黒衣の魔術師と第四王子
その日、ネイはヴェルリアにあるとある離宮の一つを訪れていた。
黄金をふんだんに使った建築は豪華ではあるが、見た者を感動させるにはいささか無駄が多過ぎる。
この離宮を建てた者とは意見が合わなさそうだ。
きっとレーヌあたりが監修したのだろうなと思い、うんざりと首を振った。
その離宮のとある一室で、一人の王子が頭を抱えている。
「ネイ、やはりレーヌがいないと私は…」
「あれ、不安になったのかな?もう辞めてしまうかい?」
「い、いや、……やはり諦めてはいけないな!」
かなり投げやりに返事をしたのだが、伝わらなかったらしく、王子は奮起してしまった。
ネイは歪んだ微笑みを浮かべたまま、傍らのグラスを傾ける。
こうして王子の前で自堕落に寝そべっていられるのは、彼が請われて力を貸している存在だからである。
最初からはぐれの魔術師だと名乗ったのは、高位の魔物であることを知られてレーヌに色目を使われるのが嫌だったからだ。
あのシーは魔物から見れば決して魅力的ではない。
だが、過去にだからこそ手を出してみようとした魔物がいたこともある。
彼は決して彼女を選ばないと笑った者を失望させる為だけの行為だったが、そんなことをしようと思った彼の本心はよく分からなかった。
『知りたかったんじゃないかな。自分が嫌悪感すらどうでもいいと思ってしまうのかどうか』
古い友人の一人は、そんな風に話していた。
その時はあまりよくわからなかったが、今の自分であれば少しわかるような気がする。
もしそれが真実だったのだとすれば、彼の見ていた世界はどれだけ虚しく寂しいのだろう。
『なんて不自由なんでしょう!』
そう彼女が言って初めて、そのこだわりのなさが怠惰ではないのだと気付かされた。
『きっとその方は欲しいものがあるのに、そこに辿り着けないのですね。寒くて堪らなくても、ちくちくするセーターしか知らないようなものです。……悲しいでしょうね』
『君にも、そういうことがあったのかな?』
『ええ。だから、同類はわかるつもりです。周囲にはよくわからない抵抗であれ、ジタバタするのは不愉快だからなのですよ』
よく分からなかったシルハーンが、その時から何となくわかるようになった。
思えば彼は大抵微笑んでいるけれど、幸福そうだと思ったことは一度もない。
「よし。とにかく次の手を打つぞ!」
「まぁ、好きにすればいいよ」
(僕はもういなくなるし)
元々、この王子を贔屓にして手を貸した訳ではない。
定期的にヴェルリアの王族を構いたくなるだけの、その道具であっただけだ。
本来の標的はヴェルクレアの現国王とその王妃くらいなものなのだが、あの第一王子も時折つつき回したくなった。
彼は初代ヴェルクレアの王、かつてのヴェルリア国王に似過ぎているのだ。
そしてそれは、彼の大切な歌乞いを殺した男に似ているということだから。
いや、その筈だった。
あの紅蓮の焔を覚えている。
火薬と火竜の炎に焼かれてゆく防壁や魔術師達。
その向こう側で大切なものが殺されてゆくと知りながら、手が届かない絶望。
あの時ばかりは、かつて失った心臓を惜しんだ。
それがあれば、ウィリアムの鳥籠などとうに超えられた筈なのだ。
それなのに。
雨が降り出したウィームの王宮前広場で、焼け崩れた遺体を一つ一つ確かめていたあの日。
あの日から、ずっと雨の音と炎の色は大嫌いだ。
瞼の奥で、一人の少女が微笑む。
夜のラベンダー畑でくるりと純白のケープを翻して、鳩羽色の瞳を煌めかせて。
(あの子は、僕に似ている)
だから、彼女は自分を選ぶと思っていた。
