バケツの怪人と水差しの聖人
バケツの怪人というものが存在すると知ったのは、真夜中のリーエンベルクでのことだった。
「死ぬ程嫌なやつなので、誰か退治して下さい」
「ネア、それはバケツの守護者だ。無理なことを言うな」
「おのれ、そう言いながらなぜに私の後ろに立つのだ!」
「私とて、あまり好まない造形がある。それに、バケツの怪人は人間には害を加えないぞ」
「害を加えないからいいというものでもないからこそ、エーダリア様は私の背後に隠れたんですよね?」
「そもそも、お前が戻るのはあちらだろう。私は、もう一度執務室に入る」
「嘘です!先程まで、お部屋に帰ると話していました!!」
二人が子供っぽい言い争いをしているのには立派な理由があって、廊下を占領して眠っている奇怪な生き物が、かなり独創的な形状をしているからだ。
バケツの怪人とはよく使い込まれたバケツに派生する妖精の一種で、透明なクラゲの姿をしている。
人間の子供くらいの大きさで、触手的なものがとても多い。
七つの大きな目玉を持ち、率直に言えばとても怖い。
真夜中の薄暗い廊下で寝るなど、言語道断である。
「仕方ないと諦めるしかあるまい。明日には薔薇が運び込まれるから、バケツを揃えるのは毎年のことだ」
「もしかして、毎年こやつが出るのですか?」
「いや、私が見かけるのは十年ぶりくらいだな」
「……そう言えば、エーダリア様は何年前からリーエンベルクにいるのですか?」
「ガレンに勤めながらだから、今のように暮らしてはいないが、ウィーム領主になったのは二十四年前からだが?」
「二十四年前………」
またしてもこちらの世界の不思議に打ちのめされ、ネアは眉を寄せる。
前の世界とは、年齢への概念や歳の取り方が違うのだ。
生まれてからの年数では壮年と言っても差し支えのない歳のエーダリアはこちらの世界ではまだ若い男性であり、エーダリアと同じ年に生まれたが魔術可動域が低いので立派な中年となっている者もいる。
(そして逆に、魔術可動域が低過ぎると、成人すら許されない……)
「エーダリア様が成人したのは、生まれてから何年目くらいだったんですか?」
よって質問の様子がおかしくなるが、質問したネアにももうよく分からない。
「私が成人指定を受けたのは、九年目だな。どれだけ資格があっても、ヴェルクレアでは人道上の問題から九年以降でなければ、成人とみなされないのだ」
「………九年目でもどうだろうと言う気がします」
「確かに、妖精の感覚ではまだ赤子の域らしくてな、ヒルドには散々子供扱いされた」
「ヒルドさんの感覚が正しいと思いますよ」
「ネア、妖精の成人は百年かかるぞ」
「…………百年」
「竜は二百年、精霊では五百年かかる」
「ごめんなさい、もはや想像がつきません」
しかしながら、エーダリアが挙げた数字というものも、魔術可動域や階位でまた変わってくるので、あくまでも一般的な数字なのだそうだ。
「そう言えば、この前アクス商会で、人の形をした精霊さんに会いました」
「人型だったのか!精霊となると、異形ではあっただろう?」
「異形……?いえ、普通の男性に見えましたが……」
「お前は、またどれだけ高位の精霊と出会ったんだ……」
「精霊さんは、容姿で階位が決まるのですか?」
そこでネアは、精霊というものの形の変化系について初めて詳しく知る事が出来た。
精霊の低階位にも、人型の者達はいる。
だが彼等の本来の姿は異形であり、それを魔術で覆っていることがほとんどなのだとか。
中途半端な人型を持つよりも、混ざり物でない獣の姿の方が精霊の中では高位とされるくらいだ。
「つまり、人型を持つ異形ではなく、違和感なく人間に見える程の姿であれば、まず間違いなく高位の精霊になる。しかし、最高位に近くなると、今度は実体を持たなくなってしまうのが謎だがな」
