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自分が蒔いた種が刈り取れない次元まで成長した(もうこのバカップルは手におえない)

作者:当麻
「なぁなぁなぁなぁ、お願いっ!英莉っ、この通り」

 本を読む私の足元で土下座しているのは、私の弟の英太。英太の顔は、どこにでもありふれてそうな、特徴がないのが特徴と言える平凡な顔だ。
 ただ一つ平凡でないのは、その顔が2個あるということ。

 私と英太は二卵性双生児でありながら、全く同じ顔をしていた。
 双子だと知らない人にびっくりされるのはもう慣れっこ。

「なぁ、英莉~。頼むよ~」

 英太と私は、全く顔が同じだけど、性別が違う。
 中身も全く違う。私は勉強が得意で、スポーツが苦手。英太はスポーツが得意で勉強が苦手。英太は社交的でアウトドアはだけど、私は内向的でインドア派。

 私は甘いもの大好きだけど、英太は甘いものを一切受け付けない辛党。
 私は念には念を入れるタイプで、英太はなるようになるさと言うその場で準備。
 英太は思い付きで行動することが多くて、それが上手くいくこともあるけど、失敗することも多い。

 その度、何らかの形で巻き込まれることがあるけど、今回もそうらしい。

「な、ちょっと。ちょっーと講義に出て、名前書いてきてくれれば良いから。何か知らんけど、俺あの教授に顔を覚えられて、欠席するとすぐにばれんのよ。でもさ、このチケット、すっげプレミア付きで、絶対外せない試合なんだよっ~。お願い、英莉様っ!この通りです」

 がばっとひれ伏されて、ため息を吐いてしまう。

「もう、英太。いくら顔が同じだからって、ばれたらどうするの?身長だって違うんだよ?」

 顔は同じだけど、英太と私は身長が違う。
 高校までは同じだったけど、それから英太だけにょきっと伸びた。

 英太と私は15センチほど、差がある。

「大丈夫!シークレットシューズ履けば、ばれやしないよ。講義中は座ってりゃいいんだし、聞いてりゃいいんだから」

 じゃじゃーんと英太が妙な靴を取り出した。そこが物凄い厚い。ブーツのような長靴のような不思議な形状で、好奇心に負けて履いてみれば身長が15センチほど伸びた。

 おぉ凄い!
 竹馬乗ってる感じだ。

「これでブーツカットのジーパン履けば完璧っしょ!」

「……でもさ~この靴、すっごい重いんだけど」

 鉄アレイ履いてるような気がしてきた。数歩しか歩いてないけど、すごい疲れる。

「学内入ったら履き替えて、ぱぱっと講義に出て、ちゃっと名前を書いて、ささっと帰ってくりゃ良いじゃん。そーだ、そのチケットの試合、横浜でやんの。土産に英莉が好きなラングドシャ買ってきてやるよ!」

「もちろん費用は?」

「俺持ちです!」

「もうっ仕方ないなぁ~…」

 でも名前書いてくるだけなら、それほど難しいことではない。大学は高校と違って、人数が多いから、みんなが英太を知ってるわけじゃない。

 それに英太の振りをするのは今回が初めてというわけではなく、子供のころは遊びで、大人になってからはお互いの利害の一致で、交換することがあった。

 ご無沙汰だが、難しいミッションではない。

 頼まれた日、ささっと講義に出て、さっと帰って来た。幸い英太と親しい友人には出会わなかったし、話しかけられても挨拶だけで終わったので、何の問題もないように思った。


「英莉~っ!お前、何やってくれちゃってんの~」

 どたどたと足音を響かせて、英太が飛び込んできた。どったーんと開いたドアにびっくりして飛び起きる。

「なっ…何っ!?」

 丁度、読んでいたロシア文学の中で革命が起こったところだった。
 浸っていた本の世界から一気に戻されて、目を瞬いてしまう。

「この間、俺の代わりに講義出てくれただろ~。その時、お前出席簿以外のものに名前、書いたんだよっ!」

「え?」

 後ろから名簿が回ってきて、何の疑問も思わずに名前を書いた。
 あれは出席簿ではなかったのだろうか?

