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廃神様と女神様Lv1 作者:井口亮

第三部『宵闇の天幕編』

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よくあるパティーン

 帝王の玉座の間まで、文字通りの血路を切り開く。
 磨き上げられ、俺達の顔まで映る大理石の廊下に陰惨な血の海を広げ押し進む。
 鋼鉄の壁に弾痕が刻まれ、ドラグウェンデルの斬閃が惨たらしい軌跡を描く。
 追いかけて叩きつけられた鮮血を見ること叶わず崩れた騎士達の亡骸を踏み越えて、俺達は玉座の間までの道を辿る。
 怯えを見せながらも狂信的なまでに立ちふさがるそれらをいくら打ち倒したところで次々に沸いてくる。

 ―それをゲームのモンスターを割り切ってしまえば何も考えなくても良い。

 なまじっか半端な相手だから考える余裕なんかが生まれてしまう。
 これが俺達と同じ人間だと考えれば正気の沙汰じゃあない。
 死ぬことがわかっていても立ち塞がらなければならない気持ちというのはどういったものなのか。
 一瞬の逡巡に飛翔したフレアボルトが俺の頬を掠め、撃ち返した弾丸がまた血袋を作る。
 深夜だというのに眩しいくらいに焚かれた精霊石の照明がどこまでも広がる陰惨な光景を浮かび上がらせる。
 逃げたところで、行き場の無い生き様なら、あるいは。

 「どうしたいあっちゃん」

 動きに精彩を欠いた俺を赤い竜は見逃さない。

 「バカになった方が本当に楽なのかもなって思ったところだ」

 八つ当たりのように死体を蹴飛ばし、魔法への壁にして引き金を引き続ける。
 帝国から逃げられない騎士、そして、ゲームから逃げられない俺達。

 ――やがて骸を晒すことになるのに何の違いがある。

 そう逡巡するも引き返す場所など何処にも無い。
 この哀れな騎士達と俺達の間に決定的な違いがあるとすれば。

 ――俺達が帰るべき場所があるのに、帰る場所を此処と定めたことか。

 立ち止まった人間が進むことを決めた人間を遮ることはできない。
 たったそれだけのことを小難しく考えてしまうのは先ほど、マシラとくだらない『シナリオ』をやってしまったためだろうか。

 「甘っちょろいなぁあっちゃんは」

 知ってか知らずか赤い竜の叱責が妙に堪える。

 ――だが、これから挑むのはそんな甘っちょろい覚悟で挑めるものじゃない。

 今一度、覚悟を決めると、『フレンジー』でぶっ飛ばす。
 血肉の塊を大量にこさえ、帝国の象徴であるネルベスカキャッスルの玉座の間までの道を血で染め上げる。
 戦術もわからないレベルの低いソーサルナイトがいくら現れたところで『廃人』相手では文字通りサンドバックにすらならない。
 赤い竜のサークルエッジがソーサルナイトを銅から真っ二つにぶった切り、続くレイジスラストで血煙にして消し飛ばす。
 入れ替わり前に出た俺が『フレンジー』で弾丸の壁を作り霊銀の騎士達を押しつぶし、歩いた後に血の絨毯を作り真っ赤に染め上げていく。
 逃げる騎士達の後頭部に弾丸を叩き混み、ホールを真っ赤に染め上げると俺達は玉座の間に飛び込んだ。

 ――ネルベスカ帝国の文字通りの中心部。ネルベスカキャッスルの玉座の間。

 広大な空間に吹き抜けてガラス張りの天井には巨大な月が光を投げかけている。
 灯りを落とし、月の光のみが入る玉座の間は静謐な緊張感に包まれていた。
 幻想的な月の光が浮かび上がらせた玉座の間はどこか神々しく、僅かに揺れる塵が月明かりの中で浮かんでいた。
 俺達が作った血の絨毯より濃い赤の絨毯が敷かれ、その先に鎮座する玉座に帝王は座っていた。
 静謐な空気の中、憂いを帯びた顔で俺達を見下ろすその佇まいは巨大な帝国を導き、覇道を進む厳かさを称えていた。
 俺達を見下ろすその表情はどこか悪戯を見咎めた父親のように包容力に澄んでいて、何者も許さない厳しさを奥底に隠す。
 業の深さは時として人を飲む。
 飲まれれば咀嚼され、どこまでも喰われる。
 だからこそ、同じ業でもって応じるしかない。