「ディノから、最高位の精霊は自然そのものに戻ってゆくのだと言われました」
「かもしれん。あまりにも最高位の精霊は、人間との対話も難しいのが実情だ」
「お鍋で会話するくらいですものね」
鍋の鳴り具合で会話をするのだから、きっと問題の詳細まで聞き取るのは難しいだろう。
可否程度の意思疎通しか出来ないのではと踏んでいる。
「それは、何の精霊だったんだ?」
「弟さんから逃げておられるらしくて、詳細は秘密みたいなのです。精霊さんだという情報しかありませんでした」
「そうか。……いや、ウィームは冬の要素以外の精霊が手薄でな。特に夏に紐付く精霊であれば、是非に話してみたかったが」
「そうなのですね!では、今度お会いしたらさり気なく会話してみましょう」
珍しくエーダリアから要求めいたものが見えたのでネアは張り切ったが、苦い表情で首を振られてしまった。
「やめておけ。精霊は全ての種族の中で、最も感情的な一族だ。ジゼルのところの小狐でも見ただろう。特別な感情を向けられたら地獄だぞ」
「よくもその認識で、ジゼルさんにあの小狐さんを預けましたね!」
「竜も、己の宝だと心を決めればいささか情愛が深過ぎる生き物だからな。精霊と添えるのは竜くらいのものだ。シーもかなり執念深いと聞いているが、表立って動くというよりは搦め手を使うからな」
「そうなると、ヒルドさんは穏やかなシーなのでしょうか?愛情深いという感じはしますが、執念深いとは感じませんものね」
「お前が、身の危険に疎いということがよく分かった………」
「………もしかして、私はまたヒルドさんを怒らせてます?」
「いや、あれは執着だ」
どこか諦めたように言われて、ネアは首を傾げた。
ネアの目線からすれば庇護欲の強い人という感覚だが、エーダリアの表現では執着心となってしまうのだろうか。
「もしかしたら、庇護するということが喜びの方なのかもしれませんね。エーダリア様を見ているヒルドさんは、とても優しい目をしています」
「私は、お前を見ているヒルドの目が、ただただ恐ろしい……」
「殺意的な……?」
「……執着だと言っただろう。だが、シーに溺愛されるのは決して良いばかりではないぞ」
「……そう言えば、お母さ………お父さんのようだと思うことがあります」
庇護されるからこそ、鬼教官がより怖くなることもある。
しかしそれは愛情の振り幅なので、ネアは悪いことだとは思わなかった。
とは言え、その瞬間はかなり恐ろしいのも間違いない。
ネアの返答に、エーダリアは薄く苦笑する。
「………母親か。確かに、私もそう思うことがある」
「それに、………レーヌさんはあれでしたが、お話に聞いているロクサーヌさんといい、ヒルドさんといい、愛情深くて懐の広い印象です」
身の危険という言葉に結びつかないままそう言えば、露骨に表情を曇らせて、エーダリアは小さく溜息を吐く。
現在二人は、バケツの怪人が目を覚ましても見付からないよう、エーダリアの執務室前の廊下で話し込んでいる。
エーダリアは転移で逃げられるので、ネアは逃がさないように服裾をしっかりと掴んでいた。
「シーは、身の内と判断した一定の者達には慈悲深く優しい。だが、もっともその中心に据えた者に対しては、病的な執着を向ける。言い方を変えれば、愛した者が思い通りにならないと泣き喚くのが精霊なら、愛した者を逃さないように、いつの間にか外堀を埋めているのがシーだ」
「ええと、………そこに魔物と竜が加わるのですよね」
「竜は逆だ。竜の宝と称される愛する者に去られると、体調を崩して弱っていってしまう。以前のジゼルのように心を閉ざしたりもするな。魔物は、伴侶を失うと狂乱するそうだ。周囲のものを滅し、自らの崩壊で甚大な被害を広げる。鹿角の聖女がそうだったと言われている」
「どれも結構嫌だという結論に達しました」