「あれはあの教授が毎月趣味で恒例に開催している史学散歩の出席簿。君が参加なんて初めてだね~って教授に嬉しそうに言われて俺、本当にびっくりしたんだからな!」

「そんなこと言ったって!回ってきたら出席簿だと思うじゃん」

 どうやら出席簿は別のところで、巡回していたらしい。私はそれに気づかず、史学散歩の出席簿に名前を書いて、さっさと帰った。

「幸い、名前書き忘れたってことで、講義には出席してたって変えてもらったけど。でもどーすんの?俺、ぜんっぜん興味ないんだけどっ。史学散歩」

「え?楽しいのに」

 作家の故郷を巡るとか、作品が作られた場所に行くとか、作家が眠る墓に行くとか、深く作品を知れて楽しいのに。

「だーっ!墓参りは親族だけで十分だってのっ!それに、俺はその日別の約束があんだよ!」

 よりによって、史学散歩かよ…とがっくしと膝を着いた英太に、ちょっと悪いことをしたなと思ってしまう。
 でもまぁ、そもそもの発端は英太にあるので謝らないけど。

「そんなのあるなら、言っといてよ。私、何も見えなかったんだから」

 英太と私は、色んな所で違いがあるけど、視力まで違う。英太は2.5でサバンナ並だけど、私は0.2で眼鏡がなければ生活できない。

 眼鏡をかけて講義に出れば、余計な疑惑を抱かせてしまうので、ちょっと見えなくて怖いなと思ったけど、学内へは裸眼で行った。

「お前、行ってよ!史学散歩。俺のダチ、類友だからぜっていそんなの参加しないし、史学とか個人行動好きな奴の集まりだから、他人にそんな関心ないだろうしなっ」

「ケンカ売ってんの?」

 確かに私も団体行動よりも、個人行動が好きだけど。

「教授で名指しされて、今更行きませんとか心証悪いじゃんか。な?今回だけ、お願いっ。旅費は…半額出す!」

「全額?」

「ぜっ…全額出すっ!」

 パンと手を合わせて拝まれ、仕方ないなと了承する。
 確かにミスをしたのは私だし、ラングドシャを食べつくした後ではきっぱり拒否もしづらい。

 それに何より、史学散歩の内容が面白そうだった。
 【太宰治の軌跡を辿る軽井沢、日帰りバス散歩】


「すごい汗だが…大丈夫か?」

「あぁ…ちょっと足を怪我してて…気にしないで先に行ってくれ」

 軽井沢に着いて、さっそく太宰治資料館に行くことになったけど、その道のりが遠かった。元から体力がない私だけど、それに加えシークレットシューズが重い。

 汗だくになって登る私を、心配そうに声をかけてくれる親切な男の子がいた。

「足に怪我?ちょっと見せてみろ」

 足元に屈みこもうとする、男の子を慌てて止める。

「のぉっ!いっ…良いよ。臭いからっ、そう汗かいてて、足が臭いからっ多分嗅いだらやばいからっ」

 はははと笑って誤魔化し、いいから気にしないでと手を振る。
 この妙なシークレットシューズを見られたら絶対に変に思われる。そもそも教授以外に、英太の知り合いはいなかったので、15センチを誤魔化すためにわざわざ重い靴を履いてこなくても良かった気がする。

「荷物を持とう」

 リュックには必需品の眼鏡と飲み物とか飴とかの軽食、それから太宰治の本が数冊入ってる。結構重いそれを、ひょいっと持ってくれた。

「ありがとう」

 怪我してる振りをするのは気が引けたけど、正直体力の限界なので助かった。

 親切で面倒見が良い男の子の名前は、霧島玲人。バスで隣になって少し話をしただけだけど、霧島君とは本の嗜好が似てる。

 彼が好きな作者は私も好きだし、その作者の中でも好きな作品が一致した。

「霧島く…、霧島は太宰治好きなの?」

 好きだから参加しているんだろうな、と思いつつ念のため確認。軽井沢は避暑地と言うこともあって、沢山の作家がここで作品を生み出している。
 太宰治以外にも色んな作家が跡を残した場所だ。

「特別好きというわけではないが、興味はある。生き方にせよ、執筆したものにせよ、強い印象がある人だからな」

「あ、それは分かる。読んでてすごく楽しかったとかそういう気持ちにはなれないけど、文章のインパクトが凄い」

 ただいっさいは過ぎていきます、とかなんとも言えない太宰の気持ちが伝わってくる。それと同時に思う。どうしてそんなに深く生きることに考えてるんだろうとか。

 資料館は面白かった。太宰治の作品はすべて読んだけど、ここで新たな知識を得たのでもう一度読んで見直したいと思った。

 あーこういう時に、この作品を書いたんだとか。教科書で良く使われる走れメロスは、こんな時に生まれてきたんだとか。

「すごく楽しそうだな」

「うん。背景を知るの面白いでしょ。実際使った筆とか、紙とか、硯とか。あーこれで書いてたんだなと思うと、文字が生きる感じがする」

 ショーウィンドウに張り付いて中をじっくりと見てれば、霧島君が並んで同じように覗き込んだ。

「この2階で太宰は命を絶ったとは、惜しいことだ」

「あれだけ才能に溢れてても、生きることに不満だったって凡人には分からない思考なんだろうな。有島武郎とか芥川龍之介とか、川端康成とかもそうだけど」

 ぐるっと資料館を巡って出れば、外はまだ明るかった。うーんっと伸びをして周りを見渡す。
 参加者はそれほど多いとは言えなかったけど、その少ない人数が散り散りになってる。

