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廃神様と女神様Lv1 作者:井口亮

第2部『二つの太陽編』

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ルーサーWB無し3人まで達成した。HP高くなってんぞコレどうなってry

 ひとっ風呂浴びてさっぱりした後、宿の大部屋で俺達はくつろぐこととした。
 たまには俺もおさんどんから解放されて、誰かが作ったご飯というのを食べてみたい。
 砂床という床の上に敷かれたムシロの上でごろんと横になり、俺は赤い竜に今日買ったアーマメントファイターを見せびらかしていた。

 「へぇー、クレストゲイルの後期型じゃんこれ。凄いな」

 赤い竜は自分のかつての愛機の元となった機体を手に取り、感慨深げに装甲をなぞる。

 「高空強襲機なんて戦術が生まれたのはお前さんのせいだったよな。もともとラプテアで格闘空戦機なんてやってたけど、格空寄りのパラメータのクレストの実装でさらに加速したものな」

 男の子達がオモチャで遊んでいる横で、最早、何もかも無くしたチュートリアちゃんがキクさんどころかシルフィリスにすら冷たい目で見つめられていた。
 だぶだぶとした民族衣装の浴衣に身を包んだキクさんがうなじをぱたぱたとお盆のようなうちわで仰ぎながら呆れた顔をしていた。

 「……いや、ロクロータの悪戯だってのはわかるけど安易に引っかかる?フツー」
 「これと私が同じイリアだという事実に激しく恥を覚えます」

 床をどんどんと叩くチュートリアの無言の叫びが心地良い。
 俺は最高に楽しい気分でごろりと寝返りを打つとチュートリアにトドメを刺す。

 「ねえねえw今どんな気持ちーwどんな気持ちーw自分から誘っておいて勃起すらさせられなかった超ド変態痴女の肉便器チュートリアさん今どんな気持ちーwその女の誇りとやらでおいたんのちんこ勃起せえへんのやけどどんな気持ちーwやっぱあれー?脱ぐと気持ちいくなるのー?変態やもんねー?男の前で全裸になると気持ち良くて潮吹いちゃうん?っべーわー、俺もっかい風呂入って体洗わないと変態液ついてんのとちゃうん?」
 「わ、わたしは……」
 「否定するん?否定するん?自分から俺の上跨っておいて、全裸になって誘っておいて自分は変態じゃないって否定するん?ねえねえ誰かーw自分から全裸になって誘って変態じゃないって思う人おるー?それ変態じゃないっていう人おるー?俺間違ってないよねー?間違ってないよねー?チューちゃんそれ否定できんわーばーすとだいなまーいっ!ちゅーちゃんのだいなまい不発でございましたーw」
 「う、うわぁぁぁぁ!……死にたい!死にたいぃぃぃ!恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしぃぃぃ……恥ずか死ぬぅぅぅ……」
 「恥ずかしいね?恥ずかしいね?恥ずか死ねーw」

 最高にメシウマ。まだ飯前だけど。
 一風呂浴びてさっぱり気持ちいいあとに、最高に気持ちいい。
 俺はがちゃがちゃとグレイグライガーの腕を外して、アクセルロッダーのボディとエックスラプテアのボディをドッキングさせながら自分マシンを組み上げながらにやにやする。

 「……しっかし、呼ばれてみれば本当にくっだらない悪戯思いつくわよねあんた」

 キクさんがどこか呆れた様子で肩をすくめる。

 「俺が仕掛けた訳じゃないのですよ。チューちゃんが奇行に走っていたから見せてあげたくてつい」
 「まあいいわ。痴女はどうでもいいとして、バザーで何か面白い物あった?」
 「色々とスキル育成用の武器はめっけたよ。ああ、あと、ちと鍛冶を頼まれちゃくんねーか?そこのマッパになりたがる変態にちょっと人間の嗜みとして服を着せたいんだ。すぐ裸になりたがるからちょっと脱ぎづらい金属鎧で」
 「それは別に構わないけど……またなんで」
 「アリスウィングの良オプが手に入ったからな。本格的な槍テンプル組むならここいらで装備一新した方がいいだろう。ブライトクリスタルを仕入れたからそれでソルリット系……可能ならヒヒイロカネ製で重鎧を組んで貰えると嬉しい。オプション用のスクロールあるなら適当なエンチャントも頼めるか?」
 「使えるの?」
 「使うさ。テンプル系自体はきちんと装備が揃えばの条件付きだが、決して弱職じゃあない。使い方次第じゃ有用だよ」
 「自分の装備整えてからの方がいいんじゃないかと思うけどね」
 「まあぬ。俺も銃器カンスト、機械知識カンストしたから、もうぞろサブウェポンのスキル上げに入っていかないとならんしぬ。あと適当に魔法職も触っておこうかと」

