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魔物とお菓子




「これでどうだろう?」



その夜、ディノは俄かにお菓子作りにはまった。

型に入れて固めるだけの砂糖菓子に目覚めたのだ。




「まぁ!こんなに可愛いハート型のお菓子を、私にくれるのですか?」

「……………うん」

「ふふ。私はとっても幸福な贅沢者ですね」

「君も、薔薇の祝祭の時にくれたからね。それと、…………ばれんたいんでー……にも」

「でも、あのお返しにディノは、私が狙っていた素敵な刺繍の春夏用毛布を買ってくれましたし、今日の市でも沢山のものを買ってくれましたよ?」

「君がくれたのは、自分で作ったものだったからね」



もじもじしながらそう言うと、ディノはすすっと砂糖菓子を差し出す。

悪戯心を起こしたネアが顔を寄せてお強請りしてみると、ぱっと頬を染めつつも、ふるふるしている指で口の中に一つ入れてくれた。




「ほわ!美味しいです!市販のお菓子の材料に、ディノの優しさが沢山詰まっていますね」

「ご主人様がずるい。…………かわいい」




魔物にはそこまでが限界だったようだ。

ぱたりと倒れて儚くなってしまった。




「……………死んでしまいました」

「お前が妙なことをするからだぞ」

「む。謹慎が解けたばかりの使い魔さんです。むぐ!」



厨房でディノと一緒にがちゃがちゃしていたアルテアは、おもむろにネアの口に何かを押し込んだ。



攻撃なら滅ぼすところだが、美味しいものが飛び込んで来たのでネアは頬を緩めてもぐもぐする。



ギモーヴのようなお菓子で、中に甘酸っぱいジャムが入っていた。




「俺は暫く忙しくなるが、また妙なものを捕まえてくるなよ?」

「むぐふ。山積みのお菓子をくれたので、このお菓子がなくなるまでは大人しくしているのです」

「お前だと、一晩も保たないな…………」

「では、明日も来てくれるのですか?」


こてんと首を傾げると、アルテアはなぜか無言になる。

一拍置いてから、ネアは鼻を摘まれて怒り狂った。




「保冷庫とこの棚の中に幾つか作り置きがある。計画的に食えよ」

「使い魔様!!」



怒り狂ったご主人様が恐ろしかったのか、アルテアはネアの厨房に、不在の間の作り置きを用意してくれる。

そして、餌付けをするだけしてから、悪さをした使い魔はどこかへ旅立って行った。



晩餐の時にそのことを話したところ、ゼノーシュ曰くヴェルクレアでは特に大きな問題は起きてなさそうなので、ちびふわから高位の魔物に戻る為の旅なのかもしれないと言うことだった。


三日も水玉模様なちびふわになると、確かにそういう時間も必要なのかもしれない。



ネアは生クリームで酔っ払いませんようにと、心から旅の安全を願っておいた。












こちらのお話は、本日更新のもののおまけになります!

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