その分選ばれなかったときの心痛は酷かったが、彼女が幸福であるのならと諦めたのだ。
決して、炎の中で死なせる為ではなかった。
自分が側にいれば。
何度そう思っただろう。
無理にでも側に居れば、無残に死なせてしまうことなどなかったのに。
あんなに繊細だった少女が、愛する者や国が焼け落ちてゆく様を見てどれだけ心を痛めたのか。
それを思うだけで息が止まりそうになる。
彼女が婚約したと知り、自堕落にも外の世界との繋がりを絶っていた数ヶ月の間に、あの統一戦争は始まってしまっていた。
それ以来、外部との接触を断つことも苦手なことになった。
こんな風に好きでもない国の中枢に入るのは、もはや失うものなどないのに、ある程度の世界の動きを把握していないと不安になってしまうからだ。
「ネイ殿は年始はどちらに?」
「うーん、どこだろうね」
「ネイ殿のことだ、祝賀会やパーティなど、さぞかし華やかだったでしょう」
本当は下らない社交など大嫌いだ。
心を許した特定の者と居るのは楽しいが、不特定多数の輪の中に入るのは嫌いなのだ。
けれど、自分がそんな風に感じていると知る者は誰もいない。
それどころか、そのような場を好んでいるとさえ思われているだろう。
今も昔も、ずっと。
『本当は、大勢の輪に入るのは苦手なのではありませんか?』
気付いたのは、彼女だけだった。
そつなく微笑んでなぜだろうかと問えば、少し自分に似ているからだと笑う。
そうだ。
その通りだった。
彼女は、他にも色々なことが自分によく響いた。
食事のリズムや、会話の途中でふと相手を投げ出して自分の感覚に浸りたいところ。
寂しがり屋だが、睡眠や休養には貪欲なところ。
好きな色や、好きな香りに食べ物。
そして、……何かを特別に慈しみたいという切実な欲求を抱えているところ。
迷い込んでいた彼女が連れ戻されたあの日、城はがらんとしてとても静かになった。
特に執着するでもなくその後は暫く放っておいたが、我慢出来なくてウィームを訪れたのは僅か二週間後だ。
彼女が、ウィームの歌乞いであることは明白だった。
一生懸命素性を隠していたようだが、国が安定している北の国で、音楽や芸術の文化が豊かなところ。
そして魔術に富み、高位の魔物を召喚出来る施設がある国などウィームくらいしかない。
でも、なぜか直接会いに行くことは出来なかった。
(いつか、彼女の方から会いに来ると思ったから?)
使役する魔物が過保護過ぎて、リーエンベルクの外には出てこない歌乞いの少女。
迷い子として遠い異国から呼び落とされたそうで、ウィームの王子達ととても仲が良いのだそうだ。
本当の名前は、ネリシアと言うのだとか。
黒髪に紫の瞳だそうなので、あの時は擬態していたのだろう。
或いは、その色彩こそが擬態だとしても驚かない。
そんな彼女の耳に入るようウィームの歌劇場に足繁く通い、一向に何の接触もないことに不安になった。
だが、彼女はどこか世論に疎いような気配もあったので、知らないだけなのかもしれない。
そこで一計を案じ、自分がウィームの歌乞いに興味を持っていることを吹聴してみた。
慣れない工作に少し嫌気が差し、シュタルトまで引き込んだのは早計だったかも知れない。
転移をすればすぐなのだから、きっと会いに来るだろうと思っていたら、顔なじみの妖精から彼女の婚約を知らされたのだ。
婚約したのは、王子の幼馴染である騎士なのだそうだ。
特別に目立つ男ではないが、気のいい青年で次期騎士団長候補と目されている。
彼女に指輪を贈った契約の魔物は、娘を溺愛する父親のように荒れ狂いはしたが、最終的には二人の恋を祝福することにしたのだとか。
