永遠神剣 第38位
いきなりで悪いが――――
「都合が良すぎないか?」
「ええ、今回ばかりは私も同意するわ」
「ホントに大丈夫なの? カティマさん」
「大丈夫です、しっかりと継承は完了されてします」
「体調が悪くなったら無理はするな」
「はい、閃夜」
「……………」
カティマは普段道理の返事を閃夜に返したが、それでも彼の不安は消えなかった。
鉾の防衛陣を突破し、反乱軍はミストルテに到着した。
しかしそこには敵軍の兵士の門番も居らず、鉾も一人として居なかった。
いや、兵士は居た。
しかし彼らはすでに敵ではなかっただけだ。
反乱軍がアズラサーセの町を解放したことはすでにグルン・ドラス中に知れ渡っていた。
虐げられているが、強大すぎる力の前に誰も行動することが出来なかった。
うっぷんが溜まっていたところに、見えた光への希望。
民たちや反感を持っていた兵士たちはこれを機会に、暴動という名の反抗を開始した。
とは言っても大義がある訳でもなく、ただ暴れているにすぎないのだが……
ともかく、町には楽に入ることが出来た。
そこで二組に分かれて、望、カティマは継承者の証の情報収集、
沙月、閃夜、希美はこの暴動の鎮圧に向かった。
「その後……合流したらいつの間にか、継承者の証がインストールされていて……しかも、それをしたのが乞食風の怪しい男……」
「確かに順調に手に入りすぎて、少し怖いわね……」
カティマたちが出会ったのはボロ布を着た一般人の男。
彼は二人に説明もせずに光を放つと、最低限の説明とカティマたち王家への恨みの言葉を吐き、その場で息を引き取ったという。
閃夜も沙月もその男に同情が沸かない訳でもないが、神剣同士の闘いを知っている沙月や絶から魔法や神剣の能力は様々なものがあると、教えられていた閃夜は不安を覚えた。
「いいじゃないですか、私が考えていたのは、今度は洞窟のダンジョンに入って、最深部にいるゴーレムを倒して、やっとの思いで発見した宝箱を開いてみたら、そこには綺麗な宝石が一つだけあって、宝石にカティマさんが触れたら、突然、光輝きだして目を開けたらそこは暗く深い森の中で道なき道を進んで行ったらそこには綺麗なお花畑が広がっていてそこに居たのは二人の若い男性と女性で女の方がカティマさんを成長させたかのような人でカティマさんが呟いた言葉は『お母s―――――――」
「「カット! カットォォ!! カットォォォォーーーー!!!!」
「――――も、もういい大体、希美が予測していたことは分かったから………」
王道的な展開を語りだそうとしていた希美にストップをかけ、すぐ本題に戻るように閃夜と望はカティマに視線を向けるが。
「…………………」
しかし、カティマは視線に気づいてないのか
右手を左肩にあて、何か考え込んでいるようだった。
「……カティマ?」
閃夜がもう一度呼びかけたことで、ようやく気付いたのか、カティマは慌てて
「す、すみません、何でしょうか閃夜」
「いや…気分が悪いなら休んでおけ、記憶が脳に馴染むまで時間が掛ると思うしな…」
「はい……そうさせてもらいます…」
閃夜は彼女の言葉の疲れが見れ、立ち去るその姿にもいつもの覇気を感じることはできなかった。
カティマが継承者の証、王家の記憶を受け継いだ。
それはすなわち、カティマが反乱軍改め、旧アイギア国軍を率いることの出来る立場になったということだ。
グルン・ドラスの民いや、旧アイギアの民たちもカティマが再び王座に戻ることを望んでいる。
そしてミストルテには国の重役を担っている貴族や、各所に散らばって戦力を集めていた兵士たち、それと閃夜たちがアズラサーセを救っている間に、滅ぼされていた国の生き残りの兵士たちも、ミストルテに集まり始めている。
戦争の準備は確実に整ってきている。
だが、鉾の力は普通の兵士が束になっても敵いはしないのだ。
神剣の使い手である5人が闘いの運命を握っている。
幾ら絶に闘いを教わっていたといえ、戦略を立てる知識を閃夜は持ち合わせていなかった。
これからの旧国軍の舵取りはカティマに任せるしかない。
所詮自分には剣を振るうことしかできないのだと、閃夜は結論した。
「……………」
しかし閃夜の顔に不安は見えず、逆にカティマがどんな行動に出るのか…
それに期待をしているような笑みを浮かべていた。
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