こしていたようだが俺が教えることになってるけど俺の意思は。


「あんたの意思なんてこの際無視だわさ」


きれいに無視されてしまった。


「その代わりにあんたの探し物を手伝ってやるわさ」


そう言われて俺は思い出した。


屋敷を探すといっても原作主人公並みにハンターになったらなにができるかなんて知らない。


ビスケが一緒に探してくれるのならこれ以上心強いことなんてない。


視界の端のほうにいるトワリエラも何度もうなずいている。


「それじゃあよろしくお願いします」


「ふふふ、どっちが教わるのか分からないわさ。でも、こちらこそだわさ」


心強い仲間を得て俺は、いや、俺たちは旅に出た。






「ハンター専用サイトをで調べたらすぐに見つかったわさ。師匠にあんたの探し物を手伝うから何か役に立つかもと聞いといたわさ。100万ジェニーでよかったから貸しにしとくわさ」


あんなに知りたがっていた情報が一瞬で手に入った。


それも100万ジェニーで。


「お手軽で安すぎるだろおぉぉぉぉ!」


すぐに見つかったことはうれしかったが納得いかなかった。


「シトンって本当にいいとこの子だったんだわさ。この死んだことになってる子供がシトンでしょ」


俺はそれを確認せずにサイトを閉じた。


「ちょっと、まあ、分からないでもないわさ。意気込んで調べようとしたら感嘆に見つかるなんて納得いかないのは当然だわさ」


その場所の住所と地図をプリントアウトしたのを持って外に出た。


いろいろと納得いかないことがあるが見つかったのは喜ぶべきなので向かうつもりだった。


「当然だわさ。ここから行くなら飛行船に乗ってその上そこまで行く方法を手に入れたりとか準備はまだまだいっぱいあるわさ。これも貸しにしとくわさ」


ビスケにもろもろの金を借りてホテルに泊まる。


俺は公共の安宿にただで泊まるつもりだったがビスケが嫌がってビスケの金で高級ホテルに泊まる。


前世でテレビのたび番組でしか見たことないような部屋だったがハンターライセンスは偉大で最高級の最上階すべてを貸切に出来た。


冗談で二人で一部屋でいいじゃんとか言うと強烈なボディブローをもらった。


その後部屋に引きずられていって念の修行になった。


だったらもう一緒の部屋で良いのにとか言うと乙女心が分からないと言われたが、人との関係がうまくいかずに引きこもりになった男になにを求めてるんだ。


ギャルゲーでしか女心なんて分かるわけないんだから無理に決まってる。


だってあれには心の声や視点変更があって登場人物の心理描写がしっかりしているからな。


まあ、そんなどうでもいいことはいいのでビスケに本当は自分で気づいて出来るようになったほうがいいのだが俺にはそれをうまく教えられないからと、前置きをして実演した。


基本の纏、絶、練をまず見せた。


それから応用技の凝、流、周、円、硬を見せた。


応用技のほうは凝ができていないからなんとなくしか分かってもらえなかったが、俺も自分で改めてやらないとどう説明すればいいのかわからなかったのでやりながらだった。


俺のつたない説明でもまあ分かったのか納得してくれた。


病室で書いた六性図をもう一度書いてそれぞれどのような能力なのかを説明した。


その後でグラスに水を入れて葉っぱを浮かべて水見式をやってもらうことになった。


「あんたどうなるかやって見せてよ」


俺の水見式は屋内でやるのは危険すぎるので他人に系統を知られるといけないというもっともらしい理由で断った。


「…………つまりあんたは特質系なわけね」


俺は本気で驚いた。


「ここまであたしに話したあんたが話さない時点で変だと考えるわさ。もっともらしいことを言って隠してるなら、この水見式でへんなことが起きるんじゃないかとすぐに思ったわけさ。でも、水見式についてあたしにはそんな説明まったくなかったわさ。何かへんなことや危険なことが起こるならあんたは絶対説明してるわさ。ということはどうなるか……あたしにまったく説明しないことから考えて普通は危ないことも危険なことも起こらない、つまり、あんたは普通でないことが起こるわさ。なら、六性図で他にはない能力と説明した特質系だとすぐ分かるわさ」


