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ま、まだ生きています。
永遠神剣 第57位
振動とは、物体が小刻みに動くこと
AからBに、BからAにと二つの「点」を移動する。

たとえ、振動する物体の位置を変えてもA~BがC~Dになるだけで、振り幅の大きさに変化が起きるわけではない。

だが、もしその振動の幅を操ることが出来るとすれば?
BからAではなく、BからC、CからDへと移動する点の位置を変更、操作することが出来れば

その振動する物体が行う運動は、すでに振動ではなくなる


「はっ!」
「ぐううううっ!」


それは、主の剣筋に力と速さを与える加速器となる


「ぐっ……」


ダラバは片目を瞑った。
今度は右横腹をやられた。心神から繰り出される突きは槍が繰り出すように鋭く威力はそれ以上に高い。
しかも心神自体が動いて、速度を増しているためその間合いは予想以上に長い

やられた腹に見る余裕もないが、おそらくは酷いことになっているだろう

強大な力を手にしたカティマだが、その身はすでにボロボロだ。
いや体だけではなく、精神面でも傷だらけと言っていいだろう

お互いが新たな力に覚醒したこの戦い
慣れない力を戦いという超高速な思考を走らせなければいけない場所で使った。

それは相当な負荷を脳に与えている



「攻めきれませんか―――ですが!」


「はあああぁぁ!!!」
「ぬおおおおおおお!!!」

だが、手を止めるわけにはいかない
突き出した状態からの薙ぎ払い、振り終わりからの切り返し
まるで濁流のように、ダラバを飲み込もうと迫る


「レストアスよ! 雷を!」

ダラバも一歩も引かない
雷を操る彼も、剣は雷光の如しだ。
まさに神の目つきを持って、カティマの速さに迫りその剣を振りぬく



ぶつかり合う二つの剣
それらは、ともに光速の分類

お互いの剣を視認しているのは両者のみ
戦いを見守っている中で、一番高い実力を持つタリアでさえ剣の位置を把握するのは剣同士がぶつかり合った音で判断するしかないほどだ。


――これはソルも驚くでしょうねっ!――
彼女にとっての最速とは、ソルラスカだ。
もちろん移動速度という分類では、まだ彼に分があるだろうがその彼でも、この戦闘に介入する余地など存在しない。



「ぬぅぅぅぅぅ!!」

ダラバは感じ取っていた。
自分が押されていることに、カティマの力が己《神》を越えようとしていることに
―――ふん―――

だが、何故とは思はない疑問は抱かない、この女王は強い、そんなことは当然のこと
むしろそれは喜ばしいことであって
ましてや――――


「南天星の剣!!」

―――この剣を止める理由になりえない!

神となり威力を増した一撃を空中から下降ししながら放つ

「北天星の太刀!!」

カティマも対となる斬り上げの技で対抗する


「「ぐッ…」」

二つの技はまさに互角、いや、わずかだがダラバが押し負けている
大きな破裂音を発しながら双方を十数メートル離れさせる結果となった。

再びぶつかり合う為に走り出すのかと思いきや、そうしたのはダラバのみだった。

「カティマさん!」

カティマは肩を押さえ片膝をついている
超高速の一撃を繰り出す腕が、悲鳴を上げている

「夜燭よ! 今こそその刃を我が宿敵の血で染めよおおぉぉぉ!!!」
「くっ北天のぉ、太刀!」

先ほどの衝突に引けを取らぬダラバの一撃
カティマは、それを片手の一振りで対抗する


「はァ!」


振動加速の後押しの力と合わせ、カティマは心神を振りぬいた

キィンッッ

「やった! カティマさんが押したった!」
「違う!!カティマ上よ!!」
「!?」


タリアの声より一瞬早く反応し、注意が上を向く
そこには再び剣を振りかぶるダラバの姿があった

――やられた!?―――


光芒一閃の剣
一撃の後上空へ跳躍し二撃目を叩きつける超攻撃力の二連撃

それを瞬間にはすでに思考が動いていた。
神剣へと指示を送り、足が付くより前に神剣が体を押してカティマを後退させる

そして剣撃が着弾
剣先は床を粉々の瓦礫と変えながらもカティマの前髪を掠るに終わりった


『避けきった』そうカティマの思考に横切った。
そう確かに避けった―――

―――それが神となる前のダラバの一撃なら

―――三撃目!!

床の穴を飛び越え、すでに三撃目が自分に迫っている
剣を振りかぶろうにも体を押すため密着させている今からでは、とても振りかぶることも盾にすることもできない、神剣に命じようもあの一撃はそのガードを弾き止めの一撃を繰りだす。


ガッ!! シャアアンン!!!