 みんな思い思い好きなところを巡っているようだ。

 同じように入口から出てきた霧島君が資料館の名前が印字された袋を持っていた。興味を引かれて、何を買ったか聞けば私が欲しいと思った作品案内集を数冊購入していた。

 こういった専門書はびっくりするほど値段が高いので、手が出せない。
 良いなぁと言う気持ちをありあり浮かべながら、中身をパラ見する。

「こんなところで立ち読みしないでカフェでも行かないか?そこでじっくり読めばいい」

「え?良いの?」

「構わない。俺も読みたいと思っていたしな」

 軽井沢は避暑地なので、お洒落なカフェが多い。一番近くにあったカフェでコーヒーセットを頼む。

 わくわくと読んでいる途中で、頼んでいたショートケーキと紅茶が届く。人の本を汚しちゃ悪いので、ぱたんと閉じて横に置く。

 霧島君はサンドイッチとコーヒーを頼んでいた。霧島君も本を脇に避けて、ブレークタイム。
自然に話題は、文学のこと。

 ここで話しても、霧島君と私の本の嗜好がばっちりあってると思う。

「英知のリンゴと言うように、リンゴは文学の中で特別な意味合いを持つように思える」

 と霧島君が言えば

「白雪姫の毒りんごと言い、良い意味合いなのかは分かんないけど。でも俺は、レモンもそうだと思う」

 私が返し。

「レモン?」

 紅茶の脇に添えてあったレモンをスプーンで突きながら、自分の意見を展開。

「レモンって特別な感じがする。高村幸太郎のレモン哀歌と良い、梶井基次郎の檸檬と良い。平仮名で書くと初恋はれもんの味、みたいな甘酸っぱい感じがするし、カタカナで書くと何か切ない感じがするし、漢字で書くとごちゃっとして危ない感じがしないか?」

「その発想はなかったな。でも言われてみれば確かに」

「だろ?」

 あまり多いとは言えないくらいしか友達がいない私は、私の意見に同意しつつも新たな見解を述べる霧島君との会話が凄く面白かった。

 男の子の振りは疲れたし、足は重いし、筋肉痛になったけど、霧島君と話せて色んな知識が膨らんだのは良い経験になったなと、失敗は良い思い出に変換された。


「英莉~っ!お前、何やってくれちゃってんのっ~!?何だかしらねぇけど、あの霧島がやたらっ話しかけてくんだけどっ!」

 前と同じような勢いで、英太が飛び込んでくるまでは。

「霧島君とはこの間、ちょっと意気投合してカフェでお茶飲んだだけだよ」

「だけだよ、じゃねぇっつーの!あのな、霧島ってうちの大学じゃ有名人なんだよっ」

「え?何で?」

「あいつんち、超がつく金持ちなの!」

 霧島君はとある大会社の次男で、将来のポストが約束されているらしい。そのバックグランドに惹かれて、入学当初は霧島君の周りには男女問わずに人が集まっていたらしいけど、その内分散。
 霧島君はお金持ちで有名なのと同じくらい、人嫌いで有名。

 人嫌い、拡張表現されて噂されてるんじゃないかなぁ?確かに口調は取っつきにくいところがあったけど、話してると気さくだし、足の時とか本の時とか気遣いをしてくれたし。

「その霧島がっ、なんかあるごと俺に声をかけてくんだよっ。ダチには何だ?何だって詮索されるし、霧島は何だかよく分からない話題を振ってくるしっ!」

 それに今日はこれ!

 英太がぼんっとベットに紙袋を投げた。中を覗けば、あの時見たかった資料集。

「好きだろうからって言われて渡されてさ。誰だよ、このおっさんって俺は訳わかんねぇまま、受け取っちゃったよっ」

「おっさんって…太宰治だよ、あ。これ読みたくて、図書館に問い合わせたけど所蔵ないって言われた本だ~」

 わーいと言わんばかりに掲げ、さっそくページをめくれば、あーもうっ!といらだった英太に邪魔された。

 分かった、ちゃんと話を聞くよと本を袋に戻そうとして、袋の中に封筒が入っているのに気付く。
 首を捻りつつ、中を確認すれば1枚のチケット。

「あーこれ!」

 私の好きな作家の作品が、映画化されることになった。入っていたのはその映画のチケットの試写券。
 チケットと一緒に、小さなメッセージカードが入っていた。

「もし良ければ一緒にいかないか?……っておーーいっ!」

 メッセージを音読した英太が、イライラしたように髪をかけ上げた。そんな風にすると早く禿るよ。

「霧島…手紙って、女子中学生のようなことを…っ!どうやって断るんだよ、これ…」

「あ!じゃあ、私行ってくるよ!その時に、この本を礼言って返してくるから」

 一般人では手に入れることが出来ないチケットを握って、勢いよく言えば、私の本心を察した英太にぎろっと睨まれた。

「英莉~お前っ、ただその映画みたいだけだろーがっ!」

「だってさ~この映画早く見たくてさ…」

 ごちゃごちゃと言い訳。

「俺は霧島と友達になれる気がしねーよ!あまりにもタイプが違いすぎるっ」

「そんなことないよー英太。誰ともですぐに仲良くなれるじゃん」

「無理!霧島は無理っ!お前、映画行くのは良いけど、今後は話しかけるの控えてもらいたいって言ってきてくれよっ」

「え~……」

「最悪、俺らが双子であの時だけ入れ替わってたってカミングアウトしていいからさ!霧島ってそういうの吹聴しなさそうだし。あ、でも講義を入れ替わってたってのは言うなよ?史学散歩だけな」