 キクさんはふんむと頷く。

 「それよか俺の盾いつ完成すんのよ。大分待ってるんだが」
 「良オプが付かないからちょっと待って」
 「素体があるなら俺の方で適当に付けるぞ?」
 「オプ付けのスキル上げもしたいのよ。どのみち、作るとなれば武器も防具もオプ付け前提になってくるでしょ?」

 オプションでのステータス増強は無視できるものではない。
 それの成功率を上げるスキルを上げておきたいというキクさんの意図も理解できる。

 「ふんむ。まあ、ぶっちゃけ盾はジャスガ使えればいいから何でもいいというのが俺のスタイルっちゃスタイルだからぬ」

 最終的には盾の性能やオプションにも頼ることにはなるのだが、キクさんが満足しないというのであればそれは仕方がなかろう。

 「これからの予定は?ぶっちゃけ俺、風呂入ったからもう帰ってクエスト進めたい気分」
 「明日、パジャⅦ世に直接大空洞の探索依頼を出してくる。夕方にはなると思うんだけど……」
 「じゃあ、ヴォーパルタブレット貸しといてくれよ。グラスフォレストの魔物とやらの情報を確認しときたい」

 精霊石防衛戦のクエストが完了した今、俺の進めるべきクエストはグラスフォレストの魔物討伐くらいだ。

 ――ちゃっちゃと終わらせられるものなら、終わらせてしまいたい。

 「いいわよ?でも、グラスフォレストってまだ発見されてないみたい。インスタントダンジョンの名称かと思ったんだけどどうにも違うっぽい」

 キクさんが投げつけてきたヴォーパルタブレットを受け取り俺は画面をフリックする。
 公式wikiをさらい新たに追加された情報を改める。

 「ふんむ。未実装コンテンツなのか?」
 「多分ね。条件解放したら追加されるコンテンツなのかも」
 「面倒くせえな……サブマリンキークエストをクリアせなならんとかぶっちゃけやりたく無いっちゅうのが本音だな」
 「大丈夫よ。グラスフォレストの魔物は私も赤い竜もやらなくちゃいけないクエストみたいだから」

 シルフィリスが補足する。

 「はい。我がマスターの使命にもグラスフォレストの魔物討伐があります。ですが、グラスフォレストについては今我々が行ける世界には存在しない場所です。いずこかにあればと手がかりを求めてダスメシャムスに同行しました」
 「三人同時に同じクエストってところがちょっと引っかかるな」

