永遠神剣 第48位
王の間、先ほどまでマナの衝撃が響き渡っていたこの部屋に、すでにその影はない
しかし、今度は巨大な釘を打つような金属音が代替わりをしていた。
「ハァアアアアアア!!!」
カティマは心神を斜めに振りかぶった状態のまま、体の向きを斜めにする
そこから、ゴルフのスイングのような太刀筋を経て、ダラバに向かい神剣を切り上げた。
加速された大剣は、敵の防御ごと薙ぎ払わんとばかりの威力を持つ、
その一撃を―――――
「むおおおお!!!」
この独裁の将軍は、引き下がることなく受け止めた。
衝撃により足元には蜘蛛の巣状のひびが広がる。
しかし、この男は一歩たりとも引き下がらない。
元より二人の中で後退の二文字はない
「くっ……押し…切る!!!」
カティマは力を込める、腕ではなく足に
指の一本一本力を込め、脚にマナを注ぎ込み推進力を上げる。
「無体! 薙ぎ払います!!」
そして、着地した右足を軸にし真横から剣を薙ぎ払った
「ぐっ!」
さすがに、筋力を出している状態での連撃には耐えられず
ダラバは王座に叩き付けられる。
しかし、目を閉じてはいない
一瞬の暗闇でも、その刹那で命を狩られてしまう。
だからこそ捉える事の出来たカティマの追撃
壁を背にした状態で、最も避けにくい攻撃――突き
突進力を威力に加算し、その剣先がダラバの心臓を狙う
「ダラバ、覚悟ぉお!!」
「甘いぞ! この程度で我らの憎しみが底を突くと思うなぁああ!!」
キイィィインッ!!
心の臓を突く予定だった剣先は、正面に現れた青い光を放つ魔方陣に遮られる。
一つだけではなく、二枚重ねられた魔方陣はそれぞれ左右に回転している。
回転した陣は、衝撃を上手く流しているかに見えたが―――
「ふっ……なに!?」
「そちらこそ! この程度で我が剣が止まると思わないことです!」
――中心に当てられては効果は半減する!
黒きマナが刀身に螺旋状に巻くつく
増加した威力により、2つの魔方陣全体にひびが入る
バリイィインっ!
「ぐっ…!」
「貫けえぇぇぇ―――――!!!」
咆哮と同時
盾の役割をしていた魔方陣は砕け、
カティマは体全体で突貫する
「レストアス!! 雷を放てぇ!!」
「く!?」
カウンターの要領で上から放たれた守護獣の雷
盾で止まった刹那ダラバは頭上に召喚をしていたのだろう
一面を埋め尽くす雷光と突きの一撃で砕けた壁の土煙
一瞬と言え、その時間をダラバを逃すはずがなく
すぐに壁際を離れた。
「くはっ………げほっ、げほ!
さすがに…そう安々とは狩らせてくれませんか」
咳き込んだカティマの掌には、血が見える。
そして、体中ににはまるで吹雪の中に居たように霜がついていた。
ダラバの青属性で造られた、冷気魔方陣のシールドに突っ込んだことが原因だろう
シールドの欠片が、その金色の髪も凍てつかせていた。
それだけではない
先ほどの雷により右手の小手の鎧を砕け
右肩のみにあった肩当ても残骸を残すのみだ。
もっとも、ダメージの具合で言えばダラバも同程度
むしろ、体 体力面で上なのはカティマだ。
「ふ……ずいぶんと余裕だな
その輝く瞳には、勝利しか写ってはいないとと見える」
「その通りだ
私は負けて死ぬ気も、相討ちになる気もない
そちらこそ、その程度ですか?
始めに比べ、剣速が落ちていますよ」
「なに、まだまだこれからよ!」
ダラバの頭上にいるレストアスから、青いマナが湧きあがり
ダラバがそのマナを取りこんでいく
体中の血管が浮き上がり、傷口から流れずる血の量が増した。
そしてダラバの威圧感、マナによるオーラが増大する。
その姿は、『夜燭』という神剣を表すに相応しい姿だった。
火が燃え続ける対価として、蝋燭はその身を削る
夜の蝋燭のように―――
炎はマナ
蝋燭は術者
対価を払い力を得る
―――だがそれはこちらも同じことです―――
「はっーーーーー」
息を吐き心を落ち着ける
体に纏うマナを減らす
意識が遠くなるような気分が過り、瞳の光沢がなくなる
当然だ神剣の力を使えば使うほど、その身は神への階段を上っていく
「すぅーーーー………」
ダラバと同じように肉体を削っても神剣の力、技術を引き出す。
光を失いかけていた瞳に再び光が宿る
この戦いに神は必要ない
今、ここに居るのは自分とダラバの二人にのみ
「フフフ」
対してダラバはカティマとは逆のことを考えていた
―――先ほどの左斜め下からの斬撃…―――
受け止めては見せたが、その後すぐに連撃に繋げられたあの一撃
あれは天破の型の最終の一撃
そしてダラバが前世で死因となった一撃だった
この時間樹内での神剣使いは『例外を除いて』
神としての前世を持っている
カティマとダラバの前世である、 アルニーネ・アケロ と ヤハラギ・ヤクシと呼ばれ
アルケーネが北天の剣神
ヤバラギが南天の剣神と言う、異名を持っていた。
北天と南天は戦い
南天は敗れた
しかしタラバに転生したヤハラギの魂はタラバの復讐心と憎悪に呼応し
その感情を増大させた
それは、カティマを生かしていた理由の一つに数えられるだろう
宿敵に敗れた神は、未熟な転生体に手を出すことはプライドが許さなかったのだろう