「何だ。それをばらしていいなら、英太が自分で言えば良いのに」

 それを誤魔化すためにぐちぐち言ってるんだと思った。

「だからそれは最悪のケースだって。出来れば、穏便に関係を絶ってきてくれ」

「難しいなぁ~…」

 と言いながらも、チケットをチラ見。一般公開はまだ先だ。それを早く見れるチャンスがあるなら、それを逃す手はない。

「分かった。やってみる」

 頼むぞ!と英太に念押しされて、こくりと了承。
 そんなわけで、次の土曜日に霧島君と映画を見に行くことになった。


「ただいまー」

「おかえりっ!どうだったっ?」

「楽しかった~っ!」

「それは良かったな…じゃねぇよ!映画の話じゃねぇよ、霧島っ。うまく丸まった?」

「全然丸めなかった」

「そっかー……っておーーーーいっ」

 映画を見た後、原作との違いとか、映画自体への書評とか、その作者の他の作品について7時間ほど語ったあと、そろそろ帰ろうと駅に向かった。

「7時間っておいっ」

 別れる時間が近づいて、霧島君に私には関わってくれるなとミッションを思い出した私は、ちょっと公園を通ろうと、誘った。
 さて、この静かな場所だと言いやすいなと思った丁度その時、霧島君が先にカミングアウト。

「何かね~霧島君って女性恐怖症なんだって」

 霧島君は高校生の時の家庭教師に無理やり迫れて、それ以来女性恐怖症になったそうだ。
 すぐに家の人が気づき、その家庭教師は首になった。でもそのねっとりとした家庭教師は霧島君のトラウマになってしまった。

 人を食ったような真っ赤な唇、首を引き裂けるような長いつけ爪。頭がくらっとするくらいきつい香水。

 女性に対応すると、その時を思い出し鳥肌が立って気持ち悪くなるそうだ。男は平気だそうだが、男が集まると必然女の子も集まってくる。

 霧島君は男の人も女の人も遠ざけるようになった。

「おぞましいって言われて、英太の姉で入れ替わってました~って告白しづらくてさー。酷い時は蕁麻疹が出るんだって。言った途端、ショックで蕁麻疹出されたら、こっちまでトラウマになるよ~。
でもね~大丈夫、周りの友達が詮索してうっとうしいから、学内では話しかけないでくれって言っておいたから」