率直な意見にエーダリアが遠い目をしたが、普通に考えればそうだろう。
なぜ、これだけ長生きの者達が、情緒不安定な生き物ばかりなのだろう。
「だから、行方不明だった公爵様は大変な目に遭われたのですね?」
「あの公爵もとんでもない資質持ちだがな……」
「まぁ、何か凄い力のある方なのですか?」
「これまでも、ある程度高位の人外者達と恋人関係であったようだ。だからこそ、本人はいつもと同じように諦めさせられると思っていたらしい」
「と言うことは、前述の気質の方々を諦めさせてしまえる交渉能力をお持ちだと?」
「ゼノーシュによると、愛情を司る祝福が、公爵が元々持っている高い魔術可動域に作用しているそうだ」
「それは、………便利ですね」
「一定以上の階位には効かないぞ」
そもそも、人間と高位の人外者が恋をするのは難しい。
一定以上の関係より進めば相手の魔術に密に触れる体に負荷がかかるそうで、お相手の人外者の魔術に馴染ませてゆくのにはとても時間がかかる。
「その見極めに失敗したのが、鹿角の魔物の例だ。もう十分だと思ってしまったのか、正常な判断を下せない状態で進めてしまったのか。………その手の事故は少なくはない」
「そんなに辛いことはありませんね」
(愛する相手を自らの力で損なうのは、どれだけの苦痛だろう)
ネアはそこで、エーダリアがこの話をするのは自分を案じてくれているからだと思い至る。
「お前は、何本目の指輪をしている?」
「この指輪を何本付け替えたかが、その馴染ませの進行状態を示すんですね」
そう思えばディノは、どれだけ前から密かに事を進めていたのだろう。
「婚約破棄云々の時にも回収されているので定かではありませんが、恐らく七回でしょうか」
「………多いな。やはり、あのくらいになるとそこまで必要なのか。通常は三本だと言われているんだ」
「まだ未完成ではあるようで、少し困っていました」
「だが、お前の魔物は完全に人間に擬態出来るくらいだ。最悪の場合はその状態にすればいいだろう」
「………ええと、まだそのような段階ではないのでまだ心配はいらないかと」
「ネア、………あれも男だぞ」
酷く言い難そうに言われ、ネアは困惑した。
勿論それは理解しているつもりだが、どうもその種の問題が自分ごとだと認識しきれないのだ。
寧ろ、どうやって変態を満足させるのだと問われた方が、背筋がひやりとする。
「むぅ。………ところで、あえてそれをせずに手を出してくる、悪い魔物もいるのでしょうか?」
「ああ。人外者に恋をした娘が死んでしまうのは、ほとんどがそれだ。寵愛にも種類があってな。やはり、人外者とて伴侶となると滅多なことでは選べないのだろう」
「生涯に一度きり、なのでしたね」
それはとても寂しいだろう。
長い長い生涯に一度きりしか選べないのなら、誰だって長く側に居てくれるような生き物がいい。
(そういう意味でも、人間を伴侶にするのはリスクが高いのだわ)
だから、ネアはまだ少し迷う。
ディノがこちらを望まない方が、自分の欲に素直になって行かないで欲しいと願えるのに、彼が自分を望んでくれるのならば、そんな大事な魔物の為に他の選択肢をあげたいような気分になるのだ。
(つまりそれは、私がとことん自分勝手だからで…)
咎竜のことが解決した後に話し合ったとき、自分を手放すことがどれだけ酷いことなのかを、魔物には散々説明された。
酷いと文句を言われ、勿論今更リリースしようとは思わないと誓い、謎に一筆書かされている。
ただ、それでも最良と幸福が一致しないのだということが不憫なのだ。
取り残されるということの後がどれだけ苦しいか、そしてその時間の方が圧倒的に長いのに。
(せめて私が、エーダリア様くらい長生き出来る魔術可動域だったら良かったのに)
この問題を考えるとすぐに悶々としてしまう。