詩人たちが歌う物語のように甘い、幸福な婚約だった。
そしてその奇妙な甘さと堅実さが、確かに彼女の選択らしくもあり、打ちのめされた。
正直なところすぐに祝福は出来ずに少し荒れたが、友人にも窘められ徐々に心も落ち着き、とは言え翌年の二人の結婚式を見るのは耐えられず、その時期に合わせて引き籠った。
自堕落に寝て過ごしたり、享楽的に遊んだり、ウィームが戦火に晒されているとも知らずにのうのうと暮らしていたあの時期。
炎の色が嫌いだ。
それは蝋燭の火や暖炉の火どころか、火を連想させる暖かな食事もそうだった。
あのラベンダー畑も戦乱で燃えてしまった。
その頃からだろうか、この名前を名乗るようになったのは。
他に何も残っていなかったから、この名前だけが彼女の残した遺品のように思えてならないのだ。
だから、誰かに使われる前に自分のものとしておきたかった。
でも、そんなものしか残らなかったのだ。
その宴に招かれたのは、同伴者であるシーだった。
こちらが高位の魔物であることは知っているが、本当の名前までは知らない。
特に心を寄せ合うこともないが、ここ数カ月程はよく会っている。
何も考えなくていい相手としては、とても都合のいい恋人ではある。
『ネア、こっちのお菓子も美味しいよ』
トンメルの宴で、その名前に注意を惹かれたのは響きが似ていたから。
何気なく視線を巡らせれば、名前と顔くらいは知っている魔物が頬を上気させて同行者の手を引いていた。
(……………え、)
視線の向こう側で、青みがかった灰色の髪が揺れる。
目を煌めかせて微笑みながら、渡されたお菓子を口に放り込む指先も見えた。
『ゼノ、この中のソースは何ですか?天国の味がします!』
幸せそうな声に、ゼノーシュが何かを囁く。
それに頷き、ふわりと綻んだ唇に浮かぶ微笑みはとても幸せそうだ。
また瞳を輝かせて、今度は頭上のシャンデリアを見上げている。
きっと、あの繊細な氷のシャンデリアが気に入ったに違いない。
灰白のブーツの踵を鳴らして、ドレスの裾がひらりと舞う。
この独特の合わせ方も、あの夜の彼女と同じ。
高貴な身分ながらに前線にも出る者らしい、機能的な装いをしている。
彼女だ。
彼女だった。
生きて、微笑み、何よりも動いている。
その健やかさには炎の気配など微塵もなく、あの日のままの、
けれどもあの日にはない、馥郁たる柔らかさのようなものを備えた彼女だった。
(……………ネイ、)
必死に目で追いながら、どうして彼女がここに居るのかを考える。
隣りにいる同伴者が何かを話していたが、まるで耳に入ってこない。
ぞんざいに頷いておいたが、いつもとさして変わりないので彼女は気に留めた様子もなかった。
(そう言えば、ネイはどこからか迷い込んだと話していたけれど……)
あの日のウィームから生き延びたのだろうか。
いや、さすがにそれはあるまい。
であればここにいる彼女こそが、正しい彼女なのだろうか。
安堵しかけてから、ウィームの王宮で亡くなった歌乞いは迷い子だったことを思い出す。
(もし、ここに居る彼女が、いずれあの時代のウィームに呼び落とされるのだとしたら)
魔術における呼び落としで、一般的なのは距離の移動くらいのものだ。
だが、何が起こるのかわからないのもまた、魔術の理の要素だった。
(それか、たまたま、あの日の彼女が過去に迷い込んでいただけである可能性もある)
あの炎の中で非業の死を遂げた黒髪に紫の瞳の歌乞いが、彼女でなかったのだとしたら。
(…………っ!)
