ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
永遠神剣 第58位
「すげぇ……」

沙月の隣にいたソルが口を開いた。
普段なら対抗心を剥き出しにし、自分をもっと鍛えようと意識するソルラスカが、ただそう呟いてしまうほどの戦闘、それが目の前で繰り広げられていて、彼は一瞬でも見逃すまいと刮目している

「…うん」

それは沙月も同感だった。


「スラァアアアアアア!!」

空気を切り刻まんとする、閃夜の鋭い咆哮と共に繰り出される連続攻撃
それは叫び以上の鋭利さを持っている

しかし、その剣術は明らかに『異様』の類であった。


『七重宝樹』による連続攻撃、その最後のひと突きである絞めの一点
避けることは間に合わない、
鉄を容易く貫くそれをベルバルザードは、発生させた重力の力により無理やり逸らせ避けきった。


避けたことによって、槍の内側にベルバルザードの体が入り込む
本来ならば敵を攻撃する絶好の機会だが

閃夜はその間合いですでに2撃目を放っていた。

「グッ…」

『神世七代』に文字道理、一瞬で姿を変えた凱闢で胴を払う
ベルバルザードもそれに対応し、武器ではなく重力の盾でそれをいなす。


それからも閃夜は、双頭七支刀と七支槍を瞬時に切り替え
連撃を叩きこむ

もちろんベルバルザードも負けてはおらず
先ほどもより神剣魔法を多用し、隙があれば反撃をしている


もう一度言うが、切り替えに掛かる時間は一瞬である。
それは振りきり際、防御の際、武器が衝突する際にまで及び、ベルバルザードは相手の体の動きだけではなく、武器にも意識を傾けなければならなくなる。



――まさに"難剣"



閃夜の剣、その難しいさは戦っているベルバを除けば、沙月が一番理解していた。
"武器の形状を変化させながら戦う戦法"

それは沙月も使用する戦法だからだ。
しかし、自分はあのようには上手くいかない




それは神剣を変形させる際に、その形を頭でイメージする必要があるからだ。
結果、数瞬のラグが起きる。短いとはいえ戦いにおいては隙になりやすい時間だ。

その隙を埋める結果、自分は遠距離攻撃に使用するか、
または攻撃ごとに武器を変えるないのだ。







余談ではあるが、イメージを素早くする訓練を繰り返した結果が、
彼女の妄想癖の始まりだということは、組織の中でも片手で数えるほども居なかったりする



―――おそらく閃夜君は鞘の型を作ることによって、影の形体変化の能力の幅を狭めた《せばめた》。でも型という、ある程度の形が決まっているものになったからこそ、あそこまでの瞬間的な切り替えを行うことができているのね。――――


本来リスクとして犠牲にしたことを逆手に取り、自分の能力を上昇させた。
そして何より




―――カティマの方も、決着だろう…なら!―――

「《祇園精舎の鐘の声》」

「《諸行無常の響きあり》」




閃夜の力は昇華された。
黒い影樹を操作する技能に加え、持ち主を傷つけない両刃、映写機のように刃を投影することができる槍、それらの武器の瞬間的切り替え、すべては影の能力のテリトリーであるが、閃夜の『凱闢』はまるで複数の能力を持つかの様に見えてくる。



その力を誇示するように凱闢は今まで、一番のマナの本流を見せた。
閃夜の左右、その足元から出ているのは樹を模した影である影樹

それも、先ほど閃夜を防衛していたのとは訳が違う。
神話の巨大な蛇を連想させるかの様に、その樹の幹はしなり、未だに成長を続け伸びあがる



「ふん」

―――最大の技の決着を望むか……よかろう!―――


自分も男子おのこだ。
そういう全力全開な必殺技のぶつかり合いも

「心躍ることに変わりはない!」


ベルバルザードは『重圧』を振りかぶった。
己が最も強い一撃を繰り出せるよう、最適な部分を持ち、全身の力をその一撃に込めようと力とマナのアクセルを最大にまで踏み込んだ。

