巣材と葉書
七月にはウィームでも幾つかの祝祭が予定されている。
何でもないお休みは代休のこの日が最後であるので、ネア達は、夏の必要品の買い物に出かけることにした。
(七月は盛り沢山!)
とびきり大きな祝祭や特別な奇祭はないが、楽しみにしているものが幾つもあるのがヴェルリアの七月だ。
まず、次の水曜日には、騎馬戦や剣試合に謎の人形劇まである、騎士達の見せ場ともいうべき、ヴァロッシュの祝祭が訪れる。
ネアは騎士達が公演する人形劇に興味津々だったが、祟りものを斃したリーエンベルクの騎士団長が国を救ったという、実際の事件をモチーフにした演目なのだそうだ。
その有名な物語が統一戦争の後にも語り継がれ、こうして祝祭で演じても咎められないような時代になったことを喜ぶ領民も多い。
騎士を導き、なぜか最後に騎士と結ばれる筈だった王女の心を掻っ攫う、緑色の毛玉妖精が人気の舞台だ。
この祝祭の翌日は、騎士達の安息日となり、領民は騎士達を労う。
その安息日には、騎士を輩出した家や騎士達の住まいには、山のような差し入れが届けられる感謝の日となるのだとか。
他にも、リーエンベルク前の広場での野外コンサート。
こちらは、王都からの楽団も来たりと、楽しい夜になるらしく、王宮側からの特等席で観覧出来るので、ネアはとても楽しみしている。
シュタルトでは湖上舞台で行われるオペレッタがあり、ウィーム全土で行われる、疫病封じの日を祝う少し怖いお祭りの一つ、髑髏のお面をかぶって行列を組む、疫病祭りもある。
疫病祭りは、見た目は怖いが美味しい疫病封じのケーキを食べられる日で、珍しく仕事でウィリアムがウィームを訪れる祝祭だ。
更には、ウィームの行事ではないが王都では牛追い祭りがあるそうで、あまりにも荒ぶる祝祭なので、安息日が二日設けられており、治癒院は負傷者達で溢れるらしい。
かなり気になるが、グラスト達ですら危ないので近付かないと知り、ネアは観戦を諦めた。
当日の死者は、毎年二十人を超すそうで、かなり激しさが見込まれる。
何しろ、追う牛が魔物の牛なので、その初期設定から少し間違っているのだ。
「そんなこんなで、まずは騎士さん達にお贈りする、感謝の品を買い出しにゆきます」
「騎士達に、個人的な贈り物をするのかい?」
「これはもう、人間独自の風習ですので、容赦して下さいね。こうした周囲とのお付き合いの贈り物も、人間社会では暗黙の了解で必然とされます」
「ネアが、騎士達に………」
「贈り主の表記は、私とディノの連名ですよ?」
「それなら構わないよ」
あっさり鎮められた魔物は、連名で贈り物を出すというシステムにすっかり夢中になった。
横並びに綴られた名前に大喜びし、この祝祭を見込んだリノアールの贈答用の特設店舗で、飾り文字の職人が二人の名前を書く度に嬉しそうにもじもじしている。
優しい青色の帯紙に宛名と贈り主の名前を入れ、それを商品の箱に巻いて発送待ちの棚に並べて貰う。
発送魔術がかけられているので、当日になると宛名の者達の住所にある郵便ボックスに自然に届いているという魔術仕掛けの贈り物なのだ。
ネアは今年初めての参戦なので、少しだけ奮発して人間関係の循環を図ることにする。
食べ物はどっさり届くと聞いていたので、金庫と同じ魔術を使っている薬入れのピンブローチにして、その中にディノ特製の傷薬と痛み止めの二本セットを入れておいたのだ。
様々な色合いの一粒石のピンブローチなので、セットで届けて騎士達に好きな色を選んで貰うつもりである。
「ふぅ。やはり金庫の魔術系統のものは、高価なのですね」
「ネアが、騎士に散財する……」