だからこそカティマを育てるように鉾を当てていたのかも知れない
その甲斐あってカティマは今、ダラバと同等に戦いを繰り広げている。
それをダラバは歓喜する
心の奥に居るヤバラギの喜びも、ダラバに伝染し呼びかける
――もっと戦え!!――
――今度こそーー奴を打倒しろ!!―――
――南天の勝利を―――
ダラバは、その衝動を迷いなく受け入れた
――よかろう…!!―――
「うおぉぉぉぉおおーーー!!!」
「!! マナが…」
今度は神剣自体から青ではなく、黒い光粒が噴出しダラバの体を覆っていく
まるで、ヤバラギがダラバに力を与えているようだ
「はああぁああ!!!」
ダラバの気迫が空気を震わせ、カティマの紙を揺らす
「く……何処にこんな力を」
前世の記憶がないカティマにとっては、何が起きているのか予想も付かない
神剣の能力の話では説明も付かないほど、ダラバを覆うマナは強大だ。
「無情の…!」
「なっ」
カティマの驚愕は続く
「刃を重ね!」
言霊を入れ一言ずつ唱えて行くダラバ
その一言一言を唱えて行くと、ダラバを覆った二つのオーラに激変が起こる
「二色のオーラの融合…?」
青を黒はまるで境界線など無いようにお互いの存在を一つにしていく
それは本来あり得ない現象だった
たしかに、色の付いてないマナとしてなら、属性の違う他人にも分けることが出来る
他人に付加するなら色が付いていても、問題ない
しかし、融合となると話は変わる
エターナルでさえ、属性の同時発動ということは可能でも
融合は不可能に近い、片方を犠牲にし一方の威力を上げることはや属性の形状を当てることは可能だが
融合、ましては黒マナは活性化した場合、他のマナに反応すると対消滅を起こすのだ。
「剣光を薙ぐ!」
しかし、このマナはヤバラギが生み出したウィルの欠片と言っていい存在
二つの一致した感情により、その力はより大きくなる
「冷厳なる!」
「くっ!」
カティマを睨みつけるダラバの体には異常が表面化していた
浮き出していた血管から血が噴き出し
剣を握りしめる手からは、ボキボキっとした嫌な音が聞こえて来る
もともとダラバの肉体は内側では、もうガタが来ており普段の生活で吐血することもあったほどだ。
しかし、今のダラバは第六位の限界ですら越えようとする程のマナを出している。
「黒禍の剣!――――」
「!!」
カティマは見た
自身を見つめるダラバの顔――その笑みを
そしてダラバは唱える
今まで唱えてきた一言―――神名の最後のピースを
自分の真の神名
「南天の剣神!!!!」
ゴオオォォオ―――!!!
突風――いやその表現をでは最早足りない
王の間に竜巻が発生した
越えた―――確実に
ダラバは人の領域を突破した
剣を構え仁王立ちする姿は、ダラバではない
ヤバラギでもない南天の剣神
南天の剣神 夜燭のダラバがそこに立っていた。
「やはり良い、本当に倒したい戦いというのは…
一秒、一秒が数年分の鍛錬以上の効果を得るのもだ」
南天の神が声を発す
その声すら戦闘中の荒々しい物とは違ってくる
まるで若返ったようにすら感じる物だ。
しかし違う
その力、先ほどまでとは、比較にならない
剣には雷も冷気がなく
カティマと同じように赤黒いマナが覆っていた。
しかし、剣から感じるマナですら分かる
――私を越えている!!―――
自身より強い敵だと
敵わないと言うあり得ない感情すら湧きそうだ
しかし、恐怖の前に湧きだした感情があった
「は、ハハハハハアアアァァァ!!」
笑い、
王女がする笑いではない
ひたすら獣のような笑い、
町に入る前に感じた感情の比ではない
「グルルルルっ!」
――あれを倒したい!!――
――越えたい!!――――――
そんな感情がアイギアスから伝わる
「ハッハハ―――――――………さすがですね、ダラバ」
笑いが止まる
途中で自身の状態に気付き止めたのでない
称賛――その感情から来た言葉だった
「貴方がこの戦いの中、何を思い、何を受け入れ、その強さを得たのか…
残念ながら私には、わかりません」
――しかし――
カティマは剣を構える
始めと同じように両手でしっかりと握り、ダラバを見つめる
そこには、神の領域に辿り着いている敵に対する恐怖はない
「貴方のその強くなろうという意思の強さ
それは間違いなく、曲がり無い物だと思います」
――だからこそ――
「その力、打ち破らせて貰います」
――私は、負ける訳にはいかない――
「ふん、よかろう
来い、カティマ・アイギアス!!」
「ハァアアアア!!!」
カティマは再び、ダラバに向かいその身を進める。
民のため、仲間のため、そして何より、自身のために
は、はは
どんだけ、無計画なんだ俺……
キャラが動いたとか言うレヴェルじゃないぞ
いや、確かにダラバは原作より強くしようとか考えたけど………
いや、つか、神になるってありか?
人間らしくなくなるとか、なかったけ?
ダラバがカティマを幼いうちに狙わない理由を自身視点から書く気だったのに……
………『作者気まぐれ』タグを付けるべきか?
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