ビーズと精霊王
その日のネア達は、アクス商会に来ていた。
近々行われる傘祭りで使う、ビーズの腕輪を作る為だ。
昨年に引き続きネアがその役目を担い、今年も素敵なビーズの腕輪を作る予定である。
なお、昨年のビーズの腕輪にはネアの持つ沢山の祝福が染みてしまっていたらしく、グラストの腕輪はゼノーシュの進言で常に仕事用のケープの内側に吊るしておいたところ、任務中に現れた老いた雪喰い鳥を見事討ち滅ぼしたという。
老いた雪喰い鳥は群れを離れて山間の洞窟などに住み着いていることも多く、近くの村の家畜や子供達を襲う害獣となる。
自由に各地を移動してゆく雪喰い鳥の場合は、あまりにも集中的な被害が出ない限りは討伐対象にならないが、そうして人間の生息域の近くに住み着いてしまったものは、領民への被害状況に応じて正式な討伐対象になるのだ。
「グラストさんは、その時にビーズの腕輪を壊してしまったことを謝ってくれたのですが、そんな風にリーエンベルクの方を守れるのであれば、私はとても誇らしいので、今年も頑張って作りますね!」
「……………ご主人様」
ここでディノがふるふるしているのは、ネアがとんでもない材料を一つ既に準備済みだからだ。
魔物はそれがとても怖いそうで、ネアがこのビーズの腕輪を作る話をするとどうしてもふるふるしてしまう。
特殊なリボンを使うからなのだが、そんなに怯えなくてもいいのにと、ネアは魔物の三つ編みを引っ張ってやった。
そうして今日は、その腕輪に使う為の高級ビーズを買いに、ネアはアクス商会にいるのだ。
相変わらずの秘密めいた雰囲気のお洒落な廊下を歩き、個室に入る。
他のお客に対応しているというアイザックがこちらに来るまでは飲み物が振る舞われ、上等なシュプリか雪砂糖を入れた紅茶と夜の祝福のある珈琲、そして初雪に薔薇結晶を浮かべた水かを選べた。
ネアは紅茶にして、ディノはネアにしか分からないくらいに水と紅茶で迷ってからなぜかシュプリを選んでいた。
リボンの恐怖のあまり、今日は少し混乱気味のようだ。
少し可哀想になったネアは、帰り道では奮発してザハのメランジェを奢ってあげようと心に決める。
今日売ろうとしている獲物の評価価格によっては、ビーズをたくさん買ってもお釣りがくるだろう。
そんなことを考えていると、コツコツと聞き慣れたノックをしてくれてから、アイザックが部屋に入って来た。
「失礼いたしました。お待たせしてしまい、申し訳ありません」
「いえ、お忙しい時間に来てしまいました。事前にご連絡すれば良かったですね」
ネアはそう詫びたが、とんでもないとアイザックは慇懃に腰を折る。
その優雅な漆黒の姿に、ネアはスケートの時に見たアルテアの擬態を思い出した。
案外あの擬態は、アイザックをイメージしていたのかもしれない。
(…………甘い香り)
ふわりといい香りが、アイザックの動きで漂った。
それは微かなものだったが、アイザックのものではなさそうなので、直前まで応対していたお客のものだろうか。
甘い花のような残り香を移すのだから、もしかしたら素敵な女性だったのだろうかとネアは少しだけ考えた。
「本日のお買取りですが、どのようなものをお持ちいただけたのでしょう?」
アイザックとの取引の時、彼からこうして尋ねてくれる時がある。
そんな時はアイザックが取り引きをかなり楽しみにしているのだと、以前、アルテアが教えてくれた。
影のようにひっそりと佇み、顧客の言葉や要求に頷いてから、適切な短い言葉で応える。
お客といえども、欲望の魔物が欲望の魔物らしさを崩すことはない。
そんなアイザックが自ら品物について尋ねるのは、よほど期待をしている時なのだとか。
困ったことに、彼はネアの動向を見張っているかのように知り尽くしていることがあり、今日持ち込んだ獲物についても既に情報を得ているのかも知れない。
「こちらなのですが、…………」
しかし、この日ばかりはいつもとは違う反応が見られた。
ネアがそう言ってテーブルの上に置かれている獲物用の漆黒の天鵞絨張りのトレイの上に置いたのは、ボラボラ集落で狩ってきたカワセミもどきだ。
するとアイザックは、たっぷり一分近くは無言になってしまい、その後に手袋に包まれた指先でそっと眼鏡の縁に触れた。
切れ長な黒い瞳は、驚きに見開かれている。
「………あ、あの、この獲物なのですが」
「失礼いたしました。…………失礼ですが、こちらの獲物は、どのように討伐されたのでしょうか?」
「む。………手刀でばしりと………」
「……………手刀で」
静かに復唱してから目を瞬き、アイザックはなぜか一歩だけ後退してから、ネアに無言で一礼するとディノに向き合った。
