A little Typyoone −人形師 源十郎−(13/16)PDFで表示縦書き表示RDF


A little Typyoone −人形師 源十郎−
作:”太った猫”



嵐の中で


 様子見 などというまだるっこしい事はせず。二人は真正面からぶつかりあっていった。源十郎げんじゅうろうの見るところ早さとパワーにおいて多少、如月葉月ハードウルフの方が勝るか、事実 何度も神無かんな、今はつるぎ 三十郎さんじゅうろうが危ういところがあった。しかし決定的なところで彼女の方が力を抜く、どうやら彼女に決定的な一打を見舞う根性はないようだった。しかしそれはつるぎ 三十郎さんじゅうろうの方とて同じ事、あまりに武士もののふらしい武士を作ってしまったので相手が女というだけでその鎧武者の剣先が鈍る。

「ふむ、体力勝負になりそうだな」
「その前に貴様が死ぬ」
 後ろからたくましい腕が伸びてきて源十郎げんじゅうろうの首を絞めかかる。その腕に自分の手をかけて抵抗するが圧倒的な力の差で締め上げられる。源十郎げんじゅうろうの身体から力がぬけ、柔道部部長 加納かのう 虎次郎こじろうが止めを差すために体勢を変えようと力を緩めた瞬間すきまを逃さず。源十郎げんじゅうろうはその粗野な腕の中からの脱出に成功した。
「ふむ、結界を張っておいたはずなんだが…」首筋をなでさすりながら言う。あと、ほんのすこし首にかかった力が緩められるのが遅かったら間違いなくちていただろう。
「ふん、あの紙切れのことか、なんの呪いまじないだか知らんがそんな姑息な手段がこの俺に通じるかっ!」

 結界、と源十郎げんじゅうろうは言った。がそれほどまでに劇的な効果をあげるようなシロモノではない。なんとなくそこに確かにある存在を忘れさせるといった程度のものだ。その場所に強く来たいという明確な意志力さえあればどうとでもなる。それにその作業現場を見られていたというならなおさらその効力は薄くなる。












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