「そ…そうか!英莉っ、なんだうまくやってくれたじゃないかー」

 パンパンと肩を叩いて褒められ、そっかなぁ~とちょっと照れた。あはは、と鏡を見ているような感じで2人で大笑いしていると、私の携帯がぴりりっと鳴った。

「英莉、お前初期設定のままかよ。着音、好きな曲ダウンロードすれば良いのに」

「そういうの面倒だよ。来週の土曜日は空いてますか?空いてますっと」

 ポチポチとボタンを打って返信する。

「インドアのお前が即座に応じるなんて珍しいじゃん。相手、誰?」

「霧島君」

「へぇ~………っておーーーーいっ!」

 一段と激しく英太に突っ込まれた。今日の英太はお笑い芸人みたいな頻度で突っ込みを入れてくる。

「だってさ~…。持ってるんだって」

「何を!?」

「絶版になって手に入らないロシア文学集」

「だーっ!また物に惹かれるとはっ。この本の虫っ、眼鏡っこ、虫眼鏡がっ!」

「ごめん、次で最後にするから。さすがに、なんか騙してるの悪い気がするし」

「本当だろーなっ!」

「本当です」

 びしっと背筋を伸ばして言えば、英太が疑うように見た。

「頼むぜ、今度こそ」

 こっくりと頷き、すぐに返って来た霧島君からのメールを確認する。場所と時間が書いてあったので、スケジュール帳にメモする。

「楽しみだな~」

「英莉~っ!」

「分かってるって」

 霧島君と文学のことを話すのは楽しいけど、でも次で本当に最後にするつもりだった。

 からっと晴れた土曜日。

「うぉわぁぁぁっ!」

「大丈夫かっ?」

 大きめの公園の木陰で、持ってきてくれた本を読んでいた。途中のパン屋で買ったサンドイッチを食べようかとなり、私は公園に設置されている水道に手を洗いになった。

 その水道が老朽化してたのかどうかは知らないけど、蛇口が取れて、水が噴射。勢いよく頭から被りずぶぬれになった。

「だい………っ!?」

 駆け寄ってきた霧島君の言葉が不自然に止まった。濡れた髪をかき上げ、顔を拭って霧島君を見れば、信じられない!と言う顔をしている。

「こっちへ」

 霧島君は私にジャケットをかけると、近くの多目的トイレに引っ張った。

「ありがとーでも大丈夫だよ。夏だし、すぐに乾く」

 バックの中をタオルを取りに行こうと、ドアに手をかければ

「そうじゃない……透けてるんだ」

 霧島君に止められた。

「え?何が?」

「…………下着」

 胸元を見れば、確かにうっすらとピンクの下着が透けていた。あーこれはばれたな、と思ったら、霧島君が思わぬ発言。

「誰にも言うつもりはない」

「あ~…うん。あの…あり」

「ただ一つ聞かせて欲しいのは…いや。気を悪くしないでくれ。変な意味で疑ってるわけじゃないんだが、その…下着はどうやって手に入れてるんだ…?」

「へ?普通にランジェリーショップだよ」

「ランジェリーショップ!?勇気あるんだな…てっきりネット通販と言う答えが来ると思っていたんだが」

「ネット?いや、こういうのは試着しないと、着け心地が悪いよ」

「着け心地っ…そうか。そうだな。拘りがあるんだな」

 うんうんっと頷きながら、霧島君は若干引きつった顔をしていた。あーそっか女性恐怖症だもんな。

「ごめん。気持ち悪いよね」

 すすっと出て行こうとドアに手をかければ、思わぬ強さで引き止められた。

「そんなことはないっ!昨今、そういう…その下着をつけたがる男は増えてると聞くし…ちょっと驚いただけなんだっ!」

「そっか…。驚いただけか…。安心した~……ん?」

 …ん?
 ………ん?

「ちょっと待って!違うからっ」

 え?何それ?結構透けてるのに、女だって気づかれてないっ!?そりゃ私の胸は小さいけど、そこまでミニマムマックスっ!?

「その…俺は深く詮索する気はない。…見なかったことにして、これからも」

「おカマじゃないからっ!」

 怒りに任せて、霧島君の手を取り自分の胸に当てさせる。さすがに触れば分かってくれるでしょと言う突発的な行動だった。

 心臓の音が伝わるほど強く押し付ければ、ぴきんと霧島君の動きが固まった。

「うわっ!ごめんっ、ついついかっとなって」

 霧島君は女性恐怖症だった。それなのに、細やかと言えど胸に触らせるなんてなんて酷いことしてるんだっ!?私っ。

 ばっと押さえていた手を離し、霧島君の手を自由にする。
 霧島君の手は重力に従って、ぽとりと落ちた。力なくふらっとするその手に罪の呵責が。

 痴漢かっ~私は。
 女性と話だけで蕁麻疹出るって言ってから、更にその上の症状、ここで卒倒されたらどうしよう。

 こんな狭い場所じゃ、絶対頭を打つっ。

「ごめんっ!大丈夫?気分悪い?吐き気はっ??」

 吐き気を催したなら、幸い目の前に便器がある。
 おろおろとしながら、身振り手振りで便器を指さす。茫然としていた霧島君は私のオーバーリアクションではっと自分を取り戻したのか、ぱちぱちと瞬きをして焦る私の顔を見下ろした。