 俺は少しだけ引っかかりを覚えたが、それよりかは今日手に入れたばっかりのオモチャで遊ぶことに必死です。

 「竜ちゃんそこにシュトルムバウンサーのボディだけない?」
 「あるよー。腕使っていい?」
 「いいとも。あとサジマクの足くれ」

 がっちゃがっちゃとロボを組み上げて俺は感動ひとしおにできあがったロボを見る。
 画面の向こうの自分の愛機が自分の手の中にある感動はなにものにも代え難い。

 「……そのガンダム面白いの?」
 「ガンダムじゃねーよ。ロボット見れば何でもガンダムにするとかお前は俺のおかんかよ。そんなところでロボ知らないですーで女子力アッピルしても今更やでキクさん」
 「そういえばそのガンダム出てくるゲームも同じアクシオンの開発よね」
 「ああ。IRIA実装ゲーの第2弾として成功した例だな。ファミルラが完全ファンタジーなのに対してエースはSFすぎた。徹底してロボしか出さない姿勢が世のロボ好きを虜にしてくれたゲームだよ」
 「ロクロータから見て、そのエースでの経験ってのがエルドラに反映されてるように見える?」
 「なんぞ、気になることでも?」
 「うん。IRIAの思考の仕方がより人間くさいってのもそうなんだけど、気象のデータとかもファミルラは大雑把だったじゃん。射撃武器の着弾点逸れだとかもあるし、ファミルラから見たら大分違うわよ」
 「あー、それはあるな。気象データの実装あたりはエースの仕様くさいな。天気予報システムにも試験的に運用された実績もあるみたいだしな。ゲーム開発メーカーとしてだけじゃなくプログラム開発としてもアクシオンは急に勢力を拡大したシステム企業でもあるからな」
 「どこぞのイベント会社に成りはてた某メーカーさんとは大違いね。金を追いかけさせることから金を追うことにひっくり返った瞬間、お金の奴隷となって人は離れていく」
 「まあ、こんなもんがエルドラドゲートに実装されてるくらいだ。エースでの蓄積も当然反映……」

 俺はそこまで呟き、ふむと頷く。

 「反映されていると見なくちゃならんのか」

 俺の様子が変わったことに赤い竜が一瞬だけ、そしてキクさんがしっかりと反応した。

 「……近接中心に組まれていたAIも遠距離職に応じたスタイルに変わっている可能性もある……なるほど、公式wikiみても魔法職あたりも相当きつくなってる反応があるな。それでか」

 wikiをさらいながら改めた情報で推測を一つ裏付けして俺は頭の中でゲームに対しての認識を変えてゆく。

 「……がっつり変わるの?」
 「ファミルラからはな。エースは全くの別ゲーだったが……エルドラドゲートに流用できないものの方が少ない」

 俺はひとしきりモンスターデータを攫い、武器データを確認し大きく溜息をつく。

 「魔法職最強だったファミルラと違って遠距離回避を多用するモンスターが増えた。前までは距離が離れている条件だと接近を選択していたAIが今回は周囲の味方数によって接近方法を変えるAIも積載されて相当きついみたいだ」
 「遠距離職選択していたからといってアンパイという訳でもないのね」
 「んだ。キクさんは注意せえよ?レベリングに行って油断してたら死ぬ恐れもあるっつーこったからな」
 「そこはテンガが居るから大丈夫よ」

 キクの膝の上で寝こけているテンガがくぁーと大きな欠伸をした。

 「いずれにせよ、いずれにせよだ……未だにゲームの意図は見えないが追っていくしかあるめえよ」

 赤い竜は最早興味を無くしマイアーマメントを作りはじめ、キクさんは肩をすくめて膝の上のテンガを撫でる。

 「おきゃくじんー!ごはんのじかんですぞー!」

 ビーストの仲居がずるずると飯を引っ張ってきて一同がそろいもそろって飯の方に向くのだがうちのイリアだけはいつまでも部屋の隅でめそめそと泣いていた。

◇◆◇◆◇

 一晩も経てばケロリと忘れているあたりうちのチューちゃんも人間強度ができてきたような気がする。

 「パジャⅦ世は勇猛な戦士でありながら知性に富み、慧眼のある傑物と聞いてます。マスター、お願いですから粗相の無いようにお願いしますね」

 パジャⅦ世との謁見にキクさんの依頼もあってか俺もついていくこととなりそれがわかった途端これですよ。


 「大丈夫だって。いきなりばーすとだいなまいしたりしないから安心しろよ。俺、わきまえてる変態だから」

 軽くブーメランを返してさっくりチュートリアを撃墜すると何故だかそわそわしているテンガが気になってしょうがない。

 「テンガ、おトイレか」
 「ちがうー」

 ダスメシャムスの王城『キングレオ』は飾りっ気の無い岩で作られた質素な要塞のような城だった。
 それでも中は入り組んでおりどこに何があるかの把握は難しい。
 俺はてっきりテンガがトイレを探してきょろきょろしているのかと思ったがそうではないようだ。
 とてとてと俺のそばまで来ると背中にしがみつく。
 俺の前を可愛い顔――だが、瞳だけは鋭い――わんこの戦士が通り過ぎてゆく。
 わんこは俺を一瞥すると目をそらし、城の奥へと消えてゆく。

