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廃神様と女神様Lv1 作者:井口亮

第三部『宵闇の天幕編』

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ロクロータブートキャンプは全年齢対象

 結果、一週間近くのレベリングをしてしまった。
 俺自身、必要なレベリングもあったのでいい機会ではあったが少々時間をかけすぎた気もする。
 赤い竜とてそろそろネルベスカに到着してもおかしくない頃合いなので急がなくてはならない。
 しかし、一度はじめてしまうとなかなかレベリングというものは解放してくれない。
 攻略すべき対象に必要なレベルを獲得するのがレベリングという作業でありながら――それを超えてなお、レベリングというものを楽しむ楽しみ方も存在するのがRPGというものである。
 費やした努力が正しく、平等に、公平な価値観のもと反映されるレベリングという作業は逆に――不正に、不平等で、偏りのある価値観のもと反映されない現実への不満を解消させるカタルシスを持つ。
 最初はガンナーとしてのスキルをレベリングするだけでよかった。
 おそらく、そう――おそらくスキルレベルを適度に獲得すれば攻略できる。
 だが――一度はじめてしまったレベリングはその魔力に俺も――『人』としての『素養』を持つ彼女らも魅了した。

 ――不眠不休でレベリングをはじめた俺達は程よく、仕上がっていた。

 「――腐ったチーズの臭いのするマンカスから吐き出された同じマンカスどもに人としての尊厳があると思うな!お前達に許されたのは俺の言うことに『Yes』『はい』『了解』と答えて死に散らかすことだけだ!」
 「「――ぇす、っはぁいりょかァい!」」
 「貴様達の価値は腰に下げた銃の中の弾丸より劣る!試しにこめかみを撃ってみろ!弾丸様は貴様に正しく貴様の命の価値を教えてくれる!激しく無価値だ!お前達の無能な親がこさえた土嚢に劣る肉便器にできることはせいぜい俺の股間の銃を銜え込むことぐらいだ糞ビッチの脳無しどもめ!お前達に僅かでも脳があるなら俺が教えたことを復唱してみやがれ!」

 クラウディアとジーナが声の限りに叫んで続ける。

 「「一つ、飯は食えると思うな!」」
 「「二つ、道は歩くものと思うな!」」
 「「三つ、夜は寝るものと思うな!」」
 「「四つ、休みはあると思うな!」」
 「「五つ、教官様を神様と思え!」」

 ――俺の国のレンジャー5則のもじりだ。

 「駆け足ぃ前へぇ――進めぇ!」

 ガンナーや軽装職の必須スキルである『軽業』の訓練である『ランニング』からの訓練メニューがはじまる。
 ランニングはスタミナにボーナスの付くスキルで鍛えれば鍛える程恩恵を受けることができるが、なにせ時間がかかるスキルトレーニングだ。

 「ファぁぁミコンウォぁぁズはいつ出るのッ!」
 「「ファぁミコンん自体がぁもぉうぅねえぇよッ!」」
 「PSO2がぁアニメだぁと!」
 「「発表時点で絶ッ望ぅ感!」」
 「――かぁなりすごい!」
 「「――だけど無理ッ!」」
 「――かぁぁなりひどい!」
 「「――あぁれじゃ無理!」」

 ――冒険と暴走が加速するRPG、原案ニトロプラスで皆殺しエンドくらいやらなきゃもはや話にならない。彼らは一体どこへ向かっているんだ?A、沖縄。

 横一列で駆け足をする際の足の出し方すら統一させ、高い練度を誇る――この世界じゃ『ザビアスタエルフ式教育法』というらしい――訓練を経たガンナーさん達は最早、いっぱしの兵隊として最強のレンジャーになっていた。

 「アスレチック訓練はじめぇ!30秒以下は俺が直々にケツファック!」
 「「ぇすはぃ―っかぁイ!殺せ殺せ殺せ!」」

 声の限り叫び特設アスレチックコースに『ダッシュ』する2人。
 夜な夜な俺がこしらえた障害物で『駆け上がり』『壁蹴り』『登攀』の基礎スキルから『チェーンフック』『フックジャンプ』を利用させた移動から高所からの『フックジャンプ減速』『ムーンサルトキャンセル』を交えた複合メニューをこなさせる。

