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五、入学



ドンドン

ドアが叩かれている。

「はい。どなたで……」

ドアを閉める。
さて、今日の入学式は9時からだったな。
今は……6時半か。
まだまだ余裕がある。
朝ご飯は何にしようか。昨日のスープが残っているな。温めるか。
いや、眠気覚ましに先ずシャワーを浴びよう。

「ちょっと!開けなさい!開けないと寮長権限でマスターキー使いますわよ!」

何て厄介な物持たせているんだ。

やむを得ずドアを開ける。

「ああ!」

抱き着かれる。

「……ふぁ…」

「な…あ、あくびがこんなにも………」

一体何がどうなっているのやら。

「何か御用ですか?」

「ええ、アレシア、あなたを迎えに来ましたわ」

「私はここに住みますよ」

「いえ!私の所へ来なさい!」



長い口論の末、私が勝利した。ああ、もう8時だ。

「はあ……はあ……わ、私今日の入学式に出ないといけないんです。もう、準備しないと…」

「はあ…はあ………私も学園の運営委員会として………じ、準備しなくては………」

お互い、利害が一致。
サハリアさんには、引き下がって貰った。

時間がない!
急いで朝ご飯を胃に納め、服を着替え、歯磨きをして、えっと……腰辺りまである髪をとかし、合格通知をバックに入れ……多分OK!時間は8時半。
走れば、間に合う!!

窓から飛び降り、即座に駆け出す。
私は遠距離型だが、身体強化も出来るのだ。



十分程で、学園の門から中へ。新入生の為の案内板を目印に走る。

会場は大講堂らしい。
入り口で、合格通知を見せ中へと入る。
よかった。まだ、始まっていない。
中は長方形で椅子がズラリと並んでいる。今日は新入生のみなので、前の三分の一しか使っていない。
魔法科の人は、一番左だ。
アルバランガ語は、アルファベットに類似しているのでアレシアは前の方だ。

えっと、一番前の右から三番目か。

皆私を見て驚いている。
まあ、周りが十五歳だらけなのに、六歳の女の子がいたら違和感を持たざるを得ない。

あぁ、周囲の視線が痛い。
ともかく、席に着く。
早く入学式始まらないかな。



「では、これより入学式を始める」

こうして始まった入学式。とくに何ごともなく進み、最後に学園長の挨拶で締めだ。



やはり、何処のお偉方も話が長いな。

「……という訳です。さて、今まで我が学園の最年少入学記録は八歳でしたが今年更新されました。魔法科のアレシアさん、六歳ですえー、アレシアさん立って下さい」

何!?まさかこんな罠が張られているなんて…やむなく立った途端、…まあ小さいから立っても座っている人と同じ高さだが…一番前にいたこともあってここにいる約五千人の視線が私に突き刺さった。

うぐっ、心臓に悪い。

あのあと、学園長が何を言ったかは覚えていない。
座って下さいの声にやっと私の意識が起動した。



入学式後は、学園証を貰い解散である。
明日から一年生は授業のオリエンテーションがある。私は明日から四年生達と授業だ。

私が履修する科目は

魔法実戦1
魔法理論 意識と魔法の関係
魔法運用1
陣魔法1

の四科目である。

魔法実戦1は、一日戦う。それだけ。
魔法理論は、魔法が何故起こるかを学習。
魔法運用1は、様々な場面でどのような魔法を使うかを学ぶ。
陣魔法1は、陣魔法について学ぶ。

陣魔法とは魔法陣により魔法を発動させる分野である。陣魔法は魔力灯や魔力蓄積機等魔法具の加工に必須である。
よって、魔法科と技術科は一部合体している。

魔力蓄積機とは、魔集石という魔力を込めると込めた魔力を貯めてくれる石を利用したハードカバーの本みたいな形の機械である。

この魔力蓄積機は一つ金貨三枚、つまり約六百万もするが普段から魔力を込めておくといざという時沢山魔法が放てる。ただし、大気中のマナを魔法として使う外部魔力利用が出来ないと意味は無いが。

うーん、明日からの為に学園を見て回るか。



学園の案内板によると、学園は門を入ってすぐのあのギリシャ神殿風の南棟で政治や軍事が、北の四階建て煉瓦造りの北棟が技術、西の北棟と同じ建物が戦士と魔法、そして東の北棟と同じ建物が我が魔法科の独占スペースだ。中央には図書館や学食、教員室、五、六年生の研究室がある北やらと同じ建物が存在する。

なら、先ずは東に行くか。


子供の足で約四十分程歩き、東棟に着いた。
どうやらまだ入学式に出場した者以外は休暇らしく、人とすれ違わなかった。

東棟は四階建てで、窓にはまだ高いガラスがはめられている。

中は、学校らしい造りで講堂が各階十ずつありそれぞれで授業が行われるようだ。



とくにイベントは発生せず、見学を終える。
もうすぐお昼。学食の味を確かめよう。
ちなみに仕送りは毎月銀貨一枚。
外食は安ければ銅貨二、三枚で済むので趣味には四十枚程が残される。
この世界では活版印刷がもう行われており、私は小説を買ったりしている。一冊銅貨二十枚程なのでぎりぎり二冊といったところだ。正直厳しい。



私は金に悩みつつ、学食に入る。
学食は銅貨二枚でバイキングを楽しめるようになっていた。
流石、エリートが通う学校だ。
私は払わないが。
だって特待生ですから。

皿にオヴクという牛に似た肉のステーキ、ポッグという豚に似た肉のソーセージ、謎の魚のフライを盛り付ける。料理のトレーには保温の魔法もかけられスープも温かい。

味も素晴らしい。ふと見ると、隅の方にシェフはロミリア料理大会準優勝と宣伝している。
ロミリア料理大会とは、年に一度開かれる料理界のオリンピックで料理人にとって凄い名誉なことらしい。

「お嬢ちゃん、味はどうだい?」

まだ11時前後で人がいなくて暇なのか、シェフのおじさんが声をかけて来た。

「私の中で断トツの一位ですね、とても美味しいです」

あまりの美味さに、頬も緩んでしまう。

「…っ。お嬢ちゃん可愛いね!」

可愛いと言われるのは、子供と美人の特権だ。

「よし!お嬢ちゃん何か食べたいものを一つ作ってやろう!」

「いいんですか?」

「なあに、まだ学生共はまだ来ないさ」

「私も学生ですよ?」

「え?本当かい?」

私は学生証を見せる。

「ほー、六歳でもう四年生かい、益々気に入った!何かないか?」

「うーん、もうお腹いっぱいですから、甘い物が欲しいでしょうか」

「よし、ちょっと待っててな」

おじさんは厨房へ行ってしまった。

5分程して何かを持って来た。

「!!そ…それは…」

「へへ、まだ試作段階なんだがチョコリケイクと言うお菓子だ」

まさか、もう諦めていたチョコレートケーキではないか…!

即座に食べ尽くす。私はチョコを好物としていたのだ!

「どうだい?俺としては自信作なんだけど…お、おい!何で泣いているんだ!?」

「いえ……感動のあまりつい、とても、とても美味しいです」

私は諦めていた…だが!ここにあるなんて!
これだけで、学園に来たことを素晴らしく思える。

「おお。俺の料理にそこまでしてくれるなんて……感動した!!!」

その後、1ホールお土産に貰い寮に帰りました。
寮には魔集石内蔵の冷蔵庫があります。そこに保存しようと思ったが………………くそっ、欲望に負けて全部食べてしまった。

明日も学食に行こうと心に誓った。


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