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廃神様と女神様Lv1 作者:井口亮

第三部『宵闇の天幕編』

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赤い竜と竜姫シルフィリスの伝説(たぶん、序章的な何か)


 戦女神のレジアン『ロクロータ』とそのイリア、『チュートリア』
 二人の衝突を間近で見て、シルフィリスは理解する。
 何一つ、何一つだ。
 彼女達は主たるレジアンから信用をされていなかったことが理解できたとき。
 シルフィリスは己の中にあった主への憧憬を打ち砕かれ、力をなくした。
 何一つ得ることのなかった己の生きてきた中で、ただ一つ鮮烈に輝いた赤い竜という光に追いすがり、その傍らにあろうとした自分の滑稽さが恨めしい。
 異邦の戦士である彼らは『世界』を敵と定め、また、自分達イリアもその敵が用意した罠だと看破し、油断することなく相対していた。
 滑稽なのはその罠として用意された自分達が主を助けようと必死になればなるほど、彼らを苦しめたという事実だ。
 彼らにとっては、彼女達もまた、『敵』だったのだ。
 真っ向から敵意を向けられ、手放し、砕けてしまった意志は戻らない。
 ただ、侮蔑を込めた冷めた瞳で見下ろしている赤い竜にシルフィリスが力なく項垂れ、抵抗する意志がないことを示す。

 「――舐めんな」

 ドラグウェンデルの銀閃が、シルフィリスの顎先を捉え、殴り飛ばす。
 宙に浮き、転がると、ドラグウェンデルの禍々しい銀光を抱えた赤い竜が怒りをもった瞳でシルフィリスを睨んでいた。

 ――当然だろう。自分は、彼の敵なのだから。

 そう、思えばシルフィリスは赤い竜が自分に向ける怒りが正しく思えた。
 ましてや、その命を奪おうと画策までしたのだ。
 その気が済むまで、殺されるしか、ない。
 それがシルフィリスに今、与えられた、選択肢なのだから。

 「俺は、ね。『最強』なんだ。竜魂のギルドマスターで、あっちゃんのマスターでもあるわけなんだ。これが、どういうことか、わかる?」

 わかるわけがない。
 自分自身すら失った、シルフィリスに赤い竜の言葉はとどかない。
 だが、赤い竜は吠え続ける。

 「――それは、俺が、アレくらい簡単に納める『最強』じゃなくちゃ、いけないんだ」

 決して、そう、決して赤い竜はロクロータに告げることはないだろう。
 そもそも、口に出してしまうことすら憚られる。
 だが、今、彼が口にしたように。
 ロクロータはこの少女達に対して、一つの答えを突きつけるだろう。
 どこまでも歪で曖昧な関係を終わらせるだろう。
 果たして、ロクロータがどんな結論を選ぶか、赤い竜は知っているだろうか。
 知らない、訳が、無い。

 「あれは――俺に対して最高に『格好いい』と言い切った」

 かつて、そう、かつての話だ。
 ネットゲームをはじめた時、最高にロールプレイングゲームを楽しめていた時。
 誰もが、自分を嘲笑した。
 小学生の時、はじめて買って貰ったスマートフォンでネットゲームに触れた。
 最強のプレイヤーを目指して付けた『赤い竜』という名前は、小学生だった自分で考えた最高に冴えた名前だと思っていた。

 ――最強プレイヤー、赤い竜の伝説。

 超強いモンスターを余裕で倒していく伝説のプレイヤー赤い竜。
 何も知らない初心な小学生が自分が主人公である最強プレイヤーを夢想するのには最高の名前だったのだ。
 だが、現実は非常である。
 ネットゲームでは誰しもがオフラインゲームでもてはやされた勇者になれず、自分がその他の一人だということを思い知らされる。
 それでもなんとか主人公たろうと頑張れば、頑張る程。
 赤い竜というプレイヤーネームは厨二病をこじらせたドキュンとして認知され、地雷扱いされ、後ろ指を指された。
 恥をかき、意固地になり、全てに侮蔑を込めて少年は赤い竜を名乗り続けた。
 ドキュンであることは理解した。
 自分がその他の一人だということも理解した。