「シルハーン、……こちらの獲物なのですが、狩りをされた後に、ネア様には特に影響などはありませんでしたでしょうか?」
「アイザック?……もしかして、これは厄介なものなのかい?」
「…………私の鑑定が間違っていなければですが、………これは、略奪を司る精霊の王の一種かと」
「略奪の精霊王は、グーガンディではなかったのかい?」
ディノの目に微かな緊張が走る。
隣に座っていたネアの手を握ると、魔物らしい艶やかで鋭い眼差しになった。
「ええ、グーガンディが略奪の精霊王ではありますが、とある文化圏にのみ、別種の略奪の精霊王の伝承があります。であれば略奪の精霊王は複数いるのではと考えておりましたが、なにぶんにも、あちらの系譜の者達は用心深くこちらの接触に応じませんからね。……ただ、この個体はその伝承の通りの姿ですので…………」
部屋の中には奇妙な沈黙が落ちた。
三人はトレイの上のぺらぺらした生き物の残骸を見つめ、ネアはあまりの緊張感とこの獲物の姿の落差に若干困惑している。
「……この、カワセミより幅広な胴部分は、精霊の特性。縁のステッチのような不思議な模様は、魔術回路になります。尾の部分の繊毛は精霊王の証の王糸ですね。濡れたような艶のあるこの毛並みといい、グーガーの書にある伝承の通りです」
「………ほわ、ちょっと切り方のまずかった上等なリボンにしか見えません…………」
そもそも、ステッチの見える模様が体にある、リボンにしか見えない生き物というものがよく分からない。
王の糸とやらも、切り方がまずくてほつれているようにしか見えないではないか。
ネアはすっかり眉が下がってしまい、その後の交渉はディノに任されることとなる。
「…………精霊の呪いが残っていないかどうか、こちらでも調べよう。精霊の呪いに対処出来るような魔術階位の高いものはあるかい?」
「ええ。高位の精霊の呪い除去用の転換石を、偶然にもとあるお客様が注文されたばかりでしてね。注文数だけですと空輸代が高くつきますから、一箱の買い付けにしたところでした」
「おや、君にしては珍しいね」
「今年は、ウィームでもトレトレ祭りがありますから、在庫は増やしておきませんと」
「とれとれ祭り…………」
初めて聞く単語にネアが首を傾げると、アイザックがおやっと眉を持ち上げた。
するとディノが、微かに気まずそうな目をしてネアがその祭りについて聞いていなかった理由を教えてくれる。
「トレトレ祭りは、クッキーの祟りものの祭りがあっただろう?あれの、クッションのものだと思えばいい。潰れたまま叩いて膨らませて貰えないクッションの精霊が祟る祭りだ。四年に一度あるものらしいが、君は、その日は私と一緒に避難するからね」
「…………もしかして、危ないお祭りなのですか?」
「クッションの祟りものはね、…………小さな灰色の子兎の姿になるんだ。君の好きな餅兎に似ているから、………その、ダリルが君には酷なものだろうと……」
「餅兎的な子兎さん…………」
そんな素敵な言葉に目を輝かせたネアに、ディノは少しだけ途方に暮れたような悲しげな目をする。
「いけないよ。君が巻き込まれると危ないからと、ダリルから昨年末に話があったんだ。知ってしまったのに諦めるのは悲しいだろうけれど、その日は避難していようか」
「…………ディノは、昨年から知っていたのですね?」
「……………ネア」
ご主人様の声が少しだけ低くなったからか、ディノは悲しげに目を瞠る。
水紺の瞳が怯えたように揺れ、ネアはふすんとご立腹の息を吐く。
何かを説明しようとして言葉を無くした魔物に、ネアは厳しく罰を与えることにした。
「内緒にされてとても悲しかったので、帰りに市場で干し杏の砂糖がけを買って下さい!それを買ってくれなければ、子兎さんの恨みは忘れられないのです」
「好きなだけ買ってあげるから、許してくれるかい?」
「むむ。そんなことを言うと、二袋買ってしまうのです。恐ろしいことになりますよ?」
「君が許してくれるのなら、好きなだけ買っていいよ」
「うむ!それでは暴虐の限りを尽くし、干し杏を襲うのです!」
ディノは満足げなネアの姿にほっと息を吐き、そのやり取りの間は黙って待っていてくれたアイザックが、とても良い取引きですねと微笑んだ。
砂糖がけの干し杏は一袋買ってもザハの焼き菓子三個くらいの値段なのだが、甘酸っぱいと甘いの絶妙なバランスで手が止まらなくなり、あっという間に食べ尽くしてしまう恐ろしいものなのだ。
ふた袋もあれば安心なので、ネアはほくほくとした思いで子兎のことは忘れるようにした。
そのクッションの精霊をかなり撫で回したくはあるが、ダリルの言うことは聞いておいた方が安全だという予感がする。