 ――『廃人』が組み上げた『軽業』操作トレーニングに最も適したアスレチックコースをペナルティ込みで走らせる。

 メニュー画面の時計で33秒で走破し戻ってくる2人の速度もそこそこ速いが、それではいかんのですよ。

 「3秒遅れだこの糞ビッチども!なんだその走り方は!男を誘ってケツ振るなら掃きだめ娼館の性病娼婦の方が上手に腰を振る!お前達のような親の垂れ流した小便の出涸らしじゃ薄い本でデッサン狂った人形もどきにでも発情できるオークですらマツイ棒が立たん!それでも荒い息を立てて発情してケツを振りたいと懇願する貴様らの汚らわしいケツの穴に銃弾を突っ込まけりゃならん俺が哀れだと思え!好きなだけケツを振らせてやる――ケツ振れケツぅ!」

 俺は抱え上げたアサルトライフルを発砲する。

 「「――ぇすっいかぁイッ!ありあざーッス!」」

 びゅうびゅうと息を荒く吐き、瞳孔すら開ききったクラウディアとジーナをアサルトライフルを構えて追いかける。
 甲高い音を立てて吐き出されるアサルトライフルの弾丸が逃げる2人を追いかけて

 ――『背面』からの『銃弾避けステップ』という高等技術の習得を兼ねたアスレチックの再走破。

 アサルトライフルを3点バーストで撃ち込みながら走る俺からステップを駆使し走って逃げるそれはまさに――『稲妻ステップ』に他ならない。
 5メートルはあろうかという壁を『駆け上がり』、『壁蹴り』で『ムーンサルト』をはさんでの『駆け上がり』で俺の銃弾から逃げながら駆け上がる2人を追いかけ、アスレチックを走破する。

 ――スタミナポーションを使わなければギリギリのスタミナ管理を要求される。

 基礎的――最早ここまでくれば応用もいいところなのだが――な戦闘挙動をスキルレベルのトレーニングをしながら叩き混み、そこから訓練は本番となる。

 「――まったくだらしない。だらしないのは下の口だけにしろ!べろべろとよだれを垂らしてまるでヤク漬けになって輪姦された薄い本のヒロインのようなアヘ顔の右の目と左の目が離れて上を向いてる貴様達の腐った眼球とイキっぱなしでおもちゃいらずのほじくるのにしか使わない震えた指でひく引き金で当てられるものなら当ててみろ」

 ――高速で動き回る俺をターゲットにした『射撃訓練』。

 ゲームだからこそできる高速で動く的を相手に正確なサイティングをさせる練習だ。
 アスレチックの障害物の間を走り回り、走る俺を追って訓練弾が跳弾してまわる。

 「マグロのように置物になるのはベッドの上でも得意だろう!照準は置くものだ!早いのはイく時だけか!現れた的に置いた照準が合ったときに引き金を引くだけなら重りでもできる!胸の重りに引き金を吊しておけばいいだけなのができないのか!腐った臭いのする穴をほじくるだけにしか使えない指がイキっぱなしで震えてるからだオナホールども!ぐりんぐりん回ってる目で照準などつけられるか!人間を名乗るのもおこがましい肉便器どもめ少しはイクのを止めて当ててみせろ!」

 ――相手の侵攻ルートの遮蔽物から顔を出した時の『置き撃ち』の練習も兼ねる。

 爆ぜる訓練弾の間を走り、俺の軽業トレーニングを終えたらいよいよ彼女らの最も恐怖する訓練へと移行する。

 「さぁ糞袋ども!銃はお前達が休憩するためのおもちゃじゃない!お前達のおもちゃはでろでろにふやけた指だけで十分だ!それとも指だけじゃ満足できずに銃を突っ込んで遊んでるんじゃねえだろうな?いいだろう、それなら好きなおもちゃを選んで遊ばせてやる。お前達がだだ濡れのケツを振るだけの肉人形じゃないというなら一発でも俺にいいのをくれてみろ!」
 「――っいぇすっァい!」

 はい、いえす了解もここまでくれば意味不明。

 ――訓練弾を用いた俺との2対1。

 本職ではないにしろPKプレイヤーとして数々のPKプレイヤー達と鎬を削った腕は訓練されたとはいえNPC如きじゃ捉えさせない。

 「――どうした雌豚ども!屠殺場の豚の方がまだ殺しがいがあるぞ!イキ狂いの雌豚の肉なんざテーブルの上に上げるのも汚らわしい!犬すら鼻を摘まんで逃げていく!いじりすぎて腫れ上がったものを掴むしかすることの無い指でしっかり引き金を引きやがれ!ぶるぶる震えるのはベッドの中で男に撃たれた時だけにしておけ!但し貴様らのような人間以下の汚れマンカスにベッドが与えられると思うな!」

