第三話
ドイツ・ベルリン
開け放たれた窓から風が吹き込み、部屋の空気を喚起する。
実体・・・・人間動揺と同じ状態となった死神・ミーエルは風を感じながら何かを考えてはいるように思えた。ミーエルはなかなか、自分の故郷であるミュンヘンに足を進めようとはしなかった。
弟・アレンが心配なのはわかっていても、そのもとにはいけないのだ。
ミュンヘンに行くのをためらっているミーエルは、空ばかり見ていた。死神となるのを決めたのはアレンを救うためだった。後悔なんてしているはずもない。
もし自分が死神になっていなかったら、自分とアレンは死んでいただろうと、思っていた。
ふと、魂を預かる門が眼の前に現れた。門の扉が開き、声が聞こえた。
ミュンヘンに行くのではないのか?
「・・・・・」
なぜ、ミュンヘンに行かない。行けば弟に会えるのだぞ
「・・・・・」
会いたのに、なぜそれをためらう
「・・・・うるさい」
一目見るだけでもよかろう。会いたくないのか?
「黙れ!お前に何がわかる!」
ほう・・・・
「何も知らないくせに、知ったような口を聞くな!」
ならば、お前に忠告を伝えよう
「何」
お前の弟は、お前を蘇えらせようとしている
「嘘だ」
本当の事だ。魂がそう云っている
「あいつがそんなことするはずない!」
人間ってのはよくわからない生き物だ。だが、そいつの魂がそう云っているのだ
「俺は・・・・そんなことをするために、あいつを生かしたわけじゃない」
なら、弟に会いに行け。会って、お前の思っていることを言え
「・・・・・」
ミーエル、ミュンヘンに行け。行くのだ
そういうと、門は扉を閉じ、消えていった。さっきの言葉が耳に残る。
何度も頭の中で木霊する。
ミーエルは窓から哀しい眼で、青空を見上げた。涙なんて何年も前からでなくなっていた。
そして、ミーエルは呟いた。
「アレン」
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