第一章「毛利菫」第四話「黒のポルシェ356」
第一章「毛利菫」第四話「ポルシェ356と飽彦」
菫が徒歩で歩いていたところ、米花町の商店街の歩道付近に黒い年式の古い黒い車が停まっていた。
新宿ナンバーで、都内であることがわかる。
その時、菫はうっすら記憶の中に三宅綾のアルトの落ち着いた声が聞こえる。
今から、十四年前の出来事だった。
黒い年式の古い車、ボンネットの上に初心者マーク、青系統の開襟半袖シャツ、その色のスカート、白いハイソックスにCielの文字刺繍、紳士物の革靴。
それは、彼女が僕に向かって微笑んでいる姿が浮かんだ。
あまりには彼女が愛おしくて、その若い女性を追いかける少年飽彦の姿があった。
意外と彼女は画家や写真家には、注目の的で毎日のようにチヤホヤされていた。
でも、しかし彼女は姿を消した。
彼女の実家に一度、たずねたことがあるが父親が医療関係者である女性と話していたのだ。
あの女性とは知り合いのようだった。
「彼女は性転換手術をしたいと、言い出していたの。性同一性障害である点が認められているもの。」とその女性は言う。
「娘が子を産む機能だけは、父親であるこの私が温存させてあげたいのだ。」と言う。
「乳房のみ、摘出という形ね・・」と言い切った。
その時、菫は彼女の声がホルモン剤の影響で声が変わっていく様子があった。
彼女は、表は非常に胸が大きく官能的なイメージとお嬢様な感じが強いのに対し、裏ではオレとか言って、明らかにギャップがあった。
菫の前ではオレと言っていた。
飽彦の前では私とか言っていたし、「飽彦、お前」とか言っていた気がする。
と菫と飽彦が頭の記憶の中で印象的にそして、愛おしくも感じていた。
その時、灰原哀が・・
「ジンの愛車、ポルシェ356A・・。」と言い放った。
菫と飽彦が「あんな、路上に置いて・・」
「警察が道路通行の邪魔になるって、すぐ撤去しちゃうんだ。」と言う菫。
その時、黒のトレンチコート、白のハイネック、黒のスラックス、黒の紳士靴という井出達でその姿を現した。
「菫クン、この人、三宅綾に顔がそっくり。」と言う飽彦。
「もうしかしたら、当の本人かもしれない。」と言う菫。
菫は、灰原哀に「ジンって、コードネームだよね、本名とか聞いていない?」とたずねる。
「まだ、彼の本名は聞いていないわ・・。」と答える。
「僕、毛利菫ってゆうんだけど、顔立ちが元テニスプレイヤーの三宅綾によく似ているんだ。」と言う。
その時、吉田歩美が「あっ、お兄ちゃんだ、望夢ってゆうんだよ。望むってゆう漢字にねぇ、夢ってゆう漢字を書いて、望夢って読むんだ。」と話す。
「あの緑色の髪の長い子のコードネームがジンロ、この桜色のウェーブした長い髪の毛の子が黄桜らしいんだ。この間来たよ。」と歩美に菫が話す。
飽彦が「あの二人の少年の本名は吉田望夢、もう一人がレオ・クラウンらしいんだ。」と言う。
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