渋面をなんと分析したのか、エーダリアがこんなことを教えてくれた。
「しかし、ごく稀に調整の必要のない人間もいる。そうなると、魔物が意図しないところで寵愛から魔物の欠片を得た人間が生き残り、それ故に大成したりするものだ」
「む………。そんな体質の方がいるのですね?」
「体質というよりは、魔術抵抗値の問題だな。生まれる前に人外者の祝福を受けた者は特にその傾向が強く、王家の子供はそれを見越して多くの祝福をかけさせる。兄上などがそうだ。火薬の魔物やドリーの祝福を得ているから、まず魔物と交わったくらいでは死ぬまい」
そこでエーダリアは言葉を切り、直接的な表現をしてしまったことを恥じるように口元に手を当てた。
「と言うことは、例の公爵様もその範疇の方なのですね」
「………ああ。祝福を得ていただけでなく、今までに散々人外者の恋人がいたからな。十分に仕上がっていたのだろう。でなければ、白持ちの魔物と気付かずに関係を結び、そのまま別れようとすることなど出来ない」
「……その流れで別れようとされれば、それは白薔薇さんが爆発しても不思議はありません」
「特に薔薇を司る女の人外者は、情愛が深いこともある。お前も接触する際には気を付けておくように」
「……薔薇を司る男性の方もいるのですか?」
「確か、白薔薇と白百合には魔物がいた筈だな」
「………白持ちさんの予感がしますね」
「くれぐれも、事故を絡めた出会いをしないように用心しておくといい」
「不吉な予言はやめて下さい!」
「予言にすらならない気がするが。精霊にすら出会ってしまったのだろう……」
「むぐ………」
否定出来ない事実に黙らされたネアは、アクス商会で出会ったジーンを思い出した。
(落ち着いた人に見えたけれど、あのジーンさんが、小狐さんみたいに泣いて暴れたりするのかしら?)
ざっくりとした実用的なコートを着て、シンプルなハイネックシャツに重たそうなしっかりとしたブーツ。
カーキ色のコートは内側が灰色の毛皮で裏打ちされていて、よく使い込まれていた。
この世界では見たことがないが、前線で戦う傭兵めいた雰囲気がある。
(だからこそ、あの時は声をかけたのだけど……)
あまり高位の魔物ではなく、労働者階級寄りに見えて、尚且つ魔物だと区別出来るような容姿の者を探していた。
ジーンは目の色が間違いなく人外者であったし、堅実に自分の力で稼げる頼り甲斐のある魔物のように見えたが、まさか、精霊だったとは。
「……まだ、バケツの怪人は動かないのか。そろそろ、お前の魔物が探しているんじゃないのか?」
「残念ながら、今夜は薔薇選びで夜更かししてしまったので、ディノはお風呂中なのです。早く茹で上がって、私を探しに来てくれないかなぁと思っているのですが」
「薔薇選びか、……ネア、今年はヒルドにはどんな薔薇を贈るつもりだ?」
「むむ、悩んでいるところなのです。一本しか贈れないとなると、意外に絞り込むのが難しくて……」
「より好意を伝えたい家族には、咲いている薔薇を一本、蕾の薔薇を一本添えるやり方がある。ヒルドならお前に守護も与えているし、二本でもいいのではないか?」
「そんな抜け道があるんですね!では、ヒルドさんのものは二本にしますね」
ネアがそう頷けば、エーダリアはなぜか少しだけ安堵を滲ませた。
きっと、大切な家族のようなヒルドを、ネアにも大事にして欲しいのだ。
そう思えば何だか微笑ましくなる。
「それと、くれぐれもドリーには二本渡すなよ」
「…………ぐ。見抜かれていました」
「お前は、あの竜を随分と気に入ったみたいだったからな」
「しかし、咎竜の件ではとてもお世話になったのです」
「ザハのケーキやコンフィチュールをあれだけ贈っただろう」
「紅茶もつけました」
「だからヒルドが荒れていたのか……」