刃に現れたのは、今までの豪撃を繰り出すような鋭い刃ではない。
円形の環
赤いマナと重力の黒が混ざり合いながらその輪は、どんどんその回転を上げていく


重力を操れるなら一度でも、技の構想に浮かぶ
すべてを飲み込む重力の渦―――その試作にして現在最強の技



「すべて押しつぶせ――《重環》!」

「仏への死の弔い花――《沙羅双樹》!!」


黒き双樹は、二つの身を絡めながらDNAのような螺旋を描きながら迫り
重力の環は、地面を陥没させながら威力を高め轟く


ドォオオオンッ

お互いの技の着弾は中央
バチバチと音を立てながら、樹槍は重力を貫こうとする。逆に重力の環は相手を飲み込もうとしていた。


――反発し合っているのではなく、片方が取りこもうとするなら―――
――この均衡は用意に決着が付く!―――


敵を喰い尽せるか、敵を取らき通すか
実際その結果はすぐに現れた―――

バキバキッ―
亀裂が走る黒い樹


「紗羅双樹が押し負ける!」
「やべぇ! そこから離れろ閃夜ぁ!!」
「閃夜君!」


全体に亀裂が走り崩壊していく、割れ落ちた欠片でさえすべて重力の環に取り込まれていくだが、それが起きているのは―――


「一本のみだと!?」




ニヤリっと閃夜の口が三日月に開いた
「《偏に風の前の塵に同じ》 弾けろ! 」


言葉と共に黒樹の一本が弾け飛ぶ、それは重環に取り込まれた欠片の一緒である。
弾きだした影のエネルギーは、重力が回転して起こっている流れに影響を与え歪ませ、捻じ曲げようとする。

しかし、これはベルバルザードの全力の一撃いくら内部と外側からの爆発があろうと、これだけでは消えはしない。

しかし、流れが乱れたのも事実
ならばそこを――

ヒュンッ


「貫けばいいだけだ」


残った一本の影樹、閃夜の構えと同調しその枝を振りかぶり
スバンッ!!
衝撃と共に重力の環と貫いた。


枝は止まらずにベルバルザードに迫り着弾する。
城の上にある屋根には穴があき、砂塵と岩の粉が舞い上がった。


「やった!!」
「いや………」
「逃げたわね」

えっと疑問の声をを上げながら望はもう一度着弾点を見る。
そこには、ベルバルザード姿はなくあるのは瓦礫の残骸だけだった。


今まで、戦いによって起こっていた轟音は静まり返り
風の吹く音のみがそこにはあった。


「カティマの方でも決着がついたみたいだな」
「無事だけどいいんだけどな」
「大丈夫だ望、信じろよ仲間だろうが」
「おう…」





――最後は、意外とあっさりでしたね―――

念話でライクレアが話しかけてくる
確かにそうだ、ベルバルザード程の武人ならあそこからもう一度技を出すことも可能だったのかもしれないが……


――まあ、今のはこっちも全力だった、ただこっちの方が一歩応用と対応が早かっただけだ………最初は技が押し負けてたんだからな、技で負けたが勝負はこちらが貰ったようなものだ――

