第二話:裏山へ行く者達
〜野原家〜
「お分かり頂けましたか?」
「「な、何とか…」」
その頃、野原一家はガルルによって襲い掛かって来たタママの事や、ガルル自身の事などを聞かせてもらっていた。
「つまり、あなたはケロロ小隊の様子を見に来た時に、偶然にタママさんを発見して今に至る訳ですか?」
「ご理解いただき、感謝します」
「いえいえ、感謝しなくちゃいけないのはこっちですよ」
みさえの言葉を丁重にガルルは受け取ったと同時に、ひろしは疑問を投げかけた。
「でも、あんたの話の通りなら、このタママって人も悪い人じゃないですよね?」
「そうです」
「じゃあ、どうして俺達を襲って…?」
「それは…」
ガルルが答えようとした直後、眠っていたタママは目を開けた。
「…あれ? 僕は一体…?」
「起きたか、タママ二等兵」
起きたタママは、ガルルを見た瞬間に高速で後ろに後ずさりをした。
「えぇ!? 何でギロロ伍長のお兄さんがここに!? …っていうか、ここ何処ですぅ?」
「…やはりか」
「ど、どういう事ですか?」
「恐らく、タママ二等兵は…」
ガルルは一旦区切ると、すぐに次の言葉を発した。
「操られていた、という事です」
「「操られていたぁ!?」」
驚きの発言に、ひろしとみさえは大声を上げていた…。
〜空き地〜
「つまり、その子は操られていたの?」
「そういう事だ」
一方その頃、のび太達もアクション仮面から説明を受けていた。
彼がもう一つの地球のある“平行世界”から来た事。
そして、その平行世界からこの世界にやって来た“ハイグレ魔王”を追いかけてきた事。
ハイグレ魔王の力を感じて、この場に来た事などを語った。
「んでよぉ。その灰くれ魔王とかいう奴が、こいつを操ってたのか?」
「ジャイアン、ハイグレ魔王だよ」
「その通りだよ、武君」
名前はともかく、それ以外は当たっていたのでアクション仮面は頷いた。
「でも許せないよ。他人を操って、ぼく達を襲わせるなんて…」
「それで、この子は大丈夫なんでしょうか?」
「心配しなくても大丈夫。気絶すれば、ハイグレ魔王の力は消えてしまうからね」
静香がホッとしていると、スネ夫がある事に疑問を抱いた。
「アクション仮面さん。思ったんだけど、何でそいつはこの世界に来たの?」
「それは…」
アクション仮面は少し間をおいてから、言葉を発した。
「“復讐”だ。私と、しんのすけ君に対しての…ね」
「「「「復讐?」」」」
〜日向家〜
そして日向家でも、ドラリーニョとドラ二コフから説明してもらっていた。
彼らが二十二世紀、未来から来たネコ型ロボットである事。
ドラえもんズという七人のチームの様なものに入っている事。
そのドラえもんズの仲間に襲われた為、襲ってきたメンバーの中にいなかった“ドラえもん”を頼ってきた事を話していた。
「あんた。あたしに襲い掛かってきた事とか、ホントに覚えてないの?」
「ああ…」
そして今は、目が覚めたエル・マタドーラに話を聞いていた。
しかし彼はタママ同様に夏美に襲い掛かった記憶などが無かった。
「あれれ〜? どういうことかな?」
「もしかして、操られてたんじゃ…?」
冬樹の何気ない一言に、全員がハッとする。
「そっか〜! 操られてたのか!」
「ホントに操られてたの〜?」
「でも、この人は嘘をついてないと思うよ。姉ちゃんだってそう思ってるでしょ?」
「う…」
冬樹の言葉に夏美はグゥの音も出なかった。
確かに嘘をついているとは、何故か夏美は思えなかったのだ。
「だが、操られていようがいまいが、あんた達を襲っちまったのは事実みたいだ。すまない!」
「い、いいのよ! 悪いのはあんたを操っていた奴が悪いんだから!」
「そ、そうだよ!」
頭を下げるエル・マタドーラに、慌てて冬樹達はそう言った。
「でも、操られたマタドーラが僕達の家に来るなんて変だよ。もしかしたら、消えちゃった軍曹達の事と関係が…」
「あるぜぇ」
「「「「「「!!?」」」」」」
突如聞こえた声に、全員は反応して声のした外を見る。
外には、メガネをかけた黄色い蛙が、自身に良く似たロボットに乗っていたのだ。
ドラえもんズの彼らは誰だか分からなかったが、冬樹達は大声を上げて彼の名を呼んでいた。
「「「クルル(曹長さん)!!!」」」
「クッ〜クックックッ…」
“クルル”と呼ばれた黄色い蛙は、気味の悪い笑いをしていた。
「知り合い?」
「うん。行方が分からなくなった軍曹の部下なんだ。一緒に行方不明だったんだけど…」
「少しいなくなっただけで、オメェラ大げさじゃねぇかぁ?」
「そんな事はどうでもいいのよ! クルル! ボケガエルとかギロロの場所知ってんでしょ!」
