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英雄学園・きーくんは虫が苦手?

作者: 陽一

一理様のセヤ・イチリオさんとむにちゃん(http://15107.mitemin.net/i239689/)お借りしました。

「なんで逃げんだよ」


 木の上から、傍らに大きな幼虫らしきものを抱えた男子生徒が離れていく姿を確認しているきーくんへ、この体の主人格であるブランは吐き出すように聞いた。


「だって……オレ、植物だから」

「植物だから何だってんだ」

「あんまり食べられて、光合成できなくなると死んじゃうかも」


「テメーは食われるほど露出してねーだろが」


 寄生植物であるきーくんはその体である植物体のほとんどを宿主であるブランの体の中にのばしており、その皮膚の直下に近い部分で光合成もしている。

 露出しているのは、寄生時からそこに留まり続けている種子の残骸――動物で言う脳にあたる機能を果たしている部分と、毎年繁殖期になると開花する左手の甲にある花、それに僅かばかりの茎の先端だけだ。さらに服の下に隠れていない部分となると、花だけである。


「ちょ、ちょっとは出てるから、万が一ってことも……」

「あ? 出てるぶん多少食われようが死ぬかよ、種以外なら」


 栄養のほとんどは宿主であるブランが摂取したものを受け取っているため、最悪光合成ができなくとも、ブランが食事をとっていればきーくんのみが死ぬことはない。

 それに、植物体の再生、成長速度はそこそこのものだ。


「種食べられたらどうするのさ!」

「テメーの種なんざ美味くもねーモン、むにちゃんが食うかよ」


 男子生徒――セヤの抱えていた幼虫の名は、“むにちゃん”という。


「それこそ、万が一ってことがっ」

「どっちにしろ、死ぬときは一緒さ」


 きーくんの種はブランの首から半ばほど露出しており、半ばは体内に潜っている。そこからすべての植物体がのび、ブランの体内の血管や神経、骨にも巣くっている。特に種から近い左半身にはその影響が顕著に表れていて、自由に動かすこともままならなくなってきた。それは間違いなくブランの体に負担をかけているし、人間としての寿命を縮めてもいるはずだ。

 その結びつきは既に分離し難く、無理に分離しようとすると双方が無事では済まない。

 どちらかが欠ければ、一方だけで生存する道はないのだ。


「……長生きしようね、ブラン」

「どの口がほざく」


 言葉こそ乱暴だが、ブランのことは付き合いの長いきーくんにはお見通しである。


 例え他人より短い人生だったとしても、それはきーくんのせいではない。と。

むにちゃんはきーくんを食べにかかったりしないと思っていますが、なぜかきーくんは幼虫系が苦手。

風媒花ではないので蜂とかが手の花に寄って来るのは平気なのだけれど。

食虫植物でもないです。

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