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[プロローグ]
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 秋川桜(あきかわ さくら)
 彼女と初めて出会ったのは、高校一年生の冬。
 いや、もしかしたらもっと前から会っていたかもしれないし、もっと前に知り合っていたかもしれない。
 だけど俺、神谷拓海(かみや たくみ)が初めて彼女を意識したのは少なくとも高校一年生の冬からだということ。
 秋川はなんというか、今時珍しく元気な女の子で、男勝りって言っても過言じゃないくらいに凄かった。
 勉強はいつもトップクラス。足だって男の子より速くて、運動もびっくりするくらい出来る。
 容姿端麗でスタイルは………ちょっと胸に抵抗があるかな。
 で、一番凄いのはこれが才能とかじゃなくすべて努力だってこと。と、言ってもそれは聞いた話なんだけど。
 何事にも努力をしない俺と違って彼女は何事も努力をする天才らしい。
 そんな彼女のクラスでの立ち位置はいわゆる『委員長』。
 なんであろうと彼女に任せれば大丈夫なんて言われるほどに、秋川桜は人望があり、同時に仕事が出来た。
 世話焼き屋の、お節介。大きなお世話に、余計なお世話。やること全部に真剣で、やること全てに努力する。
 しかし、彼女には苦手なものがあるらしい。
 男。
 女とは異性となり、女とは異なる人間。女子高校生が一番興味を持ちそうな恋愛に、必要不可欠な男子という存在を彼女は苦手らしい。
 いや、苦手っていうのは間違ってるかな?
 苦手と言うより大嫌い。
 近づけないではなく、近づきたくない。喋れないではなく、喋りたくない。触れないではなく、触りたくない。
 そして、それを隠せない。女子に優しく、男子に厳しい彼女の行動はかなり反感を買っていたようだね。
 本人は、できるだけ平等にと心がけているようだけど、うまくできてはいないみたいだ。
 友達を作らない俺が言うのもなんだけど、彼女には男友達がほぼと言っていいほどいないらしい。
 でも、そんな話を他の男子が話しているのを聞いて、俺が秋川桜に興味を持ったわけじゃない。
 だいたい、同じクラスだったし、そんな噂程度にはまったくと言っていいほど俺は関心がなかった。
 前に『彼女に初めて出会ったのは』って言ったけど、それは間違いで、お互いに高校に入ってから知り合い程度には面識があった。
 でも、俺は個人的に『初めて出会ったのは』と言いたい。
 冬。
 彼女と席が隣になった俺は、彼女に『出会った』。
 びっくりだよ。
 俺が教科書を忘れたから見せてって言ったらさ、なんて言ったと思う?
 『お前いつも授業真剣に受けてないだろ。私の隣に来たからには真剣に授業を受けてもらうからな』
 だってさ。
 これを真剣な顔で言われたんだよ。
 本当に面白かったな、あのときは。
 だって、俺に付きっきりで授業受けてるんだもん。
 良く見る下心丸出しの女じゃなくて、俺のことを一人のクラスメイトとして見てくる女なんて珍しい。
 そんな彼女だから、興味を持った。
 そこらへんの男子とか女子とか、どこにでもいそうな先生とかじゃなくて。
 彼女にだけ、興味を持った。
 でもま、一年の冬に興味持ったところですぐに二年になっちゃってね。
 クラスは離れて、もう接点はなくなっちゃってさ。わざわざ、秋川にちょっかいだして、からかうことも出来なくなっちゃったんだけど。
 ここからが本当に面白いところ。
 彼女ね、二年生のうちに生徒会長になった。
 まあ、会長と言っても、選挙にあまり関心の無い我が高校、清林高校は会長に立候補したのが秋川しかいなかったから、実質意味のないものなんだけどさ。
 会長になってからが、彼女の凄いところ。
 学校の改革を始めた。
 読書週間とか、清掃週間。朝の清掃に挨拶運動。生徒の着衣の乱れを改善し、お堅い高校へと様変わり。
 そんなことをすれば苦情が来るのはあたりまえ。自由な校風が好きだった男子達とは完全に対立するという状態に陥ったんだけど、その時の解決方法がまた面白い。
 『黙れ』。
 その一言。鬼のような形相でそう言って、多くの男子を黙らせた。
 そこからの秋川のあだ名が『鬼の生徒会長』。
 なんか、護身術を習ってるらしくて色々と強いらしいし、怒った時の顔の怖さからそんなあだ名がついたみたい。
 私立なんだから、そんなに頑張らなくてもいいのに、って思いながらも俺はそれを見つめていたんだけど。
 そこで俺はさらに、彼女に興味を持った。
 一つだけ、凄いものを見たから。目を奪われたから。彼女が俺に一度だけ見せた、笑顔がとてもきれいだったから。
 そうだ、ここで一つ訂正しておこう。最初に秋川のことを『容姿端麗』って言ったけど、それは俺の主観かもしれない。
 だってさ、そう思っちゃったら止まらないじゃない?
 勘違いしないように言っておくけど、これは『恋愛感情』じゃない。


 これはもはや、『独占欲』だ。


 そして、運命は動き出す。
 夏休みを控えた一週間前。俺は秋川桜と、忘れられない三日間を過ごすことになる。
たぶん、これで主人公が誰をモデルにしているのかわかる人が居るかもしれませんね

出来れば、感想・批判をよろしくお願いします


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