――もっと修練を積まなければなりませんね、ああいう相手とは二度三度は戦うものなのでなのですよ、マスター――




――なんだそれは? 覚醒して得た知識か?―――
――いいえ、経験のよるものですよ―――

――なら、当りそうだな…
でも出来るのなら学生を元の世界に帰してからにしてほしいぜ――
















「うっ………カティマさん!」


爆発による粉塵が晴れ、ようやく希美が目を開けられるまでになった。
急いでカティマに目を向ける

カティマとダラバは向かい合った状態で対峙していた。
その距離は密着するほどに近く、粉塵が晴れているのは上半身のみで腰から下が確認できない。


「……………」
「……………」



その表情は伺えず双方無言を貫くだけだ。
しかし、あれほどまでに高まっていたマナの奔流はすでにない。

ダラバの雷を伴った肌を貫く気迫も
カティマの震えんばかりの迫力も、まるで嵐が過ぎ去ったように静まっていた。



動かない王を心配し兵たちが騒つきだす。

「大丈夫よ」
「え?」
「この戦いカティマの勝ちよ…」




ピキィ、ピキッ!ピキィイ

割れる音、ゆっくりとヒビが広がっていく音
それの原因は鎧でも、手甲でもない―――『夜燭』から発せられていた。


「私の勝ちだ………ダラバ」
「そのようだな……」


砂塵が完全に晴れる。
心神と刃をぶつけ合わせている夜燭、その刃ほんの数ミリに心神の刃がくい込んでいた。
そのほんの少しの傷から今、亀裂が進んでいく

零れ落ちた欠片は地面に落ち粒子となって消えていった。



「宣言したように貴様は、戦いの連鎖を止めたわけだ」
「…………」
「神剣が破壊され貴様に吸収されれば、南天の剣神の死に等しい
何せ、神剣の持たない軟弱な神に落ちるのだからな………」



『振動解放』
濃縮した振動のエネルギーを敵に突き刺し解放して、内側から大打撃を与えることを目的とした技。閃夜との連携技を思い出して使用したが当分支えにした片腕は、当分使い物にならないだろう。




「だが貴様が倒したのは南天の剣神のみだ」

転生というのは、神剣とは別に神自身に刻まれている神名オルハリコンネームが関係してくる。昔は神剣を持っていない神も居たのだ。神剣に認められ手にするもの、神剣を与えられるもの様々だ。

「ここで私を倒したとしても、再び神剣を手にし再びお前に戦いを挑むぞ
それほどまでに我らの業は深いのだからな」


夜燭の崩壊が進む、すでに刃はすべて消失し残すのはその手で握っているのみだ。
神剣だけではない、ダラバの体も足先からマナとなり消え始めていた。

それでも倒れないのは、わずかに残っていた騎士としての誇りかそれともカティマに対する意地なのだろう。





「なら、何度でも挑んで来るがいい」
「………なに」
「戦いに来いと言ったのです。私はこれから何百年でも生き続ける
だから、私はあなたの挑戦を受ける何度でも。

だから今度は暴君ではなく、一人の騎士として挑んで来てください」




ダラバは目を細め、カティマの顔を見据えた。
この戦闘中、何度も殺気をぶつけたその顔、王族の生き残りにして宿敵、決して忘れまいと頭に刻みつけたその顔


その顔はとても美しく、また更なる覚悟を決めた顔だった。
―――そして察した



「はッ、ははははははっ」

だからこそ笑いが出た。
先ほどまで戦いの連鎖を止めたいと言っていた女王、
それが―― 子孫が相手する必要はない、すべて私が戦ってやる ―――と言っているのだ。


その道にどれだけの苦難が待っているか、分からないわけでもないだろうに………

どうやら、自分も相手を測り違えたらしい
この者は何処までも女王だったのだ、民を傷つけなければ構わないらしい。



「カティマよ、貴様も馬鹿だったようだな」
「失礼ですね、頑固者と言ってほしいです」


先ほどまでの激しい感情は、何処に行ったのか
軽口まで叩けてしまう。


もし再びこの女王と対峙することがあるのなら、その時は強大な力を持っているだろう
大きく成長し、北天と南天を担う剣神に相応しい力を携えて


憎しみを抱かずただ武を競うか………


―――ならば、次を楽しみにするとしよう―――



「また逢おう。カティマ・アイギアス」
「ええ、また ダラバ・ウーザ」





ふ~なんとか持ち直しました。
正直、前より文書のレベルがおかしな感じですが……もっと精進せねば

評価感想よろしくお願いします。

評価
ポイントを選んで「評価する」ボタンを押してください。

▼この作品の書き方はどうでしたか?(文法・文章評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
▼物語(ストーリー)はどうでしたか?満足しましたか?(ストーリー評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
  ※評価するにはログインしてください。
ついったーで読了宣言!
ついったー
― 感想を書く ―
⇒感想一覧を見る
名前:
▼良い点
▼悪い点
▼一言

1項目の入力から送信できます。
感想を書く場合の注意事項を必ずお読みください。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。