 初期マシンガンに訓練弾を装填しクラウディアとジーナの2人を叩きまくる。
 必死にステップやダッシュを駆使して逃げるがその程度では追いすがる俺のサイティングから逃げることはできない。

 ――振り返り、足技で応じようとするジーナの顎を蹴り上げる。

 ひるまず『フレンジー』から『足払い』を仕掛けるジーナだが軽く跳躍して避けるとマシンガンを浴びせ――訓練弾だからダメージは微々たるものだ――反撃をしてくるジーナに蹴り技の応酬をしてやる。

 ――ガンナーの近接戦闘における『足技』の活用は手段の一つである。

 但し、キーボードのショートカットキーにマクロを組んで特殊なコンボを選んで使うのが一般的であり――実戦では実用的とは言えない。
 だが、相手からノックバックを奪い――確実にヘッドショットを奪える『ガンアーツ型』の戦い方はガンナーの強力な手段の一つだ。

 「――下手くそな股の開き方だ。そんなんじゃ男を銜え込むことすら難しい。お前の足技じゃいきりたった男のをシゴいたって日が暮れる。娼婦になってそこから勉強してきた方がいい――『ガンアーツ型』の足技はこう使う」

 ――『キック』で僅かにノックバックを得てからの『ファストドロウ』で『ヘッドショット』を繰り返す。

 訓練弾の微々たるダメージだがヘッドショットクリティカルを繰り返せばやがては『スタン』を奪える。
 無論、きちんとした銃と実弾を使えば確実にキルを奪えるコンボだ。
 『スタン』しふらふらとふらつくジーナの腹に『膝蹴り』を叩き混み、意識を戻してやる。

 ――高速でバックステップを繰り返し、両手のマシンガンを構え『フレンジー』の体制を取る。

 だが、俺はあえて『跳躍』してやると、銃口の先で『ムーンサルト』を決める。
 空中の俺に照準を合わせて『フレンジー』で一気に弾丸を吐き出すジーナの後方へ――ノンロックの『スラッシュダウンキック』で急降下。

 ――サイティングが早いのがマシンガンの特徴だ。

 即座に俺を追う銃口を半円を描く『スライディング』で避けて、足に向けて『蟹挟み』――
 仰向けに引き倒されたジーナの前には既に伏せ撃ち姿勢の俺の銃口があった。

 「――足ですら満足させられない下手くそめ。だらしなく開いた口で誘っているのか?ン?いいだろうくれてやる。だらしない糞ビッチのこぎたない口にありったけの弾丸をくれてやる。しっかり全部飲み込め」
 「――ギャァァああ!」

 ジーナの悲鳴が響き、訓練弾の『フレンジー』が顔面に突き刺さる。
 訓練弾だけで戦闘不能を作り、俺は遠方で俺を狙っているであろうクラウディアに声をかける。

 「――仲間が殺されるのを黙って見て自分が助かろうなんてさすがの糞豚思考だな!狙撃する機会はいくらでもあった!それとも叩かれている仲間を見て貴様の中のマゾヒズムに悶えながら濡らしていたのか?」

 ゆらゆらと揺れる俺の傍らで銃弾が弾ける。

 ――音の方向からアンブッシュ先の検討をつける。

 すぐさま移動を開始しているだろうが、次の射撃位置の想定もできている。
 案の定伏せ撃ち姿勢で俺が射界に入るのを待ち構えている。
 だが、そんなクラウディアの背後から音も鳴く忍び寄るとハンドガンに持ち替え覆い被さる。

 「――ひゃ」
 「隠れていたツモリか?てっきりその尻で誘っているかと思ったぞ。だが、貴様の尻程度じゃオークだろうと勃起せん」

 俺に組み敷かれ必死に逃げようとするが格闘スキルも無くうつぶせ――しかも伏せ状態から組み敷かれ、スナイパーライフルを把持していれば既にそれは詰んでいる。
 クラウディアのこめかみに銃口を当て容赦なく立て続けに引き金を引き絞る。

 「貴様の穴が欲しそうにしてたからしょうがなく突っ込んでやった。どうだ、これが欲しかったんだろう?熱く滾った太くて長い男の銃が。だが、物欲しそうにしている豚にはハンドガンで十分だ。聞こえてるのか?耳の穴でイったのか。ここまでくれば真性の変態雌豚だな――おい、いつまでイキ顔さらして寝転がっている雌豚ども。立て」