 ――だが、だからといってなんで主人公であることを放棄しなくちゃならない。

 誰かのための他人になるためにゲームを遊んでいる訳じゃ無い。
 自分が主人公となって強敵を倒したり、世界を救ったりするためにゲームをしているんだ。
 もっと言えば。
 最強の俺TUEEして、回りにちやほやされたくて遊んでいるんだ。
 だからこそ、『赤い竜』を名乗り続ける。
 厨二ネームのドキュンプレイヤー。
 そう舐めてかかった廃人気取りの準廃どもを叩き潰す。
 ドキュンと侮り、覚悟の足りないプレイヤーどもを嘲笑して回る。

 ――フィールドで殴り合ったのが、ロクロータとの最初の出会いだ。

 最初に出会った時のネームは『アサルトチンパンジー』だったはずだ。
 PKプレイヤーは色々と名前を変えて回る。
 それは狩りをするとき、自分と特定されれば同じく集団でPKされるからだ。
 だが、名前を変えれば特定までの間、幾ばくか時間が稼げるから名前を変更する。
 当時、『チンパン少女』と名乗るPKプレイヤーの噂は聞いていた。
 死体煽りで股間部分をひたすら殴りつけてくることから『チンパン少女』と呼ばれて居たはずだ。
 高レベル狩り場を巡回してレベリングしているプレイヤー達を狩って回るPKプレイヤーだという噂だ。
 普段はインスタンスダンジョンを回して金策とレベリングをしていた赤い竜にとって影響の無い相手だと思っていた。
 だが、偶然、自身の求める武器の強化の素材が高レベル狩り場のドロップ品だった。
 市場で買うよりか、自身で手に入れた方が安上がりだ。
 そう思って、赴いた狩り場で出会ったのが、ロクロータだ。
 肉便器ちゃん6歳のステータスを見た時、RRTのIDを見た。
 向こうも、おそらく、ユグドラのステータスを見て赤い竜のIDを見ているだろう。
 真っ向からぶつかり合い、長く、殴り合っていたのを覚えている。
 対人戦も十二分に積んでいた。
 基本的に、弱者を一方的に狙うPKには負けない自負もあった。
 最初は、負けた。
 完全に相手の手の内を理解していなかった。
 相手の手の内を理解し、次には勝利した。
 性懲りも無く挑んでくるから、次も叩き伏せた。
 3度目を叩き伏せれば諦めるだろうと思ったら、4度目に負けてしまった。
 悔しくてリスポンし、すぐに殺しに行き、返り討ちにあった。

 ――気がつけば、狩りそっちのけで殴りあっていた。

 それが楽しくて、しょうがなかった。
 PKという行為が一種のハラスメントだと知っていた。
 PKプレイヤーらしいといえばらしく、だが、どこか違うものを感じたのも事実だ。
 二時間くらい殺し合い、最早、狩りを忘れた頃、横やりが入った。
 PKプレイヤーであるロクロータに仕返しをしようとした連中だろう。
 PKプレイヤーであると認知されてしまえば、それを一方的に攻撃されても許される風潮ができあがる。
 だが、集団で攻めてきた連中に邪魔されたことの方が赤い竜にとっては腹が立った。
 気がつけば、『誤爆した』とチャットを打って全滅させていた。
 互いに、邪魔者を叩き殺した後、また、何も言わず、殴り合う。
 一度やられただけで尻尾を巻いて逃げ帰る連中よりか、ずっとこのPKプレイヤーの方が好感が持てると思った。
 頭の片隅で、晒されるかと危惧したのも一瞬だった。

 ――この相手との戦いがとてつもなく心地良かった。

 死体に対し煽りを入れられ、負けじとこちらも煽り返す。

 ――Fack you
 ――oh
 ――miss spell
 ――Fuck you
 ――Fuck you
 ――good!