あまりにも見ていたからだろうか、ふっと、彼女が顔を上げてこちらを見た。
こちらを認識したというよりは、ただ、視線を意識して顔を上げただけのようだ。
それでも、彼女がそこにいて、再びこちらを見ているということだけで息が止まりそうになる。
彼女は暫くこちらを見ていた。
多分僕は、そのときにすぐ何かをするべきだったのだろう。
手を振り回して駆け寄るとか、声を上げて彼女の名前を呼ぶとか。
けれどもそのどれも出来なかった。
やはり、あの炎のウィームの朝から積み重ねてしまった怨嗟の月日は重く横たわり、その中で変わってしまった自分の中の何かが、そこにあるものに容易に手を伸ばさせてくれなかった。
もう随分と人間を殺した。
あたたかな食事も摂れず、あの日のように彼女の為に蝋燭の火を灯してやることも出来ない。
片目に負った傷をそのままにしてあるのは、視界が狭まる方が過ごし易いからだ。
やがて、彼女がこちらを見ていることに気付いたゼノーシュが、少し目を鋭くしてネイをその場から離れさせた。
ゼノーシュは排他的な魔物の一人だ。
決して攻撃的ではないが、あまり他者との繋がりに重きを置かない趣味人でもある。
そんな彼が親しげに手を繋ぐ姿を見ている限り、きっと、彼がネイの契約の魔物なのだろう。
羨望に胸が痛んだが、ゼノーシュであれば彼女は安全だろうと思い、安堵もする。
公爵位の魔物は厄介な者ばかりだが、その中でも最も害のない魔物の一人だ。
「もう!私をおざなりにしてずっと何を見ているのかと思えば、あなたの大嫌いな人間なのね。私、あの子を知っているわ」
放っておかれた同伴者が、ふとそんなことを言った。
どきりとしたが、何気ない風を装ってその答えを引き出す。
「有名な人間なのかい?」
「ウィームの歌乞いよ。妹がレイラ様の侍女をしていると話したでしょう?この前に妹とウィームに食事に行った時に見かけたのよ。契約の魔物が狭量だから、近付かないようにしてねって妹が話していたわ。ふうん、あんな可愛らしい魔物なのね。でも公爵のようだから我儘なのかしら?」
「…………そうだね、彼はああ見えてとても残虐な魔物だ。だからあの人間には手を出さない方がいい」
「あなたが言うくらいならそうなのね。さてと、お腹もいっぱいになったし、もう帰らない?」
ウィーム。
やはり、ウィームなのか。
居場所がわかったのは僥倖だが、果たしてあの街に再び足を踏み入れることが出来るだろうか。
あの彼女は、自分を知っている彼女なのか。
それとも、まだ出会う前の彼女なのか。
果たして自分は、こんなに薄汚れてしまった手で、幸せそうにしている彼女に触れるつもりなのだろうか。
ざわざわと行き交う人々の流れの隙間から、もう一度だけ目が合ったような気がした。
けれど、その後はもう彼女の姿を見ることはなかった。
「ネイ、ネイ!聞いているのか?」
ふっと意識を引き戻されて、思わず眉を顰めた。
必死にこちらを見ているジュリアンがいる。
彼に追従する他の人間の貴族達も、こちらを縋るように見ていた。
「カルウィの第一王子であれば、ヴェンツェルと競り合わせるには良いと思わないか?」
「カルウィの第一王子ね。でも、君の兄上の傍には火竜がいるだろう?」
「カルウィには水竜の王がいる。それに、最近は白持ちの魔物と縁を深めたそうだぞ?」
「へぇ。………白持ちね」
少しだけ警戒心が湧いた。
自分が手を引けばこの土台は崩れるかと思っていたが、やはりこの第四王子は妙に引きがいい。
結局本懐を成せないところがしょうもないが、己の力量よりも大きな手札を拾ってくるのだ。
「その白持ちが誰だか調べた方がいいな。わかったら教えてよ」
「私は、そなたに頼もうと思っていたんだ」
「僕では、余計な警戒をさせるだけだろう。この前レーヌが拾ってきた妖精を使ったらどうだい?」