「やはり薬の魔物の歌乞いなのですから、そのような特徴を思わせる贈り物にしたかったのです。そして、私の大事な魔物の高性能な薬を入れておき、リーエンベルクの騎士力を底上げしてしまう企みですね」
売り場の担当者に薬を二本入れて貰った結果、一個ぐらいは魔術道具を仕舞えるくらいの空きがあるそうだ。
その空きスペースも有効に活用して貰う為に、あえて少し大きめの容量のものを選んだ。
好評であれば、翌年からは中身を贈るだけで済むようになる、初期投資の贈り物でもある。
(来年も薬でもいいし、災害グッズや、便利な魔術道具もいいかも……)
そんなことを考えながら、今度は寝具のお店にやって来た。
実は今日の目玉の買い物はここであり、ネアが最も警戒しているところなのだ。
がらがらと鉄柵の扉を引いて閉める魔術仕掛けのエレベーターのようなものに乗って二階のフロアに上がり、出たところに広がっていた寝具売り場を見るなり、隣の魔物がどこか悲痛な目をした。
「さて。もう夏になりますので、新しい巣材を探して下さい。寝台で使う夏用のタオルケットを買いましょうね」
「…………毛布」
愕然と呟いた魔物がぎこちなくこちらを向くので、ネアは小さく溜め息を吐いて説明に入った。
「毛布ではもう暑いでしょう?特に巣は、毛布を積み上げて形成しているので、熱が籠り易くて危険です。屋内でも熱中症はありうるので、季節に応じた準備をして下さいね」
「薄くてさらさらしているから、巣にはならないんじゃないかな」
「この前、家事妖精さんが持ってきた夏用の寝具を、自分の分だけ全部返してしまったでしょう?」
「巣の周りだけ涼しくするから大丈夫だよ」
いつもなら、ご主人様に何かを買って貰うのは大喜びの筈なのに、巣に関してはどうも頑な魔物だった。
ではせめて、隣に寝るとき用のものを買うようにと言えば、謎にしょんぼりしてしまう。
「毛布だと、隣に入ってはいけないのかい?」
「私の寝台で横に寝る場合は、涼しくなる魔術を適用するのは禁止します。私の片側だけが、巻き添えで冷えてしまうではないですか!」
「毛布………………」
ご主人様が許してくれるだろうかと少し甘えた感じを出した魔物は、容赦なく一刀両断されてぺそりと項垂れた。
しかしネアとしては、涼やかにタオルケットの肌触りですやすやと眠っている時に、隣に毛布の塊があったら嫌なのだ。
ショボショボして歩く魔物の三つ編みを引っ張って、ネアは若干引いている店員を捕まえると、毛布大好きっ子でも楽しめる肌触りの物を探して貰う。
三つ編みを引っ張られた艶麗な魔物から期待に満ちた眼差しを向けられた男性店員は、慌てて売り場の一画に向けて走っていった。
この悲し気な生き物をどうにかしなければと思ってしまったらしい。
「毛布はあるのかな」
「せめて八月いっぱいまでは、毛布から離れましょうね」
「ご主人様………」
魔物は恨めしそうに、大きな窓から外の空を見上げる。
下手に拗らせると真夏に雪でも降らせかねないので、ネアはひとまず本日は、お隣で寝る用のものだけ買えればいいやと遠い目をした。
ややあって、店員は二種類の夏用ブランケットを持って戻って来た。
売り場の中央にある、黒曜石の大きなテーブルにサンプルのものを広げて見せてくれる。
「こちらなどは如何でしょうか?夏用のブランケットになりますが、上質な毛織物のようなふわふわで艶やかな肌触りでして、吸水性と速乾性に優れております」
「むむ、このふわふわ感は素敵ですね!ディノ、毛布的な肌触りに近いので触れてみて下さい」
「毛布じゃない………」
しょげたまま、その夏用ブランケットに嫌々触れた魔物は、ぴっとなって目を丸くする。
首を傾げてもう一度撫でると、またしてもぴっとなった。
冬用毛布よりは軽く、その分ふわふわのマシュマロ質感なので驚いたのだろう。
