第25話:秘めたる影
「‥漉君、
今から資料室に
渚ちゃんと一緒に
行くんだけど
行きたい?」
「資料室?」
「うん。
私の友達がいるの」
「俺たち以外にも
友達ができたのか。
そりゃ良かった!」
「できた、じゃなくて
前からだよ」
「でもずっと図書室に閉じこもって
ばかりだったん
じゃないのか?」
「むこうから
来てくれたの」
「へ〜
じゃあその本も
その友達が?」
「うん。
持ってきてくれた」
「もうその本は
読んだか?」
「うん」
「じゃあ返しにいく
ついでに行ってみるか」
(知美の友達が
知美に貸した本って…
心理学のやつか。
…まさか知美と
瓜二つの頭脳を
持っているのか。
それとも、
単に知美のレベルに
合わしただけなのか?)
「……ついたよ」
「こんなところに
あったのか‥」
「初めて知りました‥」
「2人共
ちゃんと学校に来てた?」
「来てたけど
今まで興味なかった
からな」
「私はこの廊下を
歩いたの初めてです」
「この廊下の先だぞ、
俺たちの教室は」
「この廊下は
職員室から教室に
もどる時しか
使わないんじゃないんですか?」
「え……
‥まあ気にするな!」
「そろそろ入っても
いい?」
知美がものすごく
こちらを凝視していた。
「ああ、忘れてた。
いいぞ」
「うん。
……入るよ〜」
「軽いな!
少し身構えてたぞ、俺」
部屋の真ん中には
横長の机が1つ。
部屋の四方は
窓を除いて
ほとんどが本や
ビデオ、文献だった。
そして今、
窓の外を見ていた
少女が振り返った…
「ん……あ!
確か前に図書室の
前で会ったの
覚えてるか?」
その顔は
まぎれもなく
前に、図書室は
知美が休んだことで
閉まっている、と
教えてくれたあの
少女だった。
「由来君、
知り合いだったん
ですか?」
「薗ちゃん、
漉君と知り合い?」
「…知らない」
「知らないって…
もう忘れたのか?」
「…知らない」
「……」
「……」
「薗ちゃん、
もしかして妹さん
じゃないかな?」
「妹がいるのか?」
「……彩音は
…死んだ」
「え…」
「死んだ‥の?」
「飛行機事故で、
行方知らずの身に
なった」
「知らなかったの…
‥ごめんなさい…」
「‥え、えーと。
暗い話はやめませんか」
「…そうだね」
「私、如月渚って
いいます」
「本当に俺のこと
忘れてるみたいだからな、
由来漉音だ」
「…〈神崎 薗〉
(かんざき その)」
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