その祭りは心して避けておこう。
「さて、転換石ですが、最上級の紫のものになります。念の為にご利用の際にはアルテア様か、ノアベルト様にご同席いただくのが宜しいかと。万が一触れられないような呪いが添付されていた場合、それが完全に剥がせたかどうかを見極めるには、あのお二方が向いていらっしゃる」
「そうしよう。アルテアは暫く王都の方に出ているそうだから、ノアベルトに頼むよ」
「ええ。このような道具を使わないものであればあなたに勝る目もないでしょうが、手を加えたものに沿う魔術となると、あのお二方に勝る目はないかと。御身に見えないものは添付されていないとは思いますがね」
「いや、この子のことでは過信はするまい。今の私には何も見えなくても、念の為に洗浄をしておいた方が安心だからね」
ネアはここで、転換石というものが何に使うものなのかを教えて貰った。
アイザックが扉にある謎の引き出しから取り出したのは、親指の先くらいの大きさの、ごつごつとした紫の石だ。
透明度はなく、絵の具で塗った小石にしか見えない。
(あまり綺麗ではない、かな……)
「まだ効果の出ていない呪いや、その影響を認識出来ていない呪いにだけ有効な身代わり石なんだ。本人や周囲の者が認識してしまうとその呪いは形を成してしまうから、形のないものしか身代わりになれない。これもまた一種の魔術の理に近いものだね」
転換石は、その土地だけで信仰されている実態のないものや、そうだと言い伝えられているものの実際にはそうではない伝承が凝る魔術の結晶石なのだそうだ。
形を成したくても実在していないものに向いた魔術が凝固し、まだ形を成していないものを取り込んでしまうという性質がある。
封印石の一種だが、王族などは好んで手元に置く稀少なものであった。
「………そんな風にして効果を出すものがあるだなんて、……私はまったくの素人ですが、魔術というものはとても奥深くて面白いのですね」
「魔術は自然の要素であり、文化や伝統、時には文学や芸術、そして数式でもあります。呪いであり祝福でもあり、理でもあるが故に、どこまでも欲深く謎が多い。飲み干しきれない美酒のようで、いやはや何とも興味深い」
そう答えてくれたアイザックの声には、微かな熱が篭った。
彼が決して手袋を外さないのは、その指先まで染みた術式のせいだという。
この魔物は、どこまでも冷静であるように見えて、魔術の術式にかけては貪欲と言っても控え目なくらいの情熱を傾けるらしい。
かつて、欲望の魔物と魔術勝負をした太古の魔術王が、その身に特殊な術式を宿していたが為に、この魔物にばらばらにされてしまって骨の一欠片や血の一雫まで残さずに食べられてしまったという、とても有名な話がある。
魔術に関してのみ、この欲望の魔物は悪食なのだ。
ノアが、心臓をなくした後に真っ先に会いに来られたので、食べられるかと思ってひやりとしたと話していたので本物なのだろう。
「君は、相変わらず魔術のことになると饒舌だね。くれぐれも、望むものの為にこの子に害を為さないようにしておくれ」
「勿論ですとも。私にとっても幸いなことに、ネア様は健やかであってこそ、私の欲を満たして下さるお方。今回も、………まさか、伝承にしかない精霊王を手に入れられるとは思いませんでした。こちらの個体は、社としてではなく、私個人として買い取りをさせていただきます」
ふつりと微笑みを浮かべた唇の形に、どこまでも漆黒に切り取られたその端正な姿に、ネアは獲物を食べてしまって満腹になった猫のようだとこっそり思ってしまった。
こちらの世界に来て様々な生き物達を見たし、魔物というものはいつの間にかとても身近な生き物になった。
けれどもやはり、ネアの中で一番魔物らしく思えるのはこのアイザックなのだ。
それは婚約者や使い魔となっている魔物達とは違い、ネアがかつて元の世界の聖書の教えで知っていた悪しきもののように、純粋な黒で、闇で、曖昧さだった。
ぱたんと扉が背後で閉じる。
アイザックがネアが少しだけ呆然とするような価格で精霊王を買いとってくれたので、ネアはたくさんのビーズを買うことが出来た。
ほこほことした気持ちでお買い物をした袋を金庫にしまい、冷たい風に満足の息を吐く。
外に出るとそこは、アクス商会に漂う奇妙な空気とは打って変わって、どこまでも清涼な透明さが際立つウィームの冬だった。
街並みは白く輝いており、絵本の中の冬の都のように美しい。
繊細で優雅で、どこまでも澄み渡っている。
「君は、時々アイザックの前で緊張しているね。彼が苦手かい?」