 知ってて返す相手にディスプレイの前で苦笑してしまう。
 気がつけば街の広場でチャットをしていた。
 深夜を回り、明日の仕事にも差し障る。
 だが、久しぶりに、そう、久しぶりに面白い相手に会えた。

 ――赤い竜とか厨二IDじゃねーかw
 ――小学生の頃からずっとこのID使ってる。
 ――かっけえなw

 変わった奴だと思った。
 だが、付き合い出してみれば面白い奴だとわかった。
 ギルドを作り、大きくしていく上で、非常に細かなことをする奴だと理解した。
 そして、互いに全然違う性格だが、根っこのところで同じ物を抱えていることを理解した。
 エースブレイカーをはじめた時、パイロットネームを赤い竜にした。

 「竜ちゃん、パイロットネーム、エースブレイカーも赤い竜でいくのw」
 「おうとも。俺ずっとこの名前で通してるし?最強プレイヤーの赤い竜さんは赤い竜さん以外名乗っちゃダメでしょー」

 ジョークともとれる、軽い口調で応えた。
 だが、飄々と見えるその表情の中では誰よりもどろどろとした最強への渇望が煮えたぎっていた。

 ――炎を象徴する赤い竜の紅蓮の炎のように。

 「厨二病全開やんwだけど――それで『最強』になるから最高にかっけえ」

 誰よりも勝ちを欲している男は理解していた。
 一緒に『勝ち』を得てきたからこそ理解できた。
 勝つということは、それが『格好よく』なければいけない。
 そもそも勝つということはたまらなく格好良いことなのだ。
 強敵が敗北し、膝をつき、その前に威風堂々と立つ姿は格好良くなければならないのだ。

 ――だからこそ。

 赤い竜は最強でなければならない。
 多くの、数多の強敵達を打ち倒し、燦然とその紅蓮の赤を見せつけなければならない。
 それが、最後まで自分自身の英雄を捨てず、自分自身が英雄たろうとした彼を嗤った者達へ等しく下されなければならない報復だから。
 そう定めて――彼は『赤い竜』を名乗るのだから。
 それを理解した上で、共感し、『格好良い』と断じる彼だからこそ。

 ――この局面で絶対に『格好良い』方法を選ぶのは確定的に明らか。 

 無論、赤い竜は知っていて、それを超えなければならないとしていた。

 「シルフィリス。イリアでも、ネルベスカでもなく、俺が名付けたシルフィリスでもなく、君は一体何なのかを、今、決めるんだ」

 彼は選ぶだろう。
 イリアとは、IRIAとは、なんなのか。
 ゲームと現実が入り交じり、NPCという概念と人という概念が入り交じる中。
 結論の無い、そして、結論の出ない問題をあるがままに受け止め、選択するのだろう。

 ――だからこそ、赤い竜はその少女に問い、選ばせ、導く。

 「――『お前』は、どうしたい。どう、『在り』たい。それを、『今』、『選べ』」

 シルフィリスという『名』すら、取り上げられた彼女はどこまでも落ちていく感覚に無力に震える。
 元より、何も無かったのだ。
 ネルベスカとして生まれ、思惑と欲望の中で育ち、何一つ望むものが得られることなく、何一つ自由も無く、何一つ生きるに苦しむことなく生きて――

 ――『生きる』手触りを無くした少女。

 それが、『シルフィリス』と呼ばれていた少女の全てだった。
 だのに、目の前の男は告げた。

 ――『今』、選べ、と。

 「選べません。選べる、わけ、が、にゃい……」

 うわずった声が鼻につまり、しゃっくりあげて、涙で視界が歪む。
 選べるなら、今まで、選べてきたはずだ。
 強くあれればいいと願って、強くあれないから、今、こうして項垂れて泣いているのだ。