 「夜分遅くにすみません、トイレどこですか」

 挨拶は基本、どこまでも小馬鹿にした挨拶に応じる帝王は流石といったところか。

 「――懐かしいな。私も幼い頃、父母に言われたものだ。良い子はトイレを済ませて早く寝るものだと。お互い、良い子で居るにはいささか年を重ねて悪さの盛りという頃かね」
 「悪さ盛りに免じて死に散らかせ――」

 問答無用、話せばリスキルがPKプレイヤーの業。
 挨拶代わりに弾丸を叩き込む。
 だが、帝王の眼前で見えないフィールドによって弾丸が弾かれた。
 青白い火花を散らして消えた弾丸の前には一瞬で割り込んだ人影があった。
 見覚えはある。
 先の会談にて帝王の隣に座っていたローブの人間だ。

 ――執政官のツクシロだったはず。

 「興の乗らぬ不粋な真似を。これが我が国と同じ祖を持つ者たちの振る舞いと思えばいささか不憫に感じまする」

 俺の国ではたまに見かける――扇をツクシロは軽く振る。
 優雅に振られた扇は淡く輝きを放ち、弾丸を床に転がす。
 重厚が絨毯の上に落ちた弾丸は転がることなく、絨毯の中に沈む。
 帝王はツクシロの物言いにどこか苦笑し応える。

 「良い。悪さの盛りというのは往々にして不粋なものだ。その不粋さを納める器量というのも無ければ、また、不粋というものであろう」
 「左様に」

 ツクシロは俺達を小馬鹿にしたように唇の端を歪めた。
 イベント用のフィールド、にしてはいささか手応えが違う。
 クラウディアの時とは違うエフェクト、青白い火花によって弾かれたそれはいわゆるシステム的な『無敵』とは違う。
 あの扇に施されたエンチャントオプションなのだろうか。
 俺の頭が高速でこの状況再現の可能性を探る――
 物理射撃に有効なスキルを記憶の中から分析する暇も無くシナリオは進む。
 帝王は小さく苦笑し、俺達を見て目を細める。

 「アイアイス将軍を退けたか。侮っていたのであろうな。あたら無駄に帝国臣民である騎士達の命を散らしてしまった。失った命は戻らない、彼らの家族はさぞ、悲しむであろう」
 「あっちゃん俺達責められてるわ」
 「俺達豆腐メンタルだから超堪えちゃうね」

 俺も赤い竜も臨戦態勢を取りポーションを銜える。
 最早、そう、最早、この場に立って剣を交わさない選択肢は無い。
 ならば、さっさと覚悟を決めてしまうことだ。

 「何も堪えるものなどなかろう。貴様達はそういう――人間だ」

 帝王は俺達をそう決めつけ、鼻を鳴らす。

 「奪いに来たのであろう?イリアを――そして、シルフィリスの名を」
 「そういやそんな設定だったな忘れてたわ」

 俺が鼻で笑い返してやると帝王はつまらなさそうに告げる。

 「あの娘では届かぬだろうよ。いや、クラウディアでも届きはしない。いつまでも開けることなき宵闇のオーロラはネルベスカを未だに覆っている。真に神々から解放されなければこの国も……そしてイリアにも夜明けは来ない。名などいくらくれてやってもかまいはしない。だが、それすら利用できるなら利用させてもらうのが帝国だ」
 「あっちゃんあれ何言ってんのわかんねー!」
 「厨二病のお前がわかんねーのに俺がわかる訳ないだろが」