「いや…その大丈夫だ。…失礼な勘違いをしてすまなかった」

「いやいや、なんでそっちが謝るの!?…霧島君、女嫌いなのにっ…粗末と言えど触らせてごめんっ」

「いやっ、こっちが先に誤解したんだ。その…こちらこそありがとう」

「え?何がっ!?」

「いやっ…こちらこそごめんって言いたかったんだ」

 いやいや、とお互い謝りあって訳が分かんなくなってきた。ぺこぺこと頭を下げて、もう一度探りを入れる。

「本当に大丈夫?お水とか買ってこようか?ここじゃなくて、風通しの良いところで休んだ方が良いよね」

 場所も悪い。公園のトイレは決して清潔を言える場所ではない。狭くて、汚くて、そんな場所で、苦手な女と2人きり。

 ますます気分が悪くなってもおかしくないシチュエーションだ。

「本当に大丈夫なんだ。気分はよ………悪くない」

「そっか。小さい胸が幸いしたね」

 サバを読んでBカップの胸だ。これで私がDカップとかだったら、霧島君ショック死してたかもしれない。

「普段はコンプレックスだけど、今回だけは良かったかも」

 粗末で良かったっとほっとしたように息を吐けば

「粗末なんて…それに見た目よりはあるとっ…」

「…………………」

 触れさせた左手を握りながら、フォローする霧島君。

「そのっ…すまない…」

「ううん…。こっちこそごめん。霧島君が女性恐怖症だって知ってたのに、酷いことをした。霧島君にとっては、う○こを触ったようなき」

「それは断じてないっ!」

 さすがに自分の胸がう○こと同格だとショックだけど、恐怖症ってそういうものだと思って言えば、力強く否定された。

 ブラウスが乾くまでジャケットを借りることにして、もとの木陰に戻る。
 そこで、パンを食べながら事情説明。

 事情説明って言っても、英太の双子の姉で、あの時だけ入れ替わってたって30秒で終わったけど。

「双子だったのか…。弟の英太君はスポーツ特待生として名が知られているから、俺もそれとなく知ってた。しかしまさか双子の姉がいるとは思わなかった」

 しかも誰も疑わないほどそっくりなんだなと言われ、携帯のデータフォルダから英太とのツーショット写真を取り出す。
 特殊効果使ったと思える具合のそっくりな2人だ。

 動画も見せれば、霧島君は納得するように頷いた。
 こうして不幸中の幸いのことながら、事態は丸く収まった。

「ってなわけで、霧島君に入れ替わりをカミングアウトすることになったけど、誰にも言わないっていてくれたし、万事丸く収まったよ~」

 得意満面に英太に報告。
 よくやったと英太は、ぱちぱち拍手した。私は、ベッドに寝転んで鞄から数冊の本を取り出した。早速と言った感じで、捲りだした私を英太は呆れるような、感心するような目で見た。

「英莉、お前本当に本が好きだな~。しかもタイトルから意味わけね難しいやつっ。俺、表紙だけで疲れるんですけど」

 日本語ですらないじゃん、と言いながら英太は頭を抱えた。

「これはね~日本では出版されてないから手に入れづらい本なんだよっ!ネットでは売ってるんだけど、高くてさ。でも前から読みたかったんだ~」

 あとこれはね~と本の説明をすれば、聞きたくないとばかりに英太は耳を押さえた。

「頭痛くなりそー。俺、読書はマンガだけで勘弁」

「面白いのに~。来週はこの続き持ってきてくれるんだって~」

「………誰が?」

「霧島君」

「………おーーーーーーいっ!関係切れたんじゃないのかよっ」

「そんなこと言ってないじゃん」

 霧島君とは、今後ともなにとぞ良しなにと言って別れた。霧島君と本のことを語るのは面白いし、楽しい。
 でも私が女だと知ったとは霧島君が、関わりたくないだろうなと思って諦めてた。

「その…多分好きだろうと思う本を……いくつか持ってるんだが…。来週、空いてたら…どうだろうか…?」

 霧島君の方から誘ってくれた。
 土曜日はバイトだけど、日曜日は空いてる。

 日曜日は空いてるよ~と嬉々として言えば、霧島君が微妙な顔をした。あーもしかして、日曜日はダメだったか。

「都合、合わなかった?」

 がっかり、と言う感情を思い切り声に含ませて言えば、霧島君は激しく首を振った。

「いやっ。日曜日は空いてる。その…平日の…夜はダメだろうか…?もちろんっ遅くならないうちに、ちゃんと家まで送ってくつもりだ」

 ダメだろうか?と重ねて問われ、今度はこっちが激しく首を振る。

「ううん。大丈夫!バイトがない日なら。でも本は読み終わってないかもしれないけど…」

「良いんだ。本はいつでも」

 えへえへと笑いあって、次の約束をした。
 私の家は大通りに面しているので、それほど危険はないけど、それでもと霧島君が家まで送ってくれた。

 律儀な人だ。
 あー早く、約束の日にならないかなと言いながらベッドを転がれば、英太が微妙な顔をしながら見ていた。

 水曜の午後。

「っ……」

 小さく声を上げた私に気付き、霧島君がどうした?と引き返してくる。ちょっと…と言いながら右足を引き摺ると、すっと霧島君が足元に屈みこんだ。

「そういえば足を怪我してると言ってたな。治ってなかったのか?」

「ごめん…それ、嘘」

 そういえば史学散歩のときに、疲れ果ててそんな嘘を吐いた気がする。
 英太は軽く10キロくらい走るし、わずか1キロに満たない道で息切れしてるのも疑わしいと思ったから。

