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副作用の災難
作:都神紗茅



1


「はい、これ」


 そう言って赤みを帯びた茶髪の少女は、ストレートの黒髪を持つ少女もとい少女に見える少年にトートバッグを差し出した。


「な、何だよこれ」


 訳あって今は性別の変わっているのは、実はあの有名な高校生探偵こと工藤新一。今この時は“あいり”と言う名前で過ごしている。
 彼女”が元の姿に戻れる薬を、赤みを帯びた茶髪の持ち主こと灰原哀が完成させるまでの間、哀の家――詳しく言えば、阿笠博士の家――あいりは滞在させてもらっている。その長いようで実は短い期間は、一週間。


「はい、お財布。中に入ってるメモに買ってくるものを書いておいたから、駅前のスーパーまで行ってきて。分かった?」

「だから、何でオレが」


 あいりは今日、丁度この前蘭と行ったショッピングモールで購入した服をに身を包んでいた。最近は自分が持っていたのとそれを交互に来ていて、偶然今日は女物の方の日であった。

「あら。今は博士が学会に行ってて私とあなたしかいないんだし、手が開いているあなたが行けばいいんじゃない?」

「そりゃそうだけど」

「じゃあ断る理由はないでしょ?」


 お使いを断りたい理由はただ一つ。今の姿で外を彷徨(うろつ)きたくないのだ。だけど、副作用の解毒剤を作ってくれているのは哀だ。
 あいりはとりあえず哀の持っているトートバッグを受け取り、玄関に歩いていった。 あいりは渋々玄関の床側に座り込み、慣れないブーツを履く。性別が変わって靴のサイズが小さくなってしまい、今のあいりにはそれしか足に合う靴がないのだ。
 後ろに哀の視線を感じながら、あいりは玄関の扉を開けた。そして、重い足で一歩を踏み出した。





「ねぇ、あの人、凄く綺麗じゃない?」

「髪さらさらだし、スタイル良いね〜」


(ったく、これだから外を歩くのは嫌なんだよ)


 駅前のスーパーで、あいりは手にメモと買い物かご、トートバッグを持って野菜売り場にいた。何でもないように振る舞っているが、実際はかなり恥ずかしい。周りがじろじろ見てきていたからだ。
 あいりは、もし自分が本当に女なら、素直に喜んでいたかもしれないと思っていた。だけど、今のこの状況ではそんな感情は皆無である。


(買うモン買ってとっとと帰るか)


 再度、メモに目を落とした。そこに書いてある字が、どこか遠い他の星の文字に見えてきた。









「やっと終わった……」


 トートバッグに商品をそれなりに綺麗に入れ、博士の家に向かって駅前通りを歩いていた。そこからはみ出ていた(ねぎ)が、あいりの歩調に合わせて上下に揺れている。


「ねぇ、暇?」


 そんな中、あいりは後ろから自分にまっすぐ向かってきた声を聞き取った。何か良からぬことを考えているような男の声だとすぐに分かった。
 あいりは完全に無視して早足を始めたが、後ろから速まる足音が聞こえ、追いつかれて肩を掴まれたため嫌々振り向いた。
 そこには、二人の男がいた。大体二十歳(ハタチ)で、大学生らしき風貌であった。






年内に第一話を投稿できてよかったですσ( ̄∇ ̄ )。もしかしたら第二話の投稿は来年になってしまうかもしれないですが……。今作は『旧・副作用の災難』とは話の内容が大分違うものになっています。その為前後編ではなくなってます。











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