 回りくどい言い回しを理解してやれるほど理解力や読解力があるプレイヤーじゃありませんでして。
 本当に日本語でOKだ。

 「……古き人としての名を捨て神々に見そめられ精霊となったイリアは新たなる名においてこの世界にその身を定義する。古き名と新しき名、その二つを自らの中に置き、イリアは自らを知ることとなろう。しかしながら、それは己を未だニ・ヴァルースに、そしてアストラに置くイリアがその『真名』を得ることには能わず。世界の理を知らずして――悪戯に混乱を招くか異界の精霊達よ」

 帝王が俺達を哀れむ。
 その話に俺はこれまで得た『イリアの真名』についていくつか心当たる。
 チュートリアは『ユウロパ』という人の時代だったころの名前を知っても変化は無かった。
 だが、逆にテンガがまだライオンの娘であったころの名前を知った形跡は無い。
 それでもテンガは自らの『真名』を得たとなったのであれば、シルフィリスの人であったころの名前を得ても『真名』を得ることとは繋がらないということだ。
 それが、ニ・ヴァルース?というこの世界とまいどおなじみアストラさんだかに身を置くイリアにとっては『真名』を得ることとは違うことらしい。
 帝王が言っているのは人間の時の名前を得たからといって『真名』を得られるものではないということなのだろう。
 だが、逆にこの帝王は『真名』を得るためにはそれ以外に何が必要なのかを暗に語っているようにも思える。
 これだけの手がかりでその答えを導き出せというのは少々酷すぎやしねえか?
 ぶっちゃけ、選択肢を総当たりで試していけばクリアには辿り着ける昔のゲームの方が親切な設計に思えてくる。

 ――これが本当の心折設計って奴ですか。はい、面白くありません。

 そのあたりを出し惜しみして欲しくはないのだが、シナリオ自体をぶっちしている俺達に贅沢を言う資格は無い。

 「ご託は結構にございますよー。その真名とやらを得るにゃどうすりゃいいか。そこんとこだけが重要だ。知ってるなら吐いてもらおうか」

 資格があろうとなかろうと贅沢させてもらう図々しさがメンタリティでございますが。

 「知る由などあろうか。イリアが真名を得るということはニ・ヴァルースとアストラから干渉を断ち、自らに依ってこの世界に立つということだ。霊名を縛られた我らが果たしてどうして真名を得ることが叶うというのだ」
 「よくわからんが、わからないということだけがよくわかりましたありがとうございますそして死ね」

 本当に回りくどいなーも。

 「私を殺したところで――次の帝王が帝国を引いてゆくだけだ。殺したければ殺すが良い。我が兄を殺め、帝王となったようにまた新たな帝王が帝国を――この呪われた国を導いて抗うだけだ」

 帝王は俺達をどこか楽しげに見下ろすと尋ねた。

 「――かつて神々を導き、古の神々から世を解き放ったレジス達。君達が世界を去り、残された新たな神々も世界を去った。それより遙か昔に帝国は古の神々から呪いを受け、永遠の冬の中にある。そう、君達レジスが導いた新たなる神々も、我々帝国を祝福しなかった。我々は、いつの時代も抗い続けているのだよ」

 立ち上がった帝王は鼻を鳴らし、どこか俺達を冷めた瞳で見つめる。
 空気が静かに冷たさを帯びてくる。
 どこか腹の底が抜けるような底冷えする空気が静かに這い寄り、月の光が翳る。

 「抗うとは、戦うことに他ならない。戦女神のレジアン、そして、竜神のレジアン、幾多の戦場を駆けた貴殿らであれば理解できるだろう。戦いには勝つことと、負けることが存在する。そして、打ち倒すべき敵というものも」

 帝王の前にツクシロが立ち、膝を折る。
 それは帝王に対しての恭順の意を示す行為ではない。
 帝王に背を向け、非礼のままに俺達に向かい、広がる冷たい不穏な空気を膨らませている。
 ツクシロの足下から静かに紫色の炎が円状に走る。
 帝王はどこか、厳かに告げた。