 両方とも戦闘不能状態であり復帰には少しの時間がかかる。

 ――殺害設定を『オフ』にしていれば間違いは起こらない。

 這いつくばるクローディアをジーナの上に被せ、バケツに入れたポーションを頭からぶん投げて起き上がらせる。

 ――そうして、何度も何度も叩き上げ、仕上げていく。

 もはやこの作業が楽しすぎて目的が迷子になってしまった。
 ビムシルドの郊外にできた野戦訓練場はいつしか俺の普請で一大施設となってしまい、そこで繰り広げられる狂気の沙汰に一般人の足は遠のく。
 丁度いいからと石材で簡単な訓練小屋を建て、銃器の手入れや座学に使っていた通称『豚小屋』で本日の訓練の終わりを告げる訓示を垂れてやることにした。
 訓練を終え、それぞれ銃の手入れを終え、気をつけの姿勢で俺からの訓示を待つ2人を前に何を言ってやろうか考えていた時に――来客が来た。

 「最低最悪だ雌豚ども。何度言っても直らずだらしなく股と口を開くイキ狂いの貴様らがいっぱしの兵隊として――」
 「失礼――メープケット工房のジーナ・メープケットはこちらに?」

 脂の乗った中年の男がいぶかしむように俺達を見ている。
 その背後には端正な顔立ちの男が控えており、俺達の様子をどこか微笑ましそうに見ている。
 ジーナは俺の号令があるまで姿勢を崩すこと、言葉を発することを許されておらず相手が誰であろうと直立不動で壁を見つめている。

 「――ええと?どちらさん?」

 俺が尋ねると男は体を揺すり、居心地悪そうに俺に会釈する。

 「ビムシルド商人ギルドのファスバーンと申します。本日はメープケット嬢にえと――」

 ファスバーンと名乗った男は直立不動の蝋人形のようなジーナを覗き込むと脂汗をハンカチで拭く。
 俺がジーナを見るとジーナは気をつけの姿勢のまま声を上げた。

 「教官殿!射殺許可を!」
 「誰が口を開いていいと言った雌豚。開けば誰彼構わず銜え込む貴様の口は俺が開いていいというまで開いてはいけない。貴様の性病を他人に移すツモリか?俺は保健所にショットガンの手配をしなくちゃいけなくなる。そんな面倒を起こさせるな」
 「イェス!ハイ!了解!」

 再度気をつけの姿勢を取り直し、直立不動の姿勢に戻るジーナをそのままに俺はファスバーンに向き直る。

 「――このように現在、目下のところ訓練中である。用件が無いのであればお引き取りを」
 「いや――用件があってだね。彼女の工房の維持について約束の期限まであと1日しかないのだが……この様子じゃ金の工面はできていなさそうだねぇ」

 金の工面?工房の維持?
 なんのことだろう。
 俺はジーナに尋ねる。

 「ちつにく訓練生。発言を許可する」
 「イェス!ハイ!了解!」
 「工房の維持とは何だ?金の工面とは何だ?」
 「イェス!ハイ!了解!――私にも、よくわかりません!」

 このデブNPCは何を言っているのだろう。
 俺にもよくわからない。
 だが、慌てたファスバーンはまくしたてる。

 「いや!わからないとか忘れたらダメだろう!親父さんの工房を守るために滞っている商会税の200万ジルを納めてくれなければ建物を引き上げるという話だ!その工面か遺跡の亡霊被害を食い止めるため『亡霊の巣窟』の亡霊共を退治してくれないかという話を先々週にしたじゃないか!」
 「ちつにく訓練生!」
 「イェス!ハイ!了解!――記憶にあります!教官殿にもお話した記憶があります!現在まで失念しておりました!」

 俺もなんか聞いた記憶がある。
 ファスバーンはどこか落胆したようにため息をつき、寂しそうに首を振る。

 「……この様子じゃ、ダメそうだねぇ。ダナ・メープケットとは親友だった。長くビムシルドを遺跡の街たらしめていたガンスミスの工房が一つもなくなるのは私としても心苦しい――だが、時代の流れか。魔法が台頭し銃を扱う人間が居なくなり――そうしてガンスミスも居なくなる。悲しいことだ」

 大きく肩を落とすその仕草がわざとらしく俺は鼻を鳴らす。

 「――期日まではあとどれくらいの日数が?」
 「期日は明日の正午まで――今から亡霊の巣窟に行っても間に合わないだろう。この話は無かったことにして――」

 俺は一つ妙案を思いついたので試してみる。

 「ふむ――あちらでお話をしようか?」

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