 「あれだな、ソラトロボとかに居そう」
 「ロクロータってロボもの本当に好きよね」

 キクさんが突っ込むが否定はしない。

 「ヤドカリ釣り面白いやんあれ」

 ただし戦艦を背負ったヤドカリをアンカーで巻き上げる豪快な釣りだがな。
 テンガは俺の背中から肩によじ登ると満足げに息を吐き、くてりと顎を俺の頭の上に載せる。

 ――どうにも様子がおかしいようにも思える。

 「マスター、パジャⅦ世に失礼な事を言わないでくださいよ?私、ここでもまた酷い目に遭いたくないですから」
 「うんこはっ散らかしたりキチガイになって石拾ったりするより酷い目って見てみたいわ逆に」

 城の中を行き交うビースト達はどれも歴戦の勇士の出で立ちでまるで冒険者ギルドのようにも見える。
 というより、ダスメシャムスでは冒険者ギルドの建物こそが王城であった。

 「ダスメシャムスは傭兵国家です。傭兵を斡旋する冒険者ギルドが城の中枢となっており優秀な兵士――傭兵を各地に派遣する手配を執り行っています。むしろこの国ではこの冒険者ギルドこそが象徴となっています」
 「詳しいなシルフィリス」
 「……一応、私もイリアとなる前は王族でしたので他国の情勢についてのあらましは学んでおりました。ですが、私のマスターにとっては不要な知識なようで」
 「まあ、赤い竜にとっちゃ要らないわな」

 あいつにとっちゃモブのスペックとか、竜のつくアイテムの方が重要だからな。

 「ところでその赤い竜は?」
 「ライオンよりドラゴンの方が強いから、と置き手紙を置いていずこかへ」
 「あいつとは一度じっくり話をする必要があるな」

 ライオンの方がかっこいいしな絶対。

 「ンなことどうでもいいわよ。それよりシルフィリス。あんたマスターの赤いのについていかなくて大丈夫なの?」
 「ついていこうにもこう置いていかれましては。それよりかは皆様がたについてダスメシャムスの王との接見の内容をお伺いしてマスターにお伝えするのがお役に立てるかと」
 「すっげ、赤い竜さんのことわかってらっしゃるー。おい、チュートリア、お前見習えよ。シルフィリスすっごい頭いいぞ。こう、なんつーの?マスターが凄い動きやすく働いてくれるイリアの鏡だな。お前ももそっと俺が楽できるように働いてくんねーか?」

 どこか憮然としたチュートリアが皮肉を返す。

 「……手当たり次第に人殺しをしてまわって、変態行為に勤しめばいいんですかね?」
 「それお前の日常やん。もうちょっとがんばりましょう」

 皮肉のツモリが皮肉になっていませんでした。
 くっだらないやりとりで時間を潰していると先ほど俺達の目の前を通り過ぎていったわんこが戻ってきた。
 テンガが俺の背中に張り付き、わんこから隠れるとわんこはじろりと俺を一瞥した。
 ゴールデンレトリーバーのようなふわっふわ感があるからちょっとモフってみたいところではある。

 「……幸運の神フ・ナムシーのレジアン、キク様と戦女神のレジアンでお間違いないでしょうか」

 そう尋ねてきたわんこはどこか冷たい視線で俺達を交互に見る。

 「ええ、そうよ。パジャⅦ世への謁見はできるの?」
 「はい。王は謁見の間にてお待ちです。レジアンの輝かしい業績は遠くヴォルヴ砂漠まで届いております。プロフテリアにて難攻不落のオーベン城要塞を攻略し、ザビアスタ森林に瞬く間に街を作り、数多の竜を屠る。ヴォルヴ砂漠におかれましても先の精霊石防衛戦において魔王のイリアを退けた武勇は聞き及んでおります。我が王はレジアンにいたく興味をお持ちでございます」

 そうして静かに一礼したワンコは静かに俺達を促す。

 「どうぞ、こちらへ――ああ、申し遅れました。私はヴォルヴ第2王女、ミルク・キャンディと申します。ココからお話はかねがね。ザビアスタを平定した辣腕、いつかおそばで」

 どこか俺を侮蔑するような目のワンコが小さく会釈した。
ソラトロボ
 ケモナー御用達のロボで敵を掴んで投げるゲーム。ぼんじゅーる。
 CMバリエーションの多さはギネスブックに載っている。
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