「さぁ〜な〜。クッ〜クックックッ」
夏美の怒りの混じった質問に、クルルは笑いながら答える。
「あんたねぇ…!」
「だが、俺について来れば分かるかもしれねぇ〜ぜぇ〜?」
「えっ…!?」
「隊長達の場所が知りたきゃ、ついてくるんだなぁ?」
それだけ言うと、彼はロボットを起動させて、飛んでいった…。
「あっ!? 待ちなさいよ!」
「追いかけよう! 姉ちゃん!」
「私も行きます!」
「俺達も行くぜ! 迷惑をかけた借りを返さなくちゃな!」
「このタケコプターを使いなよ。頭につけたら、スイッチを入れれば空を飛べるよ」
「あうあうっ!」
全員がタケコプターをつけ、すぐにクルルの後を追っていった…。
〜野原家〜
「しんちゃんのお父さんとお母さん、いますか!?」
「その声は…“マサオ”くん!?」
ひろしとみさえが大急ぎで窓を見ると、おにぎりに似た頭の持ち主、マサオがいた。
「マサオくん、今まで何処に…」
「そんなことよりしんちゃんが小学校のうらの山に!」
「! ホントかい!?」
「行きましょ! あなた!」
「じゃあ、ぼくについてきて!」
走るマサオの後を、ひろしとひまわりを抱いたみさえが追っていった…。
「ガルル中尉、どうしますかぁ?」
残ったガルルとタママはその場で話をしていた。
「…あの少年、何か臭うな」
「えっ? あの子は別に臭く無かったですよ?」
トンチンカンなタママの言い分に、少々頭を悩ませながらもガルルは駆け出した。
「ああっ!? 待って下さいよぉ!!」
タママも慌てて後を追っていった…。
〜空き地〜
「じゃあ、ドラえもんの居場所を知ってるの!?」
のび太の大声が空き地に響く。
そこにはドラえもんズの一人である、“ドラメッド三世”がいたのだった。
彼は魔法の絨毯で空から現れると、驚いているのび太達に自分の事を説明した。
そして、ドラえもんの居場所を教えるという事を言ったのだった。
「その通りでアール。この絨毯に乗るでアール。案内するでアール」
「ありがとう! 行こう、皆!」
「おう! 当たり前だ!」
「ドラえもんにこんな友達がいたんだなぁ…」
「ドラちゃんの様に、優しそうな人ね」
のび太達が喋っている中、ネネを抱えているアクション仮面はドラメッドに質問した。
「…私も乗っていいかな?」
「もちろんでアール。さっ、全員乗ったら行くでアール!」
そして気絶しているネネを合わせて全員が乗り込むと、ドラメッドは裏山に向かって行った…。
「ぐ、ぐあぁ……!!」
「クッ〜クックックッ…油断大敵だぜぇ?」
先に着いた冬樹達は、山の中で止まったクルルに声を掛けた途端に、超音波攻撃を喰らってしまったのだ。
「み、耳がぁ…!!」
「や、やめなさいよ…ぉ…!!」
あまりの音の大きさに、耳を塞いでも効果はまるで無かった。
苦しむ冬樹達を見て笑っているクルルの背後に、ある少年が立っていた。
「んっ? …何だ、お前か。つれてきたのか?」
「は、はい。つれてきました。今、ドラメッドさんの笛でうごけなくしてます」
「ほぉ、中々やるじゃねぇか」
マサオを見ながら笑っているクルルに、冬樹は弱々しく呟いた。
「ク、クルル…! ま、さか…君も……」
「ああ。俺様も操られてるってやつぅ? クッ〜クックッ〜!」
冬樹の問いに、やはりクルルは笑いながら返事をした…。
〜???〜
薄暗く、照明がついていない部屋…。
そこには、青と黄色が半分ずつ塗られている仮面をかぶった人物。
そして、黄色い帽子をかぶり、緑色をした蛙がその場にいた。
「…つまり、あの三組は一箇所に集めたんだね?」
「そうであります。これで一気に畳み掛けるのであります」
「でも当初の計画じゃ、一組一組を狙うんじゃなかったの?」
「その結果、見事に返り討ちとなり、相手に味方を増やしてしまったであります!」
その仮面の言葉を、蛙はすぐさま返した。
「だから作戦を変えるとぉ?」
「その通りであります! 我々の計画を邪魔する可能性を持つあの者共には、数で攻めるのが一番であります!」
しばしの沈黙がこの場を包むと、観念したように仮面の方がため息をついた。
「しょうがないわねぇ。あんたの望む作戦でやりなさい、“ケロロ”軍曹」
「了解であります! ハイグレ魔王殿!」
仮面の人物、ハイグレ魔王に敬礼をすると、ケロロはこの場から去っていった。
「ふふふ…果たして、今度はどっちが勝つかしらねぇ…アクション仮面?」
不気味な笑い声が、この空間を包んだ…。
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