「靴ずれじゃないのか?ちょっと靴を脱いでみてくれ」

「う~…ん」

 確認しなくても分かる。間違いなく靴づれである。
 女性恐怖症を押して、私との友情を続けてくれる霧島君の好意に甘んじてはならぬと、私もそれとなく努力をしていた。

 霧島君に触れないように気を付ける。
 スカートは履かない。

 シークレットシューズを履く。
 と言う3点くらいだけど、今回は3点目の靴が問題を起こしているようだ。

「さ、そこに座って」

 ベンチに誘導され、靴を脱がされる。
 底が15センチくらいあるその靴を見て、霧島君は絶句している。その重さにも。

「なんでこんなものを…そもそもどこでこれを…」

「私と英太15センチの差があるから、それで誤魔化してたんだけど…」

「じゅ…そんな底がある靴を履けば、靴ずれもするだろうっ!」

 ぱっと見、軍の靴のように見えるそれは中が特殊な作りである。
 不自然にならないように、中にスロープがあって更に身長を高く見せることが出来るのだ。

「都立図書館に行く前に、靴屋に行こう」

「良いよ~。バンドエード貼ってれば、問題ないよ。それに靴だけ換えても、ズボンが江戸時代っぽくなるし」

 私は人目を気にしない方だけど、流石に街中でそれは恥ずかしい。

「ならば服も買おう」

 言いながら、霧島君が私の足にバンドエードを貼ろうとするので、受け取って自分で処置。
 でも靴と服か。ちょっと痛い出費だ。

 大部分の私のバイト代は本代に消える。服や靴は必要最低限度に留めている。

「さ、行こう。この近くに知り合いの店がある」

 と手を引かれて、断れなくなった。
 そのお店が量販店であることを祈る。


「こっちの方が似合う気がするな」

 霧島君は次から次へと私の足に靴を履かせている。最初は、女嫌いの霧島君に足を触らせちゃだめだと拒否してたけど、そのやり取りが数回を超す頃には面倒くさくなった。

「いいよ~ビーチサンダルで」

 一番安いし。
 霧島君が持ってくるミュールは、それなりの値段がしそうだ。

 正直デザインよりも、断然値段重視の私はやる気がない。かわいいものは値段も張るのだ。

「そもそも今日そんなに手持ちないし」

「俺が持ってる」

「お金の貸し借りは好きじゃないんだ」

「…………………」

 きっぱりと断れば、霧島君が不思議そうな顔をした。不思議そうな顔をした後、何とも形容しがたい複雑な顔をして、それから困惑するように首を捻った。

「俺が買うつもりだったんだが」

「えっ!?何で?」

「何でって…そういうものじゃないのか?」

「いやいや、おかしいよ!」

 そう言えば、霧島君の家は超お金持ちだった。どんな高額書籍もぽんと買ってるし、もしかしたら一般庶民の常識を知らないのかもしれない。

 呆れつつも、そういうものじゃないと説明すれば、思いがけずに反論される。いやいや、そうじゃないよ、いやそうじゃないと店の中でディスカス。
 本の内容を引用してくるから、こっちも武者小路実篤の友情を例にだし、対等でない場合どういう結果を引き起こすか意見を展開。

 お金の流通の経済の話まで移行し、更に白熱。
 常識的にこっちに利があると思ったディスカッションは、何故か服も靴も買ってもらうという結果に落ち着いた。

 どうしてそうなった?未だによく分からない。
 試着室に入り、霧島君が選んだワンピースを身に着ける。

 と言うかこれ、いくら?

 良いじゃないか!と褒められて、そうかな~?とちょっと嬉しくなりつつ、これまた霧島君が選んだミュールを履く。

 と言うかこれいくら?
 気になるお値段は結局知らされていない。

「その…15センチの厚底から想像はしていたが…随分と小さいな…」

「いやいや、私は平均身長だって。ただ、いきなり15センチ低くなったから違和感があるんじゃない?」

 そういう私も、霧島君と目を合わせようとして視線の角度を間違える。
 15センチの厚底を履いていた時は、少し上を向けば合った視線が今は多分15度くらい上向きに傾ける必要がある。

 最初はうまくかみ合わない視線にイラッとして、厚底が恋しくなったけどその内慣れた。

「足は大丈夫か?」

「うん。この靴履きやすいし、服も着やすいよ」

「そうか。気に入ってくれて何よりだ」

「でも、やっぱりお金は返すよ。無駄な出費させるの悪いし、気が引ける」

 いくら?と聞いても、明確な答えは返ってこなかった。

「俺は無駄な出費だと思ってない…。でももし…君の気が引けるというなら…その代わりにと言うのは何だが…今度会う時…その…着てきてくれるか?」

「え?この服?」

 ワンピースの裾をつまんで聞けば、いや、それでも良いんだが…と煮え切らない返事が返って来た。

「別の服。こう…ズボンじゃなくてワンピースとか…スカートとか…」

 ごにょごにょと言う言葉を拾って、繰り返す。スカート?