 「そんなにあだじは、づよぐ、ない!あなだみだいにづよぐない!づよぐ、ないんです!ぜがいをずぐえどが、でいごぐどか、わがんない!でぎないよぉ――どぉしてみんなわだじをいじめるの!ほっどいでよ!わだじなんか、ほっどいでよ!うぁああ、ああ、アァァアアア――」

 泣き叫び、這いずり、逃げ出す。
 窓から飛び降り、走り、全てから逃げ出す。
 神々から力を与えられ、他者より圧倒的に強くなったとしても。
 その根底に根付く『自分』というものは何一つ、変わっていない弱い自分のままだった。

 ――そんな自分に何が選べるというのか。

 だのに、その男は選べという。
 選べるなら、ついていかなかった。
 選べないから、ついていくしかなかった。
 そんな自分にいつだってどこまでも強い姿を見せ続けたのに、何も悩まなくていいと信じさせてくれたのに。

 ――全てを捨てて、自分で選べるわけがない。

 シルフィリスという少女は何一つ自分自身で生きてきた実感をつかめなかった。
 だからこそ、何一つ、選べないのだ。
 窓から飛び降り、草原を走り、全てから逃げだそうとする。
 足がもつれ、転び、それでも起き上がり、走って逃げようとする。
 だが、何度、起き上がっても転び、進めないもどかしさにシルフィリスは大声で泣く。

 「なんで!なんでわだじをそっとしておいてくれないの!なんにもでぎないのに!わがんないのに!わだじはなんでもないのにどうしてほっどいでくれないのぉぉ!」

 転がり、もがき、それでも前に進めない。
 地面を叩き、草を掴み、這いずっても進めない。
 どこまでも無力な自身にシルフィリスは唸る。

 「うぅ、うぅぅ――もう、やだぁ――やだぁぁ――わたしをいかせてよぉぉ……」
 「いや、うん、それ、無理だから。トラバサミに挟まれてたら多分、無理だから」

 追いついた赤い竜がどこか冷めた瞳でシルフィリスを見つめている。
 シルフィリスは自身の足を挟むその鋼鉄の罠をみつめ、こんな罠に気づけなかった自分がわからなくなる。

 ――そもそも、なんでこんな罠が?

 「あっちゃん流石やぬ。多分、逃げられた時、俺じゃ追いつけないからぬ」

 ロクロータの仕業だというのか。
 自分達が逃げることを知っていてこの手の入れようだとしたら、どうかしているとしか思えない。

 ――こんなことをしてまで、何故。

 「おねがいれす……もう、いじわるしないで……わだじは……なんにもできないから」
 「知ってる」

 赤い竜はどこまでも淡々と少女を追い詰める。

 「シルが俺と居て何かできた試しとかねーし?そもそも、そんなこと期待してねーから」

 淡々と零れる言葉がどこまでも激しく少女を打ちのめす。
 これまで多くの人間の顔色をうかがってしか生きてこれなかった少女に何も期待されていない、関心が無いというのは最も堪える言葉の一つである。
 だが、赤い竜は続ける。

 「そもそも、俺が期待したことできる奴なんて居るの?あっちゃんにしろ、キクさんにしろ、元々居た竜魂のメンバーだって何一つ俺の言うことなんか聞かねーし。ギルドマスターじゃないかって雑用全部押っつけるし、苦情も俺ンところに来るし。こう、なんつーか、俺が黙って『うむ、よきにはからえ』で終わらせてくれるのが理想的なんだけど、みんな面倒ばっかりかけるじゃねーか」

 少女にはわからない。

 「やだ……もうほっどいで」

 赤い竜が、何を言っているのか、わからない。

 「ほっとけっていうなら放っておくよ?別にお金に困ってないから、適当に家作って家政婦置いて世話させるくらいはできるし適当にクエスト来たら教えてくれるだけでいいし。それならそれでいんだけどさ。あっちゃんにしろ、他のみんなにしろ、結局、黙ってないで勝手に問題持ってくるんだから、好きにしろよもーって話なんだ」

