挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
天上の青は謳う 作者:奏多
1/32

プロローグ

プロローグ、短すぎたので一つにまとめてみました。
拝啓 佐倉伊織様

 僕の暮している国も、ようやく秋になりました。
 引っ越して四年が過ぎ、いよいよ僕も勇者として活動することになりました。
 頑張って剣の練習をしてきたのもこの時のため。弟は世界周遊魔物打倒の旅に出ます。そのため、しばらくは手紙を送れませんので、ご了承下さい。
 ではまた、この紙の裏に近況などをお書き下さい。旅立ちを控えた勇者への激励を期待しています。

 追伸
 そんなわけで、今年は母さんの命日に花を手向けられなくなりました。一応他の人に頼んであります。ご心配なきよう。
 そういえば土に関わって亡くなった人は、この世界では大地の精霊に迎えられると言われています。それなら母は僕がどの国に行っても、かわらず見守ってくれることでしょう。
 だから、母さんのことについてはもう気に病まないで下さい。

   貴女の弟、悠樹より

   ***

 伊織は何度読んだかわからない手紙を元のようにくるくると丸め、赤い紐で結んだ。
 そっと紙の上をなぞる。
 指に触れるのは、藁半紙でもコピー用紙でもない、厚みのある堅めの感触。下手をすると紙ですらないかもしれない。
 指を何往復かさせてふっとため息をつき、伊織は音と映像をはき出すテレビ画面へ視線を戻した。

 子供のころからよく見ていた、ファンタジー映画が映されている。
 内容は十分に知っていた。だけど何度見ても面白いので、暇つぶしにと思い、ソファーの上であぐらをかいた状態でぼんやりと鑑賞していた。
 映画の中の金髪の少女は、綺麗なドレスを着ている。そして敵から逃げ回っていた。
 ふと、伊織は自分の姿に目を落とす。一日中外出する気は一切ないので、肩を越す茶に近い色の髪はまとめもしないで放置。着ているのは部屋着にしているパーカーとスウェットの上下だ。

「悠樹のとこにも、もしかしてこんな女の子が一杯いるのかな」

 金髪の少女は、ようやく主人公である少年と合流した。
 二人でじりじりと回廊の先へ進む。
 この先には敵が待っている。だけど敵側の動きなど知りようもない二人は、剣を構えながら回廊の先にある扉を開こうとした。
 向こう側から明るい光が溢れ……。

 その瞬間『伊織の目の前が』真っ白になった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