 「――我々が抗うべきは神々の呪い。戦うべきは神々。かつて、新たなる神々を導いたレジスの中に――レジアンが存在していた。かの世界より訪れ、荒廃してゆく世界を憂い、そして――神々の世界の意思に翻意した者」

 ローブを目深に被ったツクシロがどこまでも深い笑みを持って俺達を嗤った。
 ネルベスカを統べる帝王は告げる。

 「――それは、魔王と呼ばれた。神々の、そして人々の敵。我々、帝国は神々と戦わねばならない。生き延びねばならない――見放され、集まった人々が作った帝国は生きるために他者を利用し、自らも食み、そして、神々の力を掠め取る――戦女神のレジアン、汝らは言ったな。山賊か、海賊か――ぬるいな。我々は私を頂点とし、ありとあらゆる非道と悪徳を覇道の傍らに置く帝国だ」

 ツクシロのローブが跳ね上がり、紫の炎が青白い燐光となって噴き上がる。
 虚空にいくつもの魔法陣が描かれ、そして稲光が迸る。
 空間が歪み、ツクシロが――その相貌を明らかにした。
 年であれば俺や赤い竜よりも下であろう。

 ――シルフィリスやチュートリアのそれと同じか。

 青い流れるような髪に切れ長の瞳、どこか、残虐な艶を載せた赤い唇を歪め、俺達に微笑んだ。
 意匠を凝らした帝国の執政官としてのローブが翻り、その下から豪奢な振袖を見せる。

 ――無駄に書き込まれた花と鬼の意匠がカマドゥマのキリトリ線くらいのハッタリを効かせてくれる。

 額から紋様の印象された角が伸び、背中から半月状に骨が伸びる。
 骨に纏わり付いた紫紺の炎がぐるりと巡り、玉座の前の赤い絨毯を焼く。
 焼き払われた絨毯がちろりと焦げ、静謐な空気を焼き払い、一気に熱をこめる。
 不穏な空気が爆ぜ、二条の稲光が降り注ぎ、渦を描く。
 落ちた稲妻は蛇のように這い回り、俺達を吹き飛ばすと再び主であるツクシロの前に戻り天井に向けて立ち登った。
 閃光を放つ稲光の中に浮かび上がった印が太刀を形成し、浮かび上がらせる。
 紫炎を纏い浮かび上がった太刀がゆらめき、雷光の中で不気味に佇む。
 雷光の中から二振りの太刀を手に、それは俺達に相対した。

 「――真を持ってお初にお目にかかる。我が名は羅刹姫らせつきツクシロ、新たなる魔王のイリアにして――鬼を統べる者也」

 そう名乗った少女――羅刹姫らせつきツクシロは両腕の太刀を一閃し炎を振り払う。
 振り払われた炎は玉座の間を這いずり壁を駆け上がり、妖しく、激しく、勢いを増す。
 神聖な静謐さは一瞬で死の匂いのする紫炎に払われ、ここを戦場と変えた。
 帝王はツクシロの背後からどこまでも冷淡な瞳で俺達を見つめる。

 「昨日も帝国であったように、明日もまた、そして、その先も帝国で在り続けなければならない――帝国は、魔王すら利用する」

 はだけた振袖の下から鎧装束を見せるあたりデザイン性のみを重視したそれは最早、何なのかよくわからない。
 だが、アターシャやカマドウマと違い、より魔物に近いデザインの魔王のイリアだ。
 雷光と紫炎が立ち登り、人にあらざる咆哮を上げる。
 炎を割って現れた巨大なオーガと――赤鬼、そして、吸血鬼が雄叫びを上げていた。
 取り巻きにしちゃ、随分と厄介な手合いを引き連れていらっしゃりやがる。
 筋骨隆々のオーガと和製赤鬼はよく見れば違いがわかる。
 縞々の虎柄パンツを履いて金棒を持っているのが赤鬼で、若干褐色でありながら黒ずんだ革巻きを腰にして棍棒を持っているのがオーガだ。
 そして、何より角が無い。これで今日から君も鬼博士だ。
 しかし、それよりも吸血鬼も鬼に含まれる解釈とは畏れいった。
 二十を超える鬼達を引き連れ、羅刹姫らせつきツクシロは俺達を見下ろす。