「あら、ヒルドさんには火織りの膝掛けを贈りましたよ?因みにダリルさんには宝石のブローチと、アルテアさんの自由利用券を一枚差し上げました」
「自由利用券……?……ヒルドに関しては、お前が他に気に入るものがあるのが心配なのだろう、察してやれ」
「むぐぐ…………」
不意にじっと見られて、ネアは眉を寄せた。
エーダリアが何だか少し嫌そうにこちらを見ている。
「お前が好む者がだんだんわかってきたような気がするが、グラストにも一本にするのだぞ?」
「まぁ!ゼノの大事なグラストさんを取ったりはしませんよ!」
「終焉の魔物はどうなんだ」
「二本です!!」
「………ヒルドにはわからないように渡すといい。他に、好む容姿の男はいないだろうな」
「エーダリア様、その言い方の変更を申請します!素敵だと思う雰囲気の方は他にもいましたが、ただの見た目の感想だけですし、接点がありませんからご安心下さい」
「……他にもか。誰だ?あまり騒ぎにならないように自重するんだぞ」
「片や煉瓦の魔物さんはお鍋に生まれ変わってしまいましたし、木通の魔物さんは実は精霊さんだとわかりました。お二人とも、転職を考えなくなってからは、お会いする必要のなくなった方ですね」
「………よりにもよって、あの魔物と天秤にかけすらした相手ではないか!」
青い顔をしなくても、もうネアにとってはどうでもいい相手だ。
勧誘をかけようと思ったネアですらそうなのだから、当人達など更にどうでもいいと思っているだろう。
「………特に、精霊の男には気を付けるように。精霊の男には、愛した女を呪う理の呪いがあるからな」
「絶対にいらない心配ですが、理の呪いと聞くと不安になるので、事前に消しておいた方がいいでしょうか」
「………高位の精霊を容易く消すな」
そこで廊下の方からがしゃんと音が聞こえたので、二人は顔を見合わせて立ち上がった。
そろりと角から覗き込めば、壁際にぺたりと張り付いて震えているバケツの怪人がいる。
バケツの怪人が壁の絵画を揺らした音だったようだ。
「ディノ!」
バケツの怪人を怯えさせてたのは、お風呂上がりにご主人様を探しに来た魔物だった。
「ネア、勝手に部屋を抜け出すなんて、悪いご主人様だね」
「狐さんが行方不明だったので、エーダリア様のところに拉致されていないか探しに来たのです」
「今夜は、ヒルドとアーヘムと飲みに行っているよ?」
「なんと、いらない心配をしてしまいました!」
「あれは丈夫だから、心配しなくてもいいのに」
「しかし、氷室に落ちてたくらいですから」
「…………そんなこともあったね」
「でも来てくれて嬉しいです!そちらのバケツの怪人さんが怖くて、廊下を通れなくなって困っていたところでした」
「これは悪さはしないんじゃないかな。こちらよりも、水差しの聖人に気を付けた方がいい」
「………何奴でしょう?」
「時々、水差しを解放するべく戦う魔物だ。水差しの聖人に守護された水差しを使うと、体調を崩してしまうからね」
「恐ろしい聖人でした。………そして文脈的に考えると、どこかで見かけたのですか?」
「うん。さっき、廊下を走っていたよ」
「…………走って」
「み、水差しの聖人がいたのだな?!」
真っ青になったエーダリアがばたばたと執務室に駆け込んでゆき、リーエンベルクには非常事態警報が出された。
水差しの聖人の呪いは、強烈な腹痛と胃腸不良をもたらすのだそうだ。
地味にダメージが大きいので、特に騎士達にはかなり恐れられている。
余談だが、その夜、捜索隊から逃げ惑う水差しの聖人を見かけたネアは倒れそうになった。
綺麗なガラスのコップに足が生えて走って行く様は、やはりとても怖いとだけ言い残しておこう。
その日から、枕元の水差しとコップを使う時には、必ず足が生えていないか確かめるようになってしまった。