「そんなに俺は分かりやすいか?」


本当に疑問だったので聞いてみた。


「分かりやすすぎるわさ。女に弱すぎて絶対に女で破滅するのが決定してるわさ」


「男だったら女で破滅するのも覚悟のうえだ!」


「そんなことどうでもいいからこの水見式どうやるか教えるわさ」


ちょっとかっこいいセリフを言ってみたかっただけなんだと、自分に言い訳しつつグラスを手で挟んで練をするだけだと説明した。


やっぱり見た目の変化はあらわれなかった。


「……いつまでしてれば良いわさ」


そこで一度やめてもらってグラスの水をなめてもらった。


「これ、ただの水じゃなかったわさ?」


俺もグラスの水をなめると甘酸っぱかった。


「グラスの水の味が変わるのは変化系で、あとは修行でこれが顕著になるようにするだけだ。普通はこの後にさっき説明した応用技をやるんだ」


「まずは自分の系統をしっかり認識することが必要と」


それからいくらか考え込むと何か結論に至ったのか俺の知っている念能力者について聞いてきた。


知らないといってもいいのだがうそを突き通すことなど出来ないのでぼかして、ぼかせることが出来ていたかどうか分からないが少なくとも今の時間にはいない人たちのことなので、覚えている限り説明した。


それでもう聞くことはないと思ったのか水見式を始めて俺は暇になった。


何度話しかけても無視されたので俺は円でビスケの体を調べまくった。


その瞬間なぜかビスケが悲鳴を上げてしまった。


俺は分からずそのまま調べまくっていたらなぜか顔を真っ赤にしたビスケに首を捕まえられた。


「なにするんだビスケ」


俺は試験後に自分の能力が上がっているのが分かっていたので、隠をした円がばれているとはかけらも思っていなかったのですっとぼけた。


「死ねこの変態」


その声とともに拳が迫るのが円によって分かったが、首をつかまれていてはかわすことなどできるわけがなく俺はそのまま気を失った。




「トワ、どうして俺は殴られたんだ?」


殴られたと同時に夢の中に来るといういつもどおりのことなので、驚くこともなく目の前にいるトワリエラに聞いた。


「ご主人様の念能力が強くなったせいです」


あきれたように俺は見られたがいつものことになりつつあるので気にせずに詳しく教えてもらった。


「できれば気にしてもらうほうが……まあ、いいです。ご主人様の円の隠匿具合はビスケさまでは絶対に分からないレベルでした」


「そう、そのはずなんだ。いくらビスケに才能があっても今はまだ俺の円に気づけるとは思えないんだが」


「ご主人様の円が強力になって触られている感触まであったからです」


俺の円がとうとう最終進化を果たしてしまったようだ。


ただ意識して使用すれば今までどおり探査に使えるそうだ。


ついでに、それぞれの念について確認した。


すべての基本の纏でさえ今までとは比べ物にならないオーラの量だ。


堅もとんでもない力強さだ。


凝や流もオーラ量が増えると使いづらくなっていたが問題ないほどに使える。


周も夢の中のものだがスムーズにオーラで覆うことが出来た。


絶についても目の部分以外の精孔を閉じて体を見れば確かに閉じている。


目だけにオーラを集めると留めるのが難しく目からビームもどきを出していたが、今はそんなことにならずに自分の体を確認する余裕がある。


夢の中の部屋を見てみるとビスケがとってくれた高級ホテルの部屋のように広くなっている。


調度品も今まであったようなどこにでもある普通の家具ではなくて、今さっきまでいたホテルの調度品になっている。


ベットだけがあるだけのなにを考えているのか丸分かりだったあのころに比べれば自分の成長がはっきりと分かる。


ただ、その中でも異様なほどベット周りがすごいことになっているので心の成長はいまひとつだということも同時に分かる。


別に世界一強い男に俺はなるという目標があるわけではないので、まっいいかといつもの行動に出る。


しかし、今日は趣向が変わっている。


なぜなら、円が成長したのも同時に確認するからだ。


結論が出た。


円はとてもすごかった。


俺に従順なトワリエラがビスケのように俺をたこ殴りにしたといえばどれほどだったか分かるだろう。





せっかく強くなったのに主人公が変な方向にどんどん目覚めていますが見捨てないでください。
まあ、ここの主人公は強くなっても初心を忘れずということで勘弁してください。
やっと、ハンター試験が終わりました。
原作までの道のりは遠いですがこれからもよろしくお願いします。


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