 「ビムシルドで我が配下を滅してくれた礼はせねばなるまい。ネルベスカの帝王よ。こやつらは儂が頂くぞ?」

 ビムシルドのあの吸血鬼ってこいつの手下だったのか。
 悲しみのビームランチャーで2秒で溶けたボスなんざビームの眩しさで姿すら思い出せやしねえ。
 ただ、思い出してみればあの吸血鬼が色んな画策をしてたはずだから、結局のところこいつの手先としてビムシルドで色々とやらかそうとしていたのかもしれない。

 「――構わぬよ」
 「哀れな帝王よ。形なき帝国の傀儡となりて人の道に背き、悪鬼羅刹と成り下がってまで明日を繋ぐか――」
 「汝も同じであろう、ヒノモトの――羅刹姫ツクシロよ」
 「ハン――戯れるなれば、血を見せよ。それが鬼というもの。儂も、汝も――終わりなき鬼道の半ばに居るに過ぎない」

 ツクシロは太刀を振り払い、炎を払うと俺達に相対した。
 鬼達の群れが煌々と赤い瞳を向け、口の端から唸りを零す。
 赤い竜がどこか楽しげに口の端を歪める。

 「――マンチキンで鬼が出るか蛇が出るかで鬼が出てきたってのは字面にしたら面白いんじゃね?」
 「厨二病で自分のことをドラゴンと思っている人間代表の赤い竜さんコメントは?」
 「俺はモモタロウじゃあ、ない。最強の『ドラゴン』だぜ?笑止千万片腹痛し」

 空気を読まない奴の総称をKYと呼ぶ。
 最強のKYである赤い竜にとってみれば、今、目の前に現れたそれですら。
 幾多のネームドモンスターを屠った大剣――ドラグウェンデルを両腕に構えた赤い竜がツクシロに獰猛な笑みを向ける。

 「羅刹姫ツクシロ、ラヴェなんとかより覚えやすいんじゃねーの?」

 ――真っ向から斬り合うツモリでいやがる。

 紫の炎が玉座の間をちろちろと燃やし、否応が無く俺達を取り囲む空気が熱を帯びてゆく。

 「あっちゃん、プランBだ」
 「プランBな」

 プランBのBはバカの略だというのを今知った気がする。
 揺らめく熱気の向こうに見える鬼の群れが体躯を揺らし嘶きを上げる。
 俺の手の中で、ラプターとm9がいつもより激しく回り、熱くなった空気を掻き混ぜる。
 どこまでも退路の無い戦いをはじめたのはログイン前だ。
 いまっさら、そう、いまっさら引き返すなんて不様なことをしてやれるものか。
 弾いた引き金が咆哮となり、くすぶる意志を弾き上げる。

 「――むかしむかしの遠い未来の鬼退治か、悪かぁねえわな」

 天井に向けて突き上げた銃口が吠え、獰猛に笑ってやると銃口を向ける。
 戦意を全く失わない俺達を前に、ツクシロはどこまでも満足した笑みを浮かべ刃に舌を這わせた。

 「戦女いくさめに竜、悪戯盛りの悪童は鬼が喰らうにはよかろうさ。ねんねこねんね――容赦なぞしてくれるなよ?頭から喰ろうてやるゆえに」

 どちらかが火蓋を切ったのかは定かではない。

 「鬼だろうがシナリオだろうが喰らい尽くしてやんよ――」
 「――俺が、俺たちが――ドラッゴンだッ」

 業をはらんだネルベスカ帝国の中心、ネルベスカキャッスルの玉座の間にたちこめた昏い炎が俺達を押し出し、切っ先を重ね始める。
 俺達の眼前に広がるシステムコール――『Munchkin Baster 羅刹姫ツクシロ』

 ――鬼と竜に魅入られた廃人達が闘争を始める。 

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