にやりと笑ったご主人様は、いい品物を持って来てくれた売り場の従業員と顔を見合わせて頷き合った。
この反応であれば、毛布大好きな魔物が落ちるのも時間の問題だ。
「広げて腕にかけてみますか?」
「…………うん」
端っこばかり触っているのでそう提案すれば、目元を染めたままこくりと頷いた。
未開の地の生き物が初めて文明の恩恵に触れた者のような仕草になっているので、男性店員も微笑ましい表情に切り替えてくれて温かく見守っている。
そして、袖を少し捲らせて夏用ブランケットの角を腕にかけてやると、魔物はぽわっとした微笑みを零し、こくりと頷く。
どうやら、お好みの夏用ブランケットが見付かったようだ。
「これならご愛用出来そうですか?」
「うん。……毛布じゃないけれど、毛布みたいな肌触りで、ふわふわしてるね」
(毛布をしまえそうで、本当に良かった………)
結局、その夏用ブランケットの淡い白灰色と、洗濯嫌いの魔物用に替えのライラック色のものも買い、もう一種のお薦めだった毛布素材だが氷織りの祝福でひんやり感じるスペシャル毛布も購入した。
初回購入であるので、これはご主人様からの夏のボーナスである。
(巣を作りかえるとなると、最低でも他に十枚は必要だと思うし……)
厚みなどの問題で巣になるかどうか、少し不安要素もあるにはあるが、ひとまずは寝具が夏用になっただけでも良しとしよう。
嬉しそうに毛布を受け取って部屋に送った魔物は、季節に応じた品物を開発してしまう人間にも興味を持ったようだ。
「部屋を涼しくすればいいのに、人間は寝具を変えるんだね」
「その方が、効率的だからでしょう。魔術も浪費しませんし、気分的にも新しい季節になったと言う感じがします」
「そうかな?気温変化には、そこまで魔術を使わないと思うよ」
「寝ているときは、それ以外のことに力を割きたくないのが庶民の発想ですよ。加えて、気温差がない方が体には優しいですから」
「夏の間中、気温調整をすればいいのでは?」
「贅沢ものめ!」
「ご主人様…………」
「無理に暑さを我慢する必要はありませんが、程々に季節感も楽しんで下さいね。日差しが熱いからこそ、氷菓子が美味しい季節ですし、冷たいスープも沢山売り出します」
「うん………。人間は面白いね。自分達の方から扱い難いものに寄り添うんだね」
あまりにも不思議そうに言うので、それは生来のスペックが云々と言う話をするのではなく、今度、海遊びにでも連れて行ってやろうとネアは考えた。
ネアは元々あまりアウトドア派ではないのだが、そんなネアでも思いつくような、夏を楽しむ遊びも幾つもあるだろう。
(この魔物はもしかしたら、夏がどれだけ暑いのかも自分では知らないのかしら)
それは便利なことなのか、それとも寂しいことなのだろうか。
でも、今日は夏用のブランケットにも素敵なものがあると知ったので、魔物は嬉しそうだ。
「さて、次はサマードレスですね」
「さまードレス………」
胡乱気な顔をする魔物に厳めしく頷き、ネアはなぜか衣裳部屋に存在しない半袖のお洋服を求めて、婦人服のお店が軒を連ねるフロアに移動した。
半袖や袖なしのドレスがあちこちにかかっており、その吊るしの服を見た魔物がさっと青ざめる。
「ネア、………もしかして、こういうものを着るのかい?」
「夏ですからね」
「腕を出す必要はないんじゃないかな」
「夏至祭のときにも言いましたが、季節に見合った服装ですので慣れて下さいね」
「君の周囲だけ涼しくしてあげるから、長袖のままでいいと思うよ」
「一人だけ冬服だなんて、どんな苛めでしょうか」
ネアは顔をしかめたが、魔物が凝視しているのはネアが手に取った日常着用のドレスだ。