「ああ、あのロクマリアの妖精か。何を考えているかわからないが、能力はあるからな」
(ジルフか、………あまり好きではないけれど、その白持ちのことは調べておいた方が良さそうだ)
統一戦争のときにヴェルリアに手を貸したのは、僕達魔物の王、シルハーンだった。
彼には所詮暇潰しの範疇、そのことでとやかく言うつもりはない。
戦争を起こしたのはヴェルリアの王だし、ウィーム王宮陥落にシルハーンは関わっていないので問題はなかった。
各々の証跡までを敵意に変えていたら、魔物は殺し合いしか出来なくなってしまう。
(ただ、カルウィの白持ちがシルハーンである可能性もある)
やはり、調べておいた方が安心だ。
しかしそうなると、まだここにいなければならないのかと考えてうんざりする。
ここで得体の知れない高位のはぐれ魔術師として、また彼等と顔を合わせるのかと思えば不愉快なばかりだ。
「やはり、レーヌ様はウィームに行かれたのではないか?」
小さな溜息を吐いているところで、気になる言葉が聞こえてきた。
ジュリアンの取り巻きの一人で、伯爵家の二男だ。
武芸には秀でているが、このヴェルクレアで大成するにはいささか魔術可動域が足りない。
さりとてそれを補うだけの知略があるわけでもなく、要するにぱっとしない男だ。
「何?レーヌは、ウィームに行ったの?」
「おや、聞こえてしまいましたか。……そういう話があるんですよ。第五王子派の方で、そのような会話があったようでして」
「となると、ロクサーヌあたりが何か掴んだのかな。ウィームはまずいね」
「…………なんだ、ウィームはまずいのか?」
ジュリアンが目を丸くして問い返す。
少し嫌な予感がして視線で促せば、なぜか悲しげに胸に手を当てた。
こういう劇的な仕草をすることで、自分を色男だと思っているのが残念な王子だ。
過剰な仕草が似合うのは決して美しい者だけではないが、残念ながらジュリアンには似合わない。
しかしながら、妙に小物に見せることで己を過小評価させるという意味では、良い煙幕とも言えなくもないところが絶妙だったりする。
やはり、己の意図しないところで命拾いする人間なのだ。
「イブメリアの襲撃の際に、凝りの竜に不手際があったのはウィームだったからだろうか」
「……………僕は知らない話だね。ウィームに襲撃をしかけたのかい?」
「いや、実際には途中で事故があって叶わなかった。あの日、ヴェンツェルがリーエンベルクに滞在していたのだ。火竜もいなかったし、エーダリアも諸共害するよい機会だったのだが。あの事故で姉上がお亡くなりになられ、今回はレーヌも姿を消してしまった。もしや、エーダリアあたりが何かを企んでいるのだろうか?」
「その指揮を執ったのは誰だい?」
「レーヌだ。思えば、あの日からレーヌは何かを考え込んでいることが多かった」
少し考える。
レーヌは浅はかなシーではあるが、その浅はかさは嗜好に限定されており、決して愚かな女性ではない。
それどころか、したたかに息を潜めて毒を忍ばせるだけの執念深さを持つ妖精だ。
もし彼女が今でも壮健であり、そしてウィームにいるのであればあまり良い話ではなかった。
「レーヌについては僕が調べておこう。ただ、エーダリア元王子は何も関わっていない筈だよ。恐らく、何か裏があったとしても第一王子あたりの策略だろうね。僕がウィームを避けるように話したのは、外的要因であの土地が今は不安定だからだ。余計な不利益を背負いたくなければ、今はあの土地に関わらない方がいいだろう」
適当に火種はヴェルリアの第一王子に投げておき、ひとまずはウィームに近付かないように釘を刺した。
今はその場凌ぎであるので、情報が整理されたらこの場ごと潰してしまっても構わない。
その時は、本来の名前と姿で彼等を殲滅すればいいだろう。
何しろここは塩の魔物の大嫌いなヴェルリアの地。
人間嫌いのその魔物が何をしても、不思議ではないのだから。