「ご贔屓にしているお店の方として信頼をしていますし、あの方らしさが決して変わらないだろうなと思うからこそ、時折警戒もしてしまうのでしょう。アイザックさんは、私が元の世界でこれが悪しきものでこれが恐ろしい誘惑だと学んだ、まさにその形そのものに思えてしまう方なのです」
「…………君は、彼に誘惑というものの気配も覚えるのだね?」
そう尋ねた魔物は、どこか危うく魔物らしい酷薄な瞳をする。
これもやはり魔物ではあるという瞳なのだが、ネアにとっては特別な魔物なので、それは久し振りに見る鋭く美しいものという感じがした。
どうやら人間は、ある特定の恐ろしさには、その排他的な美貌に惹かれてしまうようだ。
「誘惑と言っても、お金や権力などという、倫理的な教えのその中で誘惑を囁く怖いものとしての表現ですよ?アイザックさんは、その手の誘導もお上手そうに見えてしまいます」
「それなら良かった。君が、彼にだけ特別に惹かれるものがあるのなら、どうしようかなと思ったよ」
「なぬ。寧ろ、アイザックさんは真意が掴めない感じがして一緒にいると緊張してしまうくらいなのです。お客として接している安心感の効果のないところでは、あまり関わりたくありません」
「…………君が、そうもきっぱり言うのは珍しいね。嫌いなのとは違うようだけれど」
「そうですね、勿論、嫌いな方ではありませんよ。それに一般的に見ればかなり人を選ぶとは言え、やはり特別に魅力的な方の一人なのだとも思います。ただ、私には不得手で不利な区分にあたり、それが分かっているので時々緊張してしまうのでしょう」
さくさくと雪を踏みながら、ウィームの街を歩く。
ネアは隣の魔物を見上げ、そもそも、最初は踏んで欲しい系の魔物も圧倒的に苦手区分の存在だったのだと思い出していた。
ネアが憧れていたのは、お日様の香りがするような柔和で頼り甲斐のありそうな、けれども中庸で人混みに紛れてしまいそうな、どこにでもある量産品のセーターだった筈なのに。
(世界に一個しかなくて、足を踏んだり紐に繋げられたり、打撃を好む系のセーターを大好きになってしまった………)
「ネア?」
「………困ったことに私はディノが大好きなので、今度こそアルビクロムで特訓をしてきますね」
「特訓を…………」
「婚約期間が終わる前に、私にはとても大事な修行が一つあるのです。それにはやはり、専門家の手助けが必要………ディノ?」
「もし君が誰かの手を借りようとしているものが、とても親密なものであるならば、それを教えるのは私だけであるべきだと思わないかい?」
こちらを見た魔物の瞳はどこか怜悧にも思えたが、ネアはどう答えれば正しいのか途方に暮れてしまい、率直に返事をしてみた。
「どうすれば、素敵なご主人様になれるかがですか?」
「……………ご主人様に」
その途端、魔物は困惑したように首を傾げた。
「ええ。私とて、日々ご主人様としての務めを立派に果たすべく、自身と向き合っているのです。本当はあまり望ましくはないのですが、それでもディノと一緒にいたいので…」
「………あまり望ましくはないのかい?」
「そうですね。でも私はディノと出会ってしまいましたし、ディノがとても大事な魔物なので、今はディノのご主人様は私でなければと思うのです。…………む。なぜに逃げたのだ」
ネアは、特殊な趣味を持つ婚約者を傷付けないように丁寧に言葉を選んだ。
しかし、それによって魔物はすっかりくしゃくしゃになってしまい、近くのお店の壁にへばりつくようにして後ずさってしまう。
「…………ネアがずるい」
「公道で、誤解を受けるような言動はやめるのだ」
「………可愛い」
「大事な魔物のディノが逃げてしまうと悲しいのです。戻ってきてくれますか?」
「…………ずるい。可愛い」
「時々思うのですが、ディノは打たれ弱過ぎます。今度のお休みの時には、たっぷり甘やかすので、私と一緒にいることに少し慣れて下さいね」
「……………ご主人様が虐待する」
「むぐぅ」
その夜、ネアは少しでも愛情表現に慣れて貰おうと、せっせとディノに好意を伝えてみたところ、魔物はすっかり弱ってしまい、ご主人様が虐待するとしくしくと泣き出してしまった。
翌朝に熱を出した魔物を診てくれたノアにも刺激が強過ぎると叱られてしまったネアは、たまたまエーダリアに用があって立ち寄ったウィリアムに相談してみたのだが、その結果不慮の事故が起きたのでちょっと魔物はよく分からない生き物なのだなという感慨を深めた次第である。
なお、一番の常識人として認識している偉大なるドリーにカードで相談してみたところ、ヴェンツェルもその手の愛情表現が苦手だと打ち明けてくれ、暫くお互いの苦労話で盛り上がることが出来た。
良い同志を得たので、これからも頑張れそうである。