「ネア、………その服はやめようか。袖がないだろう?」
「そういう形のものなのです。色も形も上品ですし、これは素敵ですね」
「ほら、あちらには袖のある服も飾ってあるよ。それに、服ならいくらでも用意してあげるのに……」
「衣裳部屋にある服は、なぜか長袖しかなかったので市販品を買いに来たのですよ?それに、あちらにあるのは未亡人用のドレスだから長袖なのです」
魔物はおろおろしてネアの周囲を徘徊したが、邪魔に思ったご主人様が、わざと大胆に背中の開いたドレスを何着か見せると、最初に見たドレスでも構わないというような悲壮な気持になったらしい。
少なくとも上半身の布地は二倍以上であるし、胸元も大胆に開いていない。
(公の場では、どういう服装がいいのかエーダリア様とヒルドさんに聞いてみよう)
あくまでも、今選んでいるのは仕事用のものと、休日用の服装だ。
シンプルで使いまわしが効くようなものを見ていると、魔物は今度はご主人様が不憫になったのか、もそもそと、袖なしの服を隠さないと白状したので、やはり支給品の中にも夏服はあった模様だ。
罪の告白をした魔物をじろりと一瞥し震え上がらせると、ネアはひとまず二着をご購入とした。
一着は濃紺で襟元が上品なレースのVネックになったもので、丁寧にタックを取ってふわりと広がったスカート部分も合わせて全体的にシンプルで上品なデザインのものだ。
これであれば汎用性が高いし、袖なしで腕を出していてもあまり失礼にもならないだろう。
もう一着は、くすんだ灰紫色のもので、シフォンぽい上質な生地をたっぷり重ねたティアードスカートと、くしゅりとさせるオフタートルの襟元が可愛い。
襟元は少し大きめに開くが、その分袖があるのでやはり上品なデザインだ。
(うむ。どちらも淑女的な範疇を守りつつ動き易そうな生地だし、合わせによって雰囲気も変わりそうだから!)
自分で好きな洋服を買うのは久し振りなので、ネアは何だかいい気分で買い物を終えた。
隣の魔物は、使い回しコーデというものに言及したご主人様が余程ショックだったのか、まるで貧しい子を見るような悲しげな目をしていた。
しかしここで、もしやご主人様が貧しいのは、自分の夏用ブランケットを大人買いしてくれたからではなかろうかと思いつけないあたりが、魔物らしい無垢さで奇妙なところだ。
「ネア、ザハのケーキでも食べるかい?」
「食べます!」
ちらりと衣料品売り場を見回してはいたが、吊るし販売の服を余分に買い与えるのは気が進まないのか、ディノはお菓子で労うことにしてくれたようだ。
ザハで始まった、初夏のゼリーやムースの限定メニューに目を付けていたネアは、しめしめと奢って貰うことにする。
(でも、出会ったばかりの頃は、綺麗な置物やオルゴールなんかを買ってくれていたような……)
ふと、魔物からの贈り物の遷移を思い、ネアは眉をひそめた。
若干、ご主人様には物よりも食べ物だと思われ過ぎなところが悔しいが、美味しいものにはやはり心が弾んでしまう。
嬉しそうに頬を緩めたネアに、魔物はほっとしたように微笑みを深める。
「まぁ、これは素敵ですね」
帰り際、ネアはリノアールの文具屋さんで、綺麗な海の絵のポストカードを発見した。
青い綺麗な海に赤い珊瑚があり、色鮮やかな魚が泳いでいる。
海を見てはしゃいでいた葉っぱを思い出し、さっそく購入することにした。
森に遊びに行く時用に連絡先を聞こうとしたところ、普通に郵便が届くと教えて貰ったのだ。
通訳してくれたノア曰く、ブナの森駅、ブナの森、ブナの木の森の賢者トトラと書けばいいのだとか。
暑中見舞い的な意味も込めて、このポストカードと暑気払いのお菓子を送ってあげよう。