 だが、放っておいてくれるというのであれば、放っておいて欲しい。
 自分が世界に対し恐ろしく無力であることがわかってしまったら――

 ――あとは世界の中で朽ちていくのを待つだけだ。

 だが、イリアとして――朽ちることすら放棄してしまった自分は――

 「死ねないし寿命も無いんだったら――放っておいたってどうにもなんないことくらい、シルくらい頭が良かったらわかるでしょ?」

 赤い竜はロクロータが言うとおり、馬鹿ではある。
 だが、馬鹿であることが決して知性を伴わないことを意味する訳では無い。
 一つの道の求道者として深い洞察力を伴う知性、知識を持って少女を見つめていたのだ。
 だから、こそ、彼女が何に思い悩み、何に絶望しているのかも漠然と理解していた。
 ロクロータに預けたのはそんな彼女に幾ばくかの気づきを与えられるかと期待してだった。
 だが、代わりに預けられたチュートリアを見てみれば。

 ――ロクロータという男は理想を追い求めすぎる。

 「だからこそ――『もう一度』だ。な?」

 理想を追い求めることを否定はしない。
 だが、現実を見るバランスが必要だ。
 現実を知りすぎているからなのだろう。

 ――だからこそ、理想をより求める。

 「あなたを裏切り……殺そうとした私を……許して、くれるのですか」

それは一種の幻想への甘えである。
 一切の妥協を廃さなければ到達できない高みを望むのならば。

 ――その甘さこそが、自身と同じ『格好良さ』になる。

 「そもそも……君は俺を信じていたわけじゃない。何も知らない女の子として――世界に騙されただけだ。無知なる者を私怨で裁く程、竜とは愚かな生き物じゃあない!」

 必要なのは『力』じゃない。
 『力』とは後から付き従う物だ。
 全てはそれを拠り所として『覚悟』が生まれる。
 あらためるように、そして、告げるために言葉にする。

 「始まりは『魂』だ。そして、『覚悟』が生まれ、『力』が追いすがる。本当に必要なのは――その体に宿る『魂』だ。俺の魂の形こそが名――『赤い竜』。だから、『竜魂』」

 『赤い竜』とは名では無い。
 電子の海の虚構の現実に刻んだ、自身が忘れ得ぬ為の魂。

 「あっちゃんの言葉を借りるなら――『まだ、舞える』『何度でも、立ち上がるさ』」

 幾度打ちのめされようとも、幾度、うちひしがれようとも。
立ち上がる『強さ』を彼らは持つ。

 「あっちゃんも許すだろうし、俺も許す。だけど、俺はあっちゃん程、甘くないから先に選ばせる」

 遠く、遠く、未来の話、語り継がれる伝説の一節がある。
 ニ・ヴァルースに語り継がれる伝説の竜のお伽噺。
 忘れ去られた竜の楽園で異世界から来た赤い竜は何も無い少女に告げた。

 「君は白老竜に負けたのでは無い、俺に負けたんじゃあ、ない。それを選ばせた『世界』に屈服した。世界に屈服したなら、屈服させろ。何者をも下す――竜となれ。汝の名はシルフィリス。赤い竜に付き従い、全ての世界を屈服させる竜の姫。その魂が求めるなら――選び、名乗れ、シルフィリス。それが、君の名前で―『魂』だ」

 何も無いことを、知り。
 何者でもないことを覚え、そして、どこにも自らの拠り所を無くし。
 世界すら置き去りにし、絶対の孤独の中で何かを思う心すら凍り付かせ。
 だからこそ、渇望し、望んだ。

 ――少女は赤い竜の『言葉』に、『選んだ』。

 「……ふぁい……」

 数多の伝説の中、赤い竜に付き従い、空を駆けたもう一対の真紅の竜。
 誇り高き竜の姫『竜姫シルフィリス』。
 彼女は世界から切り離され、自らの『魂』の拠り所を『名付けた』。
 それが彼女が定め、彼女が選び、彼女の『名』となる。

 ――シルフィリスが『真名』を獲得しました。
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