「もしかしてさ…私、思ったんだけど…」

「何をだっ!?」

 結構な勢いで、合いの手を入れられおおぅっと仰け反る。
 いや、そこまで重大なことを言うつもりはなくて、可能性の話をしようとしただけなんだけど。

「あのさ、霧島君。女性恐怖症…治ってない?」

 今の発言と良い、何のためらいもなく私の手や足に触る行動と良い、治ってきているとしか思えない。

「その…不快にさせてたらすまない」

 そう言うと霧島君はちょっと気まずそうな顔をして、視線を逸らした。

「ん?何が?」

「いや…俺がべたべたと…触ってたことだ」

「え?べたべたってほどじゃないし、全然不快じゃないよ」

 そうかと安心したように息を吐いた霧島君は、それからしばらく顎に手を当てて何かを考え込んだ。
 考え事の邪魔をしちゃいかんと、私は借りたばかりの文庫本をパラ見。

「そう言われてみると…そうかもしれない」

「でしょ?」

 良かったねと言えば、霧島君はそうだなと深々と頷いた。

「俺は将来、父の会社を手伝うことになるだろうし、その時に女性恐怖症など厄介なものなど抱えてはいられない。完全に治ったとは言いがたいが、間違いなく改善している」

 確かに社会人になったら、女性蔑視(たとえ恐怖症だろうと)間違いなくマイナスポイントになる。
 上に立つなら尚の事、能力評価主義を貫かなくては、会社に未来はない。

 良かった良かったと頷き合いながら、当初の目的であった都立図書館に向かった。


「あれ~?英莉珍しいじゃん。おニューの靴と服。しかも~ブランド!何々?どういう心境の変化―?」

 帰るなり私の服と靴に気付いた英太が、どうしたどうした?と好奇心露わに詮索してきた。

「うん。思い切って買ってもらった」

 結局、次に会う時はスカートを履いてくるという条件で、話はまとまった。私がスカートが履くことで、霧島君の女性恐怖症が治るなら、じゃんじゃん履こうと思った。

「へぇ!思い切って…?」

 英太はまた微妙な顔をしていた。

 それからまた数週間後。

「英莉~っ英莉様っ。お願いがございまするっ!」

 2回転2回捻りのスライディング土下座にやな予感。

「あのさ~っ明日、俺の代わりに行って来てほしいところがあるんだけどーっ」

「まぁた?今度は何で」

「今日提出期限のレポート出すの持ってくの忘れたんだよっ、明日まで待ってもらえることになったんだけど、明日はどーしても外せない試合があって!ゼミの教授の部屋に行って手渡ししてくれれば良いだけから!」

「え~…」

 渋りながら、まぁ良いかと了承。明日は霧島君と会う約束をしているし、学校へ行って驚かせるのも楽しいかもしれない。


「えーっと…確かこの時間はこの教室だったな」

 レポート提出と言うミッションを軽く終えた私は、必修であり霧島君がいるであろう教室に向かう。

 英太だと思って無視されるかもしれないけど、そうなったらそうなったらだ。
 メールでネタ晴らししようと、含み笑いしながら出てくるのを待っていれば、真っ青な顔をした霧島君が、口許を押さえながらよろよろと出て行った。

 え?えぇっ?
 何?何事っ!?

 どうしたんだろうと慌てて跡を追えば、不確かな足取りで霧島君は使ってない教室に入った。

「どっ…どうしたのっ?」

 蹲っている霧島君に声をかければ、はっとしたように顔を上げた。今にも吐きそうに背中を丸め、冷や汗をかいている。

「え?大丈夫?大丈夫?」

 びっくりして駆けよれば、それよりも先に霧島君の腕が伸びてきて、足が宙に浮いた。へ?と思うと同時にくるっと視界が回って、なんか上下左右と状況が良く掴めなくなった。

 気づけば机の上に乗っていて、霧島君が覆いかぶさっていた。

「今、講義中に座った…隣の女がぎっとぎとで…」

「ぎっとぎと?」

 口が…と言ったので、多分グロスの事だと思う。授業中に油ものを口の周りに付けているってのは考えづらいし。

「殺虫効果がありそうなほど強い香水をつけていて…ちょっと気分悪くなったけど、耐えられると思ってそのまま…座ってたら…その女が徐々に距離を詰めてきて…」

「うん」

 俺の膝に真っ赤な爪の手を置いて…と息も絶え絶えに説明してるけど、何となく察しがついたからもう良いよ。

「吐く?トイレ行く?」

 背中を撫でつつ言えば、大丈夫だと大丈夫ではなさそうなか細い声が返って来た。

「大丈夫、こうしてると落ち着くから」

「そう?じゃ、どうぞ」

「助かる。ありがとう」

 私の髪に顔を埋めながらしゃべるので、声が響いて聞こえる。くすぐったいと思いながらも、我慢する。

「すまない。俺の病気は全く治ってなかったようだ。思い出すと…ぐっ…」

 私の背に回した腕にぎゅっと力を込めた霧島君の背を摩りながら

「その内治るよ~。気長に考えようよ~」

 と慰めた。


「英莉~どういうことっ!?何だか知らないけど、俺と霧島が激しく抱き合ってたってすんげぇ不名誉な噂が立ってるんだけどっ!」

「あーごめんごめん。根も葉もない噂じゃなくて、事実」

「うわぁぁっ!何やってくれっちゃってんのーっ!」



ー教訓ー
 時には自分が蒔いた種が、刈り取れない次元まで成長してしまうこともあるので注意しよう。
共同作品です

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