金属音――しかし今までの弾きあう音とは違う
鉄が割れる音、ガラスよりも数段低いその音が響き渡った――――









「《敵を裁て、その刃は我が牙の如し》」
「ぐっ……」


閃夜とベルバルザードの戦いは、一転閃夜が一方的な攻めで押す展開となっていた。
閃夜は第一の鞘『神代七代』という名を持つ双頭両刃の剣を使い、高速重撃をしかける

十分な体重移動とマナの力により発せられる攻撃は、まさに牙を備える顎
二閃が同時に襲いかかると錯覚させる程の幻覚を持って、ベルバに迫る


「唄による技強化とは………器用にも程があるぞ貴様!」
「一点特化で生き残れとるとは思えねぇんだよ! 一人ではな!!」

しかし、彼も人間の時以上の鍛錬をその身に刻んだ武人
その目により閃夜の攻撃を裁いていく


「《牙に囚われた者に明日はなし》」
「ぐっ………」


閃夜の唄に応じ、ベルバルザードの足元が一瞬で影に覆われる
何かが這い出てこようと影が蠢く

―――神剣呪術か!―――

アズラサーセで見た人形ミニオン達が処刑される姿が蘇り、ベルバは捕えられにくい空中へと跳躍する


しかし
「《鞘変え》」

それはフェイントだ。

――ライクレア、第二の鞘にした後すぐにマナ装填! "裏"から防御を抜く!―――
――了解ヤー――



閃夜は、片手で双頭剣を持ち投擲の体制に入る
服の袖口から影が這い出し、神剣を黒く染め上げる

黒い影は再び形を変えていく

「第二の鞘『七重宝樹』」


影が零れ落ち姿を見せたのは両手槍だった。
西洋風の整えられた形態である『神代七代』に比べれば『七重宝樹』は簡略な作りをしたものだった。 

良くいえば素材の持ち味を生かした
悪く言えば原始的なもの


槍の刃の形は七支刃に加工されている。
中央の一番太い刃は、蒼い魔物の角を使ったようなもの
六本の枝は、本当の黒い枝が刃と加工されていた。


素材のを侮るなかれ、これも神剣であることに変わりはなく
その強度は知っての通りだ。


―――空中に誘い込まれたか…しかし!―――
「ここだ!」

"ベルバは攻撃を避ける"

ベルバルザードのは重力操作の能力を持っている
自分にかかる重力を何十倍にもすれば、すぐにその足は地に着くこととなる

しかし、それだけでは終わらない
閃夜も重力の範囲に入れ身動きを一瞬でも鈍らせる

重力による速い落下で閃夜の一撃を回避し、技後硬直と合わせ重力負荷をしかけた。


ベルバルザードはタイミングを見計らっていた
狙いは閃夜が重力の力に最も抵抗レジストしにくい瞬間

つまり投擲に適切な場所に腕が到達するタイミング
地に足が付く前に重力を操作、斜めに鋭角な落下をしながら閃夜に急接近を掛けた



「目が良すぎたな!」
「!!」

ベルバザードは目を見開いた。
――閃夜の手には、神剣が握られていた――


確かに彼は閃夜の攻撃を避けた。しかしそれは神剣本体の攻撃ではない
『閃夜が映写した刃の攻撃だ』

「せいっ!」

重力に逆らい、閃夜は槍をひと突きする。
目の前には何もない、ベルバとの距離はとてもじゃないが槍は届かない

しかし―――槍はベルバルザードの頭上から飛来した。

「ぐおッ!!……」
腕を交差し、なんとか持ちこたえるもベルバルザードは地面に受け身を取れずに落下した。


ヒュンッ『ヒュンッ!』
閃夜から発せられた"二重の追撃の音"

すぐさま体を起こし、今度はその刃を受け止められた。
ベルバはその瞳にその刃を捕えた

影一色に染まった七支刃を

「なるほど、お前の動きを追跡し攻撃する中距離戦が可能な槍か……」

先ほどまで閃夜が入っていた卵を守護していた枝と同じ雰囲気を持つ槍



閃夜が影という千姿万態の能力を捨て、形態に拘った理由
それは思い出した神剣に関する知識が原因だ。


神剣の力は化け物である。
第三位以上の存在は、世界など簡単に滅ぼすだけの力を持っている。



それでなくても、閃夜が敵わない程の実力を持つ相手は数多くいるのだ。
どんな能力も持ち得れば生き残れるのか


ただの器用貧乏の万能では足りない
弱点が出てくる特化でも、第5位の出力では不安が残る 

器用にこなし、なおかつ高い出力の維持できるような能力
都合が良すぎると言われても仕方がない、他の者を頼れと怒鳴られても否定しない

しかし、そうはいかなかった


「そうでもなければ、お前たちには届かない」


槍が双頭剣に切り替わり、再び斬りかかる
映写により普通の何倍にもなったリーチを生かした連続突き

刃にのみによる攻撃は、優れた武人ほど敵の動作が見れないため捌きにくいものだ

「確かに有効な能力だが……ぬるい!」
即座に重力魔法グラビドンが発動され影の刃に叩きつけられる
攻撃を捌くには、武器である必要もない

「お前もな!」
落ちた刃が根を急速に地面に張る
瞬間的に成長してきた樹刃が、ベルバルザードを貫かんと迫る

「ふん!」

バキイィッ!
しかし、ベルバの拳が地を叩きつけ発せられた振動バーサークチャリオット
が黒い樹の刃を根本から叩き追った。


「ライクレア!」 ≪了解≫

しかし、閃夜の攻撃も止まることはない
ライクレアを召喚し、一瞬で距離を詰める


槍と角による二本の突貫、神剣使いと神獣の同時攻撃

「ガリオパルサァ!!」

気合い一発
こちらも神獣と共に攻撃を受け止めた。



終わりに近づくほど熱くなる戦いもある



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