ブナの森の普通郵便では、ブナの葉っぱのハガキが届くそうなので、それも是非見てみたい。
(返信用の切手代に苦心しないように、お返事郵便にしよう)
お返事郵便とは、土地ごとに未だ貧富の差や文化の差のあるこの世界で、最初の贈り主が返送用の切手代も支払っておくシステムだ。
各種招待状などにも使われているので、リーエンベルクでこのシステムを教えて貰った。
さすがに国外となると難しいが、国内であればどこでも適用可能である。
「む………」
海の絵のポストカードを買うネアを魔物がじっとりした目で見ているので、ネアは少しだけ考えて綺麗な花の絵のものも買って、魔物にも暑中見舞いを書いてやることにした。
更に、その隣の子供用の玩具のお店で、ネアは小さな水鉄砲も購入すれば、魔物が目を丸くする。
「それはどうするんだい?」
「ゆくゆくは邪悪な武器にする予定ですが、まず最初は狐さんで遊びます」
「ノアベルトを遊んでやるのかい?」
「いえ。私がこの水鉄砲を使って、狐さんで遊ぶのです。ディノも見ていて下さいね」
「ノアベルトで…………」
その日の夕方、誰かに甘やかして貰う為にわざと花壇に入って泥んこになろうとしていた銀狐は、どこからともなく飛来した水鉄砲の攻撃でお尻をびしゃびしゃにされて固まっていた。
最近、銀狐がわざと汚れて帰って来るとヒルドが頭を痛めていたので、お仕置き用に活用したのだ。
(でも、何回かやったらもう驚かなくなってしまうだろうから、その後は武器に改造しよう)
そっと土の柔らかい花壇に足を入れようとする度に水鉄砲でお仕置きされて、銀狐はけばけばになって走り去っていった。
仕事帰りのヒルドを回廊で捕捉すると、足元で跳ね回って何やら必死に訴えている。
花壇に入ろうとするからですよと叱られてしょんぼりしていると、尻尾から水が垂れているからと、溜息を吐いたヒルドにお尻を拭いて貰っていた。
すっかりご機嫌になって尻尾を振りながら歩き去ってゆく銀狐に、物陰からその一連の流れを見守っていたネアとディノは顔を見合わせる。
「結局、ヒルドさんが面倒を見る羽目になってしまいました」
「何で水がどこから来たのかわからないんだろう……」
ヒルドの仕事を増やしてもいけないので、ネアはお仕置き利用を諦め、水鉄砲を武器に改造して首飾りの金庫にしまう。
噴出距離と速度、そして中に溜め込める容量に魔術で加工して貰い、加算の銀器で辛さ千倍にした激辛香辛料油を詰めてあるので、改造作業中魔物はずっと震えていたようだ。
この恐ろしい武器を使う日が来なければいいなと思いつつ、ネアはあらためて良い道具を得られたことに感謝した。
なお、ご主人様から暑中見舞いを貰った魔物は、届いたハガキを嬉しそうに一日中眺めている。
一方で、森の賢者から返送された葉っぱのハガキはとても珍しいものだったそうで、エーダリアに一時没収されてしまった。
ガレンの魔術師達に自慢したそうで、楽しそうで何よりだとネアは思う。
トトラからの返事によれば、海の絵を描いたポストカードは、お土産の貝殻の横に飾ってあるそうだ。
リーエンベルク一同からお弁当屋さん紹介のお礼として贈った夏のお菓子の詰め合わせは、日持ちするものも多くあるのでゆっくりと食べるらしい。
包装の飾りだった端がクルクルと巻いたお花状のリボンは、とても綺麗だからと寝台の柱に飾っているそうなので、ネアは、少しだけ自分の魔物と似ているところを発見してしまった。
(そんな風に喜んでくれるなら、また何か素敵なものを贈りたいな)
今年のイブメリアには、ディートリンデ達に加えて、新しく贈り物をする知り合いがまた増えたようだ。
エーダリアは、葉っぱの森の賢者に会える日を楽しみに、カレンダーに印をつけている。